まるっとよもぎ騒動!? まぁるいよもぎだんごの大冒険
- 山崎行政書士事務所
- 1月24日
- 読了時間: 5分

登場人物
水野(みずの)さやか
30代OL。餅スイーツが好きで、特に和菓子に目がない。
青木(あおき)杏(あん)
さやかの同僚。ツッコミ担当。あんこの食べ過ぎで最近ちょっと悩んでいる。
店長・和田(わだ)
和菓子専門店「草もち庵」の店長。よもぎ愛が止まらない。声が大きい。
謎の“まるい男”丸岡(まるおか)
どこへ行くにも球体を愛でる、丸いものフェチ。丸く緑色なら何でも褒めちぎるらしい。
第一幕:噂の「まぁるいよもぎだんご」登場
「杏、聞いたことある? 『草もち庵』で超話題の“まぁるいよもぎだんご”ってやつ!」昼下がりのオフィス。水野さやかがスマホを見せながら興奮する。
「よもぎだんご? 普通のお団子と違うの?」青木杏はやや冷めた口調。でも目が画面に吸い寄せられてる。
「これ見て! ほら、ツヤッツヤのよもぎ生地に、まん丸のフォルムが可愛いんだって。しかもあんこ入りで、食感がもちっとしてるらしいの!」「ふーん。でもお餅系って太るっていうし……いや、でも美味しそうだね……」「いいじゃん、一度くらい食べたって!」さやかの食い気に押され、杏は「仕方ないなあ」とため息。
第二幕:和菓子専門店「草もち庵」へ
週末、ちょっと早めに店に行くと、既に行列ができている。「わ、やっぱり人気なんだね。並ぶしかないか……」杏が渋い顔をする横で、さやかは「並んでもゲットする価値があるって!」とキラキラ笑顔。
順番が来て店内に入ると、店長の和田が声高らかに迎えてくる。「いらっしゃいませ~~! よもぎだんごお探しですかー?」「はい! “まぁるいよもぎだんご”二つください!」「ただいま作りたてありますよ~! ちょっと焼き色つけてますんで、あったかくて香ばしいですよ!」
店長が奮闘している姿を横目に、杏は「焼くの? お団子焼いちゃうの? すごいね」と驚いている。
第三幕:謎の“まるい男”出現
二人が待っていると、店の奥から妙な男がツカツカ歩いてきた。頭もまぁるく、体格もぽっちゃり丸みを帯びている。「緑の球体……まさにこの世で最も崇高な形……!」彼はショーケースに並ぶよもぎだんごをうっとり眺めている。
「えっ、何あの人? なんかブツブツ言ってる……」杏が小声で言うと、男は気づいたように近づいてきた。「あなたたちも“まぁるいよもぎだんご”をお求めですか? 素晴らしい! 私は丸岡。あらゆる丸いものを愛する者です。特に緑色で丸いものには目がなくてね!」
「は、はあ……」さやかは戸惑いながらも、「よもぎだんご狙いは同じなんですね……」と愛想笑い。
第四幕:まさかの争奪戦?
その時、店長の和田がカウンター越しに手を振りながら声を張り上げる。「今日のよもぎだんご、のこり30個でーす! ただし、作りたてのあん入りは在庫限りとなりまーす!」
「やば、あんこ入りが先に売り切れちゃうかも……」さやかが焦って列をうかがう。見ると結構お客がいるようで、下手したら売り切れもあり得る。「急がなきゃ……でももう注文したから大丈夫だよね?」「あ、そっか。ちゃんと確保してくれてる……はずだよね?」
ところが、先ほどの丸岡が「店長、私に“まぁるいよもぎだんご”を30個全部ください!」と高らかに宣言。「ええっ!? 30個全部!?」店内がざわつく。さやかと杏も「ちょっと、それは困る!」と声をあげる。
店長の和田は「ええと、いくらまん丸が大好きでも、一人で30個買っちゃうと他のお客さんに迷惑ですからねぇ……」と困り顔。丸岡は「だって丸い緑の姿が美しすぎる! それを独り占めしたいんだ!」と鼻息荒い。
第五幕:店長の解決策
和田はパチンと手を打ち、提案する。「じゃあこうしましょう! お一人様、あんこ入りは最大10個まで。残り分を他のお客さまにも行き渡るようにして……どうですかね?」
丸岡は「むむむ……10個か。まあ仕方ない」と渋々引き下がる。さやかと杏はホッとして「これで私たちも買えるね」。ちょうど自分たちの分は既に取り置きしてあるらしいので安心。
第六幕:実食! まぁるいよもぎだんご
ようやく手にした“まぁるいよもぎだんご”。見た目は手のひらサイズの丸々した団子で、色は鮮やかな緑。あんこが中に包まれているらしく、ほんのり湯気が上がっている。
「いただきまーす……」さやかがかじってみると、よもぎの香りがふわりと鼻を抜け、柔らかい生地の中から甘さ控えめのあんこが登場。「ん~~! すごい香り高い……想像以上にモチモチ! あんこがとろける!」
杏も一口。「はわっ……え、何これ、柔らかいのにちゃんと弾力ある……。ほろ苦さとあんこの甘さが絶妙!」二人は顔を見合わせ、「もう最高!」と声をそろえる。
第七幕:まるい男の愛情、爆笑フィナーレ
一方、丸岡は無事10個確保し、店内の隅っこで「まるい……まるい……」とひとつひとつ抱えるように鑑賞している。「ああ、この手触り……美しい球体……緑は癒やしだ……」まるで芸術品を眺めるように団子を愛でたあと、ようやくパクッと食べると、しばし無言の後、感激の声を上げた。「う、うまい……形だけじゃなくて味まで最高だと……!」
店長の和田も「気に入ってもらえて良かったッス!」と笑顔。さやかと杏はその様子を見て「なんか変な人だけど、幸せそうでいいね……」と苦笑する。
レジで会計を済ませ、店を出る二人。「ねえ杏、これまた食べたいね。次はあんこなしのバージョンとかもあるみたいだし、色々試したい!」「そうね、あの形と香りはクセになりそう。私もダイエットは……まぁ後回しでいいや」「ははは。そうこなくちゃ!」
外に出ると、春の日差しがぽかぽかと暖かい。口の中にはまだ残るよもぎの余韻。まぁるいよもぎだんご――その丸さと香りは、一瞬にして人の心をつかみ、笑顔を生み出す。今日もどこかで、その緑の球体に惚れ込む“まるい男”が出没し、店内をにぎわせているかもしれない――。
(終わり)





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