「静岡駅前・エレガンスストア物語:新作イベント/偏屈・咲山さんに三浦さんの“仰天ぶっ飛び対応”」
- 山崎行政書士事務所
- 9月21日
- 読了時間: 4分

――年に一度の新作イベントVIPタイム。静寂を切り裂く足音とともに現れたのは、“条件だらけ”でおなじみの偏屈紳士・咲山(さきやま)さん。担当はよりによって三浦さん(天然)。店は一瞬で実験室と舞台と茶室になった――。
第一幕 開幕10秒で要求が50個
咲山(入店一言目)「照明の色温度は? 床の水平誤差は? BGMは40dB以下で。」
三浦(満面)「光は“やさしい”、床は“まっすぐ”、音は“ふんわり”です!」
(背後から清水がタブレットを差し出す)清水「3500K、水平誤差±1mm、BGM 38dB。切替も可能です。」
咲山「最初から彼に喋らせてくれ。」
宮本店長(小声)「三浦さん、“やさしい”は感想。“3500K”が事実。」
三浦「はいっ、3500Kのやさしさです!」
第二幕 仰天①:五感同時プレゼン
三浦「今日は五感でわかるプレゼンをご用意しました!」
視覚:照明を“太陽(4000K)⇄夕景(3200K)”に切替。
聴覚:BGMを“無音→春の小鳥(効果音0.5秒)→無音”。
触覚:サンプル革を“春の犬みたいにふわっ”と撫でる手つきで手渡す。
嗅覚:無臭の箱を渡し「安心の無臭です!」
重心:バッグの底に文鎮、じゃなくて検査用おもりを置き、水平器で重心±5mmを実演。
(※すべて商品を傷めないモック&サンプルで実施)
咲山「……無臭を嗅がせるのは初体験だ。」
杉山(舞台袖でガッツポーズ)「五感で押す、これは新しい!」
清水(すかさず数値補足)「反射はサテン仕上げ、ピッチ2.8mm、許容差±0.1。重心は中央から**+3mm**。」
三浦「つまり“ほぼど真ん中”です!」
第三幕 仰天②:0.5秒俳句と影絵プレゼン
咲山「言葉の飾りは不要だ。端的に頼む。」
三浦(まばたき一回ぶんの早口)「春かぜに ほどけて整う このマチ」
咲山「……五音・七音・五音、ギリギリだが悪くない。」
続けて三浦、卓上ライトで影絵を始める。バッグの影が蝶→扇→舟に“たぶん”見える角度に。
三浦「この舟は“荷物が沈まない”の意です。たぶん。」
咲山「“たぶん”は逃げだが、嫌いではない。」
宮本店長(袖で親指)「ナイス“たぶん”。断言の強制を避けるいいクッションだ。」
第四幕 仰天③:携帯風洞と坂道テスト
三浦「実験その1、風速5m/sでタッセルの暴れ方を検証します!」
(ハンディファンON、清水が風速アプリで実測)清水「4.9~5.1m/s、許容範囲。」
三浦「実験その2、傾斜3°の坂道での自立テスト!」
(可搬スロープに乗せて手を離す)
咲山「……倒れない。自立合格。」
杉山(思わず前に出る)「さらに! 中仕切りが荷重を分散、肩の負担を——」
宮本店長(目で制止)「今日は“静の説得”。情熱は3割で。」
杉山(小声)「情熱、減量中……。」
第五幕 仰天④:沈黙の接客(そして無糖)
ラウンジで一息。三浦「お飲み物、無糖と無糖と無糖があります。」
咲山「無糖しかないのか。」
三浦「はい、静けさの味をそろえました。」
(沈黙10秒。咲山、ふと笑う)
咲山「静けさを“味”と呼ぶか。発想はぶっ飛んでいるが、悪くない。」
第六幕 偏屈十箇条、崩壊
咲山「最後の確認だ。ショルダー穴は偶数が良い。」
清水「現状5つ。ただし工房で1孔追加可。納期2週間、費用は——」
三浦(被せ気味に)「奇数は“遊び心”、偶数は“安心”。咲山さんは、今日は“安心”ですね。たぶん。」
(沈黙→ふっと口角)
咲山「……今日は安心でいこう。」
清水(最速で発注フォームを開く)「追加1孔、仕様確定しました。」
クライマックス “ぶっ飛び”の正体
会計前。咲山「君の“春の犬”だの“静けさの味”だの、理屈では測れない言葉が、私の測りすぎる癖を止める。おかげで“持つ楽しさ”に戻れた。礼を言う。」
三浦(目がうるうる)「こちらこそ……! じゃあ、たぶんこれは咲山さんの“春の相棒”です。」
咲山「領収書は咲山企画。色違いも予約しよう。」
杉山(小さくガッツ)「情熱3割、効いた……!」
宮本店長(一礼)「心より感謝申し上げます。進捗は毎週無音メールでご報告を。」
咲山「無音メール?」
清水「要点だけの“静かな”短文報告です。」
咲山「良い名だ。」
エピローグ 反省会という名の祝勝会
杉山「あの“携帯風洞+坂道”コンボ、次もやろう。」
清水「数値と例えのクロスフェード、有効ね。資料化する。」
宮本店長「今日のキーワードは“たぶん”“静けさ”“±5mm”。過剰な断定を捨て、こだわりに寄り添う。見事だった。」
三浦「次は“夏の猫”で行きます。触り心地が“ひんやりスルン”で——」
清水&杉山「——たぶん、ね!」
(爆笑と拍手。新作イベントの夜は、静かで、やさしく、3500Kに灯っていた。)
(終)





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