top of page

護衛艦隊奮戦記

  • 山崎行政書士事務所
  • 1月19日
  • 読了時間: 11分

第一章:波間にきらめく決意

遠く、南海の空がわずかに曇っていた。二〇XX年、沖縄が中国軍の手によって事実上占領されつつある――その報せが国中を震撼させた。日本政府は遂に沖縄奪還の大規模作戦を決断し、海上自衛隊の艦隊を総動員する。そのなかに、**護衛艦「いずも」**があった。元々ヘリ搭載護衛艦として設計されたが、いまは短期改修を経て戦闘ヘリとF-35Bを若干数運用できる“軽空母的存在”となっている。**西村 慎太郎(にしむら しんたろう)は若き士官として、いずもに配属されたばかり。まだ二十代後半の青年ながら、清冽な眼差しを携え、人生を賭ける戦いの始まりを感じていた。彼は艦橋の隅で海図に目を落としながら、「もし沖縄が完全に落ちれば、この国は一気に崩れるかもしれない…」**と脳裏で思い、拳をそっと握った。

第二章:作戦会議と艦の出撃

いずもを中心とした護衛艦隊は計6隻。うち2隻が最新のイージス艦、他は対潜・対空任務の汎用護衛艦など。各艦が横須賀・佐世保から急速に集結し、「沖縄奪還先遣艦隊」として海へ繰り出す。飛行甲板でのブリーフィング。隊司令・有馬一佐が、隊員を前に厳粛な声で語る。「我々は沖縄近海に進出し、中国海軍の封鎖艦隊を突破。上陸部隊を送り込み、同時に空からの支援も行う。敵の戦力は圧倒的だが、逃げれば国は潰える。**“誇り”**を胸に、戦わねばならない!」西村は整列した隊員の一人として、その言葉を深く胸に刻む。背後には艦の煙突から昇るわずかな排気が見え、天を薄く曇らせている。彼は心底から、この船と運命を共にすると覚悟した。

第三章:海原を駆ける艦隊

艦隊は数日かけて沖縄南西海域へと向かう。航行中、空母型の「いずも」では戦闘ヘリやF-35B短距離離陸機が発着訓練を繰り返す。その轟音が甲板を震わせるたび、西村の胸は高鳴る。一方で、敵がすでにこの近海を制海しようと動いているという偵察報告が相次ぐ。中国海軍はミサイル駆逐艦・護衛艦・潜水艦など多数を投入し、空母グループまでも控えているという噂。艦橋では隊司令の有馬と各艦長が通信リンクで随時会議。「我々は少数だ。だが統合運用の利点で穴を突き、沖縄沿岸へ上陸部隊を届ける。それが最初の目標」西村は副官として会議記録を取るなか、**「圧倒的火力差…だが、我々には祖国を背負う崇高な意志がある」**と自らに言い聞かせる。ここに“美意識”が垣間見える。

第四章:初戦闘—ミサイル戦

(戦闘シーン詳細)

  • 状況: 沖縄本島北西150海里。夜間。 敵駆逐艦群が巡回し、潜水艦も潜伏しているという情報。

  • 我が艦隊: いずも(旗艦)+イージス艦「たちばな」+汎用護衛艦4隻。

  • 戦闘開幕:

    1. ソナーで敵潜水艦音紋を捕捉。「敵魚雷発射の可能性!」というオペレーターの声。 いずもは高速回避、汎用艦の1隻が対潜ヘリを発進させる。

    2. さらに敵駆逐艦2隻がこちらを発見し、対艦ミサイルを多数発射。 レーダーに複数の脅威が映り、イージス艦「たちばな」の対空ミサイルシステムがフル稼働。 「SM-2発射! CIWS準備!」

    3. 闇夜を閃光が走り、ミサイル同士が空中で激突。 水上に火球と爆音が連鎖し、激しく海面が揺れる。1発が汎用艦「しらぬい」にかすり、甲板上で爆発。火柱が上がり、艦橋にダメージ。

  • いずもの役割: いずもから発進したF-35B数機が夜間攻撃を試み、敵駆逐艦に対艦ミサイルを投下。 敵は弾幕を放ち、迎撃しようとするが、1発が敵艦に命中し甲板を炎上させる。

  • 魚雷回避: 敵潜水艦の魚雷が我が艦隊に接近。 汎用艦が急旋回、音響デコイを散布して魚雷を誘導し、爆発が尾を引くように白い水柱を立てる。

  • 終了: 10分足らずの集中戦闘で、我が艦隊は1隻中破、敵駆逐艦を大破させたが、戦力消耗は大きい。とりあえず敵の外周警戒を突破。だが先には更なる主力艦隊が待つ……。

西村の心は「わずかこれだけで、もうこんな被害か…」と重く、かつ「これからが本番」と思うと身体が震える。

第五章:仲間たちの絆と犠牲

いずもではミサイル被弾こそ免れたが、揺れによる機材落下などで死傷者が出る。 医務室で青年隊員が「ごめんなさい…戦えず倒れて…」と涙を浮かべるが、西村はその肩を叩き「お前が生きていること自体が戦っている証だ」と励ます。艦内には根強い武士道的な誇りが満ちる。“死の美学”を感じながらも、兵士は「生きて次の世代に未来を残そう」という意志を抱いている。しかし、この後もっと大きな試練が来るだろう。その前に西村たちは一瞬だけ夜空を仰ぎ、星が曇る姿に**“滅び”**を連想してしまう。だがすぐに精神を引き締め、艦橋に戻って任務を続行。

第六章:総力海戦 — 護衛艦隊の死闘

場所:沖縄本島沿岸まであと100海里中国海軍の主力艦隊が広大な海域に展開し、島を守りきるためには、いずもを旗艦とする海上自衛隊の護衛艦隊がこの“死闘”を避けることはできない。そこには大型駆逐艦、フリゲート、潜水艦、さらには空母艦載機までを運用する、中国側の圧倒的戦力が待ち受けていた。

一方、日本の艦隊は**「いずも」**(軽空母運用が可能な護衛艦)と、イージス艦を含む汎用護衛艦4隻、すでに損傷艦あり。そこに海自航空隊のP-1哨戒機やF-2支援戦闘機が加勢する形だが、数の上では大きく劣勢。だが、今ここで引けば、沖縄奪還は不可能となり、南西諸島の失陥が確定する――指揮官も乗組員も、その重責を背負っての出撃だった。

開戦の火蓋

敵空母艦載機の襲来

昼前、空はどんよりと曇り、視界は良くない。索敵のP-1哨戒機から「敵空母艦隊が艦載機を大量発艦」という緊急報が届く。航空警戒をしていたF-2戦闘機群がそれを迎撃に向かうが、同時に敵の水上艦艇が複数の発射シグナルを捉えたという通信が、いずものCIC(戦闘指揮所)に入り、警報音が甲板と艦内に鳴り渡る。

「敵がこちらに対艦ミサイルを…多数発射!」管制オペレーターの声が強張っている。画面には十数発のミサイルが多数の軌道を描き、まるで雨のように迫るイメージが表示されている。いずも艦長がすかさず発令。「イージス艦『たちばな』、対空ミサイルでの迎撃を最優先せよ! 全艦CIWS起動!」

イージス艦の迎撃

「たちばな」は最も先頭に位置し、SPY-1レーダーとVLS(垂直発射装置)からSM-2・SM-3を次々と発射。いずもも、近接防空ミサイルRIM-162などを用い、防空体制を張る。艦上では赤いインジケーターが点滅する中、「発射カウントダウン!」という叫びが響く。ミサイルが白煙を引きながら空へと飛び立ち、一瞬で夜を裂く閃光となる。空中での迎撃が複数成功し、ミサイル同士の衝突で生じた閃光爆発音が連鎖的に光の花を咲かせる。海面には破片が鋭い雨となって落ち、白波を散らしている。

だが、十数発のミサイルすべてを完璧に落とすのは困難。「1発、2発…突破だ!」オペレーターが絶叫する。対艦ミサイルの一部が汎用護衛艦を襲い、そのうち1隻に直撃。大きな爆音が艦の甲板から噴き上がり、巨大な火柱と黒煙が高々と舞い上がる。乗組員が呆然とする声が無線越しに響く。「くそっ…沈む…助けて…!」しかし艦隊に“助けに行く余力”はない。すでに全艦が次々と襲来する波状攻撃へ対応しなければならず、火花やスパークを上げる同僚艦を見捨てざるを得ない、惨い現実がそこにあった。

いずものカウンターアタック

一連の防空戦で混乱するなか、いずも艦長が決断を下す。「敵艦隊への反撃を開始! F-35B、発進用意!」格納庫からF-35Bがエレベーターで甲板へ移され、急いで兵装を装備。 整備員が手信号でGOサインを送り、ジェットの咆哮が飛行甲板を震わせる。次の瞬間、F-35BがSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)モードで加速し、甲板から滑り出しながら大空へ。パイロットたちは無線で「目標、中国駆逐艦群。各自ミサイル装填済み、これより突入」と報告。洋上を飛行する姿はまるで矢のように鋭い。

戦闘ヘリとの連携

いずもの後方では対潜ヘリが潜水艦の脅威を警戒。ソナーを投下し、水中にいる敵潜水艦を探る。 深度数百メートルの海底付近を探知し、魚雷を備えるが、敵潜水艦も容易に姿を出さない。 海と空の両面戦が続く。

ミサイルの一撃

F-35Bが敵駆逐艦に接近し、対艦ミサイルを投下。 軌道修正しながら海面近くを超低空で飛ぶミサイルが艦橋へ命中した時、視界には大きな火球が上がり、艦の甲板付近が破壊される映像が艦橋モニタに映る。乗員から「やった!」と一瞬の歓声。しかし、成功も束の間、空母艦載機からの反撃が始まる。 中国軍のJ-15(仮想)がいずもを捉え、対艦ミサイルを複数放つ。

イージス艦の奮戦と被弾

イージス艦が再び防空モードをフル稼働。「SM-2発射、SM-2発射! CIWSも起動!」ミサイルが交錯し、夜空に閃光を幾重にも走らせる。複数のJ-15ミサイルを落とすが、すべてを阻止できず、1発がいずもの船体中央付近へ直撃する。轟音が艦を上下に振動させ、甲板が裂け、艦橋は激しい震動でモニタが落下。電源が瞬断し、CICは一時的に暗闇に包まれる。「浸水します! 電源系統ダウン!」オペレーターが声を上げ、無線越しに他艦が「いずも、応答を…」と呼びかける。西村らは火花散るブリッジで息を呑み、黒煙に咳き込みながら「こんな…ここで沈むのか?」と恐れを抱く。しかし艦長や幹部が「修理班、浸水隔壁を閉鎖せよ! 予備系統で戦闘を継続!」と指示し、士気を取り戻す。

接近戦: 海面の烈火

さらに敵艦隊は至近まで接近し、相互に主砲やCIWSによる射撃が可能な距離へ。 まさに“接近戦”の死闘となる。

  • 汎用護衛艦が主砲射撃を開始。 派手な火花が海面を照らし、砲弾が敵フリゲートに命中。大きな爆発と水柱を起こし、敵艦のマストが折れ沈み始める。

  • しかしこちらも複数の船が被弾し、甲板が赤々と燃える。彷徨う火の粉が艦内に舞い込み、乗員が「消火ホース! 急げ!」と走り回る。

  • 敵駆逐艦の砲弾がさらにイージス艦に着弾し、艦橋が吹き飛ぶシーンを隣艦から目撃。「我が艦も…もうもたない」と囁く声が震えている。

海面は烈火と化し、爆発音が10分以上も途切れない。艦が次々に大破・沈没し、絶叫や通信の断末魔が交錯する。 その様子をいずもの艦橋から西村は見つめ、唇を噛みしめる。**「この犠牲に意味があるのか…」**しかし、それが“祖国奪還”のための道なら、逃げられないと自分に言い聞かす。

いずもの全火力放出

艦内放送が不明瞭な雑音混じりに響く。「艦中央部のダメージ激甚、主砲系統が半壊…しかし対艦ミサイルはまだ発射可能…」艦長が「よし、全弾ぶち込め! 敵艦一隻でも沈めば、沖縄への道が開ける!」と命じ、 西村が発射手順を確認。 残ったミサイル数本と主砲のラスト砲弾を同時に発射する。**「撃てえぇ!」**艦橋が揺れるほどの衝撃。 ミサイルが甲板から噴出す白煙の尾を引き、海面を低空で一直線に進む。 その軌跡を見守るクルーは息を止め、ただ無線とレーダーを注視。

数秒後、敵駆逐艦の船体中央付近に**ドカン!**という激裂音。 船体が炎に包まれ、装甲が崩れ落ちるのが望見される。 「命中だ!」誰かが叫ぶが、同時にもう1発の敵ミサイルがいずもの艦後部に命中し、巨大な爆炎が噴き上がる。

第七章:艦の被弾と決死行

いずもは数ヶ所が大破し火災が拡大。 乗員が大勢倒れ、甲板が斜めに傾き、艦体浸水が始まっている。 西村は舷側を手摺りで掴みながら呼吸を整え、「…もうこれ以上は…」と声を失いそう。だが隊司令の有馬がまだ健在。「西村、まだあの敵旗艦が残っている。これを沈めねば上陸作戦は不可能だ…やってくれるか?」西村は瞳を燃やす。「承知しました。残りのミサイルを使って…」操舵室は煙に巻かれ、また1人が絶命し意識を失う者が多い。しかし生存者は互いに励まし合い、**“日本の護衛艦隊としての誇り”**を胸にラストアタックへ向かう。

第八章:壮絶な結末

(最終戦闘シーン)

  • 作戦: いずもは自らを囮にして敵旗艦(駆逐艦)の注意を引き、残る汎用艦がサイドから魚雷を仕掛ける。 だが汎用艦もボロボロ、成功率は低い。

  • 戦闘:

    1. いずもが被炎上状態で近距離まで接近し、艦砲もミサイルもわずかに残る兵装を放出。敵は反撃の嵐。 CIWSや砲撃を受け、いずもの上甲板が大きく裂ける。 風が火を煽り、青空が橙色に染まる。

    2. その間に汎用艦が魚雷発射。 1発は撃墜されるが、もう1発が敵艦の船底に命中。ドゥオンと凄まじい爆音が海を震わし、敵駆逐艦が爆発炎上。

    3. 敵艦が沈下していくのを確認し、いずも側にも安堵が一瞬漂うが、直後に敵艦が放った最後のミサイルがいずもの艦橋を捉える。

    4. 凄絶な閃光と衝撃波が艦を貫き、西村は床に叩きつけられ、周囲は炎と煙に包まれる。 体が熱と衝撃で感覚を失いかけ、視界は血の色が混ざる。

  • 散りゆくいずも:

    1. 船体が折れ、水面下へ急速に浸水。 クルーが次々と海へ逃げるが、死亡者多数。

    2. 西村はブリッジの残骸の中で意識朦朧ながら「俺は…この艦と共に…」と呟く。

    3. 水が勢いよく流れ込み、艦橋壁が崩れ、外の海がドッと入り込む。音もなく、いずもの残骸がまるで巨大な悲鳴を上げるかのように沈んでいく。

    4. 水が胸元まで達したとき、西村はふと微笑む。「ここまでが、俺の務め…国を守るための…」 そうして彼は海へ没する。艦橋外の青い海が赤く染まり、視界が泡に覆われていく。

エピローグ:烈火の海のあと

戦闘は極めて苛烈であったが、いずもと僚艦の献身で、中国艦隊は大損害を被り封鎖が弱体化。 上陸作戦が実行され、沖縄奪還への足掛かりが築かれた。 しかし数多くの艦と乗員が海に沈み、失われた命が大きい。僅かに生還したクルーらが泣きながら見たのは、炎と漂う瓦礫が散らばる海面。そこに微かに残るいずものマストが、波間に沈む様だった。後に、沖縄奪還の成否はどうあれ、この海戦で散った若者たちの死は“日本の魂を再び覚醒させた”として語られる。だが、それは壮絶かつ悲劇的な代償を伴うものだった。“彼らは烈火の海に消え、その燃え上がる生の最後に、国を守るという意志の崇高さを示した”――そう記すだろう。

—了—

 
 
 

コメント


bottom of page