県知事義元 vs 市長家康
- 山崎行政書士事務所
- 1月13日
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第一章:就任のド派手会見
静岡県民が見守るなか、新たに県知事に就任した今川義元は、お祝いの席をまるで戦国大名の凱旋のように豪華絢爛なものにしてしまった。会場には地元ゆるキャラの“お茶っ子くん”や“富士さん姉妹”がずらりと並び、静岡おでんとしらす、三ヶ日みかんジュースが振る舞われるという異様な盛り上がりぶり。
一方、静岡市では同じ日に、市長として就任した徳川家康が黙々と「市民満足度向上プラン」を練っていた。こちらは打ち上げ花火もなければ騒ぎ立てる横断幕もなし。静岡市役所の会議室で地味に記者会見が行われただけ。 「街づくりは小さな積み重ねが大切ですから……」と語る家康に、マスコミが「やはり堅実ですね」と笑う。
かくして、**“ド派手な義元”と“堅実な家康”**の県と市が同時にスタート。地元の新聞は早速これを記事にして、「真逆のリーダー登場! 静岡の未来はいかに?」などと煽り気味に書き立てる。
第二章:豪華すぎる「駿河ルネサンス計画」と静岡市の慎重策
義元の最初の一手
知事に就任したての義元は、早速「駿河ルネサンス計画」なる大規模政策をぶち上げる。観光資源を一挙に開発し、世界から人を呼び込もうという大胆構想だ。「富士山の近くに国際芸術祭を設け、駿府城をエンターテイメント施設に変え、空港や新幹線をフル活用して……日本の中心にするんだ! わははは!」県庁の職員たちは熱の入ったプレゼンに口をあんぐり。「知事、予算とか、地元住民の合意とか、どうするんですか?」と小さくつぶやくが、義元は「そこをなんとかするのが行政の腕前だろ」と鼻高々。
家康の地味リスタート
一方、市長家康は「静岡市民の暮らしを支える」と公約を掲げ、教育・福祉・インフラ整備といった、実に地道な施策ばかりのプランを市議会に提出する。「道路の補修、公共交通の利便性向上、子育て支援……。まずは市民の足元を固めることが最優先ですから」周囲から「地味すぎる」と言われても気にしない。そんな家康の姿勢に、市の幹部職員は安心するが、マスコミは「やや迫力に欠ける」と書き立てる。
第三章:静岡県と静岡市の境界線――トラブル続出
義元のリゾート開発が波紋
義元が進めるリゾート開発計画の一部が、静岡市の歴史的景観を大々的に変えてしまう懸念が出てくる。古くからの商店街や伝統行事に対して大幅な改修が必要になるらしく、市民から「そんなの静岡じゃない!」と反発の声があがる。県職員の鈴木真央は、義元の政策を市に説明しようとするが、家康サイドは難色を示す。「駿府城周辺の再開発が派手すぎます。市民から文化財を守る陳情が相次いでいるんですが……」義元は「県全体の発展を考えれば、この程度の犠牲は仕方ないだろう。天下の富士山に負けない観光地にするんだ!」と強引に進めようとする。
家康の教育改革が予算を圧迫
逆に家康の教育改革案は、学校施設の改築や教職員の増員など、県の予算にも影響が及ぶ内容が含まれていた。これを知った義元は「勝手に市が県予算をあてにするなんて、いい度胸だな」とご立腹。「地道すぎる子育て支援にどれほど効果がある? 一気に大きな投資をして、全国から人を呼び込むのが優先だろ!」家康は「そんな急激な改革は市民がついていけません。将来の納税者を育てることこそが、都市発展の基礎だと私は思うんですが」と穏やかに言うが、義元は聞く耳を持たない。
こうして県と市の職員は板挟み状態。担当者は日々、両リーダーの言い分を伝え合い、説得しようとするが、どこまで行っても水と油の対立が続く。
第四幕:迫り来る危機――富士山と人口減少
防災会議での大げんか
ある日、富士山の噴火リスクがメディアで大きく取り上げられ、静岡県全域で防災対策を強化する必要が生じる。県庁で開かれた緊急会議には家康も出席し、義元が進める「県一括防災プラン」の説明を受ける。義元「富士山が噴火したら県境を超える被害が想定される。大規模な避難訓練や施設整備を県主導でやるぞ!」家康「市ごとの状況は違います。市単位で住民を動かす柔軟な計画を…」義元「いや、県のほうが広域的に見る必要がある! 細かい市の意見は後回し!」家康「後回しにしたら市民が混乱するでしょう!」
会議室では二人が言い争いを始め、職員や他市町村の首長が困惑しきり。「またかよ……」とため息が漏れ、メディアはここぞとばかりに「義元vs家康、またバトル!」と面白おかしく報道。
人口減少の危機感
さらに静岡県全体でも、市町村単位でも、人口減少が深刻な問題になっている。若者が流出し、高齢化が進む地域も少なくない。「県が派手な観光政策を進めても、住む人が減ったら元も子もない……」家康はそう嘆き、義元も内心は焦りを感じる。「華やかな観光だけじゃダメなのか?」と初めて弱気になったりもするが、表には出さず「何とかしなきゃ」と頭を抱える。
第五幕:奇跡のコラボ誕生
新しい県市連携プロジェクト
そんな中、県職員の鈴木真央が一計を案じる。「お二人が対立している場合じゃありません。人口減少や災害対策、どれも一緒にやらないと解決できませんよ」田中翔太(地元起業家)も加わり、「若者が住みたくなる街づくり」を提案。家康の「地道な住民目線」と義元の「華やかなアピール力」を組み合わせれば、最強のPRができるのではないか――というアイデアが浮上する。義元は「うーん……家康の意見を一部取り入れるのは嫌だが、このままじゃ成果を出せずに終わる」と苦い顔。家康は家康で「義元知事の意見にも確かに一理あるか」と渋々認め、ここに県×市共同プロジェクトが誕生する。
混乱会議
プロジェクトの初会議では、「立地が違う」「予算規模が合わない」といった細かい問題が次々表面化し、まるでコントのような激しいやりとりが繰り広げられる。義元「こんな小さい数字じゃインパクトがない!」家康「インパクトだけがすべてではありません!」職員たち「あわわ、また始まった……」最後は田中が「お二人とも落ち着いて!」とお茶を配り、なんとか会議をまとめ上げる。三谷幸喜ばりのドタバタが県庁で繰り返されるうち、少しずつ両者の歩み寄りが見えてくる。
第六幕:富士山を背景に
共同記者会見
無事に「県と市の連携プロジェクト」発表の段取りが整い、静岡駅前の広場で記者会見が行われる。義元は久々に豪華な衣装(?)を身につけようとして、職員に止められ、「いや、まあいいか……」と渋々控えめなスーツに。家康はいつも通りの地味なスーツだが、少し笑顔を浮かべている。ステージに二人が並んだ瞬間、メディアのシャッター音が激しく鳴り「まるで戦国大名が同盟結ぶみたい!」と一部の記者が囁く。義元「新たな静岡を作るため、徳川市長と手を携えて進みます!」家康「県知事の派手さは苦手ですが(笑)、一緒に力を合わせ、住民に寄り添った街づくりをしたいと思います」会場は拍手喝采。テレビや新聞では「義元&家康、ついに和解か?!」と盛り上がる。
災害対策と観光振興
この共同プロジェクトには、富士山噴火の防災対策、観光振興、若者定住策などが含まれる。・防災対策: 県が統一的マニュアルを作り、市ごとの細かい状況を家康が補足。・観光: 義元の得意な華やかイベントと、家康が進める歴史・文化の保護を融合し、古い街並みを生かした観光ルートを整備。・若者定住: 仕事と子育ての両面支援を強化し、新しい企業誘致を進める。
それぞれのパートで議論が沸騰するものの、「お互いの得意分野を尊重する」という合意が生まれ、意外にスムーズにことが運ぶ。噛み合っていなかった歯車が、徐々に噛み合いだしているのを周囲は感じ取る。
最終幕:二人が見た未来
フィナーレの夜景
大きなプロジェクトの第一段階が終了し、県庁の展望ロビーからは富士山がシルエットを浮かべる。そこに義元と家康が顔を合わせる。気まずい空気になるかと思いきや、二人は互いに微笑んでいる。義元「お前のやり方、最初は本当につまらんと思ったが……案外悪くなかったな。地味なようで核心を突いてるって感じだ」家康「知事の派手さには正直、戸惑いましたが、あれだけインパクトがあると人が関心を持ってくれるものですね。まさに“駿河の華”かもしれません」ぎこちない言い回しながらも、本音がぽろりと出る。二人は富士山を見上げ、「静岡を守り、盛り上げるのが俺たちの役目だ」と再確認するのだった。
エピローグ:笑顔の握手
翌日、県庁前の記者が二人を待ち構え、「お二人はこれからどう協力していくおつもりですか?」とマイクを向ける。義元は「ま、喧嘩しつつ仲良くやるさ!」と笑い、家康は「いいところだけ吸収し合えば、最強ですから」と静かに語る。二人はガッチリ握手を交わし、その写真が地元新聞の一面に。「義元と家康、手を取り合い静岡の未来へ!」という見出しが躍る。街の人々は「あれだけケンカしてたのに、いつの間にか息が合ってるんだから面白いねえ」と笑い合い、静岡の空は今日も澄み渡っているのだった。
(終)


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