波は言葉を持たず、それでも何かを伝えようと絶えず岸へ手を伸ばす。 その向こうに、白い山が在る。近づこうとせず、遠ざかろうともせず、ただ、在り続ける。 雲は低く、空は淡く、時間は輪郭を失って水面に溶ける。 船も声も見えないこの距離で、人は思い出す。急がなくてもいいこと、結論を出さなくても世界は崩れないこと。 波がひとつ砕けるたび、心の角も丸くなる。そして白い山は、今日も何も語らずにすべてを許している。
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