鋼の番人は雲を読む
- 山崎行政書士事務所
- 9月6日
- 読了時間: 5分

— 山崎行政書士事務所コメディ「Justice Vaultのお仕事日誌」—
登場人物(ざっくり)
Justice Vault(ジャスティス・ヴォルト)正義と“保管庫(Vault)”を名乗るクラウド法務の象徴ヒーロー。胸に紫の盾、右手はカギ爪、左手はレンチ。口癖は「規程、遵守!」。電源は静岡茶(湯気でクラウドを感じるらしい)。
律斗:知的なリーダー。だいたい突っ込み担当。
りな:ロジカルな専門家。条文の歩く全文検索。
ゆい:ほんわか癒し系。よくケーブルに足を引っかける。
ふみか:広報。事務所のSNSを守る鋼のスケジュール。
みお:小悪魔秘書。ロボにニックネームをつけがち(「ジャスボ」等)。
さくら:希望を配るお姉さん。お茶の給湯と士気の給湯を担当。
叶多・陽翔・悠真・蓮斗・奏汰:それぞれ熱血、やさしい、ミステリアス、論理派、天然の後輩。今日は脇を固める。
プロローグ:富士の雲とクラウドの雲
朝、富士山に笠雲。「クラウドの稼働率、良好」とジャスティス・ヴォルトは胸の盾を明滅させた。「それ天気の話だよね」と律斗。「法務は天気と同じ。先読みが肝心です」今日も山崎行政書士事務所は、書類と笑いと少しの湯気(主に急須)で満ちている。
第一話:ハンコ亡命事件
午前9時、りなが真顔で言う。「お客様が“紙に押印”をご希望です。けど、ワークフローは完全電子…」「任せてください」ヴォルトはレンチをクルリ。「物理ハンコはアーカイブ化します。電子は証跡で守る!」
五分後。「できました!」ゆいが差し出したのは——電子署名QRつきハンコ風スタンプ。「紙に押すとQRで署名検証画面に飛ぶ仕様です。名称は“押しの正義(スタンプ・オブ・ジャスティス)”。」「名前が強い」と律斗。お客様は笑いながら頷いた。「印影は記念、証拠は電子。合理的だね」こうしてハンコは亡命し、証跡王国に永住した。
第二話:お茶こぼしとインシデント
昼前、ゆいが「あっ」と言った。緑茶がノートPCへ旅立つ。
「インシデント発生!」ヴォルトの胸盾が紫に点滅。「機密は?」「ほぼ雲の上(クラウド)です。ローカルはテンポラリのみ」りな即答。「では被害範囲:机上。封じ込め:ペーパータオル。」ヴォルトは右手のカギ爪でそっとPCを持ち上げ、左手レンチで机の水平を調整する。「なぜ水平?」「再発防止策。傾きは液体の最大の友です」
報告テンプレを即席で生成、りながレビュー、ふみかが社内周知。最後にヴォルトが結論を読み上げた。「今回のインシデント原因は“お茶”。対策は“ふた”。」「根本原因分析の説得力よ」とみおが拍手した。
第三話:NIS2、温泉Wi‑Fi、のれん分け
午後、出張相談。道すがら、叶多が熱く語る。「工場ネットワーク、セグメント分割が課題っぽいっす」「のれんで分けましょう」ヴォルト。「ITで“のれん”?」「見える化のメタファです。温泉の男湯・女湯・従業員通路、あれが理想のセグメンテーション」
到着した先の休憩所に「無料Wi‑Fi」の貼り紙。胸の盾がピコン。「公開SSIDは来客VLANへ。運用手順は掲示、ログは保管。のれんは破れやすい、予備を用意。」「例えをやめて条文化しても完璧」とりな。「規程、遵守!」ヴォルトはのれん(比喩)を翻し、設計図を置いていった。
第四話:やまにゃん、USBで参上
帰社すると、受付で白い猫が尻尾をぶんぶん。「にゃじゅ〜る!」マスコットのやまにゃんだ。尻尾はUSB Type‑C。「バックアップどうしたの?」とふみか。「みゃ〜てら!」ヴォルトが解説する。「“ミラー”の猫語です。二重化は愛だそうです」やまにゃんはヴォルトの胸に軽く頭突きして去っていった。「今のは“障害時は胸を張れ”の意」「翻訳力が謎に詩的」と陽翔は笑った。
第五話:Secure Score 90の罠(社内篇)
蓮斗が画面を見せる。「構成スコア90、でも実運用で誰もダッシュボードを見ていない」「『見ないなら点ではない』の法則ですね」悠真が頷く。「ではスコアを“朝礼ネタ”に連動させましょう」ヴォルト。翌朝から、奏汰が元気に唱和する。「今日の改善ポイント、条件付きアクセスに“例外の例外”がいくつかあります!」一同「ある〜!」みおがささやく。「“例外の例外”って、例外の親戚?」「そのへんはりなが後で図解する」律斗は遠い目をした。
第六話:富士の雲バックアップ
夕暮れ。ふと見上げると富士山の上、雲が二段に重なっていた。「クラウド to クラウドのバックアップ状態だ」ヴォルトが真顔で言う。「それも天気の話だよね」と再び律斗。「自然は設計の先生です」ヴォルトは胸に手を当てた。「大切なのは“消えない仕組み”。紙でも、電子でも、記憶でも」
ふみかがスマホを掲げる。「その台詞、今日のSNSに載せる。写真はこれ」画面には、富士を背に微笑むヴォルト。右手のカギ爪はピースに見えなくもない。「いいねが増えると、事務所の相談窓口も増えます」「可用性の向上だね」と蓮斗。「可用性の増加は残業時間に反比例」と律斗。「そこは自動化で相殺!」とヴォルトと叶多が同時に答えた。
エピローグ:守るのは“仕事”と“笑い”
夜。事務所に灯りがともる。りなが最後のチェックリストを閉じ、ゆいが急須を洗い、ふみかが予約投稿をセットし、みおがヴォルトの関節に軽く注油する。やまにゃんは窓辺で丸くなり、尻尾のType‑Cが小さく点滅した。
ヴォルトは静かに宣言する。「静岡の街とあなたの会社を守る。法令とデータを守る鋼の番人。でも、まず守るのは——みんなの仕事と笑いです」
外には富士。雲は二重、事務所は三重のバックアップ。そして明日も、山崎行政書士事務所にはちょっとした事件とたっぷりのオチがやってくる。
付録:今日の“ジャスボ語録”
「のれんは破れる。規程は増刷できる。」
「可用性は元気、完全性は睡眠、機密性はお茶のふた。」
「押印は記念、証跡は資産。」
——続く(かもしれない)。





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