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選択的夫婦別姓に反対する——「家」を最小単位に据えた国家再設計

序——「個の絶対化」が少子化と伝統崩壊を連鎖させる

この数十年、日本の公共哲学は「個人の自由」の拡張を至上命題としてきた。自由そのものは尊い。しかし、自由の土台となる共同体(=家族)の設計を空洞化させた結果、婚姻は痩せ、出生は細り、介護と看取りは孤立化し、文化と技術の継承は断片化した。家族は「たまたま同居する個人の集合」ではない。祖先から受け継いだ名(氏)と責務、そして次世代への継承意思を束ねる日本最小の「統治単位」である。国が強くなる前に、まず家が強くならねばならない。

本稿は、次の三点を国家基本方針として提起する。

  1. 選択的夫婦別姓に反対——法的主体の「氏」を分断せず、夫婦同姓の骨格を堅持する。

  2. 戸籍+家系図(二層台帳)の公的整備——戸籍を近代化し、家系の知的・物的資本の継承を制度で支える。

  3. 子ども家庭庁を「家族省」に格上げ——出生から看取りまで、家族という最小単位を一気通貫で支援する。

これらは伝統への回帰ではない。行き過ぎた個人主義が生んだ機能不全を是正する、21世紀の制度設計である。

第一章 家族は「最小の安全保障単位」である

国家の強靭性は、GDPや装備だけでは測れない。災害・戦争・疫病という有事に、誰が誰を無条件で護り、物理・心理・知的資源を束ねられるかで決まる。最も反応が速く、摩擦損失が小さい単位は「家族」だ。

  • 物資の再配分:食料・住まい・貯蓄・人的労力が最短距離で動く。

  • 情報の信頼:血縁・姻戚ネットワークはフェイクに強い。

  • 継承の確実性:家業・技能・家訓・墓所・神仏・地域の結節点。

国防・治安・防災・社会保障は、家族が強固であるほど費用対効果が上がる。ゆえに家族の結束を弱める制度は、国家安全保障の観点から再検討すべきである。

第二章 日本の「氏・戸籍・家」の合理

明治民法は「家」を社会の骨格として可視化した。戦後、家制度の権能は整理されたが、戸籍と氏の一体性は維持され、家族の結束に資する「共通の記号」を残した。氏は単なるラベルではない。呼称は帰属を生む。帰属は責任を生む。責任は継承を生む。 氏の分断は、結果として帰属・責任・継承を希薄化させる。

第三章 選択的夫婦別姓「選択制」という名の制度改変に反対する

推進論は「選ぶだけで強制ではない」と言う。だが、一度制度化されれば行政・教育・医療・金融・相続など社会の標準仕様が“別姓前提”に更新され、やがて別姓が新しい同調圧力となる。反対理由は五つ。

  1. 家族の一体性が象徴面で崩れる親子・兄弟で氏が分岐すれば、直感的帰属の手がかりが薄れ、家族内の「当然の互助」が交渉化・契約化する。

  2. 社会のトラストコストが上昇同一世帯の関係認定が複雑化し、窓口・校務・医療・保険・相続の確認工数が恒常的に増える。その費用は最終的に国民の時間と税で支払われる。

  3. 継承のハブが鈍る家名は墓・家業・家訓・不動産・文化資産と結びつく。氏の分断は家の系統を曖昧にし、知的・物的・精神的資本の連続性を損なう。

  4. 学校・地域での分断を持ち込む名簿・連絡網・防災名簿などの設計が煩雑化し、緊急時の応答性を落とす。現場は疲弊し、肝心の子どもにしわ寄せが行く。

  5. 次世代の出生意思に影響「家」より「個」を優越させる規範は、婚姻・出産の意思決定の閾値を引き上げる。少子化対策と逆行する。

付言:職業・研究・芸能における旧姓(通称)使用の全面自由化で、実務不便は解消可能。法的主体の氏を動かさず、実務側を賢く直すのが正道である。

第四章 戸籍+家系図(二層台帳)の創設

骨格は維持・中身は近代化。戸籍をデジタル基盤として強化し、家系台帳を公的オプション化する。

  • 戸籍の近代化

    • 本氏(法的氏)に加え、通称(旧姓)フィールドを標準実装。官民手続・金融・資格・論文・登記・電子署名にAPIで横断連携。

    • 親族関係・扶養関係の機械判読を可能にし、税・社保・教育・医療の自動認証を実現。

  • 家系台帳(公的家系図)

    • 任意登録で祖先情報・墓所・家紋・家訓・家業・信託を付帯。

    • 一族信託拡大家族契約(祖父母・叔伯・いとこを含む相互扶助契約)を法制化し、教育費・介護費・看取り・事業承継を家系で設計。

  • プライバシーと主権

    • 家系台帳は本人・家長・相続関係人に限定公開。学術・行政は匿名化データのみ参照可。情報主権は家に帰属。

第五章 子ども家庭庁を「家族省」に格上げ

名称だけでなく権限・予算・データ主権を統合し、出生から看取りまでの司令塔とする。

組織設計

  • 家族省(本省):政策立案、KPI管理、データ統合。

  • 家族局(出生・教育・結婚)相互扶助局(介護・看取り)家系継承局(相続・家業・文化)

  • 家族ステーション(全自治体):出生届→保育→就学→就業→結婚→出産→介護→看取り→相続を一窓口で。

三つの中核ミッション

  1. 出生・子育て完全支援:出産費・保育・就学前教育を一体給付、第二子以降の家賃減免・税控除の段階強化

  2. 結婚・住まい・仕事のペア設計夫婦ペア就労(交互育休・時間差勤務)、三世代近居を住宅優遇・交通補助で後押し。

  3. 介護・看取りの家族主導化:在宅医療・緩和ケアのチーム派遣、看取り休業給付の拡充、葬祭・相続のワンストップ。

第六章 家族を主語に据えた税・社保・労働・住宅の再設計

  1. 一族控除(仮称)家系台帳内で教育費・住宅取得・介護・看取りへの資金移転を大幅非課税/所得控除

  2. 家族企業の社会保険評価親族従事を被保険労働として評価、将来年金に反映。家業と育児・介護の両立を制度で肯定。

  3. 三世代同居・近居優遇増改築・二世帯化・バリアフリー化を固定資産税軽減+補助金遠隔地親族への交通割引を恒常化。

  4. 家族型働き方の制度化夫婦交互育休、学校長期休暇連動シフト、ペア在宅勤務枠を公共調達で優遇。企業の「家族適合性」をESGのGとして評価。

  5. 看取り・葬祭の公助拡充在宅看取りに関わる家族の所得補填を拡充、医療・宗教者・葬祭事業者の連携パッケージを家族省が提供。

  6. 家族文化の保護氏神・寺社・墓所・地縁団体への寄付を広く税優遇。地域の家族支援インフラを文化財的に守る。

第七章 法制の原則:夫婦同姓は堅持、通称は徹底自由化

  • 原則夫婦同姓(法氏)を維持。社会の共通言語としての「氏」を守る。

  • 運用:学術・実務・金融・登記等の旧姓(通称)併記を全面解禁。電子署名・研究者ID・資格台帳も同等効力。

  • 例外国際結婚・DV等の保護事案に限定した特例(非公開氏・仮氏名等)を整える。

  • 離婚・再婚:子の姓選択は子の福祉最優先。学校・医療・防災の連続性を阻害しない運用ガイドラインを法定化。

不便は手続の近代化で解消する。法的主体の氏を動かすのは最後の手段である。

第八章 反論への丁寧な回答

Q1. 自由の侵害では?A. 公法上の統一はトラストコスト最小化の規範。通称自由化で職業上の継続性は担保できる。自由は**土台(家)**があるほど広く安全に行使できる。

Q2. 少子化は経済要因では?A. 経済は重要だが、規範と制度が意思決定の閾値を形づくる。家族規範の強化は婚姻・出産の心理的固定費を下げる。

Q3. 多様性と矛盾しないか?A. 多様性は強い土台に根ざすほど持続可能。土台を溶かして個を裸にすることは、結果として弱者を脆弱化させる。

Q4. 旧姓通称では不便が残るA. だからこそ国家標準APIで通称を制度内に完全実装する。問題は氏ではなく時代遅れの帳票だ。

第九章 ロードマップとKPI(5年計画)

Year 1

  • 家族省準備室、戸籍API標準策定、家系台帳パイロット。

  • 旧姓通称の横断運用(金融・資格・登記・医療)を政省令で即時解禁

Year 2–3

  • 家族省発足、家族ステーション全国展開。

  • 一族控除・三世代住宅優遇・看取り給付を法制化。

  • 学校・医療・防災名簿の家族連携規格を統一。

Year 4–5

  • 家系台帳本格稼働、拡大家族契約・一族信託の普及。

  • KPI中間評価と制度微修正。

KPI

  • 合計特殊出生率:1.60→1.75→2.00(段階目標)

  • 婚姻件数:**年+5%**の持続回復

  • 三世代同居・近居率:+10pt/5年

  • 在宅看取り率:+15pt/10年

  • 旧姓通称の公的利用率:3年で90%

結語——「個に優しく、家に強い」国へ

行き過ぎた個人主義は、自由を広げたようでいて、孤立・少子化・継承断裂という重い代償を伴った。いま必要なのは、個を脅かすことではなく、個を守る「家」という鎧を磨き上げることだ。

  • 夫婦同姓の骨格を守る。

  • 戸籍+家系図の二層で継承を可視化する。

  • 家族省が出生から看取りまでを一窓口で支える。

  • 税・社保・住宅・労働を家族主語で再設計する。

家が強くなれば、国家は静かに、しかし確実に強くなる。これは懐古ではない。未来に通用する合理である。日本がもう一度、家から立ち上がるために——法と制度と文化の針を、家族の方角へと戻そう。

付録A:政策実装の要点(抜粋・箇条書き)

  • 法改正:民法(氏・親子)、戸籍法、住基法、所得税法・相続税法・地方税法、介護・医療関連法、個人情報保護法の家族主語整備

  • デジタル基盤:本氏・通称の二層ID、家族関係の検証可能クレデンシャル、家族APIの官民標準化。

  • 財源:少子高齢社会の逆コスト(孤立・無縁・無認知)を抑える効果で中期的に増収・節減。初期投資は防災・安保に準ずる国家プロジェクトとして位置づけ。

  • 人材:「家族ケースワーカー」「家系コンシェルジュ」「看取りコーディネータ」を資格化・常勤配置。


別巻:実装要綱・条文叩き台・財政試算・家族省設計・データ仕様

本続編は、前稿の理念・方針を「実務で動く形」に落とすための叩き台です。**保守的立場(家=最小の安全保障単位/選択的夫婦別姓に反対/行き過ぎた個人主義の是正)**を堅持しつつ、具体の制度・法・コスト・工程に踏み込みます。表現は政策設計者や実装担当者を想定した技術寄りの文体です。最終化にあたっては国会審議・憲法適合性審査・パブコメ等で精緻化する必要がある。

I. 法制パッケージ要綱(骨子)

1. 民法改正(氏・親子・相続関連)

  • 基本原則の再確認(新前文/総則)

    • 「家族は社会の基礎的単位であり、国家は家族の形成とその継承を支援する。」(宣言規定)

  • 夫婦同姓の堅持(第750条関係)

    • 文言整備:「婚姻の際、夫婦は**同一の氏(法氏)**を称する。」

    • 但書で通称(旧姓)の公的使用自由を明文化(法氏を変更しない範囲)。

  • 子の氏(第790条以下)

    • 「子の氏は親の法氏に従う。」例外は子の福祉最優先の家裁許可事由のみ。

    • 学校・医療・防災名簿等の連続性を阻害しない政令基準を付属(運用ガイド)。

  • 養子縁組・認知と氏

    • 養子・認知の氏移行の手続簡素化(家族APIで自動連携)。

  • 相続・家業承継

    • 遺留分侵害額請求の運用見直し(家業資産の分断抑制)。家族信託・一族信託の民法内位置づけを明確化。

2. 戸籍法改正(近代化+家系台帳)

  • 電子戸籍の完全化

    • 戸籍を原本電子へ(保存要件・真正性確保・改ざん検知ログ)。

    • 記載事項に通称(旧姓)・職業名・学名の任意フィールドを新設(横断連携前提)。

  • 家系台帳(新章)

    • 任意登録の公的家系図制度。祖先情報・家紋・墓所・家訓・家業・家族信託・扶養契約等のメタ情報を付帯。

    • 閲覧範囲:本人・家長・相続関係人・委任先。学術・統計は匿名加工情報のみ。

    • 家系台帳に連動した**「拡大家族契約」**(祖父母・叔伯等を含む)の公信力付与。

  • 認証・連携

    • 家族ID(後述)を戸籍レコードに付与。APIで税・社保・司法・教育・医療へ最小限連携

    • 閲覧の目的限定・最小化・トレーサビリティを法定。

3. 住民基本台帳法・マイナンバー法改正

  • 家族IDの創設

    • 住民票コードとマイナンバーに付随する世帯/家系の検証可能識別子(非公開)を新設。

    • 家族IDは公開不可・二次利用禁止、APIで家族関係の検証にのみ使用可。

  • 通称併記の標準化

    • 運転免許・健康保険証・年金手帳・資格台帳に旧姓(通称)併記を義務化。

    • 公共調達のIDベンダに通称対応を要件化。

4. 子ども家庭庁設置法改正 → 家族省設置法(新法)

  • 所掌:出生〜看取りまでの一貫支援、家系継承、家族データ統合、家族政策のKPI管理。

  • 移管:内閣府・厚労・文科・国交・総務の家族関連権限を段階移管。

  • 審議会:「家族倫理・家系継承審議会」を法定(学術・宗教・法律・医療・教育・IT・地域代表)。

5. 税法・社保法改正(家族主語化)

  • 一族控除(新設):教育費・住宅・介護・看取りの世代間移転非課税枠を大型化/恒久化。

  • 家族企業・家内労働の保険評価:親族従事労働を被保険労働として扱い、将来年金へ反映。

  • 三世代住宅優遇:固定資産税・登録免許税の軽減、増改築補助の恒久化。

  • 看取り休業給付:所得補填率・期間を拡充、在宅医療の家族チーム派遣を保険適用。

II. 家族省(Ministry of Family:MOFAM)設計

1. ミッションと原理

  • ミッション:「家族を最小単位として、出生・教育・就業・結婚・子育て・介護・看取り・相続の連続線を政策で守る。」

  • 原理

    1. 家族の自助を最大化、公助はテコ

    2. データは最小限・目的限定・追跡可能。

    3. 財政は予防に厚く(孤立・無縁・無保護の高コスト化を未然回避)。

2. 組織図(叩き台)

  • 大臣・副大臣・政務官

  • 事務次官・審議官

  • 三局一庁

    • 家族局(出生支援、保育・教育、結婚・住まい・就業)

    • 相互扶助局(介護、在宅医療・看取り、葬祭・相続支援)

    • 家系継承局(家系台帳、家業承継、文化・墓所・地縁支援)

    • データ・基盤庁(家族API、家族ID、プライバシー、監査)

  • 附属機関:家族倫理・家系継承審議会、家族KPI評価会議、家族プライバシー監察官(独任制)

3. 人員・移管(概数)

  • 本省約2,000–3,000人(関係省庁から段階移管・兼務)。

  • 地方家族ステーション:都道府県+市区町村に専任窓口(各自治体5–20名規模を段階整備)。

  • 既存の子ども家庭支援・介護連携チームを組織内包しダブりを解消。

※人員は新増員を最小化し、重複機能の統合で財源を捻出する前提。

4. KPI管理

  • 出生:TFR段階目標 1.60 → 1.75 → 2.00

  • 婚姻:年+5%

  • 三世代同居・近居:+10pt/5年

  • 在宅看取り率:+15pt/10年

  • 旧姓通称の公的利用率:3年で90%

  • 孤立死・虐待・無縁葬:▲50%/5年

III. データ基盤と家族API仕様(ドラフト)

1. コア概念(エンティティ)

  • Person:個人(本氏・通称・生体属性・資格等)

  • FamilyUnit:法的家族単位(戸籍と連携)

  • FamilyLineage:家系台帳(祖先・墓所・家訓・家業・信託)

  • Relationship:血縁・姻戚・扶養・拡大家族契約

  • Event:出生・婚姻・転居・養子・介護開始・看取り・相続などのライフイベント

  • Authorization:閲覧権限・委任・監査ログ

2. 主要エンドポイント(例)

  • POST /family-units 家族単位の作成(婚姻等)

  • GET /family-units/{id} 家族情報の取得(最小限マスク)

  • POST /lineage 家系台帳登録(任意・暗号化保管)

  • POST /relationships 拡大家族契約/一族信託の登録

  • GET /attestations/family-link 家族関係の検証可能クレデンシャル発行(JWS/JWT)

  • GET /audit/{token} 閲覧・提供の監査証跡取得

3. データ項目(最小セット)

  • Person

    • 本氏(漢字・カナ・ローマ)、名、生年月日、性別コード、住基コード、マイナンバー(非返却)

    • 通称(旧姓):任意複数、開始日、用途(学術/業務等)

  • FamilyUnit:家族ID、構成員一覧、家長、扶養関係

  • FamilyLineage:祖先リンク、墓所所在地、家紋、家訓(任意)、家業メタ、信託ID

  • 関係:関係種別(血縁/姻戚/扶養/契約)、開始・終了、証憑

4. セキュリティ設計

  • 認証:mTLS+OAuth2.1(FAPI準拠)/民間はeKYC必須

  • 暗号:保管JWE、転送TLS1.3、鍵管理はHSM

  • 分離:家族IDは復元不能ハッシュ、マイナンバーの派生トークンで代替

  • 監査:改ざん検知ログ(WORM保管)、アクセスは本人照会可能

  • 最小化:データは目的外利用不可、二次利用は家族省監察官の許可制

5. 失効と権利

  • Right to Inspect(閲覧権):本人・家長・委任先

  • Right to Challenge(訂正・異議):審査フローと期限を明記

  • Right to Be Forgotten(家系台帳の任意抹消):法定保存を除く

IV. 導入工程(5年ロードマップ詳細)

  1. 準備期(Year 1)

    • 家族省準備室、法案束の提出

    • 戸籍API標準・家族ID設計、パイロット3県(例:福井・岡山・宮崎)。

    • 旧姓通称の政省令改正で即時運用開始。

  2. 移行期1(Year 2)

    • 家族省発足。家族ステーションを都道府県全設置

    • 一族控除・三世代住宅優遇・看取り給付の法成立・施行

    • 戸籍の電子原本化スタート、家系台帳の試験運用

  3. 移行期2(Year 3)

    • 市区町村ステーション展開50%。

    • 学校・医療・防災名簿の家族連携規格を統一。

    • 家族API商用連携(金融・保険・司法書士・葬祭・宗教者)。

  4. 定着期(Year 4–5)

    • 全国展開完了、KPI中間評価

    • 調整法案・政令で運用の歪み是正

    • 在宅看取りと相続手続の完全ワンストップ化。

V. 財政・経済試算(概算レンジ)

ここに示す数値は概算レンジであり、詳細は財務省・デジ庁・総務省・法務省の精査を要します。狙いは「大きさの見当」と費用対効果の方向性です。

1. コスト(5年累計・概算)

  • デジタル基盤(戸籍電子化+家族API+監査)5,000–7,000億円

  • 家族ステーション整備(自治体)3,000–5,000億円

  • 税制優遇(静学的減収):年3,000–6,000億円(段階導入)

  • 看取り・在宅医療拡充(ネット上乗せ):年1,000–2,000億円

5年累計の総額感:約1.8–3.0兆円(制度定着後は投資逓減)

2. 便益(抑制・増収の方向)

  • 孤立死・無縁葬・虐待・長期入院の高コスト案件の抑制:年2,000–4,000億円相当の回避余地

  • 在宅看取り・介護の入院代替:年1,000–2,000億円の医療費抑制余地

  • 婚姻・出生の増加に伴う長期税基盤の拡大長期的増収(労働・消費・住宅投資)

  • 相続紛争・家業分断コストの低減:専門職・司法コストの削減

メッセージ:予防的投資で「高コストな孤立」を大幅に減らす。中期的には財政中立〜プラスの可能性。

VI. 合憲性・リスク管理

1. 合憲性の射程

  • 憲法13条(個人の尊重):通称自由化・特例保護により個の尊厳を確保。法氏は共通言語としての合理目的。

  • 憲法14条(平等):合理的区別(家族主語による社会コスト最小化)。差別的取扱いにならぬよう特例救済を整備。

  • 憲法24条(婚姻の自由・両性の平等):婚姻自由は不変。氏は家族秩序維持のルールとして正当化。通称自由で職業上の不利益を回避。

2. 主要リスクと対策

  • プライバシー:データ最小化・目的限定・監査・本人照会・罰則強化。

  • 濫用:閲覧には具体的事由と職責を要件化、違反は行政・刑事罰。

  • IT障害:アクティブ-アクティブ冗長、紙の最低限バックアップ維持。

  • 社会的反発:通称自由化と特例保護を前面に。理念の押し付けではなく利便の実感を早期に。

VII. 実務ユースケース(家族ステーション)

1) 出生〜乳幼児

  • 出生届→口座→医療→児童手当→保育入所を15分申請で自動連携。祖父母の関与同意で送迎権限付与。

2) 結婚

  • 婚姻届→法氏確定→通称(旧姓)登録→住まい・勤務先へAPI通知→二人単位の住宅・交通・保険優遇。

3) 介護・看取り

  • 要介護認定→在宅医療チーム派遣→親族シフト→看取り休業給付→葬祭・相続のワンストップ

4) 家業承継

  • 家業データを家系台帳に紐付け、遺留分調整・信託を早期設計。分断・清算のコストを回避。

VIII. 社会実装のコミュニケーション

  • 標語:「個に優しく、家に強い。

  • 初期ベネフィットの可視化:出生手続の即時簡素化/旧姓の完全解禁/在宅看取りの実感支援。

  • ステークホルダー対話:医師会・看護・介護・宗教者・司法書士・金融・学校・PTA・自治会。

  • 反対論への一言要約

    • 「不便は帳票を直す。氏は家の骨は残す。」

    • 「『選択』の名で現場に高コストを押しつけない。」

IX. 参考・条文たたき台(抜粋・試案)

民法(抄)

第750条(夫婦の氏)1 婚姻の際、夫婦は同一の氏(以下「法氏」という。)を称する。2 前項にかかわらず、各人は政令の定めるところにより、業務上その他正当な理由があるときは通称を使用することができる。3 通称の使用は、当該者の権利義務の帰属に影響を及ぼさない。

戸籍法(抄)

第○条の2(電子戸籍) 戸籍は電子情報処理組織により作成し、真正性を確保する技術要件は省令で定める。第○条の3(家系台帳) 家系台帳は任意の届出により作成する。記載事項、閲覧範囲、保全は政令で定める。

家族省設置法(抄)

第1条(任務) 家族省は、家族を最小単位とする政策を総合的に推進し、出生から看取りに至るまでの一貫支援、家系継承及び家族データの統合を所掌する。


X. 結語

家を弱くして個を強くすることはできない。個を守る鎧として家を再設計し、氏・戸籍・家系を21世紀の仕立て直しで蘇らせる。それは懐古ではなく、高コストな孤立社会からの戦略的撤退だ。

  • 夫婦同姓を骨として、通称自由化で利便を最大化する。

  • 戸籍+家系台帳で継承を可視化する。

  • 家族省が出生から看取りまで一窓口で支える。

  • 税・社保・住宅・労働を家族主語に組み替える。

この針路は、行き過ぎた個人主義がもたらした少子化と伝統崩壊の連鎖を断ち切り、「個に優しく、家に強い」国家を再起動させるはずだ。


民法の一部を改正する法律案(叩き台)

第一条(目的)

この法律は、家族を社会の基礎的単位として位置づけ、家族の一体性及び継承を確保する観点から、夫婦の氏、子の氏その他家族関係に関する規律を整備するとともに、通称(旧姓)の公的使用に関する規定を設けるため、民法の一部を改正するものとする。

第二条(民法の一部改正)

民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のとおり改正する。

一 第二編 親族中

  1. 第七百五十条を次のとおり改める。

(夫婦の氏)第七百五十条 婚姻の際、夫婦は**同一の氏(以下「法氏」という。)**を称する。2 前項の規定により称する法氏は、婚姻の届出に際し、当事者の協議により定める。
  1. 第七百五十条の二として、次の条を加える。

(通称の使用)第七百五十条の二 各人は、業務上、学術上その他正当な理由があるときは、政令で定めるところにより、**通称(旧姓を含む。)**を使用することができる。2 通称の使用は、法氏に影響を及ぼさず、法的効果の帰属は法氏を基準として判断する。3 国及び地方公共団体は、通称の登録、併記及び照合に係る手続の簡素化その他必要な措置を講ずるものとする。
  1. 第七百五十条の三として、次の条を加える。

(国際結婚等における特例)第七百五十条の三 外国の法令により氏の変更が困難である場合その他政令で定めるやむを得ない事由がある場合には、法氏の決定に関し、家事審判所は、当事者の申立てにより、相当と認める処分をすることができる。
  1. 第七百五十条の四として、次の条を加える。

(安全確保のための氏等の取扱い)第七百五十条の四 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律に規定する被害者その他これに準ずる者については、氏名の秘匿その他安全確保のため必要な措置を講ずることができる。
  1. 第七百九十条を次のとおり改める。

(子の氏)第七百九十条 嫡出である子の氏は、父母の法氏に従う。2 父母が協議して定めることができないとき、又は子の利益のため特に必要があるときは、家事審判所は、これを定める。3 学校教育、医療、防災その他政令で定める分野においては、子の利益のため、通称を併記し、又は使用することができる。
  1. 第八百十条第一号中「夫の氏」を「夫婦の法氏」に改める(※関連条文の文言整備)。

二 第五編 相続中の整備(家業承継等の特例)

  1. 第千四十三条の二から第千四十三条の四までを次のとおり加える。

(家業承継基本財産)第千四十三条の二 被相続人の営む事業に継続的に供される資産(以下「家業承継基本財産」という。)であって、政令で定めるものは、共同相続人間の協議により、これを一体として特定の相続人に承継させることができる。(遺留分算定の特例)第千四十三条の三 家業承継基本財産については、遺留分侵害額の算定に当たり、事業継続の利益を考慮し、政令で定める割合により評価の特例を適用することができる。(家族信託との整合)第千四十三条の四 被相続人が家族の利益のために信託した財産(家族信託)については、信託法の定めるところにより、本法の規定の適用に関し、必要な調整を行う。

三 附則

  1. この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日から施行する。

  2. 施行の際現に婚姻している者の通称の登録その他経過措置は、政令で定める。

  3. 関係政令の整備その他必要な事項は、内閣において行う。

戸籍法の一部を改正する法律案(叩き台)

第一条(目的)

この法律は、戸籍の電子化を推進し、通称(旧姓)の併記及び家系台帳制度を創設することにより、家族の一体性の維持と継承の可視化を図るため、戸籍法の一部を改正するものとする。

第二条(戸籍法の一部改正)

戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の一部を次のとおり改正する。

  1. 第二条の次に次の一条を加える。

(電子戸籍)第二条の二 戸籍は、電子情報処理組織により作成し、保存することができる。2 前項の電子戸籍の真正性の確保、記録の保存、改ざん検知及び監査に関する技術的要件は、法務省令で定める。
  1. 第十三条に次の二項を加える。

2 戸籍記載に当たり、本人の申出があるときは、当該者の通称(旧姓)を当該戸籍に併記することができる。3 前項の通称は、政令で定めるところにより、公的手続において照合に供することができる。
  1. 第三章の次に、新たに第三章の二 家系台帳を設け、次の各条を加える。

(家系台帳の作成)第三十一条の二 市町村長は、戸籍に基づき、申出により、当該家の先祖、家紋、墓所、家訓、家業その他家系に関する事項(以下「家系情報」という。)を記録した家系台帳を作成することができる。(任意性)第三十一条の三 家系台帳の作成及び記録は、任意とする。(閲覧及び提供の制限)第三十一条の四 家系台帳は、本人、家長、相続関係人その他政令で定める者以外は閲覧することができない。2 統計その他公共の利益のために家系台帳を利用する場合は、匿名加工情報とし、個人又は特定の家が識別されない方法によらなければならない。(家系台帳の訂正・抹消)第三十一条の五 家系台帳の記録に誤りがあるときは、本人又は家長は、その訂正を申出ることができる。2 家系台帳の全部又は一部について、本人又は家長は、その抹消を申出ることができる。ただし、法定保存記録の範囲はこの限りでない。(拡大家族契約の公信力)第三十一条の六 家系台帳に記録された拡大家族契約(祖父母、叔伯、甥姪等を含む相互扶助契約)は、公正証書に準ずる効力を有し、第三者に対抗することができる。
  1. 第百二十条(罰則)に、家系台帳の不正閲覧・不正提供に係る罰則を追加する。

第百二十条の二 正当な理由なく第三十一条の四に違反して家系台帳を閲覧し、又は提供した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

附則

  1. 施行期日は公布の日から起算して二年以内に政令で定める日とする。

  2. 電子戸籍への移行、家系台帳創設に伴う経過措置は、法務省令で定める。

家族省設置法(新法・叩き台)

第一章 総則

(目的)第1条 この法律は、家族を社会の基礎的単位と位置づけ、出生から看取りに至るまでの一貫支援、家系継承及び家族データの統合を図るため、家族省を設置し、その所掌事務等を定めることを目的とする。

(任務)第2条 家族省は、次に掲げる任務を担う。一 出生、妊娠・出産、子育て及び教育に係る支援二 結婚、住まい及び就業の家族単位での支援三 介護、在宅医療及び看取りの支援四 相続、家業承継及び家系継承の支援五 家族データの統合及び利活用の適正化六 前各号に附帯する施策の総合調整

第二章 所掌事務

(所掌)第3条 家族省は、次に掲げる事務を所掌する。一 家族政策の企画立案及び評価に関すること。二 家族ステーション(地方支分部局)の設置及び運営に関すること。三 通称(旧姓)併記、戸籍・家系台帳及び家族IDに係る関係行政機関との連携に関すること。四 家族に関する税制、社会保障、住宅及び労働政策の総合調整に関すること。五 在宅医療及び看取りに係る関係機関の連携に関すること。六 その他家族の福祉の増進に関すること。

第三章 組織

(組織)第4条 家族省に、次の内部部局を置く。一 家族局(出生・教育・結婚・住まい・就業)二 相互扶助局(介護・在宅医療・看取り)三 家系継承局(相続・家業・文化)四 データ・基盤庁(家族ID・家族API・プライバシー・監査)

(審議会)第5条 家族省に、家族倫理・家系継承審議会を置く。

第四章 地方支分部局

(家族ステーション)第6条 家族省は、都道府県及び市町村に家族ステーションを設置し、出生、子育て、介護、看取り、相続等の手続を一体的に取り扱う。

第五章 雑則

(個人情報の保護)第7条 家族省は、家族データの取扱いに関し、最小化、目的限定、監査可能性の原則を遵守する。(報告及び評価)第8条 家族省は、毎年度、国会に対し、施策の実施状況及び主要KPIの達成状況を報告しなければならない。

附則

  1. この法律は、公布の日から起算して一年以内において政令で定める日から施行する。

  2. 子ども家庭庁設置法(令和四年法律第八十五号)は、この法律の施行の日に廃止し、その権限及び職員は家族省に承継させる。

  3. 関係法律の整理は、別に法律で定める。

所得税法等の一部を改正する法律案(叩き台)

第一条(目的)

この法律は、家族相互扶助を促進し、出生から看取りまでの一貫支援を強化するため、所得税法、相続税法及び地方税法等の一部を改正するものとする。

第二条(所得税法の一部改正)

所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のとおり改正する。

  1. 第三十条の次に次の一条を加える。

(一族扶養控除)第三十条の二 居住者が、その家系台帳に記録された直系血族又は三親等内の親族に対し、当該年中に教育、介護又は看取りに係る費用の負担をした場合には、当該負担額の合計額のうち政令で定める金額を所得金額から控除する。2 前項の控除の適用に当たり、当該親族が非居住者である場合その他政令で定める場合には、必要書類の提出を要する。
  1. 第七十四条の次に次の一条を加える。

(三世代同居等住宅特別控除)第七十四条の二 居住者が、当該者の直系尊属若しくは卑属と同居又は近居するための住宅の新築、購入又は増改築をした場合には、政令で定めるところにより、その取得等に係る年分の所得税額から控除する。
  1. 第百二十一条に一項を加える。

2 氏神、寺社、地縁団体その他家族の継承に資する団体として政令で定めるものに対する寄附金は、特定寄附金とみなす。

第三条(相続税法の一部改正)

相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の一部を次のとおり改正する。

  1. 第十九条の二の次に次の一条を加える。

(家族信託に係る非課税)第十九条の三 被相続人が、教育、介護又は看取りの目的のために、家族の利益を目的として信託した財産で政令で定めるものについては、一定の要件の下に、相続税の課税価格に算入しない。
  1. 第二十一条の七第一項中「贈与税の課税価格に算入する」を「課税価格に算入する。ただし、家族信託に係るもので政令で定める要件に該当する場合を除く」に改める。

第四条(地方税法の一部改正)

地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のとおり改正する。

  1. 第三百四十九条の二の次に次の一条を加える。

(三世代同居等に係る固定資産税の減額)第三百四十九条の三 市町村は、当該市町村の条例で定めるところにより、三世代同居又は近居のために増改築を行った住宅に係る固定資産税の税率の特例を設けることができる。
  1. 第三百六十八条の二に一項を加える。

2 家系台帳に記録された墓所、氏神その他家族継承に資する不動産については、条例で定めるところにより、固定資産税の課税標準の特例を設けることができる。

第五条(租税特別措置法の整備)

租税特別措置法に、家族信託の要件、三世代同居住宅の控除率、寄附金の範囲等を定める規定を整備するものとする(条文は別表)。

附則

  1. この法律は、公布の日から起算して六箇月を経過した日の属する年分の所得税について適用する。

  2. 相続税及び贈与税に関する改正規定は、この法律の施行の日以後に行われる相続又は贈与について適用する。

  3. 地方税法の改正は、各地方公共団体の条例改正の日から適用する。

参考:政省令・ガイドラインに委ねる主な技術事項(抜粋)

  • 通称(旧姓)登録・併記の様式、電子署名・資格台帳・金融口座・登記とのAPI連携仕様

  • 家系台帳の記録項目、匿名加工情報化の手順、閲覧権限管理、監査ログ標準

  • 一族扶養控除の対象費目(教育費、介護費、看取り費)の範囲と証憑

  • 三世代同居・近居の定義(距離要件、同一自治体内の目安等)

  • 家族信託に係る非課税の要件(目的、受益者範囲、信託監督人の要件 等)

 
 
 

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