そばがき汁粉でバタバタ大騒動！

山崎行政書士事務所
1月24日
読了時間: 6分

登場人物

矢野（やの）みどり

30代OL。和スイーツをこよなく愛し、中でもちょっと渋い系の甘味に惹かれるタイプ。
坂口（さかぐち）夏希（なつき）

みどりの同僚。ツッコミ担当。そばは好きだが、甘いものと合わせるのは想像できない。
店長・川上（かわかみ）

甘味処「やまいも庵」の店長。そば粉や和食材を使った斬新スイーツを次々開発するが、ややテンション高め。
“そば信者”折口（おりぐち）
どこへ行くにもそばの粉を持ち歩く謎の男。そばの可能性を信じて疑わない。

第一幕：衝撃の「そばがき汁粉」情報

「夏希、聞いて！あの『やまいも庵』で、そばがき汁粉なるものが登場したんだって！」昼休みのオフィス。矢野みどりがスマホを握りしめて目を輝かせている。

「そばがき…に…汁粉？え、あのそば粉を練ったやつをあんこの汁の中に入れるってこと？」坂口夏希は想像できずに混乱気味。

「そうみたい！そば独特の香りを楽しめるし、あんこの甘さと絶妙にマッチするってSNSでバズってるんだよ！ほら、この写真見て！なんか意外と美味しそうじゃない？」「うーん…でも私、そばはつゆで食べるもんだと思ってたけどなぁ」「いいじゃん、試しに行こうよ！きっと新感覚スイーツだよ！」夏希は「また面白いもの見せてくれそうね…」と半ば呆れつつ、行くことを了承。

第二幕：甘味処「やまいも庵」へ

週末の午後、二人は商店街の奥にある「やまいも庵」にやってきた。落ち着いた和の雰囲気で、のれんをくぐるとどこか懐かしいような香りが漂ってくる。

「いらっしゃいませ～！　店長の川上です！」カウンターの向こうからハツラツとした声が。おかみさんというよりは勢いある青年のよう。

「えっと、ネットで見た“そばがき汁粉”ってまだありますか？」みどりが尋ねると、川上店長は満面の笑みで頷く。「もちろんございます！こだわりのそば粉を使って、あったか～いあんこに入れてるんですよ。ぜひお試しください！」

夏希はメニューを見ながら、「あ、結構他にも変わったスイーツがある…おしるこ系だけで何種類あるの？」と驚く。店長が「そばがきバージョン、よもぎ餅バージョン、季節限定のさつまいも餅バージョンなど色々ありますね～」と自慢げに語る。

第三幕：謎の“そば信者”登場

二人が席に着きオーダーを済ませた頃、店の奥から怪しげな男が現れた。背広のポケットからなぜか小袋を取り出し、店長に話しかけている。「店長、実はこれ“特製のそば粉”なんですが、私が開発した品種でしてね。そばがき汁粉に入れていただけませんかね？」

店長が「ええっ、うちは一応、自社で選んだそば粉使ってるんですけど…」と困惑するも、男は強引だ。「ああ、失礼。私は折口と申します。“そば信者”の異名を持っておりましてね。そばのポテンシャルは無限大、デザートでも主役にできると確信してるんです！」

「な、何その肩書き…」みどりと夏希は思わずヒソヒソ。店長の川上は苦笑いしつつ、「とりあえずお話だけ伺いましょう」と対応を続けている。

第四幕：ついに「そばがき汁粉」とご対面

程なくして、店員が二人のもとへそばがき汁粉を運んできた。湯気がほわりと立ち上り、その中に白っぽい塊が浮いている。周りは小豆がたっぷり溶け込んだ甘いお汁。

「わぁ、ホントにそばがきが入ってる…お餅じゃなくて、もっとふんわりした感じに見えるね」みどりは興味津々でスプーンを構える。夏希も「見た目はおしるこなんだけど、香りがなんか香ばしいような…」と鼻をクンクン。

まずは一口。「ん～～っ！何これ、甘いあんことそば粉の香ばしさが混ざってすごくおいしい！」みどりは目を閉じて頬を緩める。そばがきのやわらかさが小豆の甘みと溶け合い、独特の風味が口いっぱいに広がる。夏希も負けじと一口。「あ、意外とクセがない！ふわっと溶ける感じが新しいね。お餅とは全然違うけど、これイケる！」

第五幕：騒動発生!? “そば信者”の野望

そんな二人を横目に、折口がまた店長に詰め寄っている。「私のそば粉を使えば、さらに香り高くなりますよ！ぜひ試してもらいたいんです！」「いやでも、うちはうちのこだわりが…」「そばがき汁粉を、そばの真の主役たらしめたい…！お客さんの反応だって間違いなく良くなるはず！」

その言い争いがだんだん大きくなり、ついにみどりたちの耳にも届いてくる。気になって仕方ない。「すみません、どうかされました？」みどりが声をかけると、折口は振り返って力説する。「お客さん、今食べてるそばがき汁粉、私の粉を使えばもっと美味しくなるんですよ！　そばの香りが3割増し、コクが2倍、もはや革命ですよ！」

「ええっ、でも今のでも十分おいしいんですけど……」夏希が口を挟むと、折口は「いや、私のはスペシャルですから！」と譲らない。店長の川上は「もう仕方ないなぁ。じゃあ折口さんの粉で一皿だけ作ってみますか？」と妥協案を出す。

第六幕：緊急試作!? スペシャルそばがき汁粉

店長が奥へ行き、数分後、「できましたー！」と戻ってきた。「折口さんの粉を使った“スペシャルそばがき汁粉”です。香りは強いかもしれないですが、どうなんでしょうね……」

周囲の客が興味津々で見守る中、折口はドキドキしながら試食する。「う……うおお…！この香り、鼻腔をくすぐる…！あんこに負けないそばの個性…！」感激のあまり顔が赤くなる折口。隣で店長が「お客さんにも少し味見してもらいましょうか？」と提案する。

みどりと夏希も「いいんですか？」と期待して試食用のスプーンを手に。一口食べると……「おお、確かにそばの風味が強い！　ちょっとクセが強くなるけど、その分通好みって感じ」「なんかそばを食べてる感じがより増すね！私は好きかも。だけど、こっちの方が好きって人と苦手って人に分かれそう…」

第七幕：爆笑フィナーレ

結局、折口は「大成功だ！」と大喜びし、店長の川上は苦笑いしつつも「これは限定メニューとかで出せるかも？」と前向きに検討する様子。みどりと夏希は両方のそばがき汁粉を味わったが、「定番の方がマイルドで食べやすいし、スペシャルの方はそば好きがハマりそう」と結論。

会計を済ませ、二人が店を出ようとすると、折口が挨拶してきた。「お二人とも、ありがとうございます。私の粉を評価してくれて…もしよろしければ今度“そばレボリューション”というイベントを開催するので、ぜひいらしてください！」「遠慮しておきます！」夏希が即答、みどりは苦笑い。

外に出ると、まだ口の中に残るそばの香りと甘いあんこの余韻が混ざって、なんとも不思議な幸福感。「そばがき汁粉って、こんなに美味しいなんて知らなかったね」みどりが笑う。夏希も「うん、ちょっとクセになるかも。意外と“アリ”だわ」と頷く。

こうしてそばがき汁粉は、彼女たちの味覚に新風を吹き込んだ。今日も「やまいも庵」には、あったかいそばがきと甘いあんこの香りが立ちこめ、人々をほっこりさせている。そして店の奥では“そば信者”折口が「イベント」とやらに向けて何やら動いているらしい……何かが起きそうな予感？

（終わり）