在留カードの影
- 山崎行政書士事務所
- 5月10日
- 読了時間: 15分

山崎行政書士事務所の窓からは、駅前の交差点が見える。
雨の日は、傘の群れが信号のたびに止まり、青になると一斉に流れていく。誰もが自分の行き先を知っているように見える。けれど、山崎は知っていた。世の中には、自分の足で歩いているように見えて、誰かの手に首輪を引かれている人間がいる。
その日、事務所を訪ねてきたのは、日本語学校の事務長だった。
「白嶺国際日本語学院の三枝と申します」
三枝千鶴は四十代半ばの女だった。淡いベージュのスーツに、整えられた髪。笑みは柔らかいが、目元には疲労の影がある。
「技能実習生だった学生の、在留資格変更をお願いしたいんです」
山崎は名刺を受け取った。
「技能実習から特定技能への変更ですか」
「はい。本人は日本語もできますし、受入先も決まっています。書類はほとんど揃えていますので、先生には申請取次をお願いできればと」
彼女は分厚いファイルを机に置いた。
雇用契約書、支援計画書、住民票、納税関係、在留カードの写し、技能評価試験の合格証明書、日本語能力の証明書。
書類はきれいだった。
きれいすぎた。
山崎はページをめくりながら、わずかな違和感を拾っていった。
署名欄の筆圧がすべて同じ。
雇用契約書の日本語版と母国語訳で、控除項目の表現が微妙に違う。
受入企業の所在地は郊外の食品加工場になっているが、本人の住居からは片道三時間近い。
そして、在留カードのコピーの端に、薄い影のようなものが写っていた。
別のカードを重ねてコピーした時に残る、四角い輪郭。
山崎は顔を上げた。
「本人との面談は、いつ可能ですか」
三枝は一瞬だけ目を泳がせた。
「本人確認ですか」
「はい。山崎行政書士事務所では、在留資格の手続きでも、許認可でも、相続でも、書類だけで判断しません。本人の意思確認を大切にしています」
「もちろんです。ただ、彼は少し緊張しやすい子で」
「なおさら、本人と話します」
三枝は口紅の端を引き上げて笑った。
「先生は、丁寧なお仕事をされるんですね」
「雑にできない仕事ですから」
その時、山崎は気づいた。
三枝の笑顔は、依頼者の笑顔ではない。
何かに追われている人間が、追われていないふりをする時の笑顔だった。
*
青年の名前は、ファム・ディン・クアン。
二十四歳。ベトナム出身。三年前に技能実習生として来日し、縫製工場で働いていた。実習先を離れた後、日本語学校の紹介で今回の受入先に移る、という説明だった。
面談の日、クアンは三枝と、もう一人の男に連れられて来た。
男は黒いジャケットを着ていた。名刺には、東亜人材サポート 城戸隆一とある。
「通訳が必要なら私が」
城戸は椅子に座るなり言った。
「必要ありません。本人と二人で話します」
「彼は緊張すると日本語が出ません」
「では、ゆっくり聞きます」
城戸の笑顔が消えた。
クアンは痩せていた。頬がこけ、手の甲には細かい傷がある。爪の間には黒い汚れが残っていた。食品加工場へ移る予定の青年の手ではなく、夜の解体現場で鉄くずを拾った手だった。
三枝と城戸が渋々退出すると、山崎は湯呑みを出した。
「クアンさん。ここでは、あなたの言葉で話してください。急がなくていいです」
クアンは湯呑みに触れなかった。
「申請、お願いします」
「日本に残りたいですか」
「はい」
「受入先の会社で働きたいですか」
「はい」
「どんな仕事ですか」
「食品。弁当。夜勤もあります」
「契約書には日勤中心とあります」
クアンの喉が動いた。
「たぶん、間違いです」
「住む場所は」
「会社の寮」
「書類には、今の学校寮の住所がそのまま残っています」
「あとで変わります」
すべて、誰かに教え込まれた答えだった。
山崎は在留カードのコピーを机に置いた。
「このカードは、いつコピーしましたか」
クアンはそれを見た瞬間、顔色を変えた。
カードそのものではない。
端に写った、薄い影を見ていた。
「このままだと」
クアンが小さくつぶやいた。
「はい?」
「このままだと、国へ帰れない」
声はほとんど息だった。
「どういう意味ですか」
クアンは唇を震わせた。
その時、彼のスマートフォンが震えた。
画面に、少女の写真が表示された。
十代半ばの女の子。痩せた肩。怯えた目。背景には、古い木の壁と、赤土の道が見えた。
メッセージは日本語だった。
妹のこと、忘れるな。
クアンは両手でスマートフォンを握りしめた。
「何でもないです。申請、お願いします。私は大丈夫です」
「妹さんですか」
クアンはうなずいた。
「名前は」
「ハン」
「故郷にいるのですか」
「はい」
返事が早すぎた。
山崎は静かに言った。
「クアンさん。あなたが望まない申請なら、私は出しません」
クアンは初めて山崎を見た。
その目には、助けてほしいという叫びと、助けるなという恐怖が同時に浮かんでいた。
「先生」
「はい」
「正しいことをした人は、必ず助かりますか」
山崎は答えられなかった。
代わりに、正直に言った。
「必ずとは言えません」
クアンは笑った。
それは若者の笑いではなかった。
「じゃあ、嘘のほうが安全です」
*
山崎は受入企業を訪ねた。
書類に記載された食品加工会社は、郊外の古い倉庫街にあった。看板は出ているが、錆びたシャッターは閉まっている。郵便受けにはチラシが詰まり、ガラス戸の内側には埃が積もっていた。
隣の町工場の老人が言った。
「その会社? 人なんかいないよ。たまに黒い車が来て、外国の若い子を乗せたり降ろしたりするだけだ」
「工場として稼働している様子は」
「ないね。夜になると倉庫の奥で明かりが点くことはあるけど、弁当を作る匂いなんかしない。鉄と油の匂いだ」
帰り際、山崎は白嶺国際日本語学院にも寄った。
校舎は駅裏の雑居ビルの三階にあった。入り口には、笑顔の留学生たちの写真が貼られている。
夢を日本でかなえる。
そのキャッチコピーの下で、数人の若者が目を伏せて廊下を歩いていた。
三枝が出てきた。
「先生、急に来られても困ります」
「確認したいことがあります」
「申請のことであれば、書類は揃っています」
「揃っているから気になります」
三枝の顔が強張った。
山崎は在留カードのコピーを出した。
「この端に、別のカードの影が写っています。何枚も重ねてコピーしましたね」
「事務作業ですから、そういうことも」
「影の部分に、名前の一部が見えます。グエン・ティ・ハン」
三枝は黙った。
「クアンさんの妹さんですね」
「知りません」
「故郷にいるはずの妹さんの在留カードが、なぜ日本語学校のコピー機に写るのですか」
三枝の唇から血の気が引いた。
山崎は低く言った。
「ハンさんは、日本にいるのですね」
三枝は廊下の奥を見た。
そこには、城戸が立っていた。
無言でこちらを見ていた。
*
その夜、山崎の事務所に非通知の電話が入った。
「深入りするな」
男の声だった。
「誰ですか」
「外国人の人生を救った気になっても、あんたに責任は取れない。あいつらは借金して来てる。家族も納得してる。日本で稼ぎたい、国へ金を送りたい。きれいごとで止めたら、故郷で家を取られる」
「脅しですか」
「忠告だよ。クアンの妹は、可愛い子だな」
電話は切れた。
山崎は受話器を置いた。
怒りよりも、胃の奥が冷えるような感覚があった。
手続きの書類には、人生の全部は載らない。
借金の利息。
取り上げられたパスポート。
故郷の家族に届く脅迫。
眠る場所も、働く場所も、話す言葉も、笑い方さえも決められてしまう若者たち。
在留カードは、日本で生きる資格を示す小さなプラスチックのカードだ。
だが、そのカードの裏側に、どれだけの影が貼りついているかを、役所の窓口で見ることは難しい。
*
翌日、クアンが一人で事務所に来た。
雨に濡れた髪のまま、彼は立っていた。
「先生、申請をやめないでください」
「なぜですか」
「私が困ります」
「誰に言われましたか」
「私の気持ちです」
「妹さんは日本にいますね」
クアンの顔が壊れた。
まるで、ずっと支えていた柱を一本抜かれたように。
「……どこで知りましたか」
「在留カードのコピーに影がありました」
クアンは椅子に崩れ落ちた。
「ハンは、故郷にいると思っていました。動画も来た。村の家の前で、元気だと言った。でも三か月前、電話で泣いていた。後ろで、日本語が聞こえました」
「会ったことは?」
「一度だけ」
クアンは震える声で言った。
「夜、車の中で。五分だけ。ハンは髪を切られていた。『お兄ちゃん、言うことを聞いて』と言いました。私が申請して、言われた会社に行けば、ハンも学校に入れると言われた」
「その会社は実体がありません」
「知っています」
「では、どこで働かされる予定だったのですか」
「解体。夜の工場。名前は変わります。会社も変わります。でも書類はきれいです」
「誰が仕組んでいるのですか」
「城戸さん」
「三枝さんは」
クアンは目を伏せた。
「三枝先生は、悪い人じゃない」
「悪くない人が、人を売ることもあります」
その言葉に、クアンは泣きそうな顔をした。
「先生、日本人はみんな同じことを言います。悪い人じゃない。仕方なかった。会社のため。学校のため。家族のため。私たちは、誰かの仕方ないの中で、いつも最後に捨てられます」
山崎は何も言い返せなかった。
「クアンさん。私は、この申請を出せません」
クアンは顔を上げた。
「出さなければ、ハンが」
「出せば、あなたもハンさんも、もっと深く縛られる」
「じゃあ、どうすればいいですか!」
クアンの声が初めて荒くなった。
「警察に行けますか? 入管に話せますか? 私は失踪した技能実習生です。借金もあります。パスポートもありません。間違ったこともしました。嘘の仕事もしました。先生は、私を守れますか?」
山崎は言った。
「完全には守れません」
クアンの目から光が消えた。
「でも、あなたが自分の意思で話す場を作ることはできます。支援団体、通訳、関係機関。必要な人につなぎます。あなたが嘘の書類に署名する前に、できることがあります」
「話したら、私は日本に残れますか」
山崎は沈黙した。
クアンはそれだけで答えを理解した。
「そうですか」
彼は笑った。
「日本に来る前、父が言いました。『日本では、まじめに働けば人間になれる』。でも私は、ずっと番号でした。実習生番号。在留カード番号。寮の部屋番号。借金の管理番号」
クアンは自分の胸に手を当てた。
「私の名前を、誰も呼ばなかった」
「私は呼びます」
山崎は静かに言った。
「クアンさん」
その瞬間、青年の目から涙が落ちた。
*
三枝が崩れたのは、その二日後だった。
山崎が関係機関への相談準備を進めていると、彼女が事務所に現れた。化粧は落ち、髪は乱れていた。
「私は、最初は助けるつもりだったんです」
椅子に座るなり、三枝は言った。
「日本語学校を作った時、本当にそう思っていました。貧しい国の若い子たちに、日本語を教えて、夢を持たせる。そう言えば聞こえはいいでしょう?」
山崎は黙っていた。
「でも、学生が来なければ学校は潰れる。紹介会社に頼る。紹介料が膨らむ。払えない学生は借金する。授業料が滞る。寮費も払えない。そこで城戸さんが言うんです。『働ける場所を紹介する』って」
「違法な就労先ですね」
「私は見ないふりをした」
三枝は両手で顔を覆った。
「だって、見たら終わりだから。学校も、私も、あの子たちも。誰か一人を救えば、全員が沈むと思った」
「ハンさんはどこですか」
三枝は震えた。
「知りません」
「三枝さん」
「本当に、今は知りません。でも、最初に連れてきたのは私です」
山崎の表情が固まった。
「三か月前、ハンさんを留学生として入国させた。けれど授業には一度も出ていない。城戸さんが連れていった。私は、クアンさんを従わせるためだと分かっていました」
「なぜ今、話すのですか」
三枝は鞄から一枚の写真を出した。
若い女性の写真だった。三枝によく似ている。
「娘です」
「娘さん?」
「七年前、自殺しました。奨学金と、就職の失敗と、私の期待で潰れた。私は母親なのに、娘が助けてと言っていたことに気づかなかった」
三枝の声はかすれていた。
「ハンが泣いているのを見た時、娘の顔に見えた。でも、また私は見ないふりをした。母親失格は、一度では終わらないんですね」
山崎は写真を見つめた。
善人と悪人の境目は、思っているほど太くない。
人は弱さの中で一線を越え、越えたことに慣れ、やがて誰かを地獄へ送る手つきだけが上手くなる。
「城戸さんは、どこにハンさんを」
三枝は小さな紙を差し出した。
「ここに、連れていかれた子たちがいるかもしれません」
紙には、古いクリーニング工場の住所が書かれていた。
*
深夜、古い工場に明かりはなかった。
山崎は単独で踏み込むことはしなかった。支援者を通じて関係機関に情報を渡し、通訳も手配された。山崎の仕事は捜査ではない。だが、嘘の申請を止めるために、事実を見ないふりはできなかった。
翌朝、工場から数人の若者が保護された。
その中に、ハンがいた。
写真より痩せていた。
髪は短く切られ、腕には火傷の跡があった。
彼女は最初、誰の目も見なかった。
クアンが駆け寄ると、ハンは一歩後ずさった。
「お兄ちゃん」
その声は、再会の喜びではなく、恐怖だった。
「ごめん。ごめん、ハン」
クアンは床に膝をついた。
「私、守れなかった」
ハンは首を横に振った。
「守らなくていい」
クアンが顔を上げた。
「私、お兄ちゃんのせいで日本に来たんじゃない。私も、村を出たかった。お金がほしかった。お母さんを楽にしたかった。だからサインした。だから、私も悪い」
「違う」
「違わない!」
ハンの叫びが、工場の壁に跳ね返った。
「みんな、私たちを可哀想って言う。でも、私たちは欲しかった。お金も、スマホも、きれいな家も、誰かに見下されない人生も。欲しかったから騙された。欲しかったから借金した。欲しかったから嘘をついた」
ハンは泣いていた。
「でも、だからって、こんなふうに人間じゃなくされていいわけじゃない」
クアンは動けなかった。
妹を守っていると思っていた。
だが本当は、妹の苦しみを、自分の犠牲で包んで見ないふりをしていただけだった。
その時、城戸が連行される姿が見えた。
彼は山崎を見て笑った。
「先生、いいことをしたと思ってるんですか」
山崎は黙っていた。
「この子たち、帰ったらどうなると思います? 借金は消えない。村では笑われる。家族は責められる。日本で失敗した人間として、一生言われる。あんたは書類を止めただけだ。人生は救えない」
「そうかもしれません」
山崎は答えた。
「ですが、あなたが人生を握る理由にはなりません」
城戸の笑みが歪んだ。
「偽善者が」
山崎は何も言わなかった。
偽善かもしれない。
それでも、嘘の書類に判を押すよりはましだった。
*
数日後、山崎行政書士事務所にクアンが来た。
支援者と通訳が同行していたが、クアンは自分の日本語で話すと言った。
「先生、私は申請しません」
「はい」
「日本に残る道も、あるかもしれないと言われました。いろいろな制度、相談、手続き。でも私は、まず証言します」
山崎は彼を見た。
「怖くありませんか」
「怖いです」
クアンは即答した。
「国へ帰ったら、借金があります。家族も困ります。村の人も笑うかもしれません。私の未来は、たぶん明るくないです」
「それでも?」
「はい」
クアンは在留カードを机に置いた。
小さなプラスチックのカード。
そこに印字された名前、番号、期限。
日本で生きるための証明。
同時に、彼を縛ってきた鎖。
「私は、残るために嘘をつくのをやめます。帰ることになっても、本当のことを話します。城戸さんのこと、学校のこと、偽の会社のこと、妹のこと。私がした嘘も、全部」
「それは、自分にも不利になるかもしれません」
「はい」
「後悔するかもしれません」
「はい」
クアンはうなずいた。
「でも、初めて自分で選びました」
その言葉を聞いた時、山崎は胸の奥が詰まった。
人を救うとは、未来をきれいに整えることではないのかもしれない。
泥の中に立つ人間が、自分の足の感覚を取り戻す瞬間を、そばで見届けることなのかもしれない。
*
証言の日、クアンは青いシャツを着ていた。
山崎が以前、事務所で貸した傘を返しに来た時と同じ、少し大きすぎるシャツだった。
廊下にはハンがいた。
兄妹はしばらく向かい合った。
ハンが言った。
「お兄ちゃん、私も話す」
「ハンは、無理しないで」
「無理じゃない」
ハンは小さく笑った。
「私も、番号じゃなくて名前で生きたい」
クアンは泣きそうになりながら、妹の頭に手を置いた。
その仕草は、遠い故郷の家の前で、幼い妹をあやしていた兄のものだった。
だが、次に彼が歩き出した時、その背中は以前とは違っていた。
怯えた実習生ではない。
誰かに操られる申請人でもない。
自分の言葉を持つ証言者だった。
山崎は、その背中を最後まで見送った。
*
事件のあと、白嶺国際日本語学院は閉鎖された。
三枝はすべてを話した。彼女が許されるかどうかは、山崎には分からなかった。彼女自身も、許されたいとは言わなかった。ただ一度だけ、山崎行政書士事務所に手紙を送ってきた。
あの子たちの名前を、私はやっと覚えました。 遅すぎました。 でも、もう忘れません。
城戸の背後には、さらに大きな人材ブローカーの網があった。偽装雇用、借金契約、寮費名目の搾取、家族への脅迫。すべてが一度に消えるわけではない。
クアンとハンの未来も、簡単には明るくならなかった。
帰国するのか、日本で別の形の保護や手続きを模索するのか。答えはすぐには出ない。山崎にできることは限られていた。必要な書類を整え、相談先へつなぎ、嘘ではない選択肢を一つずつ示すことだけだった。
それでも、ある夕方、クアンから事務所に小さな封筒が届いた。
中には、折り畳まれた紙と、古い在留カードのコピーが入っていた。
コピーの端には、あの薄い影が残っている。
妹のカードの影。
彼の恐怖の影。
そして、山崎が見逃さなかった、たった一つの手掛かり。
手紙には、片仮名と漢字の混じった字でこう書かれていた。
山崎先生。 私はまだ、どこで生きるか分かりません。 でも、誰の言葉で生きるかは決めました。 私の言葉で生きます。 ありがとうございました。
山崎はその手紙を、在留資格申請の資料棚ではなく、机の一番上の引き出しにしまった。
許可が下りた案件だけが、仕事の成果ではない。
申請しないことで、守られる人生もある。
山崎行政書士事務所の看板は、その日も駅前の雑居ビルの三階で、静かに灯っていた。
その灯りは大きくない。
だが、誰かが嘘の書類に人生を閉じ込められそうになった時、そこへ逃げ込めるだけの明るさはあった。





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