「静岡駅前・エレガンスストア物語：ノルマへの道（第3章） “最終日の奇跡”」――1人あたり月200万円という高いノルマに挑んできたエレガンスストアのスタッフたち。三浦さん、杉山さん、清水さん、それぞれが個性を活かして奮闘し、ついに最終日を迎えた。あとわずか数万円に届かない状況で、果たしてどうなるのか――今、最後の奇跡が起ころうとしていた。――

プロローグ：月末最終日、あと一歩のところで…

「1人200万円」というノルマを抱え、迎えた月末最終日。

• 杉山さん（熱血）は、外商や積極接客で大幅に売上を伸ばしたものの、まだあと数万円の不足が……。

• 三浦さん（おっとり）も、奇跡的な大口購入を得ていたが、それでもあと少し到達に届かない。

焦る二人を尻目に、冷静な清水さんは既にノルマをクリアしており、店内の動向をじっと見守っている。店長の宮本店長も「どうにか二人が達成できないものか」と歯がゆい思いで店頭を見回していた。

第一幕：焦る杉山さんと三浦さん

シーン：店内、夕方の繁忙時間

月末ということもあり、お客様はそこそこ入っている。しかし高額商品をすぐに買ってもらえるとは限らない。

• 杉山さんは「あと数万円で200万到達…！」と心の声が漏れ、思わず声かけにも熱が入りすぎて、お客様が少し引き気味。

• 三浦さんは「ああ、あともう少しなのに…」と内心焦りすぎて、逆に接客の一言がうまく出てこない。

杉山さん（心の声）：「今この瞬間に20万円のバッグとか買ってくれる人、どこかにいないのー！？」三浦さん（心の声）：「せめてアクセサリーでも……でも無理強いはしたくないし……ああ、どうしよう…。」

その様子を見かねた清水さんは苦笑いしつつ、レジカウンターで在庫やお客様リストを再チェック。すると、彼女のスマホに“あるVIP顧客”からの着信が。

清水さん：「（小声） これは……もしや、最後のチャンスかもしれないわね。」

第二幕：VIP顧客の突然の来店

シーン：店頭、閉店1時間前

ガラス張りの入口から、まるでオーラを放つような雰囲気のVIP顧客が姿を現す。周囲のスタッフや他のお客様も思わず道をあけるほどの風格。清水さんがサッと前に出て、笑顔でお迎えする。

清水さん「本日はご来店ありがとうございます。もしよろしければ、新作のご案内などはいかがでしょうか？」

VIP顧客：「そうだね、せっかくだから見せてもらおう。（清水さんを見て） いつも丁寧な連絡をありがとう。急に来店しても大丈夫かな？」

清水さん：「もちろんです。スタッフ全員が喜びますので、ゆっくりご覧くださいませ。」

実は、このVIP顧客は清水さんのメールや電話でのこまめなフォローにより信頼関係を築いている常連客。普段は海外出張で忙しく、なかなか来店できないが、今回たまたまスケジュールが空いたという。

第三幕：店長とスタッフの連携プレー

VIP顧客が店内を見て回る中、宮本店長がひと声かける。

宮本店長「いつもありがとうございます。新作バッグやアクセサリーが今非常に人気なんですよ。何かお探しのイメージはありますか？」

VIP顧客：「実は近々、海外のパーティーに招かれていてね。スーツと合うバッグや小物が欲しいんだけど……」

そこに、すかさず清水さんが的確な提案。「以前は革小物をメインにお探しだったから、同ブランドの新作シリーズはいかがか」とおすすめする。さらに宮本店長はスーツスタイルを引き立たせるトークを添え、VIP顧客の興味をしっかりとつかむ。

VIP顧客：「ほう、このデザインはいいね。じゃあ合わせて、時計も新調しようか。この機会にトータルで揃えたい。」

第四幕：残り数万円を埋める一言

VIP顧客は次々と商品をカウンターにキープしていく。価格を合算していくと、かなりの金額に。店長や清水さんは内心「これは大きい……！」と期待を高める。しかし計算してみると、VIP顧客が検討中の商品では三浦さん、杉山さんの売上にあと一歩足りないところで合計が止まってしまうかも……。

そこで清水さんが最後にさらりとこう告げる。

清水さん「実は、少し前にこちらのブレスレットが出たばかりで、時計との相性も抜群なんですよ。色味を合わせると、さらに統一感が出て格好良いかと。」

VIP顧客：「ブレスレットか……確かにいいね。じゃあそれも一緒にお願いしようかな。」

その一言が決め手となり、三浦さんの分、杉山さんの分も含めて、全スタッフのノルマ達成ラインを超える売上が確定！ 店内には一気にホッとした空気が流れる。

第五幕：全員ノルマ達成の瞬間

シーン：レジカウンター

購入を決めたVIP顧客がクレジットカードを差し出し、スタッフが丁寧に会計を進める。金額は桁違い。スタッフの手が少し震えるが、VIP顧客は涼しい顔。「良い買い物ができたよ」と微笑む。

• 三浦さん：「あ、ありがとうございます！ 本当に……」

• 杉山さん：「すごい、ありがとうございます！ ぜひパーティーで輝いてくださいね！」

そこへ宮本店長が締めの言葉を投げかける。

宮本店長「この度はご来店いただき、誠にありがとうございました。皆も、目標を意識しながら、それぞれの力を活かしてくれたおかげだ。200万円という数字に惑わされず、みんなが自分の力を発揮してくれた結果だよ。」

VIP顧客：「こちらこそ楽しい時間だった。また来るよ。」

エピローグ：涙と笑いの“最終日の奇跡”

閉店後、スタッフルームでは歓声が上がる。

• 杉山さんは「やったー！ これで私も200万達成です！」とガッツポーズ。

• 三浦さんは「VIP様まで来てくださるなんて、奇跡です～…」と感涙気味。

• 清水さんは「最後は冷静に誘導しただけ。店長の会話がなかったら成功してなかったわ。」とクールにコメントするが、どこか安堵の表情。

店長が笑顔で言う。

宮本店長「みんな、本当にお疲れ様！ ノルマがきつい分、最後まで何が起こるかわからないものだな。これもお店全体で取り組んだからこその成果だ。」

スタッフ全員：「はい！ これからも頑張ります！」

こうして、1人あたり200万円という高い目標をなんとかクリアしたエレガンスストアの仲間たち。彼らの物語は続くが、今夜だけは達成の喜びをかみしめながら、明日への新たな一歩を踏み出すのだった。

（第3章 終）