まさかのいちじく騒動!? パフェ争奪バトルロイヤル!
- 山崎行政書士事務所
- 1月23日
- 読了時間: 9分

登場人物
大原(おおはら)まりな:
30代女性会社員。スイーツ好きで、特にフルーツパフェに目がない。
南(みなみ)さくら:
まりなの同期。クールな性格だが、実は甘いものに弱い。
店長・小峰(こみね):
パフェ専門カフェ「Parfait・パラダイス」の店長。テンション高めでスイーツ愛が止まらない。
“いちじくマスター”細川(ほそかわ):
どこからともなく現れる、“いちじく”に異様なこだわりを持つ謎の男。
第一幕:どこからともなく飛び込んできた“いちじくパフェ”情報
昼休み、社内の休憩スペース。「ねえねえ、まりな。聞いたことある? いちじくのパフェ」スイーツ情報に敏感な南さくらが、まるで極秘情報でも話すかのようにヒソヒソ声で問いかける。
「いちじくパフェ? なんかあんまり聞かない組み合わせだねえ」まりなは首をかしげるが、さくらは目をキラキラさせて言う。「最近SNSでバズってるパフェ専門店があってね。その店の限定メニューなのよ。見て、これ!」スマホ画面には、クリームとフレッシュいちじくが芸術的に飾られた、目にも眩しいパフェの写真。種のプチプチ感まで伝わってきそうなほどだ。
「う、うわ……これは……すごくおいしそうじゃないか。見ただけで魅了される……!」思わずノドが鳴るまりな。「でしょ? しかも週末限定、数量限定で、開店直後に売り切れちゃうらしいのよ」「うわ、めっちゃハードル高いじゃん。でも食べたい……どうする?」「そりゃ行くしかないでしょ?」
かくして二人は、翌週末に件のパフェ専門店「Parfait・パラダイス」へ行くことを決意したのだった。
第二幕:開店前から長蛇の列
週末、朝イチ。「なんか嫌な予感してたけど……やっぱりすごい人だね……」店の前にはすでに行列ができている。時計を見ると開店まであと10分あるというのに20人近く並んでいる。
「さくら、これ…間に合うのかね? いちじくパフェの数って何個ぐらい用意してるんだろう……」まりなが不安そうに尋ねると、さくらはスマホを見ながら言う。「SNS情報だと、朝イチで30個限定とか書いてたわ。でも最近さらに人気が爆発してるらしいから、数はもっと少ないかもしれない……」「うわあ……ドキドキするなあ」
そうこうしているうちに、行列の前方から店長らしき人が見えてきた。赤いエプロンに派手な帽子、やけにノリノリな雰囲気だ。
「おはようございまーす! 店長の小峰と申します。本日、いちじくパフェは30名様限定となります! 今からお並びの先頭から順に、ご希望の方には『いちじくパフェ券』をお渡しいたしますねー!」
「なんだって!? いちじくパフェ券!?」まりなとさくらは思わず顔を見合わせる。列はガヤガヤと騒ぎ出し、店長は先頭から一人ひとりに声をかけ始めた。「はい、おめでとうございます! いちじくパフェ券どうぞ!」「あなたもどうぞー!」
券は順調に配られていくが、まりなたちの後ろにもまだ人が続々と並び出し、店員が「パフェ券の配布は残りわずかでーす!」と叫ぶ。
「やばいやばい、早く!」列が進むたびに、まりなの心臓はバクバクだ。やがて店長の小峰がこちらに近づいてくる。「あなたたちは……はい! いちじくパフェ券、ギリギリ確保です!」「やったあああああ!」思わずガッツポーズする二人。後ろにいた人たちは落胆の声をあげていた。
第三幕:登場、いちじくマスター
無事に店内に入り、席に案内されたまりなとさくら。早速いちじくパフェをオーダーしようとしたそのとき――。「ちょっと待ったあああああ!」聞こえてきたのは、どこか気合いが入りすぎた男の声。
ギョッとして振り返ると、緑色のシャツを着た中年男性が息を切らして立っている。後ろには、落胆の行列を追い越しでもしてきたのか、店員が「ちょ、ちょっと困ります!」と制止していた。
「くっ、間に合わなかったか……。だが、どうしても食べたいんだ! いちじくは人生だ!」周囲はザワつき、店長の小峰もたじろぐ。「お、お客様……申し訳ございませんが、すでにいちじくパフェ券は配り終えてしまいまして……」「そんな……! うおおおお、僕は一年間この日を待ちわびてたんだ! 採れたての秋いちじくを使う絶妙のタイミング……逃すわけにはいかない!」男は床にひざまずき、頭を下げる。まるでドラマのワンシーンだ。
「ね、ねえ、何あの人。やばくない?」「明らかにやばいわね。でもちょっと気になる……“いちじくマスター”とか名乗りそうな雰囲気」まりなとさくらはヒソヒソと囁く。
すると男は、近くにいたまりなに急接近し、両手をがっしり握ってきた。「あなた方……いちじくパフェ券をお持ちですね? どうか……どうか一枚譲っていただけないでしょうか!」「う、うわっ! ちょっと離してください!」思わず後ずさるまりな。さくらも「何するのよ!」と警戒モード。
第四幕:いちじくパフェ券の取引!?
「代わりに……そうだ、僕の手作り“いちじくのコンポート”をあげますから!」男はバッグから怪しげな瓶を取り出した。「いや、いらないし。どう考えてもこのパフェ券の方が価値あるし!」さくらがバッサリと断る。
男はさらに必死だ。「では、僕の名前を呼べば何処へでも駆けつけましょう! 洗濯や皿洗いだってします! いつでもいちじくの話をしますよ!」「いちじくの話は別にいらない! っていうかあなた誰なんですか!」
周囲の客も「あはは…」「何この状況」と苦笑い。すると店長の小峰が割って入る。「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので……。もしよろしければ、当店の別メニュー“いちじくパンケーキ”なら少しだけ追加がございますが、そちらではご満足いただけませんか?」すると男は真顔で叫ぶ。「無理だ! 僕が欲しいのは……パ・フ・ェなんだ!」キメ顔で両手を広げるものだから、店内は一瞬静まり返る。
第五幕:店内騒然、まさかの店長の奇策
困り果てた店長の小峰は、大きな声で宣言した。「皆様、今日のいちじくパフェをお買い求めの方に、お願いがございます! もし、一口でもいいからこのお客様に食べさせてあげよう、という方はいらっしゃいませんか!」
客席からは「いや、ちょっと無理」「絶対いや…」などの声が飛び交う。すると、なぜかまりなは自分でも驚くほどの同情心がわき、「まぁ……一口くらいなら……」とつぶやいてしまう。さくらは「ちょ、ちょっと何言ってんの?!」と焦るが、それは時すでに遅し。
「おおおお! あなたは女神ですか! 僕は“いちじくマスター・細川”! 生涯かけていちじくの素晴らしさを広めるべく活動しています!」男は眼鏡をキラリと光らせながらそう名乗り、「ありがとう……本当にありがとう!」と土下座せんばかりの勢いだ。
第六幕:奇跡のいちじくコラボ誕生!?
やがて店員が運んできた、まりな&さくらの“いちじくパフェ”。キラキラ艶やかな果肉、てっぺんには濃厚なソフトクリームがこんもりと盛られ、さらにバニラアイスとカスタードクリーム、チョコソースまでしのばせてある豪華版。思わず二人の顔がほころぶ。
「これ……写真より断然すごい……!」「ふわぁ、いちじくの香りがフレッシュでいいねぇ……!」
二人がうっとり眺めていると、いちじくマスター細川がそわそわと近づいてくる。「そ、そろそろ……“一口”を……」「はあ、はいはい。じゃあこの部分を少しだけ……」まりながパフェの端っこをスプーンですくって渡そうとした、そのとき――
「いや、待ってください!」店長の小峰が、何かを思いついたように手を叩いた。「こうなったら、ちょっとしたサプライズを用意しましょう! 細川さん、その自家製コンポートをお貸しいただけませんか?」「えっ、これを……?」
店長がコンポートの瓶を受け取り、カウンターへ向かう。しばらくすると、手元で何やら作業している様子が見える。
「ま、まさか、オリジナルいちじくソースを追加するのか…?」「えー、どうなんだろう。 こっちは早く食べたいんだけど……」客席はみんな興味津々で見守る中、店長は高らかに叫ぶ。
「皆さま、お待たせしました! 新たに完成した“いちじくコンポート・スペシャルパフェ”です!」
カウンターから出てきたのは、いちじくマスターのコンポートを贅沢に使った追加ソースをたっぷりかけた超豪華なパフェ。生いちじくの酸味と甘み、さらにシロップ漬けのコクが合わさって、もう見ているだけで脳内がお祭り状態。
「わあ……! すごい……!」まりなたちも思わず拍手。細川も涙ぐんで「こんな日が来るなんて……」と感動している。
第七幕:歓喜のいちじくフィナーレ
こうして生まれた“いちじくコンポート・スペシャルパフェ”を、まりな・さくら・いちじくマスター細川の3人でシェアすることに。
「いただきまーす……」スプーンでひと口食べた瞬間、3人は同時に目を見開いた。「な、なんじゃこりゃあ……!」いちじくの柔らかな舌触り、プチプチ弾ける種の食感。そこに濃厚クリームが絡まり合い、さらにシロップの甘みが追いかけてくる。
「こ、これは……まさにいちじくの宴やぁぁ!」細川が叫ぶ。まりなとさくらは無言で幸せな顔を浮かべている。店長の小峰は満足げにうなずき、「今シーズン最高のコラボですね!」とガッツポーズ。
店内の客からも拍手や歓声が上がり、いちじくの香りが場を包み込む。
エピローグ:いちじくがつなぐ、甘い縁
パフェを食べ終わり大満足のまりなたち。すると細川が謎めいた笑みを浮かべる。「あなたたち、ちょっとだけ才能ありますよ。いちじくとの相性が抜群にいい。僕と一緒に“いちじく普及会”で活動してみませんか?」「しません!」即答するさくら。まりなも笑いながら首を振る。
「せっかくのオファーですが、私たちは食べる専門でいいですよ。ね、さくら?」「うん。口に運ぶのは得意だけど、広めるのはあなたに任せます!」
細川はやや落胆しつつも、「そうか……ではまた、いちじくの季節にお会いしましょう」と潔く引き下がる。去り際には、「僕のコンポートが必要なら、いつでも呼んでくださいね……!」と捨て台詞(?)を残していった。
「結局、何だったんだろうね、あの人。いちじくマスターって……」「うーん、でもまあ、おかげで激ウマパフェを食べられたし、結果オーライかも」
店を出る頃には、すっかり列も落ち着いてきていた。店長の小峰が出口で見送ってくれる。「本日はありがとうございました! いちじくパフェ、今後も色々進化させていきますので、ぜひまた食べに来てくださいね!」
二人は「もちろん!」と笑顔で答え、満腹&幸福感に包まれながら店を後にする。「ああ、最高の休日だね。いちじくにこんなに感動する日が来るなんて思わなかったよ」「私も。正直いちじくって地味なイメージだったけど、こんなに華やかになるんだねー!」
そして、帰りの電車の中で余韻に浸りながらスマホを覗くと、早速「#いちじくパフェ #衝撃のうまさ #マスター謎」といったハッシュタグがにぎわっている。「ねえ、見てこれ。いちじくマスター、もうSNSで拡散されてる……すごい勢い」「ほんとだ……。爆笑コメントばっかりだね。“こんな濃ゆい人いるの!?”とか書かれてるわ」
何はともあれ、とびきり美味しいパフェに巡り会えただけでハッピー。そう思いながら、まりなとさくらは笑い転げる。いちじくの甘さと、ちょっぴりクレイジーな一幕は、二人の休日を最高に彩ってくれたのだった。
それは、いちじくの魅力を存分に味わったひととき。
甘くてやわらかい果肉が、人生の酸いも甘いも抱きしめてくれる。もし、あなたもいちじくの世界に足を踏み入れたら、案外 “いちじくマスター”との奇跡のコラボが待っている……かもしれない。
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