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毒劇物台帳と笑わない倉庫番――山崎行政書士事務所事件簿

山崎行政書士事務所には、笑う人が多い。

所長の山崎は、湯飲みを持つだけでなぜか少し笑っている。さくらは、おやつ台帳の在庫が合うと満面の笑みになる。陽翔は、Excelの関数が正しく動くと静かに笑う。ゆいは、法令チェックリストの空欄が埋まると、春のように笑う。

ただ一人、りえだけは違った。

りえは、現場ヒアリングの担当である。笑わないわけではない。ただ、相手が「たぶん」「いつも通り」「あとで書きます」と言った瞬間、笑顔がすっと消える。

山崎はよく言った。

「りえくんの沈黙は、内容証明より効くね」

その日の午前九時、事務所の電話が鳴った。

相手は、静岡県内の化学メーカー、駿河化成工業の総務課長だった。

「毒劇物台帳と、実在庫が合いません」

山崎の湯飲みが止まった。

「数量差は?」

「劇物指定品の在庫が、台帳上より二十四キロ少ないんです」

事務所の空気が変わった。

ゆいは、すでにペンを持っていた。

「保管庫の施錠、表示、譲渡記録、教育記録、取扱責任者、直近の入出庫を確認します」

陽翔はノートPCを開いた。

「Excel台帳の更新履歴、共有フォルダ、バックアップ、証跡の残り方を見ます」

りえは静かに立ち上がった。

「私は、人に聞きます」

山崎がうなずいた。

「では行こう。今日は、毒劇物台帳が笑うか、倉庫番が笑うかだ」

1 笑わない倉庫番

駿河化成工業の第三倉庫は、川沿いの敷地のいちばん奥にあった。

灰色のシャッター。黄色と黒の注意表示。倉庫入口の施錠記録。壁には「医薬用外劇物」の表示。保管庫には南京錠と電子錠の二重管理。

倉庫の前に立っていたのが、問題の人物だった。

倉庫番、岩瀬源一。

年齢は六十を少し過ぎたくらい。背筋はまっすぐ。作業服は折り目まで正しい。表情は、冬の富士山より硬い。

総務課長が小声で言った。

「岩瀬さんは、二十七年間、一度も棚卸し差異を出したことがありません」

山崎が感心した。

「それはすごい」

「そして、二十七年間、ほとんど笑ったこともありません」

山崎は少し身構えた。

「それもすごい」

岩瀬は低い声で言った。

「笑う暇があるなら、ラベルを見る」

りえは、軽く頭を下げた。

「山崎行政書士事務所のりえです。今日は、誰が悪いかではなく、何が起きたかを確認します」

岩瀬は一瞬だけ目を細めた。

「それなら入ってください」

第三倉庫の中は、ひんやりしていた。

毒劇物保管庫の中に、対象品があった。

品名は、作中では仮称で「試薬B-24」とされている。劇物扱いの液体原料。一缶二十リットル。現物は四缶。

つまり、八十リットル。

ところが、毒劇物台帳にはこう記録されていた。

試薬B-24 在庫:104kg

棚卸し担当者が現物を量ったところ、保管庫には四缶、表示上は合計八十リットル。社内の換算表では、八十リットルは約八十キロとして扱われていた。

差異、二十四キロ。

「二十四キロが消えた」

総務課長は、声を震わせた。

岩瀬は表情を変えなかった。

「消えていません。倉庫からは出ていません」

「でも台帳では」

「台帳が間違っています」

その声は、怒りではなかった。

ただ、二十七年間守ってきた棚に、濡れ衣を着せられた者の声だった。

りえは、すぐに言った。

「岩瀬さん。今日の入出庫を最初から教えてください。いつも通り、ではなく、一つずつ」

岩瀬はうなずいた。

ゆいは保管庫を確認した。

「施錠はされています。表示もあります。容器ラベルもあります。譲渡記録と教育記録も後で確認します。まず、現物と台帳の動きを合わせましょう」

陽翔は、保管庫の横でExcel台帳を開いた。

ファイル名は、

毒劇物台帳_最新版_本当.xlsx

陽翔は小さく息を吐いた。

「人類は、また“最新版”に負けています」

山崎が隣で言った。

「“本当”と付いたファイルほど、不安になるね」

2 台帳は黒く笑う

Excel台帳には、三つのシートがあった。

入庫。出庫。棚卸し。

しかし、単位欄が混沌としていた。

ある行は「kg」。ある行は「L」。ある行は「本」。ある行は空欄。

陽翔が眉を寄せた。

「これは、台帳ではなく方言集です」

山崎がのぞき込む。

「同じ品名で、単位が三種類あるのかい」

「はい。しかも換算式が手入力です」

ゆいは、保管棚のラベルと台帳を比べた。

「試薬B-24の容器表示は20L缶。台帳上はkg。入庫伝票も確認しましょう」

りえは、その間に現場ヒアリングを進めていた。

一人目、購買担当。

「発注は四缶です。単位は缶です。仕入先の請求書には20L×4とあります」

二人目、製造担当。

「使用指示はkgで来ます。配合表がkgなので」

三人目、品質管理担当。

「受入検査では比重を測ります。でも台帳には入れていません」

四人目、総務担当。

「棚卸しでは容器数を見ます。液量は開封して測りません」

りえはホワイトボードに書いた。

発注:缶容器:L配合:kg品質:比重棚卸:本数

山崎が腕を組んだ。

「単位の五重奏だね」

陽翔が画面から顔を上げた。

「しかも不協和音です」

その時、倉庫の奥で金属音がした。

全員が振り向く。

保管庫の横に置かれていた台車が、ゆっくり動いたように見えた。

総務課長が声を上げた。

「誰かいるのか!」

岩瀬は即座に懐中電灯を向けた。

そこには、誰もいなかった。

ただ、台車の上に一枚の紙が置かれていた。

そこには、太い黒字でこう書かれていた。

二十四キロは消えていない。笑っているのは、単位だ。

総務課長が青ざめた。

「脅迫状……?」

山崎は紙をじっと見た。

「なかなか理系の怪文書ですね」

陽翔は台車の横を見た。

「プリンターから落ちた紙です。棚卸し資料の一部が風で飛んだだけです」

りえは紙を手に取った。

「でも、内容は合っています」

ゆいがうなずいた。

「二十四キロが消えたと決めつけるには、換算根拠が足りません」

岩瀬は、初めて少しだけ目を見開いた。

しかし、まだ笑わなかった。

3 鍵は保管庫ではなく、比重表にあった

ゆいは、品質管理室から受入検査記録を取り寄せた。

そこには、試薬B-24のロットごとの比重が記録されていた。

今回の在庫ロット。

比重、1.30。

ゆいは紙を置いた。

「八十リットルに比重1.30を掛けると、百四キログラムです」

会議室が一瞬、静止した。

陽翔が電卓を叩く。

80L × 1.30 = 104kg。

台帳上、104kg。現物、20L缶4本。容器表示、80L。比重換算後、104kg。

差異、ゼロ。

総務課長は口を開けたまま固まった。

山崎が静かに言った。

「二十四キロは、盗まれたのではなく、比重の中にいた」

岩瀬が低く言った。

「だから言った。倉庫からは出ていない」

りえは、岩瀬を見た。

「岩瀬さんは、最初から比重のことを知っていましたか」

「経験でわかっていました。あの品は水より重い。二十リットル缶四本で八十キロのはずがない」

「なぜ言わなかったんですか」

岩瀬は、少しだけ視線を落とした。

「台帳を作っているのは事務所だ。現場の勘で口を出すと、また“古いやり方”と言われる」

その言葉に、製造担当も、総務課長も、黙った。

りえはホワイトボードに大きく書いた。

現場の勘は、証跡に変える。

「岩瀬さんの勘は正しかったです。でも、勘のままだと説明できません。比重表、入庫伝票、容器表示、台帳の単位をつなげれば、誰でも確認できます」

ゆいが続けた。

「それに、毒劇物の管理では、数量の説明が重要です。保管量、施錠、表示、譲渡記録、教育記録がそれぞれ別々に正しくても、台帳の単位が混ざると、盗難や紛失に見えます」

陽翔はExcelを見ながら言った。

「この台帳、単位欄を自由入力にしているのが原因です。kg、L、本、空欄が混在しています。比重換算も手入力。証跡も残りません」

山崎は言った。

「Excelが悪いわけではない。孤独に働かせすぎたんだね」

「はい」

陽翔はうなずいた。

「Excelを悪者にしません。ただ、このまま毒劇物台帳の証跡管理をするには限界があります」

4 消えた笑顔の理由

事件は解けたように見えた。

だが、りえはまだ終わらせなかった。

「岩瀬さん。今日の朝、保管庫を開けたのは誰ですか」

岩瀬は答えた。

「私です。七時四十分」

「同席者は?」

「ありません。一人です」

ゆいが顔を上げた。

「毒劇物保管庫の開閉は、一人運用ですか?」

総務課長が気まずそうに言った。

「はい。岩瀬さんがずっと担当しているので」

りえは言った。

「二十七年間差異がないことは、素晴らしいです。でも、一人に依存しすぎると、その人が疑われた時に守れません」

岩瀬の表情が、わずかに動いた。

ゆいは教育記録を確認した。

毒劇物取扱教育は年一回。ただし、倉庫の補助担当二名は昨年途中入社で、教育記録が空欄。施錠記録は紙。譲渡記録は別ファイル。保管量の一覧はExcel。表示点検は写真だけで日付不明。

「一つずつ見ると、そこまで崩れていません」

ゆいは言った。

「でも、つながっていません。台帳上の数量、現物、ラベル、施錠、譲渡記録、教育記録が別々に存在しています」

陽翔が続けた。

「だから、“24kg消えた”という誤解が出た時、誰もすぐに証明できなかった」

りえは、岩瀬に向き直った。

「岩瀬さんが笑わない理由、少しわかった気がします」

岩瀬は黙っていた。

「自分が守っている倉庫なのに、説明の仕組みがない。何かあったら、自分一人が疑われる。それは、笑えません」

倉庫の空気が少しだけ重くなった。

山崎は静かに言った。

「台帳は、人を疑うためではなく、人を守るためにもあるんですね」

岩瀬は何も言わなかった。

ただ、手袋を外し、ゆっくり保管庫の鍵を机に置いた。

それは、二十七年間の孤独を置いたようにも見えた。

5 Azureへ移る台帳

午後、陽翔は改善案を示した。

「Excel台帳をいきなり廃止する必要はありません。ただ、毒劇物台帳として必要な証跡は、Azure上で管理できるようにします」

総務課長が不安そうに聞いた。

「クラウドに毒劇物台帳を置いて大丈夫ですか」

陽翔はうなずいた。

「大丈夫と言い切る前に、設計します。アクセス権限、操作ログ、バックアップ、変更履歴、保管期間、承認フローを決めます。台帳データそのものに毒劇物の名称や数量が入るので、権限は絞ります」

山崎が言った。

「クラウドの倉庫にも鍵がいるわけだ」

「はい」

陽翔は画面に構成案を出した。

一、品目マスタに単位を固定する。二、入庫単位、保管単位、使用単位を分ける。三、比重換算が必要な品目は、品質記録と紐づける。四、入出庫はバーコードで記録する。五、保管庫の開閉記録と入出庫記録を紐づける。六、譲渡記録、教育記録、表示点検写真を同じ証跡台帳にリンクする。七、変更者、変更時刻、承認者を残す。八、一定期間後に削除できない保管領域も検討する。

ゆいが補足した。

「法令上の紙の保存や記録の要件は別途確認が必要です。クラウドに移せば終わりではありません。むしろ、何を原本にするか、誰が確認するか、監査時にどう見せるかを決めます」

陽翔は頷いた。

「Azure Storageのイミュータブルストレージのように、一定期間変更・削除を制限する仕組みもあります。ただし、設定すれば何でも法令対応になるわけではありません。運用とセットです」

岩瀬が、初めて口を開いた。

「バーコードは、手袋でも読めるのか」

陽翔は少し笑った。

「そこは現場テストします。読めなければ使えません」

「画面が小さいと困る」

「タブレットの大きさも確認します」

「単位欄は?」

「自由入力をやめます。品目ごとに既定単位を設定し、Lからkgへ換算する場合は比重記録を参照します」

岩瀬は、少しだけ頷いた。

「なら、使えるかもしれない」

総務課長は驚いた顔をした。

「岩瀬さんが、新システムに前向き……」

岩瀬は表情を変えずに言った。

「台帳が現場を疑わないなら、現場も台帳を嫌わない」

りえが、ほんの少し笑った。

「それ、今日の名言です」

山崎がすかさず言った。

「湯飲みに刻みたい」

ゆいと陽翔が同時に言った。

「やめてください」

6 笑わない倉庫番の証言

その後、りえは全員のヒアリング結果を整理した。

盗難の痕跡なし。保管庫の施錠あり。現物は20L缶4本。入庫伝票は20L×4。品質記録上の比重は1.30。台帳上の104kgは、80L×1.30の換算値。棚卸し担当が80Lを80kgとして扱ったため、24kg不足と誤認。教育記録に一部不足。単位管理と証跡連携に課題。

ゆいは、法令実務面の点検表を作った。

保管量確認。施錠確認。表示確認。譲渡記録確認。教育記録確認。棚卸し記録確認。是正措置。

陽翔は、台帳DX移行の段階案を作った。

第一段階、Excel台帳の単位欄固定。第二段階、比重換算表と品目マスタ作成。第三段階、入出庫バーコード化。第四段階、Azure上の証跡管理へ移行。第五段階、操作ログと変更承認を定期レビュー。

山崎は報告書の表紙に題名をつけた。

毒劇物台帳数量差異に関する確認報告書

さくらなら「倉庫番は笑わない」と題名を付けたかもしれないが、ゆいが止めた。

夕方、会議室で報告が行われた。

総務課長は、岩瀬に深く頭を下げた。

「疑うような空気にして、申し訳ありませんでした」

岩瀬は、しばらく黙っていた。

「倉庫は、疑われても仕方がない場所です」

「そんなことは」

「だからこそ、証跡が必要です」

岩瀬は、りえの報告書を見た。

「これなら、私がいなくても説明できる」

りえは言った。

「はい。それが、今回のゴールです」

山崎が穏やかに付け加えた。

「岩瀬さんの経験を、会社の仕組みに変えるんです」

岩瀬は、ゆっくり頷いた。

その時だった。

倉庫の奥から、カタカタと音がした。

全員が振り向く。

今度こそ、誰かがいた。

保管棚の隙間から、小さな影が飛び出した。

猫だった。

総務課長が叫んだ。

「猫!?」

岩瀬の表情が、初めて大きく変わった。

「お前、また入ったのか」

山崎が目を丸くした。

「知り合いですか」

岩瀬は猫を抱き上げた。

「隣の工場の猫です。名前は、マモル」

りえが言った。

「倉庫を守るから?」

岩瀬は真顔で答えた。

「いや、よく守衛室にいるからです」

猫の首輪には、小さな札がついていた。

そこには、手書きでこう書かれていた。

単位を見ろ

陽翔が吹き出した。

「それ、誰が書いたんですか」

岩瀬は、少しだけ口元を動かした。

「私です。昔、棚卸し担当に言われ続けたので、忘れないように」

会議室に笑いが広がった。

そして、岩瀬も一度だけ笑った。

ほんの一瞬。けれど、第三倉庫の空気が少し軽くなるには十分だった。

7 台帳は人を守る

一か月後、駿河化成工業では、新しい試験運用が始まった。

毒劇物台帳には、品目ごとに既定単位が設定された。

試薬B-24。容器単位、20L缶。保管単位、L。配合単位、kg。換算、比重記録参照。最新比重、ロットごとに品質記録へリンク。

入庫時には、バーコードを読み取る。保管庫を開けると、開閉記録が残る。出庫時には、使用目的と承認者を入力する。譲渡がある場合は、譲渡記録へリンクする。教育未受講者が操作しようとすると、警告が出る。表示点検写真には、撮影日と確認者が残る。

岩瀬は、タブレットを片手に倉庫を歩いていた。

総務課長が心配そうに言った。

「使いにくくないですか」

岩瀬は画面を見たまま答えた。

「字が大きくなった。悪くない」

陽翔は小さくガッツポーズをした。

りえは倉庫の隅で、現場ヒアリングの記録を閉じた。

ゆいは、表示と施錠と教育記録を確認し、頷いた。

山崎は猫のマモルを見て言った。

「君も教育記録に載せるかい」

岩瀬が即答した。

「猫は入庫禁止です」

マモルは、まるで不服そうに鳴いた。

山崎が笑った。

「彼にも是正措置が必要だね」

山崎行政書士事務所に戻る車の中で、陽翔は言った。

「今回、怖かったですね。最初は盗難に見えました」

ゆいは頷いた。

「毒劇物は、数量差異だけで現場が一気に緊張します。だから、単位や換算根拠を曖昧にしてはいけません」

りえは、窓の外を見ながら言った。

「人も同じです。記録が曖昧だと、真面目な人ほど疑われる」

山崎は静かにうなずいた。

「台帳は、物を数えるためだけではない。人を守るためにもある」

事務所に戻ると、さくらが出迎えた。

「事件、解決しましたか?」

山崎は答えた。

「二十四キロが消えたと思ったら、比重の中に隠れていた」

さくらは真剣に考えた。

「おやつ台帳にも比重が必要ですか?」

陽翔が言った。

「ようかんは本数で十分です」

りえが珍しく笑った。

「ただし、単位欄は固定してください」

事務所に、穏やかな笑い声が広がった。

毒劇物台帳は、怖い紙だと思われがちだ。

でも本当は、現場を守る紙だ。

施錠を残す。表示を残す。譲渡を残す。教育を残す。数量を残す。単位を残す。誰が、いつ、何を、どれだけ動かしたかを残す。

そして、現場の勘を、誰でも確認できる証跡に変える。

笑わない倉庫番は、最後に一度だけ笑った。

その笑顔は、事件が解けたからではない。

自分が守ってきた倉庫を、これからは台帳も一緒に守ってくれるとわかったからだった。

作中の実務背景

確認日:2026年5月13日。

毒物及び劇物取締法は、毒物・劇物について保健衛生上の見地から必要な取締りを行うことを目的としています。同法は、毒物、劇物、特定毒物の定義を置き、販売・授与や販売等の目的での貯蔵・運搬・陳列には登録が必要となる場面を定めています。

毒劇物の譲渡については、毒物劇物営業者が毒物・劇物を販売または授与した際、名称・数量、年月日、譲受人の氏名等を記載する手続が示されています。国立医薬品食品衛生研究所の参照条文資料では、販売・授与時の必要事項を書面に記載し、5年間保存する義務が説明されています。

厚生労働省は、毒物及び劇物取締法に基づく登録等の申請について、専用の申請届出システムを用いた電磁的記録媒体による申請が可能である一方、紙による申請も従来どおり受け付けると案内しています。作中の「紙とExcelから証跡管理へ移す」という流れは、紙を否定するものではなく、記録の正確性・検索性・変更履歴を高めるための物語上の工夫です。

Azure上の証跡管理について、Microsoft Learnは、Azure Storageのイミュータブルストレージで時間ベース保持ポリシーやリーガルホールドを使えること、また監査ログにはユーザーID、コマンド種別、タイムスタンプ等が含まれることを説明しています。ただし、作中のような法令記録に使う場合は、設定だけで足りるとは限らず、原本性、保管期間、権限、紙記録との関係を個別に設計する必要があります。

Microsoft LearnのAzureセキュリティログ解説では、Azureのログには管理操作に関するActivity logsや、リソースの動作に関するAzure Resource logsがあり、問題調査や性能・保守性改善に役立つと説明されています。作中の陽翔が「変更者、変更時刻、承認者を残す」としたのは、このようなクラウド上の操作証跡を台帳運用に組み込む発想をフィクション化したものです。

 
 
 

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