「静岡駅前・エレガンスストア物語」――「エレガンスストア」のスタッフたちが織り成す、笑いと熱意あふれる日々。ブランドバッグだけでなく、高級時計やさまざまなアイテムも扱っているこのお店で、今日もまた小さなドラマが生まれる――。第6話「杉山さんの営業魂」
- 山崎行政書士事務所
- 1月20日
- 読了時間: 4分

シーン1:常連の男性客、時計コーナーで悩む
ある午後のこと。杉山さんは店内を巡回していると、以前から何度も足を運んでくれている常連の男性客が高級時計のショーケースの前で立ち止まっているのを見つける。杉山さんはすかさず声を掛ける。
杉山さん:「いらっしゃいませ! 今日はどうされましたか? もしお探しの時計があれば、ぜひ試着してみてくださいね!」
男性客:「いや、実は前から気になってたんだけど、値段も高いし……どうしようかなって。」
杉山さん:「迷っているなら、まずは実物を着けてみましょう! 時計は着けた時のフィット感や重さも大事ですから!」
男性客:「そ、そうですね……じゃあちょっとだけ。」
シーン2:止まらない熱い説明
ここからが杉山さんの“営業魂”の見せどころ。男性客が試着するのに合わせ、時計のブランドの歴史や、素材の特長、職人のこだわりなどなど――止まらない情報の連発だ。
杉山さん:「このモデルは創業○○年の老舗メーカーで……ここ、見てください! ステンレス部分には特別な加工がされてまして、汗やキズにも強いんですよ。さらにムーブメントは自社製で、専門家からも“精度が最高水準”との評価があって――」
男性客:「へぇ、そうなんですね……(頷きながらも、どこかソワソワ)」
杉山さん:「そしてこのデザイン! スーツにもカジュアルにも合わせやすい万能タイプなんです! 秒針の動きも滑らかでしょう? 見た目と機能を両立させるには――」
気づけば30分以上が経過。男性客は話を聞きながらも、しだいに「ちょっと長いな…」という表情になってくる。
男性客:「あ、あの、ありがとうございます。とても参考になりました。もう少し考えてみますね。」
杉山さん:「ぜひご検討ください! もし何かご不明点があれば何でもご相談ください!」
男性客:「はい、わかりました……(ほっとした笑み)」
シーン3:後日、奥様を連れて再来店
数日後、今度はその男性客が奥様らしき女性と連れ立って再来店。ショーケースの前にやって来ると、ちょうど杉山さんがフロアに出てくる。
男性客:「こんにちは、先日は長い説明ありがとうございます。実は今日は妻にも話を聞いてもらおうと思って。」
奥様:「夫から、店員さんがとても熱心で分かりやすい説明をしてくれたって聞いて、どんな方なのか気になってたんです。」
杉山さん:「わ、わたしの説明がそんなに印象に残ったんでしょうか……?(ちょっと照れ)」
男性客:「おかげで妻も“そこまで情熱を持って薦めてくれるなら、買ってみてもいいかも”って言うんですよ。」
奥様:「実際に着けてみて、またいろいろお話聞かせていただけると嬉しいです。」
そう言って奥様にも試着してもらい、再び時計の魅力を丁寧に語る杉山さん。前回ほど長くはならないようにと少し意識しつつも、どうしても熱意がこぼれ出てしまう。
杉山さん:「こちら、つけ心地はいかがですか? 先日もお話ししましたが、このブランドの強みは――」
男性客:「あ、思い出した。あの時の“職人さんのストーリー”が印象深かったんだよね。」
奥様:「やっぱり手間ひまかけて作ってるんですね……。それなら、一生ものとして大切にできそう!」
シーン4:ついに購入決定!
そうこうするうちに、奥様もすっかり納得。二人は顔を見合わせ、満足そうにうなずく。
男性客:「よし、じゃあ買いましょうか。」
奥様:「せっかく思い切って買うなら、しっかりしたものがいいものね。どうせなら夫婦で兼用してもいいかな?」
杉山さん:「ありがとうございます! ぜひ大切に使っていただければ嬉しいです!」
男性客:「杉山さんの熱い説明、ほんとに説得力ありました。ここまで詳しく教えてもらえるとは思わなかったので、安心して買えるよ。」
杉山さん:「ご購入、本当にありがとうございます! 今後のメンテナンスや修理なども、ぜひ当店にご相談くださいね!」
シーン5:清水さんの“ドライ”なツッコミ
無事に商談(?)が成立し、満足して帰っていくお客様夫婦。その後、レジカウンター近くで清水さんと杉山さんが一息つく。
清水さん:「お疲れさま、杉山さん。今回も熱意がすごかったわね。でも、30分以上はさすがに長すぎる…(苦笑)。」
杉山さん:「そうですよね……。つい商品への思い入れが強すぎて、説明もヒートアップしちゃいました。でも結果的にお客様に納得していただけたし、良かったです!」
清水さん:「まあね。でも次回は、説明時間を10分以内に抑えようか。他のお客様も待ってるし、効率良く接客しないとね。」
杉山さん:「はいっ、努力します! でも商品愛は変わりませんよ!」
清水さん:「うん、そこは大事にして(笑)。」
そんなやり取りを横目で見ていた宮本店長は、嬉しそうに頷きながら在庫リストに書き込みをしているのだった。
清水さん:「次は説明時間を10分以内に抑えようか。」杉山さん:「努力します!」
(第6話 終)





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