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草薙の朝、死体は母の味噌汁をすすった

 静岡市清水区草薙の朝は、いつも少しだけ甘い。

 駅前のパン屋から焼けた小麦の匂いが流れ、大学へ向かう学生たちの自転車のベルが、まだ眠たげな住宅街に軽く跳ねる。雨上がりの日には、濡れたアスファルトに空が反射して、遠くの雲の切れ間に富士山の白い肩が見えることもある。

 そんな何でもない朝が、私にとっては救いだった。

 私は星野灯。三十三歳。静岡県警の刑事で、二年前に清水署へ戻ってきた。

 戻ってきた理由は、母だった。

 母のよし江は、草薙駅から少し歩いた古い住宅街で、小さな惣菜屋を営んでいる。店名は「よし江のおかず」。看板は傾き、暖簾は日焼けしているが、朝の卵焼きと夕方のコロッケだけは、いまだに近所の人たちが買いに来る。

「灯、今日もちゃんと食べてる?」

 母は毎朝そう言う。

「刑事さんは腹が減ると顔が怖くなるんだから」

「もともと怖いんだよ」

「嘘。灯は泣き虫だった」

 そう言って母は笑う。

 その笑顔を見るたび、私は草薙に帰ってきてよかったと思った。

 その朝も、いつもと同じだった。

 五月の湿った風。台所で鳴る味噌汁の小さな沸騰音。豆腐、わかめ、刻んだねぎ。母は味噌を溶く時、必ず火を止める。父が生きていた頃からの癖だ。

 私は玄関で靴を履きながら、母に声をかけた。

「今日は早い事件がないといいけど」

「事件なんて、朝ごはんのあとで十分よ」

「そんな都合よくいかない」

「じゃあ、せめて味噌汁だけ飲んでいきなさい」

 私は苦笑して台所へ戻った。

 その瞬間、息が止まった。

 食卓に男が座っていた。

 背広姿の中年男。見覚えのない顔。灰色の髪をきっちり撫でつけ、膝を揃えて、まるで礼儀正しい客のように椅子に腰掛けている。

 男の前には、母の味噌汁が置かれていた。

 湯気はまだ立っていた。

 そして男は、死んでいた。

 目を開けたまま、口元だけが薄く笑っていた。箸を握った右手は不自然に固まり、左手の手のひらには赤い油性ペンで文字が書かれていた。

 ――おかえり、灯。

 母が背後で小さく呟いた。

「この人、朝ごはんを食べていくって言ったの」

 私は母を振り返った。

 母の顔は紙のように白かった。

「知らない人よ。でも……」

「でも?」

「灯の名前を知ってた」

 その瞬間、台所の窓の外で、カラスが一羽鳴いた。

 草薙の何でもない朝が、音を立てて裂けた。

     *

 男の身元はすぐに判明した。

 篠原亮吾。五十六歳。

 かつて清水区内で「東海高度知能開発センター」という民間教育施設を経営していた男だった。表向きは天才児を育成する研究機関。だが、二十年前に火災を起こし、閉鎖されている。

 死因は青酸系の毒物による急性中毒。

 母の味噌汁からは毒物は出なかった。箸にも、椀にも、台所にも痕跡はない。男はすでに毒を飲んだ状態で、母の家に現れたことになる。

 問題は、なぜ。

 そして、どうやって。

 母は証言した。

 朝六時四十分頃、店の勝手口を叩く音がした。開けると男が立っていた。顔色が悪く、ひどく汗をかいていた。

「星野灯さんのお母さんですね」

 そう言われた。

 母が頷くと、男は笑って言った。

「最後に、味噌汁を一杯いただけませんか」

 母は怪しみながらも、具合が悪そうな男を追い返せなかった。

 それが母だった。

 困っている人間を見捨てられない。空腹の人間に、食べ物を出さずにいられない。草薙で何十年も、そうやって生きてきた人だった。

 だが、その優しさは利用された。

 現場検証の最中、私のスマートフォンが鳴った。

 非通知。

 私は手袋を外さず、スピーカーにした。

『久しぶり、灯』

 男の声だった。

 若い。落ち着いている。感情がないのに、どこか懐かしい。

『覚えてる? 草薙の坂道。夏祭りの綿あめ。君のお母さんの味噌汁』

 私は凍りついた。

「誰」

『黒瀬創』

 その名前を聞いた瞬間、胸の奥で、二十年前の火災報知器が鳴った。

 黒瀬創。

 小学生の頃、私の近所に住んでいた少年だ。

 計算が異常に早く、見たものを一度で覚え、人の嘘を表情だけで見抜いた。大人たちは彼を「天才」と呼んだ。東海高度知能開発センターに通い、全国模試で満点を取り続けた。

 でも私は、彼のことを天才だとは思っていなかった。

 ただの創ちゃんだった。

 うちに来て、母の味噌汁を飲んで、豆腐を箸で小さく割ってから食べる子。雨の日には必ず遠回りして、踏切近くの野良猫に傘を差す子。

 二十年前、センターの火災のあと、創は行方不明になった。

 生きているとは思わなかった。

『今日の事件は始まりにすぎない』

 電話の向こうで、創の声が淡々と続いた。

『篠原亮吾は死んだ。でも、草薙はまだ死んでいない。午前十時までに、君が犯人を見つけられなければ、次は君のお母さんが“朝ごはん”になる』

「創、どこにいる」

『君ならわかる。だって僕は、君の記憶だけでこの町を設計した』

 通話が切れた。

 同時に、母が膝から崩れ落ちた。

     *

 署の相棒である白鳥刑事は、現場の床にしゃがみ込み、首をひねった。

「星野、これ、普通の殺しじゃないぞ」

「わかってる」

「死体をわざわざお前の実家に運ぶ意味がない。いや、運んだ形跡もない。被害者が自分で来た。だが、毒を飲んだ人間が、そんな正確に歩けるか?」

「飲まされたあと、時間差があった」

「つまり犯人は、被害者がここにたどり着くことまで計算していた」

 白鳥さんは、眉間に皺を寄せた。

「嫌な話だ。人の行動を将棋の駒みたいに読んでやがる」

 その時、鑑識が声を上げた。

「星野さん、これ」

 篠原の靴底に、薄い紙片が挟まっていた。

 レシートだった。

 草薙駅前の小さなスーパー。購入品は、豆腐、ねぎ、乾燥わかめ。

 時刻は、午前六時十二分。

 裏には、細い字でこう書かれていた。

 ――一杯目は母の優しさ。二杯目は町の親切。三杯目は君の嘘。

 私は紙片を握りしめた。

 創の字ではなかった。

 だが、創なら書ける。

 誰の筆跡でも真似できる少年だった。

 午前七時三十一分。

 草薙駅前で、次の異変が起きた。

 駅前ロータリーにあるコインロッカーの一つが、突然開いた。中には古いカセットテープと、小さな赤い靴が入っていた。

 赤い靴。

 私はそれを見た瞬間、胃の奥が捻れた。

 二十年前、火災で死んだ女の子がいた。

 名前は真央。

 創と同じセンターに通っていた、いつも赤い靴を履いていた子。

 創は真央を妹のように可愛がっていた。私も三人でよく遊んだ。母の店の裏で、かくれんぼをして、綿あめを分け合って、味噌汁を飲んだ。

 真央は火災で死んだ。

 創は消えた。

 その日から、私たちの草薙は少しだけ暗くなった。

 カセットを再生すると、子どもの声が流れた。

『あかりちゃん、鬼はまだいるよ』

 真央の声だった。

 背筋が氷の棒でなぞられたように冷えた。

 白鳥さんが低く言った。

「作り物か?」

「違う」

 私は即答した。

「この声は、真央」

 テープの最後に、別の声が入っていた。

 創の声だった。

『灯、篠原は犯人じゃない。犯人は、優しい人間を選ぶ。君のお母さんみたいな人をね』

 私はそこで気づいた。

 電話の声と、テープの声が微妙に違う。

 電話の声は創に似ていた。

 だが、テープの声は本物だった。

 鼻にかかった柔らかい響き。言葉の最後をほんの少し飲み込む癖。私が知っている創そのものだった。

 ならば、電話の相手は誰だ。

     *

 犯人は天才だった。

 ただ頭がいいのではない。

 人間の善意を読み切っていた。

 篠原は午前六時十二分にスーパーで豆腐を買った。その時、レジの女性は、顔色の悪い篠原に「大丈夫ですか」と声をかけた。

 六時十八分、篠原は横断歩道でふらついた。通学途中の高校生が肩を貸した。

 六時二十六分、駅前で落とした財布を、パン屋の主人が拾って渡した。

 六時三十四分、母の店の前でしゃがみ込んだ篠原に、近所の老人が「ここなら味噌汁くらい出してくれるよ」と勝手口を教えた。

 親切。

 善意。

 草薙の何気ない温かさ。

 犯人はそれを、一本の刃にしていた。

 誰も悪くない。

 なのに、全員が事件の一部になっている。

 私はぞっとした。

 人が人を助ける町だからこそ、犯人は篠原を母の台所まで歩かせられたのだ。

 白鳥さんが言った。

「この犯人、人間を信用してないな」

「違う」

 私は首を振った。

「信用してる。だから怖いんです。誰がどう親切にするか、全部信じて計算してる」

 午前八時四十七分。

 母が消えた。

 現場保全のために母を近所の休憩所へ移していた。警官が二人ついていた。ほんの三分、聞き込みのために入口を離れた隙だった。

 椅子の上に、母の割烹着だけが残されていた。

 ポケットには、紙片。

 ――三杯目は君の嘘。

 私は怒りで視界が白くなった。

 創だろうが、誰だろうが、許さない。

 その時、母の割烹着の縫い目に、違和感を覚えた。

 糸が一本、ほどけている。

 母は裁縫が得意だ。そんな粗い縫い方をするはずがない。

 私は糸をほどいた。

 中から、小さく折られた紙が出てきた。

 母の字だった。

 ――灯、あの人は篠原さんじゃない。創ちゃんよ。

 息が止まった。

 私はもう一度、現場写真を見た。

 食卓で死んでいた男。

 篠原亮吾の身分証。

 灰色の髪。

 整った顔。

 だが、箸を握る右手の親指に、薄い傷跡があった。

 小学生の頃、創は包丁で親指を切ったことがある。

 母の店で手伝おうとして、豆腐を切ろうとして、母に叱られた。

「豆腐は手で崩せばいいのよ。包丁なんていらない」

 それ以来、創は味噌汁の豆腐を箸で小さく割るようになった。

 食卓の死体の椀を思い出す。

 豆腐が、すべて小さく割られていた。

 死んでいたのは、篠原ではない。

 黒瀬創だった。

 では篠原亮吾は、どこにいる。

     *

 答えは、草薙の古い記憶の中にあった。

 東海高度知能開発センター。

 二十年前に火災で閉鎖された建物は、いまは取り壊され、跡地に小さな駐車場ができている。だが、白鳥さんが古い図面を洗い直したところ、地下に未届けの実験室があったことがわかった。

 入り口は、駐車場の隣に残る廃倉庫の床下。

 午前九時五十二分。

 私たちはそこへ向かった。

 草薙の住宅街は、普段通りだった。

 洗濯物が揺れている。老人が犬を散歩させている。学生たちが講義に遅れまいと走っている。惣菜屋のシャッターには、母が毎朝書く小さな黒板がぶら下がっていた。

 本日のおかず 卵焼き ひじき煮 コロッケ 味噌汁あります

 その文字を見た瞬間、胸が痛くなった。

 母は人を疑わない。

 だから傷つく。

 だから強い。

 倉庫の床板を剥がすと、鉄の階段があった。

 地下へ降りると、空気が変わった。

 湿ったコンクリート。古い薬品の匂い。壁には、子どもの手形のような汚れがいくつも残っていた。

 奥の部屋に、母がいた。

 椅子に縛られていたが、意識はある。

「灯!」

 私は駆け寄ろうとした。

 その瞬間、スピーカーから声が響いた。

『動けば、お母さんの椅子に電流が流れる』

 電話の声。

 創に似せた、冷たい声。

 部屋の奥に男が立っていた。

 灰色の髪。整った顔。死体の顔とほとんど同じ。

 篠原亮吾。

 いや、顔を変えていたのは創の方だったのかもしれない。

 篠原は微笑んだ。

「久しぶりだね、星野灯さん」

「創を殺したのは、あなた」

「殺した? 彼は実験体だ。優秀な素材だった。逃げ出して二十年、私の研究データを盗み、復讐ごっこに人生を費やした。哀れだよ」

「真央も、あなたが殺したの」

 篠原は笑った。

「死因は火災だ。記録にある」

「記録はあなたが作った」

 私の声は震えていた。

 怒りではない。

 悔しさだった。

 二十年前、私は子どもだった。何も知らなかった。創が消えた理由も、真央が泣いていた理由も、母があの日から夜中に何度も目を覚ます理由も。

 篠原は壁の棚から、一冊のファイルを取り出した。

「君たちはいつも感情で物を見る。だから愚かだ。知能とは、予測だ。支配だ。人間が次に何をするかを読み、その通りに動かす力だ」

 篠原の目は、人間を見る目ではなかった。

 盤上の駒を見る目だった。

「黒瀬創は私を告発しようとした。だが、彼もまた予測できる人間だった。死に場所に君の母親の台所を選ぶことも、君が怒りで地下へ来ることも、すべてね」

「違う」

 私は言った。

「創はあなたを読んだんです」

 篠原の眉が動いた。

 私はポケットから、母の割烹着に隠されていた紙を出した。

 そこには母の字で書かれていた。

 ――あの人は篠原さんじゃない。創ちゃんよ。

 そして裏に、もう一文。

 母の字ではない。

 創の字だった。

 ――灯は、母さんの字なら必ず見る。篠原はそこまで読めない。あいつは愛を統計に入れない。

 篠原の顔から笑みが消えた。

 その時、地下室の入口の方で物音がした。

 白鳥さんではない。

 パン屋の主人。スーパーのレジの女性。財布を拾った老人。通学途中だった高校生。近所の人たちが、次々に降りてきた。

 母が誘拐される直前、割烹着の中に隠していた紙を、私は読み終えたあと、外へ出る若い警官に渡していた。

 そこには、こう書かれていた。

 ――灯、困った時は町に頼りなさい。草薙は、あんた一人の町じゃない。

 篠原は怯えたように後ずさった。

「馬鹿な。警察が民間人を入れるはずがない」

 白鳥さんが低く笑った。

「入れたんじゃない。止められなかったんだよ。全員、お前に利用された人たちだ。自分の親切を殺人の道具にされたって知って、黙っていられる町じゃない」

 篠原は机の上の装置に手を伸ばした。

 私は走った。

 計算では、間に合わない距離だった。

 でもその時、母が椅子ごと身体を倒した。

 篠原の足元にぶつかる。

 母は縛られたまま、叫んだ。

「灯!」

 私は篠原の手首を掴んだ。

 彼は細かった。

 驚くほど、脆かった。

 知能で人を支配してきた男の身体は、誰かを抱きしめることも、誰かに支えられることも知らないみたいに軽かった。

 私は篠原を床に押さえつけた。

「篠原亮吾。殺人および誘拐の容疑で逮捕します」

 篠原は私を睨み、唇を震わせた。

「私は最大の知能を持つ人間だぞ」

 母が、床に転がったまま言った。

「だったら、お味噌汁くらい自分で作れるようになりなさい」

 地下室に、誰かの泣き笑いが漏れた。

 私はその瞬間、初めて息をした。

     *

 創の遺体は、正式に黒瀬創として確認された。

 彼は二十年間、篠原を追っていた。

 火災の夜、真央は実験中に閉じ込められた。篠原は証拠を消すため火を放ち、創は真央を助けようとして失敗した。重傷を負った創は、篠原の協力者によって死亡扱いにされ、その後、施設から逃げた。

 創は復讐のために生きた。

 だが最後に選んだ場所は、母の台所だった。

 篠原に毒を盛られ、死が迫る中、創は自分の顔を篠原に似せたまま、草薙へ戻ってきた。自分の死体を篠原の死体に見せかけることで、事件を動かし、私に真実を追わせるために。

 そして、母に味噌汁を頼んだ。

 最後に帰る場所として。

 母はしばらく店を閉めた。

 けれど一週間後、何もなかったみたいに暖簾を出した。

 本日のおかず 卵焼き ひじき煮 コロッケ 味噌汁あります

 私は仕事帰りに店へ寄った。

 カウンターには、味噌汁が二つ並んでいた。

「誰か来るの?」

 母は首を振った。

「ひとつは創ちゃんの分」

「母さん」

「死んだ人にごはんを出したっていいでしょう。お腹が空いてるかもしれない」

 私は何も言えなかった。

 母は椀の中の豆腐を見つめ、そっと箸で小さく割った。

「創ちゃん、昔からこうして食べてたね」

 その声があまりに優しくて、胸が裂けそうになった。

 私は創の遺品の中にあった封筒を、母に渡した。

 表には、私の名前が書かれていた。

 中には一枚の紙。

 創の字だった。

 ――灯へ。

 ――僕は天才なんかじゃなかった。 ――二十年かけても、真央を助けられなかった。 ――篠原を止めるのにも、君と、君のお母さんと、草薙のみんなの力が必要だった。 ――最大の知能が何か、最後にわかった。 ――それは人を読む力じゃない。 ――人を信じて、予測できない未来を一緒に作る力だ。

 紙の最後に、小さな文字があった。

 ――おばさんの味噌汁、やっぱり世界一でした。

 母は泣かなかった。

 ただ、創の分の椀を両手で包んだ。

「冷めちゃうね」

 私は頷いた。

「うん」

 外では草薙の夕方が、いつも通りに暮れていた。

 駅へ向かう学生たちの声。自転車のベル。遠くで犬が吠える音。惣菜屋の前を通りかかった老人が、母に手を振った。

「よし江さん、コロッケまだある?」

「ありますよ」

 母は涙を拭き、いつもの声で答えた。

 私はその背中を見つめた。

 この町の優しさは、一度、殺人の刃に変えられた。

 けれど、それでも人は誰かに声をかける。

 大丈夫ですか、と。

 お腹空いてませんか、と。

 帰っておいで、と。

 恐ろしいのは、犯人の知能ではなかった。

 人の善意が悪意に利用されることだった。

 そして、もっと恐ろしいほど鮮烈だったのは――それでも善意が死なないことだった。

 母が味噌汁をよそった。

 湯気が立つ。

 私は椀を受け取り、そっと呟いた。

「ただいま」

 母は笑った。

「おかえり、灯」

 その夜、草薙の町は静かだった。

 けれど私は知っている。

 この静けさの底には、二十年分の叫びと、ひと椀分の温かさが沈んでいる。

 そしてその温かさこそが、どんな天才の計算よりも、深く、鋭く、恐ろしい真実だった。

 
 
 

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