top of page

大海への踏み込み

第一章:膨れあがる設計図

「ただのLPから一気に“総合サイト”になりましたね……。」Web制作会社「オクタ・クリエイション」のディレクター、雨宮明日香(あまみや・あすか) は、テーブルに広げたホワイトボードを見つめて苦笑した。大手家電メーカー・野坂 の要望は膨大だ。新作掃除ロボットのLPで得たデータを活かし、より多くの商品ラインナップや会員機能、EC機能まで一体化した大型WebサイトをAzure上で構築したいという。

「規模が増えれば、当然クラウドのコスト も膨らむ……。さて、どうする?」リードエンジニアの鈴本(すずもと)はモニターに映したExcel表を眺めていた。そこにはAzure Web Appsをはじめ、Azure FunctionsやCosmos DB、Application Insightsなどのサービス料金の試算が並ぶ。「LPの時は月1万〜2万円 でなんとか収まったけど、今度はAzure SQL Database と複数のApp Service を走らせるし、ページ数も多い。オートスケールが動き出したら、月3〜5万円 はかかりそうだね」

明日香は溜め息まじりに頷く。「でも、野坂さんたちは“さらにEC機能”も検討してる。決済API や在庫連携ユーザー管理 となると、トラフィックが一時的に跳ね上がる局面もある。Premiumプラン まで上げる可能性もあるでしょう」そうなれば、最終的に月のAzure利用料が5万円〜10万円 に届くシナリオも十分にあり得る。

第二章:クライアントとのすり合わせ

「コストが跳ね上がるだと?」メーカー側のキーパーソン・野坂 は、オンラインミーティング越しに声を荒らげた。「前回のLPは月1〜2万円程度って話じゃなかったか? なんでそんなに急に膨らむ?」

オクタ・クリエイションのエンジニア、鈴本が淡々と説明する。「まず、商品ラインナップが増えれば、その分データベース の容量やI/O処理が増えます。さらにEC機能 を導入すると、ピーク時のトラフィック が読めないので、ある程度余裕のあるプランにしておかないと、サーバーダウンのリスクがあります。

  • App Service Plan の Standard やPremium を使えば1〜3インスタンス以上を稼働させられますが、月3万〜5万円は覚悟してほしい。

  • Application Insights も本格運用すると、ログ量に応じて従量課金

  • Azure SQL Database はS0/S1プランでも数千円〜1万円台ですが、スケールアップすれば数万円 に到達する場合もあります。

  • さらにAzure Functions(サーバーレス)やCosmos DB を併用するなら、その利用量次第で追加課金がかかります。


    といった具合です」

IT部門の横田が横でフォローする。「うちの社内システムを一部連携する想定があるので、そう考えるとオートスケール や高可用性 は大事ですよ。長期的にはオンプレ管理より手間が減るし、クラウド移行で全体のコストを最適化できるメリットがあるはずです」

野坂は渋い顔でうなずく。「まぁ……先を見据えれば仕方ないか。とはいえ社内に通すには初期費用 と月々の費用 をはっきり示してほしい。総制作費 もどれくらいになる?」

第三章:制作費用と運用コストのシミュレーション

後日、オクタ・クリエイションが提示した概算見積は、以下のような内容だった。

  1. 開発・デザイン等の制作費

    • 情報設計・デザイン:100〜200万円

    • フロントエンド実装(Vue/Reactなど):100〜200万円

    • バックエンド連携(API開発、DB設計):150〜300万円

    • EC機能(決済API連携、カート実装、在庫管理連携):200〜400万円

    • 全体PM/ディレクション費:50〜100万円

    • 合計:最低でも600万円〜1,200万円程度(機能範囲により大きく変動)

  2. クラウド運用費(目安)

    • Azure App Service(Standard/Premiumプラン):月3万〜5万円

    • Azure SQL Database:月1万〜2万円(プランにより変動)

    • Azure Functions/Cosmos DB/Application Insights 等:1万〜3万円の可変費用

    • 合計:月5万円〜10万円程度(トラフィックやサービス追加次第で変動)

  3. 保守・運用サポート費

    • コンテンツ更新、広告運用、A/Bテスト、トラブル対応:月5万〜10万円

「全部合わせると、制作費 は軽く1,000万円 超えるかもしれませんし、月々 は10〜20万円 のランニングコストが想定されます。もちろん、段階的に機能をリリースすることで初期投資を抑えることは可能です」明日香はそうまとめる。

(大仕事だ……)野坂の表情は険しいが、横田は「うちのデジタルシフトの本丸だから、覚悟はある」と答えた。

第四章:本格的な構築開始

オクタ・クリエイションのチームは、フェーズを分けて開発を進めることにした。

  • フェーズ1:現行サイトのリニューアル(商品カタログやサポートページ、簡易的な問い合わせフォーム)

  • フェーズ2:EC機能の導入(カート、決済API、会員ログイン、Azure SQL DB連携)

  • フェーズ3:在庫管理やポイントサービスとの深い連携、海外向け多言語化など(将来的な拡張)

AzureのDevOpsパイプライン は前回のLP制作で大枠ができていたため、ブランチごとの自動ビルド自動デプロイ がスムーズに稼働。テストスロットで検証し、承認後に本番へ切り替えるワークフローを確立した。鈴本はAzure Monitor やApplication Insights のアラート設定を駆使し、負荷やエラーをリアルタイムで把握できるようにしている。「負荷が高まったらスケールアウトするけど、そのぶんApp Service の従量コストが上がる。まぁ、ビジネスが伸びれば仕方ない出費だろうね」

第五章:コストの嵐と突破口

数ヶ月後、フェーズ1のリリースを迎えた新サイトは、既存のオンプレ環境から切り替わり、Azure Web Appsでの運用がスタート。当初はアクセスも穏やかで月額5〜6万円 程度のクラウドコストに収まっていたが、キャンペーン施策を打った途端、トラフィックが急増。App Serviceのオートスケールが稼働し、ある月は8〜9万円 を計上した。

「いきなりコストが上がった!」野坂が焦りの声を上げるが、明日香は冷静だ。「でも、同時に売上 や問い合わせ数 も増えてます。必要経費と捉えてください。もちろん、画像最適化 やキャッシュ制御CDN での負荷分散など、我々で調整しながら無駄を減らしていきます」

IT部門の横田もフォローする。「オンプレ時代に突然アクセスが集中してサーバーダウンしていたことを考えれば、今はサービスが止まらずに済んでいる。これは企業イメージを守るうえでも大切ですよ」

(このクラウドコストは、ビジネスが成長するための“投資”でもある……)野坂は内心で納得しつつも、経理や上層部からの突き上げをどうかわすか頭を悩ませる。だが、プロジェクトはすでに大きく舵を切っている。ここで引き返すわけにはいかない。

最終章:航路は続く

フェーズ2のEC機能がリリースされると、利用者からは「公式サイトで直販ができて便利になった」「サポートページもわかりやすい」と好評の声が寄せられた。シーズンごとのキャンペーンに合わせて流入が増えるタイミングではPremiumプラン へのスケールアップを行い、落ち着けばStandardプラン にダウン。コストは上下しつつも、企業のオンライン売上は着実に伸び始める。「これで、月10万円前後 のAzure料金なら“赤字” ではないと上層部も判断してくれそうだ」野坂はホッと胸をなでおろす。

一方、オクタ・クリエイションのメンバーに休まる暇はない。今度はフェーズ3 での在庫管理システムとの完全統合、海外向け多言語展開、さらにはAIチャットボット やレコメンド機能 など新たな要望が次々に舞い込む。「Webサイトはリリースして終わりじゃない。大海 に出てからが本当の戦い。改善や拡張を続ければ、コストはかさむけど、ビジネスチャンスも広がる」明日香は微笑む。彼女の視線の先には、Azureポータルのダッシュボードが青く輝いていた。

――企業とクラウドが交差するその先に、さらなる広い海原が待ち受けている。オクタ・クリエイションが舵を握り、支える大きな船は、今日も航路を描きながら進み続けるのだった。

あとがき:コスト感のまとめ

  • 初期制作費

    • 情報設計・デザイン、フロント&バックエンド実装、EC機能などを含めると、数百万円〜1,000万円超 に達するケースは珍しくありません。

  • Azureの月額利用料(目安)

    1. App Service

      • Standardプラン:月3〜5万円(スケール数次第)

      • Premiumプラン:月5〜10万円以上

    2. Azure SQL Database

      • 小規模プランで月数千円〜1万円、スケールアップで数万円

    3. Azure FunctionsCosmos DB

      • 従量課金性で、実行回数やデータ量に応じて数千円〜数万円

    4. Application Insights

      • ログ量に応じて数千円〜数万円 変動

    5. CDN

      • トラフィック量に応じて従量課金(数千円〜)

  • 運用・改善のための保守費

    • コンテンツ更新、A/Bテスト、広告運用・SEO対策など、5万〜10万円/月 以上が一般的。

これらはあくまで「一例のケース」です。実際のコストは、アクセス規模や機能要件、契約形態・地域、Azureの利用サービスなどで大きく上下します。ただ、LPからさらに本格的なWebサイトへ拡張 する際には、上記のように「クラウド利用料と制作・保守費」がかなりの額になる点を踏まえ、計画的に検討する必要があります。

本作では、企業がデジタルシフトを進める過程で「クラウド運用コスト」と「ビジネス拡大のメリット」がせめぎ合う姿を物語風に描きました。Webの世界に“着地”したLPがさらに大海へ漕ぎ出し、企業のビジネスを支える“基盤”へと成長していく――それこそが、Web制作とクラウド活用の醍醐味と言えるでしょう。

 
 
 

コメント


Instagram​​

Microsoft、Azure、Microsoft 365、Entra は米国 Microsoft Corporation の商標または登録商標です。
本ページは一般的な情報提供を目的とし、個別案件は状況に応じて整理手順が異なります。

※本ページに登場するイラストはイメージです。
Microsoft および Azure 公式キャラクターではありません。

Microsoft, Azure, and Microsoft 365 are trademarks of Microsoft Corporation.
We are an independent service provider.

​所在地:静岡市

©2024 山崎行政書士事務所。Wix.com で作成されました。

bottom of page