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タイムスリップ夫の逆襲!?〜坂口あやめの悲喜こもごも4:出動! 時空警察、襲来!?〜




1.平和が戻った…と思いきや

 老舗出版社「米星社」の文芸編集者・坂口あやめ。 ふと気づけば、ここ数年(とくに最近)で「とんでもない未来人」たちが次々と自宅に押しかけてきた。未来の夫、中年トレンチコート姿の楓井裕作。筋肉配達員の離婚カウンセラー・カリブ。さらには、まだ生まれていないはずの娘・心音。そして、未来の姑・裕子(スパンコールコート着用)——まるで時空サファリパーク状態である。

 しかし、そんな大騒動もここにきてやっと一段落。 未来勢による離婚阻止やら家族愛確認やら、さんざん振り回されたが、のあやめと30歳の裕作は、先日久しぶりに二人きりで映画デートを楽しんだ。小さな幸せを大事にしたい——そんな平穏な日々がようやく訪れた…はずだった。

 だが、ある夜。あやめが家でゲラ(校正)を読みながらうとうとしかけたところ、またしても「謎の衝撃音」が窓ガラスを揺らす。 「まさか…また誰か来た!?」 あわてて窓辺に駆け寄ると、ガラス越しに赤と青のパトランプがチカチカと怪しく点滅しているではないか。恐怖映画のワンシーンを思わせる光景に、あやめは絶句。 「い、いったい今度は何…?」 あやめが心臓をバクバクさせていると、ガラスの向こうの暗闇から、スーツ姿の集団が一斉にライトを向けてきた。

「こちら時空警察!! 坂口あやめさん、窓を開けてください! タイムトラベル違反の疑いで、少々お話を伺います!!」

 し、時空警察……!? そんなもの、本当に存在したんだ……。

2.突然の「捜査」開始

 ベランダに降り立った時空警察の一行は、黒いスーツにサングラス、耳にはトランシーバーを装着しており、パッと見は怖いSP集団。 あやめは半泣きで、通報するか逃げるか迷いつつも、「彼らのほうが警察(?)っぽいし、下手に逆らったら危ないかも」と考え、恐る恐る窓を開ける。 すると、先頭にいた男が「失礼します。われわれ**TPO(Time Police Organization)**の者です」と名乗った。名刺までちゃんと持ってるらしい。 部屋に入ってくるなり、彼らはあやめの周囲をぐるりと取り囲む。

「坂口あやめさん、最近、この家に複数の未来人が出入りしたとの通報を受けましてね。あなたも協力していただきますよ。時空法第247条‘むやみに過去改変すべからず’違反の疑いがあります」

 ※もちろんそんな法律、あやめは聞いたこともない。 「いや、私はそんな悪いこと、してるつもりはなくて……彼らが勝手に来たんです!」と必死に訴えるが、「まぁまぁ、詳しいことは署で聞かせてもらいましょう」と、SPたちは冷たい視線を向ける。 そんなやり取りの最中、ちょうど帰宅した30歳・裕作が玄関を開け、「ただいま——って、え、なにこれ!!?」と悲鳴に近い声を上げる。

「あなたが現在版の楓井裕作さんですか? はいはい、あなたも来てください。2人まとめてちょっとお話を……。あ、手錠まではしませんが逃げないでね」

 こうしてあやめと裕作は、時空警察の取調室へと連行されるハメになってしまった。もちろん、深夜のマンションで物々しい集団に連れ去られる光景は近隣住民にもバレバレ。翌日には、あやめの職場で「坂口さん、実はヤバい組織と繋がりが…?」などと妙な噂が流れることになるが、それはまた別のお話。

3.取調室でまさかの“再会”

 「取調室」といっても、そこは未来技術がふんだんに使われた不思議空間だった。 冷たい金属の机や蛍光灯のイメージとは異なり、なぜかグラデーションライトがふわふわ揺れる壁。床にはゴージャスなカーペット。BGMまで流れている。 唖然とするあやめたちの前に、時空警察を名乗る男性がどかりと腰を下ろす。

「私は**時空警視・尾根崎(おねざき)**という者です。最近、“正体不明の未来人”が頻繁にあなたの家を訪れているという報告を受けましてね。とくに“中年トレンチコート男”や“スパンコールコート女”など、謎の人物の目撃証言が集中している。これについて何か知りませんか?」

 あやめはため息交じりに説明する。これまでどんな未来人が来て、どんな騒動を起こしたのか……。 すると、尾根崎警視はやたら納得した顔で深くうなずく。

「いやぁ、実は“中年トレンチコート”こと未来の楓井裕作さんは、当局の中でも有名な“時間移動常習者”なんですよ。何度か注意勧告してるんですが、懲りないというか。で、その母親のスパンコールコート女こと未来姑さんも、どうやらバックパックで時空を旅してるようで……困ったもんだ」

 どうやらすでに常連リスト入りしているらしい。あやめとしては「やっぱり……」という気持ちと同時に、「そんなに来ちゃダメな人たちがうちには何回も来てたのか……」と複雑だ。

 さらに驚いたのは、取調室の奥から顔をのぞかせたもう一人の捜査官。 なんとそれは、筋肉配達員にして離婚カウンセラーのカリブではないか! さすがにスーツ姿で真面目な顔をしているが、あのたくましい腕や胸板は見間違いようがない。

「やあ、あやめさん、裕作さん……。実はオレ、時空警察にもパート勤務してるんです。兼業でね。配達員やカウンセラーの仕事じゃ食っていけないんで……」

「どんだけ働いてんの!?」と思わずツッコむあやめ。働き方改革が叫ばれる現代もビックリのマルチワークぶりだ。 カリブは苦笑いしながら、“もう悪さしないよう説得してみますから”と頭を下げている。

4.時空警察が下す判決は…?

 さて、取り調べを一通り終えたあやめと裕作だが、どうやら今回の騒動は「未来人が勝手に過去へ来た」「当人たちは傍迷惑だが、あやめ・裕作自身に違反の意図はない」という形で落ち着きそうだった。 時空警視・尾根崎は書類をぺらぺらとめくりながら言う。

「うん、あなた方には悪気はなさそうだし、強制捜査の必要性は薄いですね。ただし、今後もし未来から客が来たら、速やかに当局へ通報する義務が生じます。故意に隠匿すれば罰金、最悪の場合は‘時空幽閉’ですよ。いいですね?」

 「時空幽閉って何!?」「罰金は嫌だ!」と、あやめは即答で「わかりました!」とうなずく。裕作もまた青ざめながら「二度と怪しい未来人を匿ったりしません!」と宣言した。 カリブも「すみません、今度こそみんなに伝えておきます」と頭を下げている。どうやら決まりはついたようだ……。 すると、尾根崎警視が妙ににやりと笑って続ける。

「ただ、それだけじゃない。あなた方にはひとつ協力してほしいことがあるんですよ。実は、あのスパンコールコートの女性(=未来の姑・裕子さん)をはじめ、何名かの未来人がまた今、この時代に潜伏している疑いがありましてね。彼らを捕まえるには、あなた方の“協力”が必要なんです」

 あやめも裕作も目を丸くする。……え、また潜伏中? あの姑が懲りずに過去に来ているのか? 何やってるの、あの人!? こうして、あやめたちは「時空法違反の捜査協力」という形で、予想外の“時空警察の手先”に巻き込まれることになってしまったのだ。

5.潜伏調査、カフェで張り込み

 時空警察への協力手段は実にアナログだった。 尾根崎警視いわく、「スパンコールコート女など、未来人たちはあなた方との接触を試みるだろう。だから呼び出しがあるか、偶然会うか……とにかく、連絡がきたらすぐ我々に報告を!」とのこと。 さらに、カリブも「俺が連絡係をするんで、何かあったらすぐ言ってください!」とマルチワーク魂を発揮。 というわけで、あやめと裕作は都内某所のカフェに張り込み(という名目でふつうにお茶)、連絡を待つ日々を過ごすことになった。

「しかし、これじゃあまるで自分たちがスパイじゃない……」「ほんとだよね。ああ、仕事したいのに……。ゲラが溜まりまくりなんだけど」

 ぼやくあやめに、裕作がこっそり耳打ちする。

「母さん(未来Ver.)はともかく、他に潜伏している未来人って誰なんだろ? まさか俺の親戚や友人とかじゃないだろうな……もう勘弁してほしいよ……」

 そんな会話をしていると、カリブからメッセージが飛んでくる——『至急! 大きな公園付近でスパンコールコート女の目撃情報アリ! 合流求む!』 やっぱり姑かーーーい!!

6.捕まえる? それとも見逃す?

 指定された公園に駆けつけると、そこには確かに銀色にギラギラ光るスパンコールコートの女性がベンチに座っていた。三色団子をほおばりながら、あっちをキョロキョロ、こっちをワクワク、まるで「誰か来ないかな?」と待ちわびている様子。 あやめは思わず額を押さえる。前回あれだけ盛大に送り出したのに、どうしてまた戻ってきたのか……。姑のフットワーク軽すぎるだろう……。

 すると、こちらに気づいたのか、未来の姑・裕子が手を振った。

「あらあら、あやめさんに裕作〜! やっと会えたわぁ。あれから未来に戻ったんだけどねぇ、心音ちゃん(孫)が『ママとパパ、ちゃんと仲直りできそう?』って聞いてきて。そんでやっぱりもう一回、過去の様子をこの目で確かめようと思ったのよ〜!」

「勘弁してよ……!」とあやめは今にも倒れそうだ。 だが、今回はさらに問題がある。“時空警察”がその背後を嗅ぎまわっているのだ。すでに辺りにはSPスーツ姿の尾根崎たちが潜んでいる。捕まったら最後、姑はどうなるかわからない(時空幽閉とかあるらしいし…)。 あやめと裕作は一瞬、顔を見合わせる。 通報する義務があるのはわかっている。でも……そこまでやるのか? 彼女は確かに大騒ぎを引き起こすが、根は家族を思う気持ちが強い。大切な存在でもある。どうすればいいんだ……?

7.奇跡の(?)和解と夜逃げ

 公園の木陰にSPが忍び寄る気配を感じた瞬間、あやめは決心した。 「裕作、ゴメン。私、姑さんを守りたい。彼女は確かにウザいところもあるけど、大切な“家族”だもの」 裕作もぎこちなく頷き、「母さん、ここにいてはまずいから、急いで移動しよう!」と声をかける。 すると姑は「あら、何かまずいの?」とのんきに首をかしげつつ、二人の後について公園の出口へ。 その一方、あやめはスマホでカリブに連絡。「ごめん、今だけ見逃して! どうか私たちのこと追わないで!」。 カリブからは「えぇ!? いや、それはオレの立場が…!」と困惑の声が返ってきたが、あやめの必死さに折れたようで、仕方なく「隙を見て逃げろ…!」と囁いてくれた。

 こうしてあやめたちは、公園の裏口から姑を連れてとにかくダッシュ。駅へ向かい、たまたま来ていたバスに飛び乗る。 「はぁ…はぁ…もう私、走れない……」 息を切らせるあやめとは対照的に、姑の息は乱れていない。「あら、旅慣れてるから走るの得意なのよ。トルコの山道で鍛えられたわ」などと謎のアピールをしている。

8.大団円(にしたい)

 その後、あやめと裕作は姑を一時的に自宅に匿う……のはさすがにマズいと判断し、友人が営むゲストハウスにしれっと宿泊させることにした。 ゲストハウスの一室で、ようやく落ち着いた3人。あやめが意を決して口を開く。

「あの、姑さん……今は時空警察が本気であなたを捕まえようとしてるの。私たちは通報の義務がある。でも、あなたを捕まらせたくない。だからお願い……もう未来へ帰って! 本当にあなたが心配なの」

 その言葉を聞いて、姑の瞳が潤む。 「わかったわ……私もいけないことしてるのは重々承知。でも、どうしてもあんたたちの顔が見たかったのよ。10年後もラブラブになれるようにね」

 横で聞いていた裕作が思わず苦笑する。「それはわかるけどさ、今度はちゃんと正規の手続きで来てよ……。時空許可証とかあるんでしょ?」 姑はポンと手を打つ。「あら、その手があったわね! さっそく申請してみようかしら!」

 こうして一応、姑を未来へ帰す話はまとまった。 しかし帰りの手段は……と思ったところに、タイミング良くスマホが鳴る。カリブからの着信だ。「ああ、やれやれ……そっちに落ち着きました? オレ、尾根崎警視たちを何とか説得してみるんで。そちらも急いで未来に帰す準備をお願いします!」

「ありがとう、カリブさん!」とあやめは心底安堵した。このマルチワーカーの活躍には何度も救われている。

9.ささやかな“今”を大切に

 翌日深夜、姑はひっそりとゲストハウスの裏庭から、カリブが届けたタイムマシン端末を使って未来へ帰っていった。 スパンコールコートが最後にキラリと光り、「じゃあ、またねー!」という元気な声が夜の闇に消えていく。 同時にあやめと裕作は、やっと肩の荷が下りたようにへたり込んだ。

「いやぁ、また波乱だったね……。今度こそ落ち着ける?」「頼むから落ち着かせて……私、仕事が山積みなのよ……」

 それでも二人はどこか笑顔だ。次々と巻き起こる未来人の来訪とトラブル。それらを通して、あやめと裕作はたくさん悩んだし、何度もケンカもしたけれど、最終的には「お互いを想う気持ち」を再確認するに至った。 結婚して数年後にはケンカばかりになるかもしれない——そんな不安は消えないが、毎度の騒動を乗り越えるたびに、二人の絆はほんの少しずつ強くなっているような気がする。

エピローグ:空を見上げる二人

 時空警察に対しては、「未来人がまた来てもすぐに連絡します!」と誓約書を提出してある。 だから、今後もしあの未来夫や姑、あるいは他の誰かが現れたら……次はどうなるんだろう? 罰金? いや、もう二度と来てほしくない気持ちと、また家族に会えるならちょっと嬉しい気持ちが半々だ。 ただ一つわかっているのは、“今”この瞬間を大切にすること。それこそが一番の離婚対策(?)であり、より良い未来を作る方法なのだろう。

「あやめ、明日は久々に一緒に夕飯作ろうか。ネギは生やさないようにちゃんと管理してさ!」「そうね。Wi-Fiパスワードも変えたばかりだし、コミュニケーション不足には気をつけたいし……ほんと、まずは目の前のことをがんばろう!」

 公園の木陰やマンションのベランダに、また赤と青のパトランプが光らないことを祈りつつ……二人は月明かりの夜空を見上げた。 花火のようにきらめく未来か、雷のように荒れ狂う未来か、どんな未来が訪れても大丈夫。もう、二人はそう簡単には離れやしない。

 —そして、遠い時空のどこかでは、再びトレンチコートやスパンコールが翻り、怪しい影が蠢いているかもしれないが……それはまた別の機会に—。

(了)

 
 
 

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