雪は境界を消し、道は空へと溶けていく。 読めない文字の標識が、風の中で立ち尽くし、ここがどこかを誰にも教えない。 トラックのエンジン音だけが、人の存在をかろうじて証明し、その音さえ白に吸い込まれていく。 前に進んでいるはずなのに、地名は反転し、時間もまた裏返っているようだ。 ここでは、行く先よりも立ち止まらないことが意味になる。 名を持たぬ地平で、人はただ生きているという事実だけを運んでいく。
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