top of page

納期の罠



第一幕:突如降ってきた納期短縮

朝の光が差し込む静かなオフィス――ここは**「榎本(えのもと)行政書士事務所」。所長の榎本理恵(えのもと・りえ)**は、毎朝の日課であるコーヒーを片手に、「今日も平和な一日であってほしい」と願いながら机に向かう。ところが、そんな穏やかな時間は一瞬で打ち砕かれる。

(場面:電話が鳴る)

  • 榎本(電話を取る):「はい、榎本行政書士事務所です――え、納期短縮を強要? 契約書には書いてないのに?」

  • 電話先(大森社長):「そうなんです! 急に“大幅に納期を繰り上げろ”って言われて、ウチとしては無理なんですよ! どうにか助けてください、先生!」

榎本は「はい、はい……」と受話器を耳に当てながら、メモ用紙に走り書きしているが、どんどん眉が寄っていく。背後で補助者の立花(たちばな)真吾が「先生、大変そうですね。珈琲お代わりいります?」とお気楽に声をかけるが、榎本は「そんな場合じゃないのよ!」と叫びたい気持ちをこらえる。

第二幕:現場の混乱と契約書の謎

電話を切り、急いで中小企業**「大森製作所」**へ向かう榎本。そこには、疲労で目が半開きの社長・大森信也が立ち尽くしていた。

大森:「ウチ、ずっと取引してる大手メーカーがあって、最近は納期もギリギリで要求が厳しかったんです。でも今朝、さらに2週間以上も前倒ししろって言われて……」榎本:「そんなの聞いてないですよね? 契約書にはどんな風に書いてあるんです?」大森は古いバインダーを引っ張り出し、契約書を見せる。榎本はページをめくってみるが、「納期は適宜協議の上、双方の合意により定めるものとする」としか書かれていない。

榎本:「これは微妙ですね。“協議の上”って曖昧で、相手は“合意済みだ”と主張しやすい……。でも実際、合意しました?」大森:「してないですよ、口頭で“まぁ、なんとか頑張ります”とは言ったけど、そんなに短縮できるとは……」

榎本はため息混じりに、「なるほど、これは“納期の罠”にハマってるかも」と唸る。

第三幕:誤解だらけの事務所

翌日、大森を連れて榎本事務所へ。補助者の立花が、やたらと張り切って「社長、納期短縮なら“タイムマシン”導入すればいいじゃないっすか! (笑)」というトンチンカンな提案をする始末。

大森(苦笑):「冗談言ってる場合じゃないんですよ……」立花:「あ、スミマセン、空気読めなくて……」さらに、若手行政書士の**山岸(やまぎし)**が皮肉たっぷりに「そもそも契約書をちゃんと書かないのが悪いんですよ。口頭合意を曖昧にするから、こうなるんです」と呟くもんだから、大森:「うぐっ、はい……」とモロに落ち込んでしまう。

それを見た榎本は「やめなさいよ、山岸さん。今はクライアントを責めるときじゃないわ」と一喝。事務所内に変な緊張が走るが、榎本はすぐに切り替えて「よし、文書を整えて、先方に“正式な取り決め”を求めましょう。とにかく“合意済み”と言わせないよう、証拠を作るのよ」と指示する。

第四幕:ライバル会社の担当者

ところが、ここへきて発注元の大手メーカーの担当者、**滝口(たきぐち)**が登場する。彼はスーツ姿で完璧に身なりを整え、イケメンだが、どこか冷たい眼をしている。

滝口:「ああ、納期短縮の件ですね。こちらはご要望に沿って“合意”したと理解しておりますが。大森さんは“頑張ります”と言いましたし、証拠のメールも……」榎本:「頑張るとは言っただけで、2週間以上早めるなんてどこにも書いてませんよ。そちらのメールは“よろしくお願いします”って曖昧なフレーズばかりだし。」滝口:「いや、うちは“納期を2週間繰り上げることに”と書きましたよ。だって大森さん、“了解しました”って返信したじゃないですか?」大森:「うっ……そこは“できる範囲で”って意味だったのに! ちゃんと説明すればよかったのに、忙しくて……」

ここで勘違いが大量発生。事務所のメンバーがあれこれ口を挟む中、滝口は淡々と「では合意とみなします」と居丈高に笑い、帰ろうとする。

榎本:「ちょ、ちょっと待って! そもそも“契約の根幹”を変えるなら、新しい契約書を交わす必要があるはずです!」だが滝口は「そんなこと、聞いたことがないですね……」と鼻で笑ってドアを閉める。

第五幕:現場担当者が味方に?

その夜、大森の工場では徹夜の作業が続き、従業員たちは疲弊。そこに、なんと滝口の部下だという**安藤(あんどう)**がひっそり姿を現す。

安藤:「すみません……私は発注元の下っ端ですが、実は現場の無理がひどいってわかってるんです。滝口の強引なやり方で、ほかの下請さんも困ってて……」大森:「え? あなた、うちを潰そうとしてるわけじゃない?」安藤:「そんな、滝口さんの方針に従ってるだけです。正直、申し訳ない気持ちで……」

安藤によると、社内でもこの納期短縮に関して無理があると感じている部署が多いらしい。だが滝口ら営業部が強引に進めている。「もし榎本先生のところでちゃんとした文書を作って交渉してくれたら、私も上を説得しやすいんです」と言い、安藤は深々と頭を下げる。大森と榎本にとっては思わぬ協力者の出現だ。

第六幕:文書作成と逆転の突破口

翌朝、榎本は事務所で緊急ミーティングを開く。榎本:「要は“正式な契約でない限り、納期を勝手に変えられない”という原則を確認してもらうこと。そして“口頭や曖昧なメールでは合意とみなせない”と主張する資料を作るのよ。」山岸:「なるほど。しかも下請契約では、一方的な変更には下請法違反の可能性があると……」太田:「先生、さすが! これなら発注元も簡単に無理言えなくなりますね!」

こうして、**“納期改善要請書”**なる文書をまとめ、さらに下請法の専門家の意見も添付して、先方に送付する算段ができあがった。大森も「ありがとうございます! うちの従業員も少し希望が持てそうです……」と目を潤ませる。事務所メンバーは笑顔で頷き、「ここからが本番ですよ」と気合いを高める。

第七幕:納期騒動のクライマックス

場面:発注元の会議室滝口や安藤が同席する中、大森と榎本が「納期改善要請書」を提出。滝口は相変わらず不敵に笑うが、安藤が静かに口を開く。安藤:「うちの技術部や生産管理部も、短納期が無理だと訴えています。現場の負担でコストが膨らみ、結果的に収益ダウンになる恐れも……。」滝口が「なに勝手なこと言ってるんだ安藤!」と睨むが、安藤は負けじと続ける。「それに、もし法的トラブルが起きれば、我が社の評判も下がりますし……」そこへ榎本が止めの一言:「大森製作所だけでなく、ほかの下請さんもこの文書に賛同してます。公正取引委員会への通報も検討中です」と告げると、滝口は明らかに動揺。「それは……困るな……」と声を詰まらせる。

結局、上層部に報告したところ、“強引な納期短縮”は見直す方針が出された。滝口は肩を落としながら「仕方ない…」と折れ、大森や他の下請企業も従来に近いスケジュールで生産を続けられるようになる。

第八幕:人々の笑顔とエンディング

数日後、大森の工場では従業員が笑顔を取り戻し、無理のない納期で製品づくりに集中。榎本は事務所で「なんとか片付いてよかったですね」と微笑み、太田は「先生、すごいっすね! 俺もこういう交渉してみたいなあ」とワクワクするが、山岸が「甘いこと言ってるとまたトラブルになりますよ」と皮肉って、皆で大笑い。

大森が事務所に挨拶に来て、「あれ以来、ウチもちゃんとした契約書を用意するようになりました。皆さん、本当にありがとう!」と深々と頭を下げる。その姿に榎本は照れ笑いで応じる。「いえいえ、私たちはただ納期の罠から助け出しただけですから。実際に作っているのは皆さんですもの。」

扉の外は明るい日差しと心地よい風。“下請企業だからって、泣き寝入りする必要はない。法と意志を武器にすれば、納期だろうが単価だろうが、戦う道はある”――榎本はそう改めて思う。事務所の窓から見える青空が、遠くの雲とともに笑い声を運んでいるようで、今日もまた愉快な1日が始まる――。

(終)

 
 
 

コメント


Instagram​​

Microsoft、Azure、Microsoft 365、Entra は米国 Microsoft Corporation の商標または登録商標です。
本ページは一般的な情報提供を目的とし、個別案件は状況に応じて整理手順が異なります。

※本ページに登場するイラストはイメージです。
Microsoft および Azure 公式キャラクターではありません。

Microsoft, Azure, and Microsoft 365 are trademarks of Microsoft Corporation.
We are an independent service provider.

​所在地:静岡市

©2024 山崎行政書士事務所。Wix.com で作成されました。

bottom of page