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タイムスリップ夫の逆襲!?〜坂口あやめの悲喜こもごも6:新婚旅行はまさかの時空巡り!?〜




1.新婚旅行、行ってきます…のはずが

 老舗出版社「米星社」の文芸編集者・坂口あやめ。 先日の結婚式は、未来から乱入してきた姑(しかもスパンコールコート姿)や、未来バージョンの夫、中学生くらいのはずの未来娘(まだ生まれてすらいない!)、さらには時空警察までが大集合して大騒ぎだった。 とはいえ、最終的にはなんとか「無事(?)」に式を終えることができ、あやめと30歳・裕作は晴れて夫婦生活の第一歩を踏み出したところである。

 ——そんな二人が、今ようやく手に入れた“人並みの幸せイベント”といえば新婚旅行! 式の翌週、しっかり休暇をとって海外リゾートへ飛び立つ計画を立てていたのだ。真っ青な海、白い砂浜、エキゾチックな料理、そして誰にも邪魔されない二人きりのひととき……。 あれだけ未来人の来襲を受けてきたあやめは、心の底から願う。

「今回ばかりは、本当に平穏でいてほしい……!」

 成田空港でキャリーケースを転がしながら、あやめと裕作は出国ゲートを通過。 「よし、搭乗口までもう少し……」と気を引き締めていると、背後からガコッという音がした。 「あれ? スーツケースが引っかかった?」 振り向くと、そこにはなんと筋肉配達員・カリブが、慌てた様子で物陰に隠れようとしていた。

「カ…カリブさん!?」「え? げっ! ば、バレちゃいました……?」

 すでにアウトである。まさか時空警察パート勤務のカリブがコソコソついてきているとは……。 あやめは容赦なく詰め寄った。「何してるの! もしかして私たちの新婚旅行を監視するため!?」 するとカリブはしどろもどろに言い訳する。

「い、いや、決して怪しいことじゃなくてですね。上から『あの夫婦の動きに不審な時空乱入がないか見張っておけ』と言われまして……。でも、なるべくバレないようにやろうと思ってたんすけど……」

 なるほど、またしても時空警察絡みか。過去に未来人が散々出入りした結果、警察サイドが“重要監視対象”にしているらしい。 あやめはため息をつく。「わかったわよ…。でも新婚旅行くらい自由にさせてよ。ほんとにうんざり!」 裕作も「俺たち、ただの普通の夫婦なんだよ……もうハチャメチャはゴメンなんだ……」と泣きそうな顔。 カリブはペコペコ頭を下げるばかり。結局、「せめて視界に入らないよう、遠くから見守ってて」と厳命したうえで、二人は半ば無視する形で搭乗ゲートへと進んだ。

 「よし、カリブさんのことは忘れよう。こんなの新婚旅行に連れていくわけにはいかないんだから!」

2.ようこそ、楽園リゾートへ!

 長時間フライトを経て、あやめと裕作が降り立ったのは、海と太陽がまぶしい南国のリゾート地。 空港に着いた瞬間から汗ばむほどの熱気が漂い、花のレイを首にかけてもらい、思わず「おお〜! これぞリゾート!」と気分がアガる。 ホテルにチェックインし、海の見える部屋に通されると、あやめは窓からの眺めに感動。「すごい……一生に一度の思い出になりそう……!」 裕作も「うん、最高だね。……なんだか嘘みたいに静かだ……」と、しみじみ言う。

 しかし、その“嘘みたいに静か”の裏には、どこか落ち着かない空気があった。「このまま何も起きないといいな……」という不安が、ふたりの頭をかすめてしまうのは仕方がない。 「まあ、考えすぎか……」と無理やり気持ちを切り替え、あやめはまずビーチへと繰り出す。ビキニを着て、冷たいドリンクを飲みながらパラソルでのんびり……。 そのとき、「やっぱり来ましたか!」と声をかけてきたのがカリブ。いつのまにか同じリゾートホテルにチェックインしていたらしい。しかも上半身ムキムキで海パン姿だ。

「えっ……何その肉体!? いや、わかってるけど、プールサイドでSPみたいに見張る気?」「ハハ、すみません。せっかく来たんでリゾート満喫しちゃおうかなって。監視しながらも観光したいな〜と……」

 いい加減にして! とあやめと裕作はツッコみつつも、もう疲れたので「勝手にすればいいよ……」とあしらう。 「まあ、カリブさん一人くらいなら……まだ大丈夫かも……。そう、未来姑とか未来夫とか娘とかが来なければ……!」

3.まさかの砂浜タイムスリップ騒動

 翌日。朝から晴天。あやめと裕作はプライベートビーチを散策し、真っ青な海を背に記念撮影などして優雅な時間を過ごしていた。 ところが、ビーチの奥にある小さな入り江へ行ったとき、妙なものを発見する。 「これって……タイムマシンの装置?」 砂浜にポツンと落ちていたのは、あの未来姑や未来夫がよく使っていた謎のデバイスにそっくりの機器。シルバーのボックスに、怪しげな液晶画面。 あやめが思わずビクッと後ずさり。「いやいや、ありえない! なんでこんな南国のビーチに落ちてるのよ!?」 裕作も「まさか……誰かがここで過去や未来に移動しようとして、失敗したんじゃ……?」と顔を引きつらせる。

 そこへタイミング悪く(というか良く?)駆けつけたのが、筋肉監視員カリブ。 「おおっ、それは……間違いなく時空デバイス! 通称“チャージャーSKY”! 未来人が飛ぶときに使うポータブルマシンだ。多分、誰かが不時着した可能性が……」

 “誰か”の想像は、あやめも裕作もすぐついた。「まさか——あの母さん(スパンコール姑)か……それとも今度は別の親戚か……?」 全員の予感が嫌な形で的中。デバイスの向こう側の岩陰から、見覚えのあるトレンチコート姿がバサバサッと飛び出してきたではないか。今度は……なんと女性だ。 あやめは一瞬「誰?」と思ったが、次の瞬間、その女性の顔を見て凍りつく。自分の顔にそっくりなのだ。髪型こそ違うが、輪郭や目鼻立ちはあやめと瓜二つ。 あちらも驚いた表情で言った。

「やだ……あたし、坂口あやめ……じゃないわよね? でもメッチャ似てる……。」

 え、意味わからない。あやめは混乱しながら問い返す。「あなたは、いったい……」 女性はトレンチコートを翻し、ビシッと名乗りを上げた。

「わたしは“楓井 あやめ(かえでい・あやめ)”。未来のあなた方の‘遠い親戚’……いや、もっと正確に言うと……あなたたちの孫の嫁、かも……?」

 ……孫の嫁ぇぇぇぇぇぇぇ!?

4.爆弾発言連発! 新キャラ「孫の嫁」

 砂浜に一同フリーズ。 あやめの孫……つまり未来の娘・心音の子ども、またはその兄弟姉妹の世代が結婚した相手、ということ……? どれだけ先の未来から来てるんだ!? しかも名前が**“楓井 あやめ”**。完全にややこしい。 トレンチコートを着た“もう一人のあやめ”は、周囲を見回して不満げに言う。

「まさかこんな南国に着いちゃうなんて。私も色々あって過去へ飛んできたのよ。**将来、あなたたちが離婚危機を何度も繰り返すせいで、ウチの旦那(あなたの孫)が『祖先の波乱ぶりは遺伝するんじゃないか』なんて気にするから、ちょっと元を断ってやろうかと思ったのに……着地に失敗しちゃったわ」

 あまりにも衝撃的すぎて、あやめと裕作は口をぱくぱくさせるしかない。 カリブが冷静に割って入る。「えーと、あなた、またしても時空法違反ですよ? そのデバイスも不正使用じゃ……」 “孫の嫁”あやめは軽くウインクしてみせる。

「大丈夫大丈夫。こちとら裏ルートでゲットした正式許可証持ってんの。ただし『過去への移動は年に1回まで』とか細かい制約はあるけど。 ま、こんな南国リゾートだし、一旦バカンス気分で楽しんじゃおうかな〜♪」

 おいおい、勝手すぎる……。そもそもあやめと裕作の“将来の離婚危機”を断ち切るために来たとか言ってるが、なんでこういう未来人は毎回、物理的に過去へ殴り込みする方向に進むのか。 あやめ(現代版)は頭を抱える。

「ちょ、ちょっと! 私たち、今は新婚旅行中なの! あんたにかまってる暇ないから、早く帰ってもらっていい?」

 しかし“孫の嫁”あやめは、あろうことかニヤニヤ笑いながら近づいてくる。

「そうはいかないわね〜。私だって初の過去旅行でワクワクしてるし。あなたたちのケンカの種を見つけて根絶しようと思ってるの。あなた、ネギを腐らせがちでしょ? Wi-Fiパスワードをすぐ変える夫がいるでしょ? その小さな不満が積み重なって、将来とんでもない事態になるんだから!」

 未来勢はみんな口を揃えて「ネギ問題」「Wi-Fi問題」を蒸し返す。この一族(?)はそこが永遠の焦点らしい。

5.カリブ vs “孫の嫁”あやめ:時空法バトル

 このままでは新婚旅行が台無しだ。そこでカリブが職権を発揮する。「よし、こちらも時空警察パート勤務として、あなたを本部へ連行……」と言いかけた瞬間、“孫の嫁”あやめがひらりとトレンチコートの内ポケットから金色のカードを取り出し、得意げに掲げた。

「ふふん、見なさい! これが“時空警察”の上部から特別に発行されたタイムトラベル許可証よ。カリブみたいな下っ端がどうこう言えるものじゃないの。だから私は完全合法で来てるの、悪しからず♪」

 カリブがそれを覗き込み、「う、うわ、本物だ……」と悔しそうに唸る。どうやら彼女は正真正銘の公認タイムトラベラーらしい。過去改変目的はグレーゾーンだが、いま逮捕できる理由がないようだ。 あやめ(現代版)は「もう訳わかんない……」とため息。裕作は「つまり、俺たちに干渉しても違法じゃないってこと?」と嫌な予感を拭えない。 “孫の嫁”あやめは勝ち誇った顔で腕組みをし、「さ、まずはあなたたちの新婚旅行プランを見直しましょ? 夫婦喧嘩の種を探し出して、こっちで事前に排除するわ!」と鼻息を荒くする。

6.地獄の“夫婦改善ツアー”始動

 かくして、強引に同行を決めた“孫の嫁”あやめの提案(という名の押しつけ)により、あやめと裕作のリゾートプランがなぜか**“夫婦改善ツアー”**に変貌してしまった。 朝から「まずは起床時間を合わせる! どっちかが寝坊するとイライラの原因になるわよ!」と叩き起こされ、昼は「部屋に置きっぱなしの食べかけお菓子は、将来の不和につながるわ!」と指摘される。 夜になれば、「就寝前にスマホを見すぎるとWi-Fiパスワード問題が再燃するのよ! ほら、スイッチオフ!!」と強制的にスマホ没収。

「いやいや、これ新婚旅行よ!? なんで罰ゲームみたいな過ごし方しなきゃいけないのよ!」とあやめ(現代版)はブチ切れ寸前。 裕作も半泣き。「こんなんじゃリラックスできないじゃん……!」 しかし、“孫の嫁”あやめは一歩も引かない。「甘い甘い! あなたたちは将来、些細な不満を山ほど積み重ねてビッグバンみたいな大ゲンカを起こすのよ! その芽を摘むために、今こそ生活習慣を正すしかないわ!」

 カリブは呆れ顔で見守るしかない。「いや〜、筋肉プール監視員の出番ないっすね、これ……」とぽつり。

7.あやめ vs あやめ、歴史を決める最終対決!?

 とうとう耐えかねたあやめ(現代版)は、リゾートホテルの敷地内にあるウエディングチャペル(観光スポットのひとつ)へと“孫の嫁”を呼び出した。 ステンドグラスから夕日が差し込み、神秘的な雰囲気の中、二人の「あやめ」が対峙する。

「あなた、本当に必要以上に干渉しすぎ! 確かに将来ケンカするのかもしれないけど、それは私たち夫婦の問題よ。あなたが勝手に指図する権利なんてないわ!」「でも、私だって必死なのよ! あんたたちが離婚しそうになるたびに未来がゴタゴタになって、うちの旦那(=あなたたちの孫)も『僕たちの結婚も呪われるんじゃ…』とか言いだして……。だから一族の為にも、あなたと裕作さんの夫婦関係を完璧にしときたいの!」

 “孫の嫁”は真剣なまなざし。確かに事情はわからなくはない。でも、あやめ(現代版)は強い口調で続ける。

「私も、未来で子孫が悩んでいるなら申し訳ないと思う。でもね、愛って完璧じゃないの。ケンカもするし、イライラも溜まる。そんな不完全なままで支え合うのが夫婦ってものでしょ? あなただって、そうやって過去を干渉されまくったら嫌でしょ?」

 一瞬、“孫の嫁”の瞳が揺れる。「……確かに、私が逆の立場なら……」 するとチャペルの扉が開き、裕作とカリブが入ってきた。裕作が静かに言う。

「俺たちは、未熟なままだけど、この新婚旅行を二人で工夫して楽しもうと思ってたんだ。未来に迷惑をかけたくない気持ちもある。でも、あんまり干渉されると、俺たちの絆が歪んじゃう。……それって本末転倒じゃないかな?」

 カリブも「時空法的にもね、‘過去への過度な干渉による人格形成の阻害’って条文があるし……。せっかく許可証持ってても、そこを破ればアウトですよ、あやめさん(孫の嫁ver.)」とやんわり釘を刺す。

 沈黙のすえ、“孫の嫁”あやめはふうっと息をついた。

「……ごめん。確かに私は張り切りすぎたかも。あんたたちを変えようとしてたけど、自分が一番傲慢だったのかもしれない。……けど、本当に離婚だけはしないでよね? 私の未来がかかってるんだから……」

 あやめ(現代版)は少し微笑んでうなずく。「ありがとう。あなたの気持ちは嬉しいわ。でも、私たちが夫婦として成長するかどうかは……自分たちで乗り越えてみるから。大丈夫、まだ新婚だけどがんばる!」 こうして、「あやめ vs あやめ」の対決は、ほんのりハートフルな形で幕を下ろした。

8.本当のバカンス、始まる

 翌朝。“孫の嫁”あやめは、砂浜で静かにタイムマシンを起動させていた。 「いろいろごめんね。これから私は未来に戻るけど……あなたたちのこと、心から応援してる。ネギはちゃんと冷蔵庫にしまうのよ? Wi-Fiのパスワードも二人で話し合って決めるのよ?」 最後まで口うるさいが、どこかやわらかい表情で手を振る。そうして眩い光とともに消えていった。

 あやめは砂浜に手をかざして、その残り香を感じる。「なんだか、未来からの励ましをもらった気がするな……」 裕作はホッと息をつく。「やっと二人きりになれそうだね……。このまま誰も来ないことを祈ろう……本当に……」 すると、茂みの陰からひょっこり顔を出したカリブが、「あ、俺も帰るっす! 邪魔しないんで安心してください。時空警察からの監視も解除になりましたし!」とバタバタ帰る支度を始めた。 どうやら今度こそ、部外者ゼロの平穏な新婚旅行タイムが訪れそうだ。

エピローグ:波打ち際に誓う「未熟な愛」

 夕陽が沈むビーチ。あやめと裕作は肩を寄せ合い、寄せては返す波の音を聞きながら微笑み合う。 「ネギもWi-Fiも、ケンカのタネはなんだってあるかもしれないけど……私たちなら大丈夫、だよね?」 「うん。たとえどんな未来人が来ても、ケンカが起きても、二人でちゃんと話し合おう。少しずつ成長していけばいいんだ」

 そう言って見つめ合う二人の横顔を、橙色の夕陽が照らしている。 まるで祝福するように、潮風が髪を揺らして、砂浜には一筋の足跡が続く。そこにはもう、トレンチコートを引きずる影も、スパンコールが舞う気配もない。 初めて味わう、本当に“穏やかな時間”——それが、あやめと裕作にとっての最大の宝物になりそうだ。

 「いつか遠い未来で、孫の嫁に『あの祖先夫婦は最強だった』と誇りに思ってもらえるように。未熟な私たちだけど、今日も明日も、一歩ずつ前へ進んでいこう……!」

 波打ち際を歩く二人の笑顔は、南国の夕焼けに溶けて、いつまでもきらめいていた——。

(了)

 
 
 

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