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新規オープン、絶体絶命!

  • 山崎行政書士事務所
  • 1月9日
  • 読了時間: 9分



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第一幕:思わぬ来客

 朝の9時、いつも通りのんびりとコーヒーをすすっていた**「峰川(みねかわ)行政書士事務所」**に、突然ドアを勢いよく開けて飛び込んでくる人物が現れた。 「す、すみませーん、緊急なんです!」 血相を変えて叫ぶのは、中年の男性——池田(いけだ)と名乗った。見ると、汗で前髪がペタリと貼り付いていて、まるで走ってここまで来たようだ。 「お、落ち着いてください。どうされました?」と所長の峰川華子が声をかけると、池田は息を整えつつ、 「実は……あさってオープン予定の飲食店が、まだ営業許可を取ってなかったんです!」 その一言で華子はコーヒーを吹きかけそうになり、周囲のスタッフも「えぇええっ!?」と大騒ぎ。

第二幕:焦りに拍車がかかる

 とにかく詳しく話を聞くと、池田は地方の小さな町で新規の居酒屋——いや、レストラン——いや、カフェ……とにかく飲食店をオープンする予定らしい。だが、どうやらオーナー達は必要書類を一切知らずに準備を進めてきたようで、オープン直前になって「許可が無い!」と気づいたという。 「あ、あの、あさってにプレオープンして、ゲスト呼んじゃってるんですよ……」 「そりゃ大変だ! どうしてもっと早く気づかなかったんですか……」と華子が呆れ気味に尋ねると、池田は涙目で「すみません、みんなでDIYしながら作ってたら、書類なんて頭になくて……」と肩を落とす。 華子はこんな経験、初めてじゃない気がする。だが、あさってというのはさすがに無謀だ。**「でも、やるしかない!」**と内心で拳を握り、「じゃあ今から走りましょう!」と意気込むのだった。

第三幕:まさかのトラブル連発

 その後、峰川華子と池田は車で2時間かけて地方の役所へ向かう。道中、池田の電話がひっきりなしに鳴る。 「あ、もしもし……えっ!? 入り口のドアがうまく閉まらない? ……オーナーはどこ行ったの? え、魚の仕入れの交渉で漁港に……」 もう会話が破天荒すぎて、華子は運転中にハンドルを握りしめながら「大丈夫か、この店……」とため息。でも、ここで折れてはいけない。「急いで書類を作って提出すれば、間に合わないこともないはずだ」と奮起する。

 役所に到着すると、保健所や消防、さらに警察関係(深夜営業があるかどうかで違う)など多方面への届け出が必要だとわかる。華子は「ほんとにあさってまでに終わるの!?」と自問しつつ、窓口を次々と回り始める。

第四幕:予期せぬ書類の不備

 保健所のカウンターにて、 「このキッチンの図面、シンクの数が少ないですね。しかも排水の位置が書かれてない……」 と担当者が指摘。池田は「え、そんなものがいるんですか!?」と混乱。 「そりゃいるんですよ!」華子は焦りながら、池田と電話で店舗スタッフに連絡し、「今すぐシンクの位置を書き込んで写真送って!」と叫ぶ。店では「ドアが閉まらない!」とか「オーナーが漁港に行ってる!」とか大騒ぎで、まるでホラー映画のような悲鳴が響いているという。 華子はスマホを握りしめ、「ドアはとりあえずお客さんが来る前に修理しといて……いや、魚の仕入れはもう仕方ないから続行して……」と矢継ぎ早に指示を飛ばす。まさにマネージャー兼行政書士状態だ。

第五幕:どこまでも問題を引き起こすオーナー

 やっとのことで保健所の書類がそろい始めたと思ったら、今度はオーナー本人(真の大将)が「俺、明日、ちょっと海外出張に行かなきゃならなくなった!」などと電話をかけてきた。 華子は携帯を落としかけて絶叫。「はああ!? オープンはあさってなんですよ! しかも、書類に署名が要るでしょ!」 オーナーは「いや、だって漁港で無理言われて海外の市場へ直接買い付けが」と言い訳ばかり。しょうがないので、急きょ日帰りで署名だけ済ませて帰ってもらう算段に。 池田は、「あの人、本当に適当ですみません……」と頭を下げるが、華子は苦笑して「まぁ、世の中そういう人っているよね……」と半分呆れつつ、なんとか乗り切ろうと気合を入れる。

第六幕:大逆転の成立

 結局、ドタバタの連発で書類を整え、保健所と消防の検査もクリア、深夜営業の届けも駆け込み提出。役所の担当者が「こんなギリギリの日程、初めて見ましたよ……」と唖然しながらハンコを押してくれる。華子と池田はハイタッチ。「やった、間に合った!」 翌日、何とか証明書を店に持参すると、そこはまさに“戦場”さながら。厨房では材料が散乱し、大工さんがドアを直しながら「あと5分で終わるよ!」と叫び、オーナーは飛行機を降りてタクシーで到着し、「ふぅ、アジがうまそうだ!」などとお気楽そうに笑っている。 華子は大きくため息をつきつつ「ま、許可取れたからいっか」と微笑する。

第七幕:オープン当日の歓喜

 そして迎えたオープン当日。店には華やかな装飾が施され、メニューもギリギリで印刷されて配られた。地元メディアも「新規飲食店オープン!」と取材に来ている。 華子や池田が客として潜り込むと、店はもう満席状態。どうやらSNSで“DIYで作ったオシャレ店”としてバズっているらしい。オーナーは「俺は何とかなるって言ったっしょ!」などと言いながら、客をもてなしている。 厨房では材料が飛び交って忙しいが、料理は意外にも絶品との評判だ。お客たちが「うん、美味しい!」「こんなとこに名店が?」と喜んでいる姿を見て、華子はほっと胸をなで下ろす。

終章:笑顔で乗り切ったドタバタ

 店先で、華子と池田が小さく握手して「本当によかったですね……」としみじみ語る。オーナーは相変わらず適当な笑顔を振りまき、従業員たちもなんだかんだ楽しそうに働いている。 「ドタバタだったけど、こんなにお客さんが来て、地元もにぎわって、もう笑うしかないよねぇ」と華子が笑い、池田も「いやー、俺は二度とこんなぎりぎりの許可申請に関わりたくないですよ、先生……」と苦笑する。 しかし、周囲のお客たちの笑顔や、キッチンから漂う美味しそうな香りを感じると、すべて報われた気分。寅さん映画のエンディングのように温かな空気の中で、**“新規オープン、絶体絶命”**だった飲食店は見事大繁盛へと進むのであった。

 ――こうして、人々の笑顔に包まれながら、ドタバタ劇は幕を下ろす。新規オープンの飲食店は大成功。何よりそこには、人情味あふれる行政書士と、トラブルメーカーな起業家の活気があった。


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Appendix


1. 事前の計画と物件選定

  1. 業態の確定

    • 和食なのか洋食なのか居酒屋なのか、提供するメニューや営業形態をはっきりさせる。

    • 深夜(午前0時以降)までやるかどうか、アルコール提供の有無なども早めに決定すると、手続きがスムーズになります。

  2. 物件を探す

    • 必要な広さや周辺環境(住居地・商業地か等)を考慮しつつ、オーナーや管理会社の使用許可も得る。

    • “路上は使えない”“立地条例がある”など地域ルールが多い場合があるので要チェック。

  3. 初期の相談・役所回り

    • 開業予定地の所轄役所・保健所などに「どんな手続きが必要か」をざっくり聞いておく。

    • とくに保健所の担当者は、レイアウトや設備についてアドバイスしてくれたりするのでオススメ。

2. 飲食店営業許可(保健所)

  1. 図面・設備の確認

    • キッチンの配置、シンクの数、排水の位置、換気扇の設置などが基準を満たす必要あり。

    • 「シンクは2つか3つ必要」「給排水の衛生面を確保せよ」など地域によってルールが違うことも。

  2. 保健所へ申請書類の提出

    • 所轄の保健所へ「飲食店営業許可申請書」を提出。

    • 併せて、店舗の平面図や設備図(客席・厨房のレイアウト等)、厨房設備のカタログなどを添付。

  3. 保健所による現地検査

    • 書類審査後、実際の店舗に保健所担当者が訪れて「シンクの数OK」「冷蔵庫は温度計付いてる?」などをチェック。

    • 指摘があれば改修や追加工事をして再検査となる場合も。

  4. 営業許可証の交付

    • 検査がクリアできれば、数日〜数週間後に許可証が出る。これを店舗に掲示するのが基本。

3. 深夜酒類提供飲食店営業(必要な場合)

  • 午前0時以降にお酒を提供して「お客さんに飲食させる形態」の店(バー、スナックなど)は、警察署に**「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」**を出すことが必要(風営法上の飲食店の場合)。

  • ただし、カラオケボックス的な要素が加わると「風俗営業許可」が必要なケースもあるので要確認。

4. 消防・防火対策

  1. 防火対象物使用開始届出書

    • 一定の規模(客席数やフロア面積)を超える飲食店なら、消防署に「防火対象物の使用開始届」を提出。

    • 厨房設備や避難通路、消火器の設置など、消防法令に適合している必要がある。

  2. 防火管理者の選任

    • 店舗規模が大きい場合、資格を持つ「防火管理者」を置くことが必要に。

    • 小規模ならいらないケースもあるが、確認しておいた方が安心。

5. 酒類販売業免許(お酒を販売する場合)

  1. 税務署での免許申請

    • 店内での提供だけでなく、ボトル販売などをするなら酒類販売業免許が必要。

    • 飲食店が酒を“提供”するのみなら通常は不要だが、持ち帰り販売などするなら申請が別途必要。

6. その他の届出や確認

  1. 建築基準法関連

    • 大がかりな改装や増築をする場合は建築確認が必要かもしれない。

    • 道路との関係や駐車場の有無など、状況によっては関連手続きがある。

  2. 労働保険・社会保険

    • 従業員を雇う場合は、労働保険や社会保険に関する届出をハローワークや年金事務所などで行う。

    • 雇用契約書の作成なども大切。

  3. 税務関連の届出

    • 開業届出書を所轄税務署へ提出。

    • 消費税や法人税などの手続きも、法人化しているかどうかで違うが必ず確認する。

7. 当日のオープンに向けて

  1. 許可証を店舗に掲示

    • 取得した保健所の許可証は店内にわかりやすく掲示(「○○号の許可により営業」といった表記が必要)。

  2. メニュー・価格の表示

    • 食品衛生法や景品表示法に抵触しないよう、適切に表記。

    • アレルギー表示なども最近は重視されるので、しっかり対応。

  3. 衛生管理の徹底

    • 清掃や機器のメンテナンス、食材の保管温度の管理など。

    • 保健所の抜き打ち検査がある場合もあるので、日頃から丁寧に。

8. まとめ&ワンポイント

  1. 許認可の順序を意識

    • 「保健所 → 消防 → 警察(深夜営業の場合) → 税務署 → 追加許可(酒類販売など)」のように、順番や並行作業をよく考えましょう。

    • 忘れがちなのが消防関連や警察関連。規模や営業時間によって必要性が変わります。

  2. 地域のルールや商店街との調整

    • 三谷幸喜風のコメディで描かれるように、人情交渉や地元との関係が意外と重要。商店街の承諾や隣接店舗との相談が無いと後々トラブルになることも。

  3. 書類不備に要注意

    • 「シンクの数が足りない」「厨房の位置が図面と違う」などで時間を取られがち。オープン直前に慌てるケースが非常に多いので、できるだけ早めに取り組むのがおすすめ。

  4. 行政書士や専門家に相談

    • 各書類の作成や提出をスムーズに進めたいなら、行政書士に依頼するのが近道。今回のようなドタバタを少しでも軽減するなら早めの相談が肝心です!

  5. とにかく「早めの準備」**が何よりのカギ。もしギリギリになってしまっても、あきらめずに必要書類を一つひとつ潰していけば、オープン当日には“お客さんの笑顔”と“自分の胃痛”の両方を抱えながらでも大繁盛を迎えることができるかもしれません!

     さあ、書類を揃えて、いざオープンへ!

 
 
 

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