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『法務ロワイヤル外伝15 ~ドラゴンフェスと草薙の坂の下で~』―山崎行政書士事務所、ドラゴンをめぐる“町おこし”大作戦編―

  • 山崎行政書士事務所
  • 1月19日
  • 読了時間: 9分



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プロローグ:新たな日常のはじまり

 静岡市清水区、草薙の坂の下にある山崎行政書士事務所。 巨大なドラゴンたちが山林の保護区で暮らし、時おり空を舞う姿が町の「日常風景」になりつつある今日この頃。だが、その一方で問題は山積みだ。 前回の“母ドラゴン再会騒動”を乗り越え、どうにか落ち着きを取り戻した矢先、今度は「ドラゴンをもっと前向きに活かそう!」という町おこしプランが持ち上がり、行政書士事務所に再び忙しさが押し寄せる。

第一章:ドラゴンを観光資源に? 町が動き出す

■ 町おこし委員会の発案

 朝早く、事務所にやってきたのは、地元商店街の町おこし委員会メンバーたち。元気いっぱいにこう切り出す。 > 「草薙と言えば、いまやドラゴンの町! ならば“ドラゴンフェス”を開いて、大々的に観光客を呼び込みたいんです!」

 斎藤夏海はまだ眠そうな顔で「ドラゴンフェス…ですか? そもそも、危険じゃないですか?」と面食らう。 委員の一人が熱弁する。「もちろん、安全確保は必須ですよ。でも、今のうちに『ドラゴンと一緒に盛り上がるお祭り』を定着させれば、全国区の集客が見込める! 商店街も潤うし、町のイメージアップも間違いなし!」

■ 既存ルールとの衝突

 しかし、ドラゴンに近づきすぎるのは厳禁だ。丸山修が「せっかく保護区を設定したのに、人を安易に呼び込んだら事故につながる恐れが…」と懸念。 町おこし委員は「そこはぜひ行政書士の皆さんが“安全対策の許可申請”を一括でまとめてください! 保護区の一部を開放して、観光ルートを作りたいんです!」と頼みこんでくる。 森下舞は頭を抱えつつ、「保護区の立ち入り規制をどう緩和するか、条例改正や住民説明が必要だし…大変そうですね」とため息。 所長の山崎哲央は相変わらず穏やかな表情で、「まずは現実的に“どんなフェス”を企画するのか、詳細を詰めていきましょう。安全と共存を前提に、可能性を探ってみる価値はありますね」とまとめる。

第二章:ドラゴンフェス構想、膨れあがる夢

■ フェスの内容は?

 町おこし委員や地元商店街、さらに観光協会のメンバーも加わり、にわかに**“ドラゴンフェス検討委員会”が立ち上がる。 彼らのアイデアは次々と飛び出す。 - ドラゴンフライト見学ツアー:山の上からドラゴンが飛ぶ姿を遠くから望むコース- ドラゴンフードフェスタ:鱗や炎をモチーフにした地元グルメの屋台- ドラゴン着ぐるみパレード:子供たちにドラゴンの恰好をしてもらい、商店街を練り歩く …などなど、どれも夢いっぱいだが、同時に安全面本物のドラゴンとの距離**が不安要素だ。

■ ドラゴン親子はどう思う?

 さらに問題となるのは、当のドラゴンたちが人間のお祭りに協力的かどうか、だ。 斎藤は「前に子ドラゴンが母親を探して暴れまわった時もそうだけど、彼らが“どこまで理解しているか”は謎ですもんね」と首をかしげる。 丸山は苦笑い。「本物のドラゴンがゲスト出演なんて、さすがに無理でしょう…。万が一、火炎を吐いたら大惨事ですし」 山崎は「ただ、上手に調整できれば、お互いの共存イメージを発信するいい機会になるかもしれません」と、小さくうなずく。

第三章:行政の許認可、条例改正へ

■ 保護区の立ち入り制限と特別許可

 “ドラゴンフェス”のコア企画となる「フライト見学ツアー」には、保護区への立ち入りが不可欠。 しかし現状は「研究者やボランティア、行政関係者のみ」が厳しく制限されているため、一般客を入れるには条例改正特別許可が必要だ。 森下が条例案の改稿に挑む。丸山はエクセルで経費・人員配置・警備計画を試算し、斎藤は住民説明会の資料作成に追われる。 山崎はリーダーシップを発揮しながら、「地元議会の承認を得るには、フェスのメリットと安全対策の確実性を示すことが大事ですね」と皆を励ます。

■ 住民意見は賛否両論

 もちろん、「そんな危ないものを観光客に見せるなんて!」と反対の声も少なくない。 農家や畜産業者は「ドラゴンが興奮したら家畜が襲われないか?」と不安を訴え、商店街の一部も「事故が起きたら責任問題だ」と慎重な姿勢。 森下は住民の声を聞きながらため息。「確かに心配は分かります。ドラゴンが火を吹いたら…。でも上手くいったら町が盛り上がるのも事実…」 山崎は苦笑い。「行政書士って、書類だけじゃなくて、こんな“調整役”までやることになるんですね」と苦労をしつつも前向きだ。

第四章:ドラゴン“協力”の鍵? 仲間たちのアイデア

■ 深海ダイナーの漁師・網代の提案

 かつて“深海人マーレ”騒動でも活躍した漁師の網代功が、ユニークなアイデアを持ち込む。 「ドラゴンが怒らないように、やりを計画的にするといいんじゃねえか? 深海魚はムリでも、うちが漁で取ってきた魚を定期的に山に届けるとか…」 斎藤は「なるほど、空腹でイライラするのを防ぐわけですね」と感心する。

■ NPO代表・遠藤柚香のイベントプラン

 一方、NPOで高齢者支援をしている遠藤柚香は、「フェスと福祉を結びつけたい」と語る。 > 「お年寄りや子どもたちが安心してドラゴン見学できるよう、バーチャル体験ブースを設けるのはどうでしょう? 本物に近づかなくても安全に楽しめる!」 丸山は「バーチャルか…なるほど。VR技術を活用して、火を吹くドラゴンを臨場感たっぷりに再現するのもいいですね」と頷く。

■ 幽霊物件オーナー・吉本の思惑

 これまで“幽霊物件”で話題を作ってきた吉本も黙っていない。 「ドラゴン伝説と幽霊スポットを組み合わせたミステリーツアーなんてのも面白そうじゃない? ドラゴンが出る山と幽霊屋敷をセットで回るとか!」 森下は苦笑しつつ、「なんかもう、てんこ盛りですね…。でも話題性はありそう」と興味を示す。

第五章:町を巻き込む大イベント準備、そして困難

■ 日程と予算

 フェスの開催日は秋の連休に決まり、町おこし委員も大張り切り。 しかし、予算が足りない。フェス運営費や警備、保護区拡張工事など、膨大な費用が見込まれる。 斎藤は「またクラウドファンディング頼みでしょうか…。ドラゴンファンは増えてるけど、全額賄うのは無理かもしれない」と頭を抱える。 山崎は「行政が補助金を出すとしても、議会の承認が必要ですね。これは結構ハードルが高い」と危惧する。

■ ドラゴンの制御は誰が…?

 さらに、肝心の“ドラゴンをどう落ち着かせるか”という問題も残る。 実際、母ドラゴンや子ドラゴンは人前で静かにしてくれる保証がない。空を飛ぶ際、突然低空飛行で観光客を脅かす可能性もある。 丸山は震えながら「何かドラゴンを呼び寄せる笛とか、鎮める音とかないんですかね…? ファンタジーにはありがちですけど…」と冗談を言うが、誰も答えを持たない。

第六章:思わぬ協力者――国際ドラゴン研究機関!?

■ 突然の来客

 ある日の夕方、事務所を訪ねてきたのは、「IDRI(International Dragon Research Institute)」 と記された名刺を差し出す外国人研究者グループ。 > 「私たちは世界各地のドラゴン伝説を調査しており、実際に生きたドラゴンがここ静岡で確認されたと聞き、ぜひ協力したいと思いまして…」

 斎藤たちは驚く。「世界規模の研究機関があるんですね…」 彼らによれば、過去の事例から“ドラゴンに平穏をもたらす周波数”や“騒音を抑え込む音響装置”など、いくつか有望な研究成果があるらしい。 山崎は興味深げに「それは面白い…。ただし、町や保護区との調整が必要です。無闇に実験するとトラブルの元ですからね」と釘を刺す。

■ ドラゴンフェスへの援助

 IDRIメンバーは「研究資金も潤沢なので、一部はフェスのスポンサーとして出資してもいいですよ」と提案。 森下が「本当ですか!? それなら予算問題が大きく前進します!」と目を輝かせる。 丸山はただし「研究目的でドラゴンに近づきすぎたり、勝手に実験したりするのは困ります」と念押し。IDRI側も「もちろん。我々はあくまで平和的な共存を目指します」と約束する。

第七章:フェス当日、果たしてドラゴンは現れるのか?

■ ドタバタの準備完了

 いよいよ迎えた“ドラゴンフェス”本番。商店街はドラゴンをイメージした赤や金色の装飾で彩られ、VRブースドラゴンフード屋台ミステリーツアーの受付などが並び、大賑わい。 斎藤や森下はスタッフ用の腕章をつけて走り回り、丸山は本部テントで予算管理や観光客の誘導に追われる。 山崎は要所要所を見回りながら、落ち着いた声で「大丈夫、順調ですよ。問題は“ドラゴンフライト見学”がちゃんと成功するかですね…」とつぶやく。

■ 観光客の熱狂、そして不安

 “ドラゴンフライト見学ツアー”には多くの観光客が申し込み、特設バスで保護区近くまで向かう。そこからは安全な見学スポットを設け、IDRI開発の音響装置を準備。 しかし、「本当にドラゴンが飛んでくるの?」「火炎で襲われたらどうする?」という不安の声も。ガイド役のNPOスタッフ・遠藤が「大丈夫です、ちゃんと対策してますから」と笑顔で応対するが、内心ドキドキだ。

クライマックス:ドラゴンの登場、そして一瞬の奇跡

■ 山の上の静寂

 見学スポットに集まった人々は息を潜め、空を見上げる。しかし、時間になってもドラゴンはなかなか姿を見せない。 焦りと落胆が広がる中、斎藤が「やっぱり都合よく出てきてくれないのかも…」とつぶやき、丸山は「このままでは大赤字…」と落ち込みかける。

■ 翼の影が走る

 そのとき、空に巨大な影がさっと走り、山並みを超える形で母ドラゴンがゆるやかに舞い降りる。さらに後を追うように子ドラゴンと、見慣れないもう一頭が連なって姿を現す。 観光客から歓声と悲鳴が入り混じった大反響。森下は思わず「来た…本当に来てくれた!」と感激する。

■ 炎と光のショー(?)

 母ドラゴンが大きく口を開き、やや上向きに火炎を噴き上げる。燃え上がる火の粉が空に散り、まるで花火のようだ。 観光客はビックリしつつも、その美しい光景に拍手と歓声。 子ドラゴンも小さく炎を吐き、まるで「ボクだって負けないぞ」と競い合うかのよう。 IDRI開発の音響装置が静かに低周波音を発し、ドラゴンたちの興奮を和らげている…のかもしれない。少なくとも混乱する様子はない。

エピローグ:新たな一歩を踏み出した町

■ フェスの成功、しかし課題は続く

 こうして、“ドラゴンフライト見学”は大成功。SNSやニュースで一躍話題となり、町には全国から観光客が押し寄せ始めた。 とはいえ、これが長期的な安定を約束するわけではない。ドラゴンが増える可能性はあるし、火炎事故や騒音、農作物被害などのリスクもまだ残っている。 山崎行政書士事務所は引き続き、住民とドラゴンの共存を支えるルールづくりや、IDRIとの連携協定の整備、保護区の監視体制の強化などに奔走しなければならない。

■ それでも笑顔あふれる町

 フェスが終わった夜、事務所のメンバーは打ち上げとして近くの居酒屋へ。疲れ切った斎藤が「まさか無事に終わるとは…」とビールをあおり、丸山は「まだまだ課題はあるけど、今日は頑張ったよね」と微笑む。 森下は「ドラゴンが空に火を噴く瞬間、ほんと幻想的でした…」と思い出してうっとり。 山崎は静かにグラスを掲げ、「みなさん、お疲れさまでした。この町はまだ色んな問題を抱えてるけど、少しずつ前に進んでいる。僕たちの法務が役に立てたなら何よりです」と語る。

 その夜、草薙の空を見上げると、ドラゴン親子がゆったりと飛ぶ姿が見えた。火の粉を散らすことなく、穏やかに町を見守っているかのようだ――。

(さらに続く…かもしれない)

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