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【SE現場×EUデータ法】

  • 山崎行政書士事務所
  • 9月6日
  • 読了時間: 4分

9/12適用目前。いちばん怖いのは罰則そのものではなく、“過剰なデータ開放”と“計画なき改修コスト”です。EUデータ法は、IoT機器・関連サービス由来の産業データへのアクセス/共有、そしてクラウド乗換の在り方までを包括的に規律します。EU域外企業も対象で、日本の製造業・医療機器・車載・設備産業は広く射程に入ります。ネット接続だけでなく、USB等でデータ持ち出し可能な機器、工場内の閉域機器、部品/センサー単位のデータ生成まで及ぶ点が要注意です。まずは“自社のどの製品・サービスが該当するのか”と“自社がどの規制エンティティ(製造者/データ保有者/関連サービス/データ処理サービス)に当たるのか”を一枚図で可視化し、サプライチェーンの役割を誤判定しないことが出発点になります。


マイルストーンは①2025/9/12:本格適用開始、②2026/9/12まで:新製品に「アクセス・バイ・デザイン」(ユーザーがデータにアクセスできる仕組みを製品設計段階から組み込み)、③2027/1/12まで:クラウド乗換手数料の廃止(競争・相互接続の促進)という流れ。設計・契約・運用を“段階”で切り、既存は運用で初動、新製品から設計に組み込むのが現実解です。


“何を出すか”の防御線づくりが最大の肝。**出すのは「生(Raw)/前処理(Preprocessed)/必要最小限のメタ」**に絞り、派生(Derived)/推論(Inferred)の知財性が高いデータは原則出さない——この線引きをデータ峻別表として明文化します。列=データ項目、行=生/前処理/派生/推論/メタ/個人/秘密、判定=出す/条件付き/出さない、根拠=条文/契約/リスク、運用=誰が・いつ・どう出す。表に落ちれば、現場の判断がブレません。


第三者提供は**契約×技術の“二重固定”**が基本です。契約では「目的限定」「二次利用禁止」「秘密保持」「逆解析禁止」「監査権/違約金」を標準化。技術では「最小権限の委任(OAuth2/OIDC)」「匿名/仮名化」「真正性/改ざん検知」「アクセス/提供ログの不可逆化」を徹底します。クラウド乗換は“契約+Runbook”で勝ちます。出力形式・鍵管理・依存マップ・順序・検証を事前定義し、手数料廃止の転換点を見据えて現行契約に条項を差し込む。監査は「請求→承認→抽出→提供→削除」のイベント列を、タイムスタンプ・主体・ハッシュ付きで不可逆ログ化し、“見せ方”まで設計します。


実装の最短イメージ(Azure):IoT Hub/Edgeでデータ収集→Data Lake(Parquet/Delta)に一次保管→PurviewでRaw/Preprocessed/Derived/PII/Secretの分類とデータ辞書化→API Management+App/Functionで“機械可読+メタ同梱”のエクスポートIF→Entra IDで委任/OAuth→Log Analytics+Monitorで不可逆監査——まずは“最小構成”で走り、派生データは外部に出さない設計にして知財漏れを防ぎます。GDPRとの整合(個人データが絡む場合は常にGDPR優先)や越境移転の設計(DPA/SCC/TIA等)も同時にチェックし、矛盾のない運用に揃えます。


――ここからPR――

山崎行政書士事務所は、法務×クラウド実装を横串で繋ぐ実務支援を提供します。

①クイックスクリーニング:EU関与の洗い出し、規制エンティティ判定、優先度マップで“今やるべき”を特定。

②データ峻別&共有ポリシー設計:Raw/Preprocessed/Derived/PII/Trade Secretの実データ判定表をPurview分類に直結し、「出す/条件付き/出さない」を規程化。

③FRAND準拠の契約キット:目的限定・二次利用禁止・秘密保持・逆解析禁止・監査権・違約金までを盛り込んだ第三者提供契約の雛形(英日対訳対応)。

④クラウドExit&切替実装:手数料廃止を見据えた条項整備と、出力形式・鍵・依存関係・検証手順までを含むRunbookの作成。

⑤GDPR整合・越境移転:Data Actとの重なりを解きほぐし、DPA/SCC/TIA/DPIA等を含む一貫設計。

⑥“アクセス・バイ・デザイン”移行計画:新製品のUI/IF・メタ付与・ログ要件・品質基準を設計し、出荷判定のチェックリスト化。

⑦監査証跡パッケージ:当局・顧客・社外監査向けの提示テンプレと不可逆証跡設計。

⑧法務×SEの合同訓練:データ請求のハンズオン、第三者接続の権限設計、遮断基準のルール化。

⑨SME特例の適用判定:中小規模の適用除外やグループ関係による除外喪失リスク、成長時の猶予扱いまでを整理。


成果物サンプル:①Data Act対応全体図(エンティティ/製品/データ流れ/契約の対応関係)②データ峻別判定表③第三者提供契約セット(FRAND条項、技術要件の附属書)④クラウドExitランブック⑤監査証跡テンプレ。法務と現場が同じ絵で動ける状態を、最短で作ります。


まとめ:①“最小限を適切に出す”線引きを最初に決める、②契約×技術で二重固定して知財と優位性を守る、③Exitを契約とRunbookで先に決める——この3点で「過剰開放」と「改修迷子」を回避できます。まずは棚卸し+峻別表+契約雛形の3点セットからご一緒しましょう。DM歓迎です。


※本投稿は一般情報であり、個別の法的助言ではありません。具体的な適用可否や契約設計は、個社の事業・製品・データ構造を踏まえてご相談ください。

 
 
 

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