「静岡駅前・エレガンスストア物語：ノルマへの道（第2章） “奇跡の接客術”」――高級ブランドショップ「エレガンスストア」のスタッフたちに課せられた“1人200万円/月”という厳しいノルマ。第1章では、全員が空回りしながらも必死に取り組む姿が描かれた。果たしてこのままでは終わらない――第2章では、それぞれの奇跡の瞬間が訪れる！――

山崎行政書士事務所
1月20日
読了時間: 5分

プロローグ：反省からの一歩前進

前回の1週間で思うように成果を上げられず落ち込んでいた三浦さん、杉山さん、清水さん。しかし、厳しい状況でも諦めずに方法を模索するうちに、思わぬチャンスが訪れようとしていた。

第一幕：三浦さんの奇跡

シーン：店内、夕方の静かな時間帯

三浦さん（おっとり系）は、お客様が少ない時でも常に柔らかな笑顔で迎える。だが、販売実績はなかなか伸びない。スタッフルームでは「このままじゃノルマに届かない」と肩を落としていた。

ところがある日、ふらりと来店した一人の女性客が三浦さんの接客を受けることになる。

三浦さん「いらっしゃいませ～。今日はどのような商品をお探しでしょうか……？ゆっくり見ていただければ嬉しいです。」

女性客：「ありがとう。でも……ちょっと忙しくて、あまり時間がないの。」

そう言う彼女は少し疲れた表情をしていた。三浦さんはいつものように優しいトーンで商品を案内しつつ、お客様の話にそっと耳を傾ける。

「最近仕事が忙しくて……」
「ゆっくり買い物なんて久しぶりで……」

三浦さんは「忙しいときこそ、ふわっと癒やされる時間が大事ですよね～」と相槌を打つ。そしてごく自然に“癒し”をテーマにした小物やバッグをいくつか見せ、「手に持つだけで気分が上がりそうですよ～」と笑みを浮かべる。

すると、女性客はしばらく商品の手触りを楽しんだ後、ふっと笑顔をこぼす。

女性客：「……なんだかあなたと話してると、不思議と心が落ち着くわ。これ、全部まとめて買ってもいいかしら？」

三浦さん：「えっ！？そ、そんなにたくさん……！？」

よく見ると、合計額はなんと300万円近くに達していた。まさに「ノルマ」を大幅に超える金額。驚く三浦さんに対し、お客様はこう言う。

女性客：「あなたに会えたおかげで、久々に“癒し”を感じられたわ。自分へのご褒美にしたいの。」

三浦さん：「そ、そうですか……！ありがとうございます……（感動でほろり）。」

こうして、三浦さんはまさかの大口購入を引き出すことに成功。彼女のおっとりした“癒し接客”が、忙しい日々に疲れたお客様の心を掴んだ瞬間だった。

第二幕：杉山さんの熱血作戦

シーン：外商先・社長夫人のご自宅

積極性がウリの**杉山さん（熱血）**は、店舗だけでなく外商にも力を入れることに。「とにかく行動しなきゃ始まらない！」とばかりに、取引先の社長夫人へアポイントを取って訪問。

社長夫人：「杉山さん、ようこそ。実は今度のパーティーで、目立つ装いがしたいんですよ。何かいい提案はありますか？」

杉山さんは大喜びでカタログやサンプルを広げ、全身トータルコーディネートを提案し始める。

「華やかなドレスには、このブランドのクラッチバッグが合います！」
「アクセサリーは控えめですが、ポイントでダイヤが輝くデザインが◎です！」

もともと商品知識が豊富な杉山さんは、社長夫人の要望に合わせてスピーディーかつ的確に提案。いつもの“押しの強さ”も、外商先では「頼りになる専門家」として評価される。

社長夫人：「まあ、すごく素敵！それならパーティー会場でも確実に目立ちそうね。よし、これら一式、まとめてお願いしようかしら。」

その場で200万円の成約が決定！大量の注文書にサインをもらいながら、杉山さんは拳を握りしめ心の中でガッツポーズ。

杉山さん：「（やったー！）……ありがとうございます！必ずパーティーで最高の装いになるよう、最後までサポートいたします！」

外商を積極的に活用し、“熱血営業”がまさにカタチになった杉山さん。彼女の勢いは止まらない。

第三幕：清水さんのデータ分析力

シーン：バックヤード・パソコン前

清水さん（冷静）は、店内の売れ筋や常連客の購入履歴をじっくり分析中。膨大なデータと向き合い、「どのお客様が次にどのアイテムを欲しがりそうか」を推測する。

清水さん：「過去の購入傾向から見ると、あの常連客は革製のバッグが多い。そろそろアクセサリー系にも興味を持ち始める頃じゃないかな……？」

そんなふうに予想を立て、常連客へ事前に連絡。「新作アクセサリーが入荷したので、ぜひ見に来てください」とアポイントを取る。すると複数の常連客が「ちょうどアクセサリーを探していた」と来店。清水さんの的確なアドバイスで、次々と高額商品が売れていく。

「このネックレスは、お手持ちのピアスとも相性が良いはずです。」
「前回、レザーのバッグをお買い上げいただいたので、これとのコーディネートも素敵ですよ。」

お客様は「毎回ぴったりの提案をしてくれるから助かるわ」と満足し、大きな信頼を寄せる。その結果、清水さんは狙った通りの目標金額をしっかり達成。売上はぐんぐん伸びていく。

第四幕：奇跡の成果と店長の反応

シーン：閉店後のスタッフミーティング

1日の終わり、いつものスタッフルームで売上を集計する宮本店長。すると、思わず目を丸くして叫ぶ。

宮本店長：「な、なんだこれは……！？三浦さん、300万円！？杉山さん、200万円以上！？清水さんも目標クリア……みんなすごいぞ！」

三浦さん：「わ、私も正直びっくりしました……でもお客様が“癒された”って言ってくださって……。」
杉山さん：「外商ってやっぱり可能性ありますよ！これからもガンガン行きたいです！」
清水さん：「データ分析が上手くハマったみたいですね。もちろん、実際に接客する現場力も大事ですけど……。」

店長は満面の笑みで拍手。

宮本店長：「みんな、本当におめでとう！この調子で行けば、全員がノルマ達成も夢じゃない。引き続き、よろしく頼むぞ！」

スタッフ全員：「はい、店長！」

エピローグ：これが“奇跡の接客術”の力

こうして、三浦さんの偶然とも思える“大口購入”、杉山さんの外商でのフルコーデ提案、そして清水さんの緻密なデータ分析が見事に成功を収めた。「1人200万円」という目標の重圧に耐えながらも、それぞれが“自分らしさ”を活かして挑んだ結果、奇跡的な売上を実現したのだ。

しかし、まだ物語は続く。達成した売上をさらにキープするのは容易ではないし、思わぬライバルの出現やお客様からの無理難題も予想される。それでも、エレガンスストアのスタッフたちは笑いとチームワークを武器に、この高いハードルを乗り越えていくに違いない――。

（第2章終）