『法務ロワイヤル外伝12 ~イシュタリア大使館と草薙の坂の下で~』―山崎行政書士事務所、“古代王国の姫”が動かす新たな国際(?)問題編―
- 山崎行政書士事務所
- 1月19日
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プロローグ:姫の壮大なる計画、始動
静岡市清水区、草薙の坂の下にある山崎行政書士事務所。 ここには、幽霊・宇宙人・深海人・江戸時代の来訪者・妖精・ドラゴン…さらには古代王国の姫セリーヌが集い、常識を超えた“法務ロワイヤル”が日常的に行われている。 そんな中、姫はとある壮大な宣言をするのだった。
「わたくし、イシュタリア大使館をここに建てたいのです!」
スタッフ一同は思わず「えええっ!」と大声をあげる。 所長の山崎哲央は相変わらず穏やかな口調で、「大使館、ですか…? それは…前例がないですね」と苦笑い。 しかし、姫は真剣そのもの。「イシュタリアを再興するうえで、まずは“現代世界”との橋渡しとなる拠点が必要なのです」ときっぱり告げるのだった。
第一章:在留資格の壁、そして“国交樹立”のハードル
■ そもそも、イシュタリアは未承認?
姫の在留資格申請すらまだ道半ばなのに、いきなり“大使館”を名乗るとなると、問題は山ほどある。 斎藤夏海は、入国管理局や法務局へ問い合わせの電話をかけまくりながら、「えーと、イシュタリア王国は現代のどの国からも未承認ですよね…」と困惑。 丸山修はエクセル画面を見つめつつ、「国際法的に“国家”と認められるには領土や主権が必要だし、承認国もいないと…大使館って成立するの?」と頭を抱える。 森下舞は辞書やネットを駆使しながら、「もしかして“文化交流センター”とか“観光案内所”ならワンチャン…」などとアイデアを考えるが、姫はあくまで「大使館」にこだわっているらしい。
■ 姫の主張
セリーヌは高貴な雰囲気を漂わせつつ、険しい表情で言う。「わたくしは真にイシュタリアの姫。王家の証(剣と冠)もここにあります。国を失って久しいとはいえ、今こそ再興を…! その第一歩が大使館なのです!」 スタッフたちは顔を見合わせ、「その熱意は分かるけど、法の整合性がなさすぎる…」と苦笑するしかない。
第二章:動き出す“国際”協議? そして新たな協力者
■ 町おこし組もまさかの参入
そこへ割って入ったのが、地域振興課の職員堀江。「姫様、大使館という形は難しいかもしれませんが、もしも観光や文化交流に活かせるなら、僕らも全面支援しますよ!」 斎藤が「でもそれは大使館じゃなくて、あくまで“民間施設”という扱いですよね…?」と確認すると、堀江は大きく頷く。「ええ。現行の法律ではそうなります。が、姫様が納得してくれるかどうか…」
■ 古代王国専門の研究者も続々
また、姫が持つ“イシュタリアの遺物”に学術的興味を抱いた考古学者や歴史マニアがゾロゾロと押し寄せてくる。「大使館だなんて面白い! 歴史的に前例がない!」「絶対に世界的ニュースになる!」と盛り上がるが、法的手続きの問題は解決していない。 山崎は苦笑しながらも、「これだけ人が集まってくるのは、姫が本気で国交樹立を考えている証拠ですね…。どう落としどころを見つけようか」と腕を組む。
第三章:姫の理想と現実――揺れる心
■ 書類づくりに追われるセリーヌ
姫は真面目で几帳面らしく、山崎事務所の勧めに従って“在留資格認定証明書”の申請書類を自ら書き進めている。 しかし、項目には「国籍」や「生年月日」「出生地」など、現代の概念に当てはまらないものが多数。 セリーヌは頭を抱える。「何度も言いますが、わたくし生まれは紀元前数千年にさかのぼりますし…“国”もとうの昔に滅んで…」 森下は励ますように言う。「まあ大丈夫です。うちの事務所、深海人や江戸の方も何とかしましたから。項目が足りなければ“別紙”で補足説明とか…ね?」 斎藤も苦笑いしながら「そうです、最後は人情で…というか、やれるだけやってみましょう」と書類を見やる。
■ 現代日本で“姫”は通用するのか?
姫自身にも葛藤がある。かつては従者や民を従える立場だったが、この時代にはそういった“姫”の概念が通用しない。人々は優しくしてくれるが、敬称でかしづくわけでもなく、「セリーヌさん」と呼ばれたりする。 セリーヌは窓の外を見ながらつぶやく。「わたくしは何者なのか…姫として扱われない以上、ただの昔から来た“迷い人”なのでしょうか…」 山崎は穏やかに微笑み、「あなたがどう生きるかは、これから決まるのだと思いますよ。私たちもお手伝いします」と声をかけるのだった。
第四章:黒幕? “謎の貴公子”が動く
■ 再び暗躍する勢力
一方で、以前石板を奪おうとした黒ずくめの連中が再び動き出す。彼らの背後には、アルドナンと名乗る謎の男性の存在があった。 アルドナンは貴族風の衣装を着こなし、まるで姫と同じ時代の人間を思わせる雰囲気を漂わせる。
「イシュタリアを再興するのは、この私だ。姫など不要――宝も遺産も、私が支配する…」 どうやら、同じ古代王家の血筋を自称しており、姫を排除して権力を握ろうとしているらしい。
■ 大使館計画を潰す宣言
アルドナンは町の噂を聞きつけ、姫が“大使館”を作ろうとしている事実を知ると、「馬鹿な。彼女など、ただの亡国の娘。真のイシュタリア王位は私が継ぐ」と言い、秘密裏に妨害工作を企てる。 中には、役所やマスコミに「姫は詐欺師だ」「大使館などデタラメだ」と虚偽情報を流すなど、陰湿な手口も。 斎藤はその風評被害に振り回され、「また変なデマが出てますよ…しかも“姫がテロを起こす”とか無茶苦茶!」と憤慨する。
第五章:在留資格認定の山場
■ 役所からの“追加書類”要請
書類提出後、しばらくして役所から連絡が入る。「姫の“経済状況”や“滞在目的”について、さらに詳細な書類を提出いただきたい」とのこと。 セリーヌは面食らう。「経済状況? わたくし、古代の金貨は多少持っておりますが、換金方法が分からず…」 丸山は「か、換金って…まあ銀行員時代に鍛えた知識で相場は調べられますけど、古代の金貨に付加価値がつきすぎて、オークション扱いになるかも…」と途方に暮れる。 森下が「これも悪い意味で前例がない…。とにかく法定通貨化できるかどうか、鑑定士を探しましょう!」と必死に提案。
■ 姫、面接を受ける
さらに在留資格申請における面接が行われることになり、姫は慣れないスーツ姿で面接官の質問に答えることに。 - 「滞在の目的は?」 - 「生活費はどうやって賄いますか?」 - 「イシュタリア? どこにある国ですか?」 質問はどれももっともだが、姫は戸惑いながらも「わたくしの祖国は…」と懸命に説明。斎藤や山崎が横でフォローし、「歴史的背景はこうで…」とサポートする。 面接官は苦笑しつつも、「な、なるほど…とてもユニークですね」とメモを取るばかり。
第六章:アルドナンの妨害、そしてクライマックス
■ 大使館用地が炎上?
姫と山崎事務所が候補地として検討していた空きビルの一角が、突如として火災に見舞われる。幸い大事には至らなかったが、不審火の可能性が高い。 「これは絶対アルドナンの仕業だ…!」と怒る斎藤。森下も「許せない…。姫様の夢をこんな形で妨げるなんて…」と憤る。 しかし、現場に証拠はなく、警察も捜査中とのこと。山崎は沈黙を保ちつつ、「焦ると罠にはまります。冷静に証拠を集めましょう」と落ち着いた様子を見せる。
■ 現る“アルドナン”
その夜、事務所前に現れたのは、正体を隠さなくなったアルドナン本人。
「セリーヌ、貴様などが大使館を名乗るなど笑止! イシュタリアの王座はこの私がいただく!」 姫は毅然と対峙し、「古の掟に従うなら、王家の証を持つわたくしが正統継承者。あなたは何を根拠に…?」と問いただす。 するとアルドナンは怪しい力(!?)を発動させて闇のオーラを放ち…かと思いきや、突然に警察車両が到着。 実は山崎がひそかに通報しており、「空きビル放火未遂の容疑者として話を聞きたい」と警官が声をかける。アルドナンは顔を引きつらせ、やむなく退散するしかなかった。
第七章:在留資格、ついに下りる
■ まさかの“特別許可”?
数週間後、姫のもとに役所から書類が届く。そこには、**在留資格:特定活動(古代文化の研究・保存)**といった特例的扱いで許可する旨が記されていた。 「おめでとうございます、姫様…!」と斎藤たちが拍手する。姫は涙を浮かべながら「これで正式にこの国で活動できるのですね…」と微笑む。 丸山は「まさか“古代王国文化保護活動”という独自のカテゴリーが生まれるとは…役所も頑張りましたね…」と驚くやら笑うやら。
■ 大使館はどうなる?
姫の在留が認められたとはいえ、正式な“大使館”としてはまだ程遠い。でも、行政との協議の結果、“イシュタリア文化交流センター”として活動を開始することが認められそうだ。 山崎は「いつか本当に“イシュタリア大使館”が世界から承認される日が来るかもしれませんね。そのときはぜひ、うちの事務所にも声をかけてください」と微笑む。 セリーヌ姫は感激した面持ちで「はい、きっと…!」と力強くうなずく。
エピローグ:新たな風、草薙の坂の下で
こうしてイシュタリア姫は、日本国内で“古代王国の文化を広める”という名目で滞在を続けられることに。 空きビルの一角は改装が進み、**“イシュタリア文化交流センター”**として華々しくオープン。古代の資料や遺物の展示、民族衣装体験、さらには姫が直接レクチャーする“王家のマナー講座”など、地域の新たな観光スポットになりつつある。 もちろん大使館とは呼べないが、姫にとっては第一歩だ。いつか世界がイシュタリアを正式な国家として認める日――その夢に向かって、姫は日々奮闘を続ける。
■ 山崎事務所、次なる依頼は?
平穏(?)を取り戻した事務所。斎藤は「はあ…やっと一段落。幽霊やドラゴンに続いて姫も落ち着きましたね。次こそ普通の案件来てほしい…」と弱音を吐く。 だが、そのとき電話が鳴る。森下が出ると、「もしもし、いま宇宙からのビームが街に…」という騒々しい声が聞こえてくる。 丸山は顔を引きつらせ、「え、また宇宙系? カンベンしてよ…」と叫ぶ。 山崎はニコリと笑って「みんな、落ち着いて。どんな依頼だろうと、法務の力でできるかぎりのサポートをする。それが僕たちの仕事だからね」と優しく声をかけるのだった。
こうして、山崎行政書士事務所の物語はまだまだ続く。姫が夢見る“大使館”という未来も、いずれ実現するかもしれない。ファンタジーと現実が交錯する草薙の町で、新たなページが今日も開かれていく――。
(さらに続く…かもしれない)





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