Не спеши
- 山崎行政書士事務所
- 9月16日
- 読了時間: 2分

🎼 舞台袖 — 時間を止めたい気持ち
前奏が流れると、すぐに胸がきゅっと締めつけられる。「これは観客に聴かせる歌じゃない、ただ一人に語る歌だ」そう心に言い聞かせ、深い呼吸でテンポを落ち着かせる。舞台に出る一歩は、まるで「恋人に歩み寄る一歩」のように感じる。
🎶 冒頭 — 囁くような胸声
「Не спеши…(急がないで)」最初のフレーズは低めの tessitura。胸声を柔らかく、吐息混じりに囁くように響かせる。客席はすぐに静まり、歌声を「直接耳元で聞いている」錯覚に包まれる。
🌊 中盤 — 愛の切実さ
旋律が広がり始めると、声に少し厚みを加える。「пусть сердца горят…(心が燃えるままに)」ここでは感情を押さえた温かさを響きに込める。バリトンの声は重さがある分、ここで無理に力を入れずに、時間を抱きしめるような柔らかさを意識すると、切なさが自然に浮かび上がる。
🔥 クライマックス — 時間よ止まれ
「Не спеши, любовь…(急がないで、愛よ…)」ここが最大の山場。息をしっかり支え、声をホールいっぱいに広げながら、**叫びではなく“懇願”**として響かせる。観客はその声に自分自身の愛の記憶を重ね、胸を締めつけられる。
🌌 終盤 — 消えゆく祈り
最後は声を徐々に絞り、夢が溶けていくように収束。「Не спеши…」の最後の母音を細く長く残し、ホール全体に「愛を失いたくない祈り」を漂わせる。伴奏が止まったあと、会場は静寂に包まれ、やがて温かい拍手が広がる。
🎤 バリトンの肉体的実感
息の流れは「ろうそくの炎を消さずに包む」ように繊細。
ビブラートは細かく抑えて、胸の震えをそのまま響かせる。
歌い終わった後は、胸の奥に「愛を引き止められなかった切なさ」が残り、まるで告白を終えた後のような虚脱感を覚える。
この曲は、バリトンにとって 「愛の時間を止めるための歌」 です。聴衆はただ聴くのではなく、自分の恋愛の記憶と重ね合わせ、「どうかこの瞬間が続いてほしい」と心で願うのです。





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