フルーツ大合戦 〜パフェに勝ちも負けもない!?〜
- 山崎行政書士事務所
- 1月15日
- 読了時間: 6分

1. フルーツ天国を目指すカフェ
ここは小さなフルーツ専門カフェ**「フリュイ・パルフェ」。壁には色とりどりの果物のポスターが貼られ、棚には季節のフルーツが箱ごと並んでいる。店主の市川 杏奈(いちかわ あんな)は、果物の美しさ・美味しさに惚(ほ)れ込み「フルーツパフェ」をメインにした店を立ち上げた。オープンして半年、そこそこ人気はあるものの、「決定的なインパクトが足りない…」と常々感じていた市川が、新たに企んだのは“超てんこ盛りフルーツパフェ”**。「ありとあらゆるフルーツを盛り込み、見た目にもゴージャス! 味だって何種類も楽しめる!」と鼻息荒く、開発を進めようとしているが……。
2. 新メニューは嬉しいけど…在庫とコストがヤバい?
店内にはアルバイトの**塚本 奈々(つかもと なな)**が、SNSを見ながら呟(つぶや)いている。「このまま行くと、フルーツ盛りすぎじゃないですか? コストとか在庫とか、大丈夫なんですかね…?」市川は「大丈夫! 果物は多いほど美味しいんだから!」と全く気にしていない。さらに「ほら、見た目が派手なほどSNS映えするでしょ? みんな喜ぶわよ!」と調子づく塚本に対して、市川は「果物は美味しいからいいの! 多少多めに仕入れても問題ないわ!」と強気。だが、ここですでに会話の食い違いが見え隠れ。塚本はコストや在庫を心配し、市川は果物の多彩さに夢を膨(ふく)らませている。
3. 常連客・柴田の巻き込まれ試食
そんな二人のやりとりを眺(なが)めつつ入って来たのが常連客・柴田 健太(しばた けんた)。三十代の会社員で、甘いもの好き。店に顔を出すたびに市川の試作パフェを味見させられる“巻き込まれ役”だ。「おはようございます……あ、何かまた新しいパフェできたんですか?」すると市川がすかさず「ちょうどいいとこに来た! 試食してみて! 果物を増し増しにした“てんこ盛りフルーツパフェ”よ!」と満面の笑み。柴田がスプーンを入れてみれば、イチゴ、キウイ、マンゴー、ぶどう、リンゴ、メロン…色々埋まっている。「ど、どこから手をつければ…?」と戸惑(とまど)いながら一口食べると、「美味しい…けど味が本当にバラバラで、どれがメインか分からない……」と困惑(こんわく)を漏らす。塚本は「ほらー、果物が多すぎて何がなんだか…」と苦笑。市川は「そこが楽しいの!」と譲らない。三人の会話はすでにかみ合わずに空回り。
4. 噂の“ベリー”とライバル店の挑発
そんな折、塚本がスマホでSNSを見て、**「フルーツ評論家・“ベリー”がこの街を回るらしい!」というニュースを見つける。市川は「ベリーって、果物に詳しくて辛口批評でも有名なインフルエンサーだよね。もしうちのパフェを認めてくれたら、一気に評判上がるかも!」とテンションアップ。しかしそこへライバルカフェ「フルーティア」**の店長、波多野がニヤリとしながら入店。「へぇ〜、あんたんとこはフルーツをたくさん入れりゃいいと思ってるの? 味がぼやけて台無しにならない?」と嫌味(いやみ)を言う。「うちは数量絞って厳選フルーツ使ってるから、質が違うんだよね〜」と挑発(ちょうはつ)しながら、柴田や塚本にも「舌が肥(こ)えてるなら、うちがいいかもね?」と声をかけ、店を去っていく。市川はむくれて「何なのよもう…あんなのに負けるわけない!」と唇(くちびる)を噛(か)むが、塚本は「でも質も大事じゃないかな…?」と小さく呟(つぶや)く。ここでも意見は衝突。
5. トラブル続発:入荷ミスで店が果物だらけ
塚本が仕入れ先に追加オーダーをかけていたら、手違いで果物が二重に届いてしまう。昼過ぎ、トラックから次々搬入される箱、箱、箱…。店のバックヤードにも置ききれず、営業スペースに果物が山積(やまづ)みされる大惨事。「こ、こんなの使い切れない…どうするのよ!」と市川は青ざめるが、塚本は「すみません、ちゃんと確認したはずなのに……」としょんぼり。柴田も居合わせて「じゃ、じゃあ僕が買います…って量が多すぎ!」と呆然(ぼうぜん)。そこへまた客が来て混乱が倍増。しかも、店の冷蔵設備がパンク寸前という非常事態に。“在庫パニック”で店はさらに混乱。
6. クライマックス:謎の客が来店、ベリーは誰?
夕方になり、一息ついたところへ、スーツ姿の男性客が静かに入店。「すみません、フルーツパフェが評判と聞いたんですが…」市川は「もちろん! 今なら“超てんこ盛りスペシャルフルーツパフェ”もありますよ!」と意気揚々(いきようよう)におすすめ。しかし塚本が「実は果物があふれすぎて…全部乗せちゃったパフェが途中で崩壊(ほうかい)したり…」と伝えると、男性は興味津々で「それ、見てみたいですね」とにこやかに言う。店主は「い、いえ、正規商品じゃなくて…」と戸惑いながらも、「せっかくだし…いいか」と半ばヤケになり、**“全部乗せパフェ”**を男性に出す。超大きなグラスに、イチゴ、ぶどう、メロン、キウイ、マンゴー、リンゴなどが無秩序に盛りまくられ、上には生クリームが山のようにそびえ立つ。塚本も「これ、さすがに盛りすぎ…」と口をあんぐり。柴田は「あっ、これさっき試食したけど、一口目は美味いんですよ。ただ…全部一緒に食べると味がごちゃごちゃに…」と苦笑い。
男性客は黙って食べ始め、店内は凍(こお)りついたような静けさに。数分後、男性がゆっくり口を開く。「…確かに味が混在(こんざい)してますが、意外とフルーツ同士がケンカしない。甘さと酸味が重層的に広がる感じで面白いですね。こんなに盛られてるのに意外とクドくない…」市川はホッと胸を撫(な)で下ろすが、同時に「あれ、どうしてそこまで詳しい分析…?」と不思議に思う。すると男性は名刺を取り出し、「実は私、ベリーという名でフルーツスイーツのレビューをしてまして…」一同「えええーー!」と大声をあげる。まさかこんな地味なスーツ客があの“ベリー”とは……。
7. 大団円:多いフルーツもまた良し
ベリーは言葉を続ける。「量が多すぎると味がボヤけるかと思いきや、ひとつずつ味わっていく楽しみがある。いろんな果物に出会える驚きは大きいですね」ライバル店の波多野が外から覗(のぞ)いて「ウチは質重視だから! 多すぎると普通はまとまりがなくなるのに…」と悔しそうな表情。でもベリーは「それは店主さんの情熱のおかげでしょう。仕入れ過多は大変そうですが…」と笑う。市川は恥ずかしそうに「いろいろミスでこんなことに…」と正直に白状(はくじょう)。ベリーは「そういうハプニングが生んだパフェも面白い。私は好きですよ。SNSでも紹介しますね」とにっこり。店主はガッツポーズ。「よっしゃぁ…!」。塚本は「これで在庫消化が進む…」と心底ホッとする。常連の柴田は「じゃあ、ぼくもこの‘全部乗せパフェ’をもう一度…」と巻き込まれ、みんなで大笑い。ライバル店長は「信じられない…」と肩を落として退散。
エンディング
翌日から店には「全部乗せパフェください!」という客が殺到。市川は「在庫はあるけど、こんな売り方して大丈夫かしら…」と嬉しい悲鳴(ひめい)をあげつつ、塚本と協力して仕込みに追われる。柴田は「また巻き込まれるのかな…でも美味しいからいいか」と苦笑い。“フルーツ大合戦 〜パフェに勝ちも負けもない!?〜”は、そんな賑(にぎ)やかな店の様子と温かな笑いに包まれて幕を下ろす。最後にちょっとした会話のズレが起こり、みんなが「もうこの店、どこまでフルーツ盛るんだろう…!」とツッコミを入れ合いながらも、楽しそうな一体感で終わる。
(了)





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