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ビジネスバッグ・コメディ


第一幕:バッグ選びの迷走

静岡駅前の高級ブランドショップは、いつもと変わらない洗練された空気に包まれていた。そこへ足早に入ってきたのは、中小企業に勤める若手営業マンの山下(30歳)。「ま、まさか自分がこんな高級店に来るとは……」と緊張の面持ちで店内を見渡す。

迎えてくれたのは、おっとりとした雰囲気の三浦。「いらっしゃいませ。今日はどのようなご用件で?」山下は心の中で深呼吸し、思い切って切り出す。「初めて大事な商談がありまして、“勝負用のビジネスバッグ”を探しているんです。とにかく恥ずかしくないものを……」その言葉に、三浦はゆっくり頷いて微笑む。「そうでしたか。落ち着いた定番デザインがきっと山下様を支えてくれますよ。こちらは当ブランドが50年も前から作り続けているモデルでして……」彼女が指し示すのは、クラシカルな革のバッグ。色も形もベーシックだが、一目見て上質だとわかる品格がある。山下は内心「いいかも」と思いつつも、まだ決めかねている。

すると、すかさず割り込んできたのはキレのある口調の宮本。「いまどき定番すぎるデザインじゃ、お相手に“古い感じ”を与えかねませんよ。商談は第一印象が大事。これが最新のトレンドを取り入れた新作です!」宮本が取り出したのは、洗練されたモダンなフォルムのバッグ。ブランドロゴがシャープに配され、SNSでも話題だと噂されているらしい。山下は「おお……」と感嘆の声をあげるが、値段の高さにひるむ。

そこへ、実用派の杉山がやってきた。「商談後に飲み会とか行くこと多いんですよね? それに資料や名刺だっていっぱい入れますよね? ならポケットが多いこっち一択ですよ!」彼女が取り出したバッグは、外ポケットも内ポケットも充実し、キャリーオン機能まで付いているという優れモノ。だが見た目はややゴツく、ブランドショップのイメージにしては少し実務的すぎる雰囲気がある。

三人の店員がそれぞれのバッグを押しつけるように差し出し、山下はパニック状態。「えーと、なにがどう違うんですか……なんだか…どれでもいい気がしてきました……」三浦、宮本、杉山は「いいえ、違います!」と同時に叫び、周囲の客が振り返るほど店内がざわつく。

第二幕:三人の対立と暴走

三浦の主張

「長い歴史があって愛されてきたバッグは、信頼の証です。これを持って行くだけで、昔からの伝統を受け継ぐ重みが醸し出され、相手にも安心感を与えますよ……」山下はボソリと「ちょっと歴史とか言われても…ピンと来ない…」とつぶやく。

宮本の反論

「でも、その古さが逆に“今っぽくない”と見られたらどうします? とくに若い担当者相手だとウケないかもしれません。こちらの新作なら、SNS映えして企業イメージも先進的だと印象づけられますよ」山下はうーんと唸り、「たしかに古臭い印象は避けたいですけど、SNS映えを気にする商談相手って……いるんでしょうか?」と首をかしげる。

杉山の暴走

「いえいえ、SNSとかどうでもいいんですよ! 大事なのは“使いやすさ”。このポケットの多さ、PCスリーブ完備で雨も弾く! 山下さん、これなら資料探すときにモタモタしません!」宮本が冷ややかに指摘する。「いやいや、ポケット多すぎると逆に何をどこに入れたか迷って余計時間かかりますよ…」杉山はムキになって「迷っても一瞬ですよ! 実践あるのみ!」とバッグを山下の肩に掛けさせたり外したり、妙なコントのような光景が繰り広げられる。

店内がすっかり“どの提案が正しいのか論争”の場と化し、山下はもうクラクラ状態。「も、もう帰っていいですか……?」すると三人とも「ダメです! 商談を成功させたいんでしょ?」と一致団結して強制的に引き止める。その噛み合わないアプローチに、周囲の客や同僚スタッフも思わず失笑。

第三幕:山下の選択

ようやく地獄のようなバッグ論争が一段落し、山下は疲れきった表情で言い出す。「…すみません、今日は一旦検討して出直します。ちょっと頭が追いつかなくて」三浦は「是非ゆっくり考えてくださいね。私の推しバッグの良さ、いつでも再説明しますから!」宮本は「明日には新作が売り切れるかもしれませんよ?」と肩をすくめるが、山下の意志は固い。杉山は落ち込んだ顔で「うーん、もうちょっと実演したかったんですけど……」とぼやく。山下は「大事な商談ですので、しっかり考えたいんで……」とだけ言い残し、そそくさと店を後にする。三人は自分の提案が通らなかったことに微妙な不満と悔しさを感じ、顔を見合わせた。

第四幕:意外な結末

セール日を挟んだ数日後、山下が予告なく店に来店する。三人は期待を込めて「決めましたか!?」と声を上げるが、山下はやけに晴れやかな笑顔だ。「実は先日の商談、うまくいったんですよ。成約いただきました!」三浦は手を叩いて喜ぶ。「それはおめでとうございます! じゃあバッグはどれに?」山下が苦笑いしつつ、手に持ったバッグを掲げる。「選んだのは……これです。あそこにあった一番安いバッグを、実は翌日ひっそり買いまして……」三人は目を丸くして「ええっ!! なぜそれを……?」と絶句する。「色々悩んだんですけど、会社の経費も厳しいし、商談相手がバッグを気にするかわからなくて。使ってみたら意外と普通に良くて、商談でも問題なかったです。結果オーライでした」

しばし沈黙が流れ、三浦は「その選択肢は全く予想外でしたが……お客様が満足してるなら、何よりです」と困惑しながら微笑む。宮本は「ま、まあ、ビジネスバッグの本質って見た目だけじゃありませんしね……」と渋々納得。杉山は「ポケットの使い心地はどうでしたか?」と妙な方向に興味を示し、山下が「それなりに便利ですよ」と言うとホッとした様子。

エピローグ:三人の店員、その後

その日、山下が帰った後の店内で、三浦、宮本、杉山はなんだか気まずそうに視線を交わす。今回のバッグ論争は、まさかの「安いバッグを買って成功する」というオチに終わった。三浦が自嘲気味に笑い、「私たち、あんなに大騒ぎしたのに結局……ね?」宮本は肩をすくめ、「それでも私たちの努力は無駄じゃない……かもしれない。次はもっとお客様に寄り添った提案ができるようにしたいですね」杉山はニヤリとし、「ま、うまくいかなかったけど、次があるさ! とにかく行動あるのみ!」と前向き。

こうして、**「ビジネスバッグ・コメディ」**の幕は下りる。最初に思い描いていた“完璧な勝負バッグ”とは真逆の結末を迎えたが、それが日常というもの。山下は結果オーライで商談を成功させ、三人の店員も接客スタイルを見直すきっかけを得た。店内は今日も上品な音楽が流れ、次なる客を迎えている。三浦、宮本、杉山の三人は、またいつものように個性丸出しの接客を繰り広げ、笑いと困惑を巻き起こすのであった。

(終)

 
 
 

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