ほっくりパフェ騒動〜甘くない誤解とホクホクなオチ〜

山崎行政書士事務所
1月15日
読了時間: 6分

1. 秋の味覚が運ばれる朝

ここは小さなカフェ、名前を**「イモルージュ」**という。店内には紅葉（こうよう）を意識したディスプレイが飾（かざ）られ、どことなく秋の訪れを感じさせる空気がただよっている。**店主・西野早智子（にしのさちこ）**は朝から荷物を抱え、息（いき）を切らせながら店へ。そこには仕入れ先から届いた“さつまいも”の箱が、ずらりと置かれていた。

「よし、これを使って“さつまいもパフェ”を作るの！秋のホクホク感を、パフェで表現するんだから！」

西野は意気込（いきご）んでニヤリと笑う。一方、新人スタッフの**山崎結花（やまざきゆか）**は、その箱をのぞき込みながら、

「うわぁ…さつまいもって、地味ですよねぇ。SNSではバエない色合いかも…」

と、あっさり“ズバッ”と言ってしまい、西野のこめかみがピクリと引きつった。

2. 「ホクホク VS 派手デコ」で意見が真っ向衝突

西野はパティシエ歴10年超のこだわり派。「余計な演出はせず、素材の良さを生かしたい」という信念が強い。しかし山崎は「地味さを補うために、カラフルなトッピングをどーんと盛り、映（ば）え狙いましょう！」と毎度のことながら大胆な案を打ち出す。

山崎「例えば紫イモソースとか、カラースプレーチョコとか。上にマシュマロ乗せてバーナーで炙（あぶ）りましょうよ！」西野「ちょ、ちょっと待って！そんなにゴチャゴチャ付けたら、さつまいもの風味が埋もれちゃうでしょ！？うちのパフェは“さつまいも”が主役なの！」

二人の熱い口論（こうろん）の間に、**常連客の武藤圭一（むとうけいいち）**が訪（おとず）れる。会社帰りにケーキを買うのが楽しみな武藤だが、入って早々、バチバチの空気に戸惑（とまど）い…。

武藤「え、えっと…今日の新作は…？」山崎「さつまいもパフェですよ！でも見た目が地味で……」西野「地味って言うな！ホクホク感を素直に味わってほしいのよ…」武藤「は、はぁ…そうなんですか…（僕はどう反応すれば…）」

こうして、三人の噛み合わない会話が妙に転がり始める“ドタバタ”の予感が漂う。

3. ライバル店の挑発と「イモ子」の噂

店の外がザワついていると思えば、姿を見せたのはライバル店**「カラフル・ポテト」店長の間宮（まみや）**。ここは芋スイーツ専門で、派手な芋チップスや芋パイが人気。

間宮「へえ、さつまいもパフェ？それって地味じゃない？うちは芋を彩り豊かに盛りまくって人気だよ。…あ、失礼。おたくの“ホクホクパフェ”、売れるといいっすね～」

嫌味（いやみ）たっぷりに笑う間宮を見て、西野は顔を赤らめつつ、

「何を…！素朴な甘みを大事にしてるからって、派手さに負けるわけない！」と意地を張る。山崎は心中（しんちゅう）で「派手路線も少しは認めてくれないかな…」と複雑な表情（ひょうじょう）だ。

そこへ山崎がSNSを見ながら騒ぎ始める。

「店長！この“イモ子”さん、さつまいもスイーツを専門にレビューしてる有名人ですよ！フォロワー何万人って！どうやら近くの街に来てるみたいで、どこかの芋スイーツ店を取材するらしい…」西野が目を輝（かがや）かせる。「そ、それならぜひうちに来てほしいわ…“イモ子”が評価してくれれば、地味って声も吹き飛ぶかもしれない…！」

しかしライバル店長・間宮がニヤリ。

「イモ子？ああ、うちも声かけてるけどね。派手な芋タワーパフェを出せば絶対ウケるし。まぁ頑張って～」再び嫌味を吐（は）いて去っていき、店の空気がギシギシ重くなる…。

4. トラブル：芋の仕入れがうまくいかない！？

まさに“イモ子”来店の噂（うわさ）で盛り上がる最中、山崎が電話を取り、驚愕（きょうがく）の表情。

「店長、農家さんが天候不順で収穫量が減ってるって…。いつも仕入れてるさつまいも、今週は量を確保できないみたいです…」西野「ええっ！？そんな……。せっかくイモ子が来るかもしれないのに、パフェを作る芋が足りなくなるじゃないの！」山崎は「す、すみません…どうします？在庫を大事に使うしか…」と焦る。武藤は横で聞いていて、「こ、ここはもう、数量限定か予約制しかないのでは…」と助言するが、西野は「それじゃ肩肘（かたひじ）はってるようで気が引ける…」と歯がゆそう。自然と店内に妙な空気が立ちこめ、「もしイモ子が本当に来たら、せっかくのチャンスを逃すかも…」と全員が不安げだ。

5. クライマックス：謎の客が続々来店、真のイモ子は誰？

その夜、店を延長営業にして様子を見ていると、いろんな客が次々来る。

派手な服装の女性：「あら？ここがイモスイーツの店？へえ～」と言うだけで帰ってしまう。
スーツ姿のビジネスマン：「イモ子って…何すかそれ？僕は普通に甘いのが食べたいだけ…」と首をかしげる。
地味な帽子を深くかぶった人：「すみません、さつまいものパフェはありますか？」と少しだけ声をひそめる。

店主と山崎は「どれがイモ子さん？」と混乱（こんらん）。武藤も「ぼ、僕じゃないですよ…」と変な返しをしてしまい、さらにかき乱（みだ）れる。挙句（あげく）、芋の在庫があとわずかになり、店主は最後の力を振り絞って“ホクホクパフェ”を一杯だけ作る。地味だけど味は抜群（ばつぐん）のはず。すると、帽子をかぶった地味な人が「いただきます」と言い、一口食べると……

「……これは…なんて素朴で自然な甘み。甘さ控えめのクリームと相性がよく、さつまいも自体のホクホク感がちゃんと生きている。見た目が地味って言われるかもだけど、じっくり味わうと繊細ですね。」

周りが「も、もしかして…？」と静まりかえり、その帽子の人物は「実はわたし、イモ子と呼ばれてる者です…」と明かす。店主・西野は「やっぱり…！」と口を押える。ライバル店の間宮も様子を覗（のぞ）きに来ており、「ちょ…どうしてウチじゃなくここに…！」と焦り顔。イモ子は「派手な芋スイーツもいいですが、こういう素朴な味わいも大好きなんです。思わずリピートしたくなりました」と微笑（ほほえ）む。

6. ほくほくなオチ！みんな笑顔で終幕

翌日、イモ子のSNS投稿が話題になり、「イモルージュのホクホクさつまいもパフェ」が“秋の逸品（いっぴん）”として爆発的に拡散される。電話や予約が殺到し、店内は大忙（おおいそが）しに。山崎が「やっぱ地味でも味が確かなら勝てるんですね！」と喜んでいると、西野は「でもちょっとは華やかなトッピングを加えてもいいかも。あの…ほんの少しだけね」と照れくさそうに笑う。武藤が「ぼ、僕は普通ので十分美味しいと思うんですが…」と弱々しく言うが、やはり誰にも相手にされず。ライバル店・間宮が「うちも負けない！」と捨て台詞を吐（は）いて去るものの、店の客足は止まらない。最後、店主と山崎が「さつまいもプリンとか、さつまいもシュークリームとか、次々出しちゃおうか！」と盛り上がり、武藤は「あ、僕が試食やりますね…」と巻き込まれ、わいわいと楽しそうな笑い声で幕（まく）が下（お）りる。**「ほっくりパフェ騒動〜甘くない誤解とホクホクなオチ〜」**はこうしてみんなの笑顔とホクホクな甘さに包まれながら、温かいラストへ。

（了）