タイムスリップ夫の逆襲!?〜坂口あやめの悲喜こもごも20:初詣で未来神社が大渋滞!? A.I.巫女にご注意を〜
- 山崎行政書士事務所
- 1月26日
- 読了時間: 7分

1.年末年始、平和に過ごせるかと思いきや
老舗出版社「米星社」の文芸編集者・坂口あやめ。 未来から次々と押し寄せるトレンチコート夫(未来版)やスパンコール姑、筋肉警察カリブなど、何度も時空騒動をかいくぐりながら、年末には幼稚園の餅つき大会まで騒動があったものの、なんとか無事に終わらせた。 「やっと年が明ける…お正月ぐらいは静かに過ごしたい…」 あやめはそう強く願いながら、夫・裕作と娘の三人でこたつを囲み、お雑煮を食べつつのんびりお正月ムードを楽しんでいた。
ところが、案の定というべきか、毎度恒例の“事件の気配”が漂っている。 夫・裕作がスマホを見ながら困った顔で言う。「ねえ、なんか“未来初詣プロジェクト”って情報がネットに出てるんだけど、まさかうちの近所でまた変な連中が……」 あやめは、「な、なんですかソレ…いやな予感しかしない…」と頭を抱える。
2.初詣に行こう! でも「未来初詣プロジェクト」って何?
新年2日目。あやめの家では、毎年恒例の初詣に近所の神社へ出かける準備をしていた。 あやめの娘も「おみくじ引いてみたい!」とワクワク。 そんな中、さっそく筋肉配達員・カリブからLINEが届く。 > カリブ:「あやめさん、明けましておめでとうございます。早速ですが“未来初詣プロジェクト”なる団体が過去に出張してるとの情報が…。‘未来神社システムを実証実験’とかなんとか。お気をつけを…」
あやめは苦笑。「やっぱり正月から動いてるのね…とりあえずうちの近所の神社は昔ながらの小規模だから、大丈夫だと思いたいけど…」 この淡い期待が裏切られるのは言うまでもなかった。
3.地元神社にて:なぜか拝殿が“未来改築”されてる!?
晴れやかな朝、あやめ一家が地元の「鷹森神社(たかもりじんじゃ)」へ行くと、普段は静かな境内がざわついている。 「あれ? 正面の拝殿、いつもとちょっと違う…?」 見ると、拝殿の脇に謎のパネルやアンテナが取り付けられ、LEDライトがチカチカ点滅。ほこらの屋根にはソーラーパネルまで…どう見ても“未来テクノロジー”が融合しているのだ。 娘は「わあ、派手〜!」と純粋に目を輝かせるが、あやめは(なんで神社にLED…? 絶対おかしいよコレ!)と寒気を覚える。
拝殿の前では巫女衣装を着た若い女性が二人……と思いきや、頭に明らかにヘッドセットらしき装置を装着し、タブレットをいじりながら「お賽銭をスキャンします!」「未来御札を印刷可能です!」と案内している。 どう見ても普通じゃない。
4.現る「未来初詣プロジェクト」の面々! A.I.巫女がしゃべりまくり
あやめが呆然としていると、真っ白な特製神職装束を着た男性が登場。背中には大きく「未来神社プロジェクト」と書かれたロゴが……。 「いらっしゃいませ、過去の皆さん! 私どもは“未来初詣プロジェクト”から来ました。この神社をモデルケースに、最新鋭の技術を導入しているんですよ。 A.I.巫女システムが自動でおみくじを生成し、ネットに『祈願データ』を自動送信する仕組みです! これで日本の神社文化もさらに発展していくはず!」
「は、発展って…余計なお世話でしょ……」 あやめは胸中で毒づく。 そばには巫女姿の女性たちが「フフフ、ようこそ未来神社へ〜。Eマネー賽銭もOKですよ♪」などと営業スマイル。 どうやら一部の参拝客は興味津々で列を作り始めているが、「何これ、怪しくない?」と違和感を抱く人も少なくない。
5.娘「これ本物のおみくじじゃないよね?」 不信感が募る
娘が「ママ、おみくじ引きたいけど…あの機械、なんか怖い…」とつぶやく。 実際、A.I.巫女なるものが拝殿脇に設置されたタブレットを操作すると、ペラリとプリントアウトされた紙が出てきて、“大吉”“凶”の文字がやたらカラフルに印刷される仕組みらしい。しかもおみくじにはQRコードがあり、「詳細はWEBで!」とのこと。 「うわぁ…なんか風情ゼロ…」とあやめはガックリ。 しかし未来神社の担当は胸を張る。「WEB連動ならデータ分析で運勢を改善できるんですよ! あなたの悩みや目標を数値化してくれるシステムを搭載しています!」
「悩みを数値化…? そんなの神頼みでもなんでもないじゃない…」 とあやめは呆れる。
6.神社側の宮司さんも困惑「勝手に改築しないで!」
しばらくして、神社の本来の宮司さん(年配の男性)が出てきて、すごい勢いで怒っている。 「こんな正月に突然押しかけてきて、勝手に拝殿に装置を取り付けて…私は認めた覚えはない! しかし、どこかの役所が勘違いで‘観光活性化’として許可を出したようで…もうめちゃくちゃだ!」 未来初詣プロジェクトのリーダーは「いや、現代行政からハンコもらえたんで〜」と軽い調子。宮司さんは「だからって勝手にLED貼り付けるなんて…!」と肩を震わせる。 参拝客も騒然とし、境内はカオス化。あやめは(また大騒ぎじゃない…)とため息混じりに娘を抱きとめる。
7.A.I.巫女のエラー発生…! 「トラブル診断:トナカイがいません?」
そんな中、A.I.巫女のシステムが突然**「エラーコード347:トナカイガ イマセン」**とアナウンスを始める。 「え? トナカイ? なんで初詣でトナカイ…!?」と周囲が首をかしげる。 担当者いわく、未来神社システムは先日別のプロジェクト(=「未来サンタ」でおなじみ)とのデータが混ざっており、「初詣にもトナカイが必要」と認識してしまっているらしい。 結果、ソフトがバグを起こし、御札やお守りのデータ生成すら止まってしまったのだ。 宮司さんはさらに激怒。「だから言っただろう! 変な機械に頼るからこうなるんだ!」
8.トラブル続き…拝殿のLED制御も暴走
追い打ちをかけるように、拝殿に取り付けられたLEDやアンテナがピカピカ異様なパターンで点滅を始め、「ZO-ZO-ZO……」という雑音が境内に響く。 A.I.巫女は止まらず**「トナカイガイマセン…ドコ…ドコ…」と繰り返し。参拝客は「なんだこれ!? 気味が悪い!」と一気に逃げ腰になる。 あやめは娘を一旦安全地帯へ避難させ、(どうしよう、このままじゃ正月が台無し…)と心底ウンザリ。 すると意を決したかのように、宮司さんが「やむを得ん…破壊するしかない!」**と杖を手に拝殿へ。研究者たちが「ちょ、ちょっと待って!」と必死に止めるも、宮司さんは容赦なく杖で装置をバンバン叩く。
9.そこへ頼もしい助っ人、カリブ&未来姑(まさかの連携)?
このまま物理的に壊すと大惨事になるかもしれない。そこへ案の定、筋肉警察カリブが走り込んできた。 「ひいい! やっぱり騒ぎになってるじゃないっすか…!」と青ざめつつ、マッチョな腕で宮司さんをなだめる。「少し落ち着いてください! 壊すと感電や漏電の可能性が…!」 そして、もう一人。スパンコールコートを羽織った中年女性が、境内の隅から姿を現したではないか。 「まさか…未来姑・裕子さん!?」 あやめは思わず絶句。正月にやって来るとは…。 裕子は「やっぱりここだったのね! 正月だからってのんびりしようと思ったら、急にあやめたちが騒いでるって聞いて…あら、機械が暴走中?」と余裕の笑みで近づいてくる。 なぜかカリブと一緒に来たらしく、すでに事情はざっと聞いているらしい。
10.姑の華麗なる(?)解決策「神社は神聖、だからデジタル停止よ!」
宮司さんが激怒したまま「いいから壊す!」と杖を振り上げるのを、カリブが必死に止める。そこへ未来姑の裕子が「ちょっと、こんなときは“強制シャットダウンキー”を使うのよ!」と謎のアドバイス。 実は彼女、未来のバックパッカーとしてあちこち旅する中、同様の未来システムをオフにするデバイスを持っているとか。「またどこかから入手したのか…」とあやめは半ば呆れる。 姑は巫女装束のタブレットを奪い、「これをこうして…A.I.機能のルートを手動で切って…」とテキパキ操作すると、LEDが一気に暗転。 「トナカイガイマセン…トナカイ…」という声もフェードアウトし、拝殿の雑音やら光もピタリと止まる。
「うそ…止まった!?」と研究者たちが驚愕。 姑は得意げに「まったく…正月ぐらい、機械なしで初詣させてちょうだいよ!」と呆れた様子。
エピローグ:やっぱり“昔ながら”が一番、初詣は静かに
こうして「未来初詣プロジェクト」は頓挫。A.I.巫女やLED装置は強制オフされ、研究者たちは肩を落として撤収していった。 宮司さんは「ああ、すっかり正月ムードが壊れた…」と嘆きながらも、「でもこれでようやく本来の神社に戻せそうだ」と胸をなでおろす。 あやめの娘はカリブと一緒に参道を歩きながら、「わたし、お賽銭いれて“また幼稚園のみんなで遊べますように”ってお願いしたい!」と無邪気に言う。 あやめはホッと微笑み、「うん、それが一番だね。未来でもトナカイでもAIでも、結局は神様に祈る気持ちって昔から変わらないのかもね…」とつぶやく。
境内には冬の冷たい空気が澄み渡り、夜には提灯のほのかな灯りが穏やかに揺れる。あやめ一家と幼稚園仲間たち、そしてたまたま参拝に来ていた未来姑(!)やカリブも、それぞれおみくじ(普通の紙バージョン)を引いて笑い合う。 LEDもAIもない、“昔ながら”の静かな初詣——それこそが人々の心を温める、真の年始の光景なんだと、あやめは改めて確信するのだった。
(了)





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