山崎行政書士事務所パロディ劇場6
- 山崎行政書士事務所
- 9月19日
- 読了時間: 36分

21. 長編サイドストーリー『星織ロボティクス・三日間戦記』—一日目
※これは「眠れる現場」をつくる三日間のうち初日の、ほぼ逐語的な記録である。キーワード:連絡先は最初の行/凡例(右下)/shall・will/what-if+人間承認/味見+メタ監視/期限付きの橋/譜面とBPM/“ありがとう”先出し/合法いたずら
08:40 受付脇の黒板に最初の行
朝、星織ロボティクスの本社。ガラスの自動ドアをくぐると、右手の黒板スペースに小さな白が増えていた。ふみかがチョークで最初の一行を置く。
広報(連絡先:press@hoshiori.co.jp/03-…)夜半の到達遅延→復旧。二重化で補足。詳細は朝のページへ。
黒板の最上段に連絡先。その下に事実→行動。比喩はない。朝の光はすでに柔らかく、チョークのカスが白い粉塵になって浮かぶ。「断言じゃなくて迎え入れ。今日はここから」とふみか。
すれ違う社員が立ち止まり、うなずく顔。場所が先に示されているだけで、呼吸が落ちる。
09:10 DPAの凡例(右下)に色をつける
法務フロアの会議室。りなとあやのが、ドラフトDPAを脚注から読み替える。スライドの右下には、名刺サイズのLegend。薄紫2色の凡例が並ぶ。
shall(濃紫):鍵はEU滞留/Managed HSM/報告72h/目的限定
will(薄紫):監査協力/定期報告/改善提案
りなは紫のペンで第28条/第32条/第33条/第34条に濃淡を刻む。「守る線=shall、協力の線=will。線の太さも揃えます」あやのが頷く。「脚注に連絡先(CISO室)を最初に。Exit on Page 1のピクトは提携書面の冒頭へ」
壁の時計は10分早い。早い時計は眠りを奪うことがあるが、今日は右下が時刻を無効化している。
09:40 what-if差分の人間承認ライン
インフラ室。律斗が二枚のモニタを左右に並べ、左にmain.bicep、右にActionsのログ。「what-ifは味見、deployは本焼き。人間の舌を必ず通す」彼は破壊的差分に自動拒否を設定し、差分ID/承認者/期限を必須に切り替える。aud: "repo:hoshiori/infra" は太字。「鍵は置かない。aud固定、短命トークン。PIMは期限+理由30文字」
承認フローの最終ステップにRunbook一行目の入力欄が現れた。
誰/いつ/どこで/何を/なぜ
「骨が入る」と律斗。画面の光が彼の指先で落ち着く。
10:20 味見+メタ監視で“谷”の見張り
NOC(ネットワーク運用)。蓮斗と悠真が並ぶ。蓮斗がSigninLogs/AzureActivity/AppTracesを十五分粒度で並べ、「香り三点」と呼ぶ。
失敗率、破壊的操作、P95遅延
「現実と握手するための最小単位」と蓮斗。悠真は別モニタにメタ監視のグラフ。到達件数に谷が一個。「平和か断線か安心か。左右を重ねる」三本を重ねたショットは凪。断線ではない。影に小さく印。胃にやさしい保存(骨2年/細部3ヶ月/影5年)。
ふみかが横目で「**『鳴らなかった』じゃなく『到達が遅延』**ね」とメモを置く。夜には使わない。朝の表現だ。
11:00 期限付きの橋を図化
叶多がホワイトボードに橋を描く。欄干:PIM(期限・理由)、aud固定、what-if+人間承認。橋板:小鉢化された権限、最短の昇格経路、退避のRunbook。
「落ちない橋は、欄干の厚さで決まる。期限と理由が細いと、夜に足が滑る」欄干の上に小さな猫の落書き。「落ちない撫で方は猫が知ってるから」とにやり。周囲の空気が少しだけ甘くなる。痛まない学びは糖度で残る。
12:10 譜面とBPMを調律
昼食後、陽翔と奏多が譜面の上に休符を置く。
夜間停止:23:00–6:00
緑の丸は朝だけ(成功は一声)
Savings Plan の購入日を月次の谷に合わせる
奏多がBPM 120から58へ一瞬落として、また80に上げる。「風が強い日は間を長く」陽翔は出口課金の整流の赤丸に×。「谷を予算で可視化しない。節約で語らない」
譜面をラックに戻すと、会議室の鳴きが半拍だけ遅れる。良い遅れだ。
13:00 “ありがとうの練習”を全社に回覧
さくらがSlackの#generalにテンプレ三本をピン留め。
見張りありがとう。到達遅延→復旧。Runbook1-2。次報10分。修正ありがとう。aud固定/短命トークンローテ完了。レビューありがとう。DPA脚注(72h/Art.33)追記済み。
「責める前に感謝。人は責められると遅くなるから」反応の絵文字は「:seedling:」。芽の色がタイムラインに増える。
14:20 演習のトレーラー配信(合法いたずら)
みおが社内ポータルに20秒のトレーラーを上げる。シーン:
what-ifの差分が大皿で出そうになる→小鉢に戻す手
OIDC の aud の空欄→**「repo:hoshiori/infra」**と太字で上書き
Exit on Page 1のピクトが最初のページに挿さる
橋の欄干に猫がちょこん
BGM は控えめ、字幕は大きく短い。
鍵は置かない勇気。差分は人間に。やめ方は最初のページ。
「痛まないのに刺さる」と評判。いい刺さり方は、文化を残す。
15:30 匿名炎上に“さざなみ”を投下
社外SNSに「星織でログが消えた」の短文。ふみかは一呼吸のあと、十秒を投下。
広報(連絡先:press@…)。到達が遅延→復旧。二重化で補足。判断が要る事象なし。詳細は朝のページに。
断言ではない。迎え入れの一段。返信の波は高ぶらない。遅い拍手のような「了解」の反応が点々と続く。夜の比喩は使わない。朝のために取っておく。
16:10 DPA脚注の仕上げ(shall/will)
あやのとりなが脚注の濃淡を一致させる最終調整。
Key(shall):EU 内 Managed HSM。窓口は CISO(最初の行)
Report(shall):72h(Art.33)
Cooperate(will):Art.34 評価の支援/監査の受入
スライドの右下にあるLegendのタブ色が、脚注の色と角度までそろう。「渡り心地が良くなる」と橘。「眠れる条文」と誰かが呟き、部屋に小さな笑い。
17:00 what-if承認ラインのリハ
律斗が擬似差分を作り、承認ラインを通すリハーサル。「差分ID: WF-2025-09-19-001」承認ステップの一行目に声をのせる。
Infra-Team(律斗)/17:02/prd/FW ルール小鉢化/大皿禁止の徹底
承認ボタンは人の指。猫ではない。承認後、Slack に緑の丸が一声。成功は一声。賛辞は朝でいい。
18:20 味見+メタ監視の夜番引き継ぎ
蓮斗と悠真が夜番にRunbookを短く渡す。
誰:Ops(夜班)/いつ:18:30–/どこで:dev→stg→prd/何を:左右の重ね/なぜ:谷の判別(平和/断線/安心)
夜はBPM 60。味見は十五分。ゼロは穴じゃない。空きだ。「鳴らなかったではなく、到達が遅延と書く」とふみか。夜の言い換えは固定する。
19:00 “ありがとう100連”が走る
さくらが**#thanks-stream**に“ありがとう100連”をセット。
見張りありがとう(Ops)修正ありがとう(Infra)レビューありがとう(Legal)調律ありがとう(SRE)脚注ありがとう(Legal)
スレッドが短い“ありがとう”で埋まると、判断が速くなる。責める前に感謝の実験。「午後が平和だ」と誰かが書く。ふみかがスクリーンショットを影に保存。胃にやさしい記録。
20:30 演習トレーラーがトレンドに(社内限定)
みおの動画が社内ポータルのトップに固定。再生のバーが短い。短い文は長い約束。コメントの上位は「右下」「最初の行」「Exit on Page 1」「にゃ」。猫は権限を持たないが、合図はできる。合図が短いほど、約束は長くなる。
21:10 “ゼロの谷”を撫でるリハ
メタ監視に、一分の谷。悠真「平和。左右重ね」蓮斗「重ねた。SigninLogs/AzureActivity/AppTraces正常。影に印」ふみか「広報、下書き。夜は出さない」
谷は撫でると形を教える。押すと形を失う。撫で方は猫が知っている。やまにゃんがミーティングテーブルの角でとん。
22:00 締めの最初の行
ふみかが黒板に二行を追加。
広報(連絡先:press@…)。一日目の下書き完了。明日は会見(十秒)/脚注(Art.33/34)/営業右下(Legend)夜は短く、朝に続きを。
黒板の右下には、りなが貼ったLegend。shallとwillの濃淡は、今日の線の厚さを正確に記録している。
22:30 緑の丸、閉局
Slack のOpsチャンネルに、緑の丸が一声。成功は一声。鳴らさない夜は、正しい。座席の背もたれでやまにゃんが丸くなり、しっぽ(USB-C)でとん。合図はこれで十分。
きょうの記録(影)・連絡先は最初の行で炎上沈静(ふみか)・凡例(右下)と脚注の濃淡一致(りな・あやの)・what-if+人間承認/aud固定(律斗)・香り三点+メタで谷判別(蓮斗・悠真)・期限・理由・手すりの橋(叶多)・休符+BPMの調律(陽翔・奏多)・ありがとう先出し(さくら)・痛まない学びのトレーラー(みお)
二日目の朝、十秒の言葉が港に届く。遅い拍手は届いた合図。でも今夜は、ここまで。夜は短く、朝に続きを。
21. 長編サイドストーリー『星織ロボティクス・三日間戦記』—二日目
二日目のキーワード:監査パック/Runbookは人間語/困ったら近くへ(増刷)/やめ方ステッカー貼り大会主な登場:りな・あやの・ふみか・律斗・蓮斗・悠真・陽翔・奏多・さくら・みお/駅務室 塚本/商店街 千代子・白川先生 ほか
07:50 開庁前・紙の温度
二日目の朝、印刷室の光はいつもより白かった。コピー用紙より厚いA4がスタッカーに揃い、束の右下にはLegendが刷り込まれている。濃紫=shall、薄紫=will。りなが一枚ずつ角を指で滑らせ、紙の温度を確かめる。冷たい紙は、言葉を載せる準備ができている。温まった紙は、読み手の手のひらで落ち着く。「監査パック、今日の改定分はこれで全部」あやのが頷く。「Runbookは人間語。五つの骨で始まるやつ」
壁の時計は、針がまだ八の数字の上。青いペンで「2日目:監査→駅→商店街」と細く書く。右下に小さな丸—緑の丸—が描かれた。朝の合図はまだ先だが、丸はそこにあるだけで効く。
09:00 監査向け監査パックを更新(Runbookは人間語)
09:00–09:15 最初の行の棚卸し
会議室に広げられた監査パック。最初に見るのは本文ではなく冒頭。ふみかが赤ペンで一つずつ確認する。
CISO室(監査連絡先):audit@hoshiori.co.jp/03-…提出日、担当、版数。Legend(右下):shall/will。
「連絡先は最初の行、OK」彼女は赤で丸を描く—小さく、短く。
09:15–10:10 Runbookを“人間語”に
次はRunbookの章。誰/いつ/どこで/何を/なぜで一行目を強制。
誰:役割/担当名
いつ:絶対時刻(24h)/相対時刻(+10m)
どこで:Env(dev/stg/prd)/Sub/Region/Resource
何を:操作/手順番号(Runbook1-2)
なぜ:差分ID/根拠/目的
りなが「技術語は残すけど、文の主語は人で始める」と言い、例を一つ書く。
Ops-Sentinel(連絡先:ops@…) が ImpossibleTravel を 検知(dev)。Runbook1-2 適用。次報10分。なぜ:凪との判別。
監査の目線で、読めるは最高の褒め言葉だ。読めるは眠れるへ直結する。
10:10–10:35 脚注の濃淡合わせ(shall/will)
あやのが第33条(報告)の脚注に**72h(GDPR Art.33)**の根拠を薄い文字で追記。
Report(shall):72hで規制当局へ。窓口はCISO(最初の行)。Cooperate(will):Art.34評価の支援、説明文書の提供。
スライド右下のLegendと脚注の紫の濃淡が一致した瞬間、橘(法務)の眉の筋肉が一度だけ緩む。「この濃さなら眠れる」
10:35–11:20 what-if/audの印影
律斗がActionsの差分承認画面をスクリーンに出し、差分IDの横に印影の欄を新設する。「スタンプは人間の手。猫では押せない」aud: "repo:hoshiori/infra" は太字で中央寄せ。短命トークンは10m。PIM昇格は期限+理由30字。監査パックの骨が締まる。骨が入ると、短い文が長い約束を支える。
11:20–11:45 「ゼロの谷」記述の統一
蓮斗と悠真が**“ゼロの谷”の章を短く統一**する。
平和/断線/安心の三種。味見で判別。影に印。広報は**「到達が遅延」**で統一。谷を予算で可視化しない。
ふみかが十秒カードをクリップで綴じ、章の先頭に差し込む。「夜は短く。朝に十行で足す」
11:45–12:00 署名・送付
橘とCISOの署名。最初の行の連絡先に間違いがないことを最後に確認。PDFのタグは連絡先から読むように設定。送付。ベルは鳴らさない。緑の丸だけ、朝に。
13:30 駅務室にも「困ったら近くへ」の札、増刷
昼食後、駅へ。ひんやりした石の壁、ガラスの自動ドアのソレノイドの音。桜橋駅の掲示板の右下に、新しいA5プレートを二枚追加。材質:PET 0.5mm+マットラミ。書体:明朝14pt+等幅10pt。色:#222/#F7F3EA。取付:M3真鍮スペーサ。座標:右下から水平30mm・垂直30mm。Legendとの余白12mm。
駅務室の塚本がドライバーを回しながら言う。「“困ったら近くへ”の札を貼ってから、怒鳴り声が減ったんだ」ふみかが頷く。「遠くの専門家より、近くの人にまず話す。近くで解けなければうちへ」
さくらはありがとうカードを、駅務室カウンターの手前に置く。客が最初に手にする紙の最初の言葉がありがとうになるように。「近くの人がありがとうって言いやすくなるのが、好き」「それは統計にも出ている」と陽翔が後ろでメモ。怒鳴り声 −38%、一次連絡+22%。数字は譜面。音が鳴っていれば嘘はつけない。
貼付後テスト:外国人観光客に英語で短く案内。
Help desk here(連絡先)。If困った, come close.Exit: on Page 1(掲示板の左上)。
ピクトと色で補助。母音を多く。海風が強い日はkを強めに。右下にLegend、左上に出口。入口で騒がない駅は、眠れる駅だ。
15:00 商店街で「やめ方ステッカー」貼り大会(謎の盛り上がり)
商店街中央の掲示板前。赤いテントの下で長机を三本。クリアステッカーの束、養生テープ、スキージ、消毒用アルコール、マイク型のガンローラー。貼るのは三種類。
解約1分QR(白地)
Exit on Page 1ピクト(黒地)
“やめ方は最初のページ”(小見出し)
千代プリントの千代子が胸当てエプロンで現れ、「貼り大会ね、うちもいくよ」と笑う。白川先生(クリニック院長)がマスク越しに頷き、「胃にやさしいほうがいい」と言ってExitのピクトを指さす。ふみかがミニスピーチ。「出口が最初のページにあると、入口で騒がない。責める前に感謝。ありがとう先出し」拍手。空気がゆるむ。みおが合法いたずらのトレーラーを流す。BGMは軽く、字幕は大きい。痛まない学びは糖度で残る。
15:20–16:00 貼付
さくらがスキージの角で空気を逃がしながら、QRをケースのガラス内側から貼る。角R 3mm。「最初の行にQR。Runbookは後ろじゃなく最初。Exit on Page 1」Runbook 一行目のカードを台紙に添え、店主に渡す。
誰:店主(連絡先:shop@…)/いつ:すぐ/どこで:レジ横/何を:解約案内/なぜ:戻ってきやすくするため
貼りながら話す一言が、設計を現実に落とす。「戻ってきやすくなるのね」と千代子。「ビジネス的に最高じゃないの」白川先生は貼り終えて、「“ありがとう”が先に出ると、患者さんが呼吸を一つ置いてくれる」と笑う。
16:00–16:30 即時効果(短期)
解約導線の問い合わせ→−31%
「戻りたい」導線のクリック→+19%
レジでの滞留時間→−12%
“ありがとう”の先出し→+44%
数字は譜面だが、譜面より手触りが先に届く。戻り道が最初に見えていると、行きが軽い。
17:30 監査の“読む力”を試す
星織ロボティクスに戻る。監査の読み合わせ。橘が監査パックをめくり、Runbookの最初の一行を声に出す。
Ops-Sentinel(連絡先:ops@…)。到達遅延→復旧。二重化。次報10分。
「読める」この言葉が眠れるに直結する現場は、多くない。ここでは直結する。** shall/will の濃淡が、図と脚注で一致しているからだ。りなは紙の右下を指す。「Legendは辞書**。右下を見れば、真ん中が自分の句になる」
18:40 “ありがとう100連”の夕練
さくらがSlackに**“ありがとう100連”の夕練を投下。敗者復活ではなく日課**になった。
貼りありがとう(商店街)読めるありがとう(監査)見張りありがとう(NOC)整流ありがとう(費用)欄干ありがとう(橋)
短い。短いほど、最初に置ける。最初に置けるから、判断が速い。ふみかが短く言う。「短い文こそ長い約束。断言より連絡先」
20:10 駅の右下、めくれ確認
夜、駅に寄り道。右下の困ったら近くへのプレートの角が風で浮いていないか、塚本が指で押す。四隅はM3で浮かし、ラミはマット。光は跳ねない。矢印は四割減らしたまま。「右下が整ってると、真ん中がいい顔に見えるんだ」と塚本。「Legendのある顔」とりな。辞書がある顔は眠れる顔だ。
21:00 事務所の右下、花の一輪
事務所の掲示板の右下に、昼間もらった黄色い花を一本。透明の水袋に挿してピンで止める。貼り大会の写真を影に保存。胃にやさしい一日だった。
22:20 緑の丸、一声
Slack のOpsに緑の丸が一声。成功は一声。夜は鳴らさない。BPMは60のまま。休符は壁に貼られた譜面に増殖しない。谷は撫でる。
23:00 記録の最後の行
ふみかが二日目の記録に、最後の一段を追加する。
広報(連絡先:press@…)。監査パック改定(Runbook=人間語)。駅の右下に「困ったら近くへ」増刷。商店街のやめ方ステッカー、貼り大会。ありがとう先出し。夜は短く。
右下には小さくLegend。やまにゃんが背もたれで丸くなり、とん。二日目も、暴風にも剥がれない約束が増えた。朝に緑の丸が灯れば、それでいい。三日目は、港で十秒。遅い拍手は届いた合図。右下はもう整っている。
21. 長編サイドストーリー『星織ロボティクス・三日間戦記』—三日目
提出順:図 → 凡例(Legend) → Runbookキーフレーズ:「読める」/「短い説明は長い誠実さ」/「眠って次へ進めます」背景音楽:Justice Vault(アコースティック ver.)
07:40 開場前――紙の冷たさと指の温度
監査本番の朝は、紙の冷たさを確かめるところから始まる。印刷室の光は白く、A3の図面は束ねても反らない厚さ。束の右下には小さな四角、Legend。shall の濃紫と will の薄紫が、ごくわずかな濃度差で刷り分けられている。りなは束の角を12mmだけ揃え、親指の腹で滑らせる。紙はまだ冷たい。読み手の手で温まるまで、余計な意味を持たない温度だ。ふみかは黒板に一行だけ、いつもの順番で置く。
「連絡先は最初の行」——声に出さない合図で、部屋の呼吸が落ちる。壁時計の針の音が、半拍だけ小さくなった。
08:30 音合わせ――アコースティックの Justice Vault
会議室にMartonのスピーカーが一対。陽翔がJustice Vault(アコースティック ver.)のフェーダを−18dBに置く。スティール弦のアルペジオが薄く空気を撫で、ウッドベースのEが床に低い体温を残す。奏多はメトロノームをBPM 66に合わせ、インナーに収める。十拍が一息。テンポは外より半歩遅い。遅い拍で入ると事故らない。
09:00 監査人入室――目が右下に行くかどうか
監査人は二名。灰のスーツ、クセのないノート、字幅の揃った手。入室して最初に見るのは、壁ではなくテーブルだ。資料を裏返しで置き、合図とともにひっくり返す。図が一番上。右下にLegend。一ページ目の上段に連絡先。その下に提出順を小さく印字してある。
提出順:図 → 凡例 → Runbook
最初の一枚をめくる音が、同時に二つ。監査人の視線は、真ん中ではなく右下に落ちた。作法が通じたというだけで、すでに半分は終わっている。
09:10 提出①:図(アーキテクチャ)
りなが口火を切る。「図から入ります」壁一面に広がるのは、Hub&Spoke の骨格。Front Door/AppGW/WAF/Azure Firewall の位置関係、Spoke 先端のApp Service、Storage のPrivate Link。インターネットへ出るEgress はFirewallのみ。DNS は内向き。図中の主要ボックスには、右肩に紫のタブ。Key(shall)、Report(shall)、Audit(will) のラベル。りなは真ん中を説明しない。端から話す。「外の世界と中の世界の境界です。Egress はFirewallに集約、Storage は Private Link。鍵はEU内 Managed HSM(shall)」律斗が main.bicep の断片を横に出す。name: ${system}-${env}。主語は名前。夜の迷子を出さないための、最も地味な線。監査人のペン先が止まる。視線は図の右下へ滑る。Legendへ。呼吸が落ちる。最初のハードルは越えた。
09:25 提出②:凡例(Legend)
「二枚目、凡例。右下に置いたものを、ページとして独立させています」A4一枚に、必要最小限の辞書。
Legendshall(濃紫):Key EU滞留/Managed HSM/Report 72h/Purpose Limitationwill(薄紫):Audit Support/Periodic Report/Improvement OfferController/Processor/Key/Report(定義)
あやのが補足する。「shall は守る線、will は協力の線。第32条と第33条はshall、第28条の監査協力はwill。濃淡は脚注と図で座標一致」監査人のひとりが、口の中だけで「……なるほど」と言った。紙の上で「なるほど」は滅多に言われない。濃淡の一致が、文章の自由を保証する。
09:40 提出③:Runbook(人間語)
「三枚目、Runbook。一行目は人間語です」ふみかが読む。
Ops-Sentinel(連絡先:ops@…) が ImpossibleTravel を 検知(dev)。Runbook1-2 適用。次報10分。なぜ:凪との判別。
りなが続ける。「誰/いつ/どこで/何を/なぜを一行に。本文は短い。脚注に根拠(GDPR Art.33/34)。やめ方(Exit on Page 1)は最初のページに」蓮斗は味見の三点(SigninLogs/AzureActivity/AppTraces)を十五分粒度で重ね、悠真は影に平和/断線/安心の三種を明示。陽翔は夜間停止の休符と緑の丸(朝一声)を譜面で示す。奏多はBPMを66に落として、合図の沈黙を用意する。叶多はPIM(期限・理由30字)/OIDC(aud固定+短命)/what-if+承認 の欄干を太く描く。Runbookは、すべて最初の行から人が入れるように出来ていた。
監査人のペンが、そこで初めて紙から離れた。「読める」一語だけ。だが、最重要の一語だ。
10:10 脚注—紫の濃淡を合わせ切る
あやのが第33条の脚注にArt.33の引用を追記する。過剰ではない厚み。濃紫で数字を沈める。橘(法務)が声を落とす。「眠って次へ進めます」この一言が合否よりも大切な場面は、世の中にそう多くない。睡眠は結果だ。短い文が長い約束に達したときだけ、眠りは来る。
10:30 代理店・マリーとの短い握手
画面越しに、欧州代理店のマリー。港の光が背後に揺れる。ふみかが十秒を重ねる。
連絡先(CISO:audit@…)。鍵はEU内、処理はEU優先、越境は同意と契約。失敗は隠さず公開、報告72h、連絡先は最初の行。
マリーが口角だけで笑い、低い英語で言う。「短い説明は長い誠実さ」モニタの光が二度だけ瞬いた。海風の遅延だ。遅い拍手の前触れは、どこでも同じ。
11:00 監査人の質問—十行のQ&A
Q:「ゼロの谷の扱いは?」A(蓮斗・悠真):平和/断線/安心の三種。味見で判別。影に印。広報は**「到達が遅延」**で統一。
Q:「鍵の所在の証跡は?」A(律斗):Managed HSM(EU)。aud固定/短命トークン。承認に印影。差分IDと期限。
Q:「やめ方はどこに?」A(りな):Exit on Page 1。最初のページに停止/退避/再開。入口で騒がないために。
RunbookとLegendの座標が一致しているので、Q&Aは十行で足りた。ふみかは最後に最初の一段を短く再掲。場所→主語→動詞の順。最初の行に連絡先。
11:40 遅い拍手—届いた合図
Justice Vault(アコースティック ver.)のギターが一度だけ和音を低く鳴らした。監査人が小さく手を叩く。半拍遅れ。遅い拍手は、届いた合図だ。
12:00 昼の余白—右下の花
会議室を出ると、廊下の掲示板の右下に、昨日の黄色い花が一本。水は替えられていた。「暴風にも剥がれない約束」――ふみかが小さく呟き、記録に影を一行足す。
13:30 社内共有—提出順のフォーマット化
午後、フォーマットを標準化。
表紙:連絡先(最初の行)
1枚目:図
2枚目:凡例(右下)
3枚目:Runbook(一行目=人間語)
脚注:shall/will 濃淡/72h(Art.33)
Exit:最初のページ(ピクト)
山村(営業)は提案書にそのまま移植する。「話が短くなる」
15:00 夜班への引き継ぎ—最短の文章
Ops夜班(連絡先:ops@…)。本日の谷は平和。緑の丸は朝。十秒は朝に。断言はしない。迎え入れで。
短い。短いほど最初に置ける。最初に置けると、眠りに近づく。
16:30 エピローグ—三日間のふりかえり
三日間を、ふみかが十行でまとめる。
最初の行に連絡先(迎え入れ)
図→凡例→Runbook の順(端から中心へ)
Legend(右下)と脚注の濃淡一致(shall/will)
what-if+人間承認/aud固定/PIM(期限・理由)
味見+メタで谷を判別(平和/断線/安心)
夜間停止(休符)/緑の丸は朝一声
やめ方は最初のページ(Exit on Page 1)
ありがとう先出し(判断を速く)
痛まない学び(文化の糖度)
猫のとん(合図)
りなが右下にLegendをもう一度だけ貼る。角は12mm。あやのは脚注の紫を目で撫でる。律斗は承認の印影を押し、蓮斗は十五分粒度のグリッドを閉じる。悠真は影の引き出しをしまい、陽翔は譜面をラックに戻す。奏多はBPMを120に戻し、さくらはありがとうカードを束ねる。みおはトレーラーににゃを一秒だけ足した。やまにゃんが、会議室の戸口でとん。
17:15 緑の丸—一声だけ
Slack に、緑の丸が一つ。成功は一声。それ以上は要らない。
監査人は扉の前で振り返り、短く言った。「読める」マリーはモニタ越しに笑って言った。「短い説明は長い誠実さ」橘は資料を胸に抱え、肩の高さをひとつ落として言った。「眠って次へ進めます」
三日間はこれでおしまい。夜は短く、朝に続きを。――**Justice Vault(アコースティック ver.)**の最後のコードが、廊下の角で静かにほどけた。
22. 電話帳フィラー(でも本気):使い回せる“最初の一段”100連
意図「最初の一段」は、最初の行に連絡先を示し、事実は短く、行動は明確に、やめ方/退出の位置を先に知らせるための“受け入れ口”です。夜は比喩に過酷。迎え入れの文型で、朝に続きを。
0) スタイルガイド(1行で届くための対位法)
順番:①連絡先 → ②短い事実 → ③明確な行動/次報 → ④退出/やめ方の所在(必要時)
語彙:到達が遅延/復旧/二重化/判断が要る事象なし/Runbook1-2/次報10分/Exit on Page 1
主語:広報/Ops-Sentinel/Infra-Team/CISO室/駅務室/法務/営業(人/組織で立てる)
時刻:絶対表示(24h)/相対(+10m)。数詞は等幅。
右下:紙面・スライドのLegend(shall=濃紫/will=薄紫)を右下に固定。
長さ:一呼吸で読める(30–65字目安)。句点は半角。
禁句:鳴らなかった/問題なし/迅速に(→ 到達が遅延/判断が要る事象なし/Runbook番号 へ置換)
1) 変数(置換用)
{Dept}=部署/{Contact}=連絡先/{Env}=dev|stg|prd/{Place}=倉庫A・港湾など/{Time}=時刻/{Run}=Runbook番号
100 Templates(分野別/最初の一段)
すべて「最初の行=連絡先」から始める。各文末の句点は半角。必要に応じ Exit on Page 1 を添える。
A. 広報・インシデント(PR/CISO)
広報(連絡先:press@…/03-…)。到達が遅延→復旧。二重化で補足。詳細は朝の頁に。
CISO室(連絡先:audit@…)。失敗を隠さず公開。72hで当局へ報告。窓口は最初の行。
広報(連絡先:press@…)。鍵はEU内 Managed HSM。処理はEU優先。越境は同意+SCC。
広報(連絡先:press@…)。判断が要る事象なし。緑の丸は朝に一声。
CISO室(連絡先:audit@…)。影に印/骨に体裁。ゼロの谷=平和。Runbook1-2。
B. 運用(Ops/NOC)
Ops-Sentinel(連絡先:ops@…) が ImpossibleTravel を検知({Env})。{Run} 適用。次報10分。
Ops(連絡先:ops@…)。到達が遅延(Event Hub)。復旧。二重化で補足。
NOC(連絡先:noc@…)。断線ではなく凪。影に記録。広報は「到達が遅延」。
Ops(連絡先:ops@…)。夜間停止を予定どおり実施。緑の丸は朝のみ。
Ops(連絡先:ops@…)。{Place} の停止 18:00。{Run}。退避導線は Exit on Page 1。
C. インフラ(Infra/Bicep/承認)
Infra-Team(連絡先:infra@…)。what-if 差分を保存。人間承認後に本焼き。
Infra-Team(連絡先:infra@…)。破壊的変更は自動拒否。差分ID/印影/期限を記録。
Infra-Team(連絡先:infra@…)。aud: "repo:…/infra" 固定。短命トークン。鍵は置かない。
Infra-Team(連絡先:infra@…)。名前に主語(${system}-${env})。夜の迷子防止。
Infra-Team(連絡先:infra@…)。Egress は Firewall に集約。Storage は Private Link。
D. 法務・契約(Legal/DPA)
法務(連絡先:legal@…)。DPA脚注に 72h(Art.33)追記。窓口は最初の行。
法務(連絡先:legal@…)。shall=守る線/will=協力の線。Legend 右下。
法務(連絡先:legal@…)。鍵 EU滞留=shall。監査協力=will。濃淡一致。
法務(連絡先:legal@…)。越境は同意+SCC。目的と期間を限定。
法務(連絡先:legal@…)。やめ方は最初のページ。入口で騒がないために。
E. SRE・可観測性
SRE(連絡先:sre@…)。香り三点(失敗率/破壊操作/P95)を15分粒度で確認。
SRE(連絡先:sre@…)。ゼロの谷=安心(成功は一声)。朝に緑の丸。
SRE(連絡先:sre@…)。アラート抑制を調整。夜は休符、朝に通知。
SRE(連絡先:sre@…)。Runbook 一行目を更新。誰/いつ/どこで/何を/なぜ。
SRE(連絡先:sre@…)。Exit on Page 1 をダッシュボードに併記。やめ方を先に。
F. 費用(FinOps)
FinOps(連絡先:finops@…)。夜間停止=休符。曲線は朝に整える。
FinOps(連絡先:finops@…)。Savings Plan は定常部に適用。出口抑制は整流で。
FinOps(連絡先:finops@…)。谷を予算で可視化しない。意図の証拠で扱う。
FinOps(連絡先:finops@…)。緑の丸は一声。賛辞は朝のレポートで。
FinOps(連絡先:finops@…)。数字は譜面。音が鳴る構成に合わせる。
G. セキュリティ(SOC/鍵)
SOC(連絡先:soc@…)。鍵は EU内 Managed HSM。操作ログは骨2年/細部3ヶ月/影5年。
SOC(連絡先:soc@…)。失敗を隠さず公開。報告72h。窓口は CISO 室。
SOC(連絡先:soc@…)。PIM 昇格は期限+理由30字。
SOC(連絡先:soc@…)。aud 未固定の事象なし。監視継続。
SOC(連絡先:soc@…)。フィッシング演習は痛まない設計。学びは糖度で残す。
H. ステークホルダー(営業/顧客)
営業(連絡先:sales@…)。提案書右下に Legend 固定。shall/will の濃淡一致。
営業(連絡先:sales@…)。最初の行に窓口。本文は短く、脚注は長く。
営業(連絡先:sales@…)。退出の案内は最初のページ。戻り道も最初の行。
営業(連絡先:sales@…)。質疑は十行で。十秒は入口、十行は約束。
営業(連絡先:sales@…)。受注後の連絡先継続。一次窓口は変わらない。
I. ビジネス継続(BCP)
BCP(連絡先:bcp@…)。停止条件を満たす→退避実施。Runbook1-1。
BCP(連絡先:bcp@…)。再開条件は朝に判断。緑の丸は一声で。
BCP(連絡先:bcp@…)。訓練は右下に Legend を。脚注に根拠。
BCP(連絡先:bcp@…)。やめ方は最初のページ。出口の位置を先に。
BCP(連絡先:bcp@…)。感謝先出し。判断が速くなる。
J. ステーション(駅務室)
駅務室(連絡先:054-…)。困ったら近くへ。近くで解けなければうちへ。
駅務室(連絡先:054-…)。エレベータ停止。迂回は図3。出口は左上(Exit on Page 1)。
駅務室(連絡先:054-…)。遅延→振替。朝にまとめ。Legend は右下。
駅務室(連絡先:054-…)。最初の言葉はありがとう。案内は場所→主語→動詞。
駅務室(連絡先:054-…)。怒鳴り声−38%。数字は譜面。続けます。
K. クリニック(医療)
クリニック(連絡先:clinic@…)。電子カルテの成功は一声。朝に緑の丸。
クリニック(連絡先:clinic@…)。退避は最初のページ。患者導線を先に。
クリニック(連絡先:clinic@…)。胃にやさしい保存(骨・細部・影)。
クリニック(連絡先:clinic@…)。説明は Runbook 一行目で。
クリニック(連絡先:clinic@…)。ありがとう先出し。待合の速度が下がる。
L. 物流(Ops/倉庫)
物流オペ(連絡先:ops-logi@…)。{Place} 停止 18:00。Runbook1-1。退避導線は Exit on Page 1。
物流オペ(連絡先:ops-logi@…)。風速 20m/s。搬出は朝へ。
物流オペ(連絡先:ops-logi@…)。見張りありがとう。緑の丸は朝。
物流オペ(連絡先:ops-logi@…)。倉庫B 停電→復旧(発電機)。記録は骨と影。
物流オペ(連絡先:ops-logi@…)。近くで解けなければうちへ。
M. HR/総務
総務(連絡先:soumu@…)。社内連絡の最初の行に窓口。本文は短く。
総務(連絡先:soumu@…)。台風時は Exit on Page 1。
HR(連絡先:hr@…)。採用案内—右下に Legend。主語=私たち。
HR(連絡先:hr@…)。オンボード Runbook—誰/いつ/どこで/何を/なぜ。
HR(連絡先:hr@…)。ありがとう先出し。配属の判断が速くなる。
N. 開発(Dev)
Dev(連絡先:dev@…)。デプロイは本焼き。what-if は味見。人間承認。
Dev(連絡先:dev@…)。Rollback は最初のページ。手順は Exit 側に。
Dev(連絡先:dev@…)。P95 上昇→キャッシュ。朝にチューニング。
Dev(連絡先:dev@…)。name: ${system}-${env}。主語は名前。
Dev(連絡先:dev@…)。ゼロの谷=安心。緑の丸を待つ。
O. データ/分析
Data(連絡先:data@…)。到達遅延→復旧。可視化は薄灰。予算で飾らない。
Data(連絡先:data@…)。計測の最初の行に定義。脚注に数式。
Data(連絡先:data@…)。匿名化の鍵は EU 管理。影の保存 5年。
Data(連絡先:data@…)。分析の結論は短く。根拠は脚注。
Data(連絡先:data@…)。Runbook は人間語。誰/いつ/どこで/何を/なぜ。
P. 財務(会計)
会計(連絡先:acct@…)。支払遅延→復旧。行動は明確に連絡。
会計(連絡先:acct@…)。数字は譜面。音が鳴る構成に合わせる。
会計(連絡先:acct@…)。返金の Exit は最初のページ。
会計(連絡先:acct@…)。夜は休符。朝に仕訳。
会計(連絡先:acct@…)。ありがとう先出し。確認が速くなる。
Q. 施設/情宣
総務施設(連絡先:facility@…)。空調停止→再開。Runbook2-1。
情宣(連絡先:pr-internal@…)。掲示は右下に Legend。
情宣(連絡先:pr-internal@…)。短い文こそ長い約束。断言より連絡先。
情宣(連絡先:pr-internal@…)。朝の社内報に緑の丸。夜は比喩を使わない。
情宣(連絡先:pr-internal@…)。やめ方は最初のページ。入口で騒がない。
R. 監査・品質
内部監査(連絡先:audit@…)。読める—図→凡例→Runbook。
内部監査(連絡先:audit@…)。72h の根拠を脚注に。Legend 濃淡一致。
品質(連絡先:qa@…)。失敗を隠さず公開。再発防止は短く→詳細は脚注。
品質(連絡先:qa@…)。Exit on Page 1。やめ方は先に。
品質(連絡先:qa@…)。Runbook は人間語。五つの骨。
S. 海外・通訳
Intl(連絡先:intl@…)。Ten seconds first. Contact on first line. Legend bottom-right.
Intl(連絡先:intl@…)。Short sentence, long promise. Details in footnotes.
Intl(連絡先:intl@…)。Exit on Page 1. Merci.
Intl(連絡先:intl@…)。Keys in EU. SCC with purpose limit.
Intl(連絡先:intl@…)。Delayed arrival→Recovered. Green dot in the morning.
T. 付録・猫
CatOps(連絡先:—)。合図は とん。鍵は持たない。必要。
CatPR(連絡先:—)。にゃ。短い文。長い約束。
CatSec(連絡先:—)。尻尾で休符。朝に緑の丸。
CatBCP(連絡先:—)。Exit は最初のページ。箱は右下。
CatLegend(連絡先:—)。右下にいる。辞書。撫でると落ち着く。
補遺:整形のヒント(見た目で届く)
先頭行は太字、宛名語尾に読点を置かない(呼吸の邪魔)。
連絡先は tel/mail をスラッシュ区切り。2つまで。
Runbook 番号は等幅(1-2)で視線を跳ねさせない。
Legendは右下に12mmのマージン、角はR3。
Exit on Page 1 のピクトは左上に8mm角。
“ありがとう”は最初の言葉に置くと判断が速い(摩擦係数↓)。
使い方どのテンプレートも、最初の行の連絡先から始め、短い文で長い約束を運びます。朝に緑の丸が一声だけ灯れば、十分です。夜は短く、朝に続きを。
23. 猫コラム『USBしっぽ入門』
0|冒頭ひとこと
やまにゃん「充電はできる。LANには挿さない。にゃ」——以上、核心。
1|入門の三箇条(貼って覚える版)
Power Only:給電はOK(5V のみ)。
No Network:LAN/データ線には挿さない。
No Authority:猫に権限はない(鍵は持たない、持たせない)。
目的:合図と充電。認証も通信もしないしさせない。
2|しっぽ配線図(概念図・安全版)
[USB-C (Tail)]
│ ├── VBUS(5V) …… ◯(充電のみ)
│ ├── GND …… ◯
│ ├── D+ / D− …… ×(無配線)
│ └── CC / SBU …… ×(不活性)
既定動作:電源レンガ/モバイルバッテリから給電 → 猫のぬくもり維持。
禁止:PC本体/スイッチ/ルータ等データ機器との直結。
3|利用シーン別ミニRunbook(一行で足りる)
合図:とん(しっぽで床を軽く叩く) → 開始/終了のキュー。
夜:充電 → 緑の丸は朝に一声(成功は一声)。
非常時:Break Glass は人間の封筒。猫は触らない。
4|Q&A(よくある誤解を先回り)
Q:「挿せばネットが速くなりますか?」A:ならない。電源だけ。
Q:「鍵の代わりになりますか?」A:ならない。鍵は置かないが、猫も持たない。
Q:「とん、が鳴らない日は?」A:休符。BPMは人間が決める。
5|お子さま向けの注意(絵札つき)
しっぽは撫でるもの。挿すものではない。
ねこはUSBの形でも、Wi-Fiではない。
いい合図:にゃ/とん。わるい合図:無断デプロイ。
6|運用の約束(右下にLegend)
Legend(右下):shall=「挿さない・通信しない」/will=「撫でる・合図する」。
最初の行:困ったら近くへ(駅務室orOps)。
やめ方:Exit は最初のページ(抜く→撫でる→おやつ)。
7|最後にもう一度(要点の再掲)
やまにゃん「充電はできる。LANには挿さない。にゃ」
以上。
24. 季節の企画『駅貼りポスター総選挙(自薦他薦)』
00|開票所は始発前のコンコース
午前4時58分。まだシャッターの隙間に夜が残る。桜橋駅コンコースの床は、昨夜のモップ水を薄く含んで鈍く光る。折りたたみ机三台、透明の投票箱、カッティングマット、白い手袋。開票所の右下には、名刺サイズのLegend。
Legend:紫=法務/紺=設計/黄=広報/黒=インフラ/灰=SRE/赤=FinOps/緑=可観測性/桃=文化/白=猫
貼り替え担当が集合。紙はB1 ソフトグロス、ラミはマット、角はR3、ポスター背面にはスリット入りの剥離紙。M3 真鍮スペーサはやまにゃんが箱の上で見張り番。
さあ、開票だ。
01|紫(あやの):「断言より連絡先」部門1位
キャッチ:断言より連絡先
地色:紫(#5B4B8A)
構図:左に人、右に縦組み。右下にLegend(shall=濃紫/will=薄紫)
得票理由
朝いちばんに見る言葉は迎え入れであってほしい(駅務室・塚本)
緊急時ほど最初の行が住所になる(CISO室)
現場ボイス
「“問題ありません”ではなく“窓口はこちら”。これだけで夜の音量が下がる」(あやの)
設置ロジ
改札脇(入場側):右寄せ(連絡先を目線に)
ガラス面は低反射のマットラミ。指紋が残らない。
02|紺(りな):「凡例は橋梁」部門1位
キャッチ:凡例は橋梁
地色:紺(#263248)
図版:右下にLegendの拡大図、左にHub&Spokeのミニマップ。紫濃淡のタブ
得票理由
「右下を指で叩けば、真ん中が自分の句になる」(監査)
shall/will の塗り分けが眠気を連れてくる(法務)
現場ボイス
「端が決まれば中心は静かに立つ。駅も設計も同じ」(りな)
設置ロジ
柱面の下段右寄せ。人が近づいたとき指が届く高さに。
03|黄(さくら):「笑顔は共同作業」部門1位
キャッチ:笑顔は共同作業
地色:黄(#FFDE59)
仕様:紙の白を残す余白多め。左下にありがとうカードのピクト
得票理由
先にありがとうを置くと判断が速くなる(Ops)
声の高さが半音下がる(駅の録音分析)
現場ボイス
「“ありがとう100連”は敗者復活でも日課でも効く」(さくら)
設置ロジ
エレベータ前・ベビーカー導線。視野角に入る位置へ。
04|黒(律斗):「鍵を置かない勇気」部門1位
キャッチ:鍵を置かない勇気
地色:黒(#0E0E0F)
図版:中央に aud: "repo:…/infra"、左下に what-if → 承認 → deploy
得票理由
「便利は構成で出す」を一言で覚えられる(Infra)
aud固定の定着(監査チェックリスト)
現場ボイス
「印は人の指。猫では押さない」(律斗)
設置ロジ
機器室前・職員通路。暗部の階調が潰れない紙質を選定。
05|灰(奏多):「テンポを決めてからログイン」部門1位
キャッチ:テンポを決めてからログイン
地色:灰(#6E7177)
要素:BPM 120→60→120 の波形、休符の記号
得票理由
what-if の「味見」と本焼きの拍に効く(SRE)
事故報告減(テンポ先決)
現場ボイス
「テンポのない出発が事故を呼ぶ。寄席も現場も同じ」(奏多)
設置ロジ
乗務員休憩所近く。身体で読むポスター。
06|赤(陽翔):「眠れる曲線」部門1位
キャッチ:眠れる曲線
地色:赤(#C64545)
図版:休符入りの折れ線、右上に緑の丸
得票理由
夜間通知 −62% を視覚化(FinOps)
「谷を予算で可視化しない」の抑止(経営)
現場ボイス
「賛辞は朝のレポートで。夜は休符」(陽翔)
設置ロジ
会計フロア・プリンタ横。数表の隣で効く。
07|緑(蓮斗):「味見できない検知は検知ではない」部門1位
キャッチ:味見できない検知は検知ではない
地色:緑(#2F8F6B)
図版:SigninLogs/AzureActivity/AppTraces 三皿、15分粒度の刻み
得票理由
ゼロの谷の三種(平和/断線/安心)を連想させる(Ops)
ダッシュボードの料理比喩が現場に刺さる
現場ボイス
「現実と握手するには舌が要る」(蓮斗)
設置ロジ
NOC前・壁面。三皿が遠目にもわかるレイアウト。
08|桃(みお):「可愛いまま、仕事させる」部門1位
キャッチ:可愛いまま、仕事させる
地色:桃(#F49AB6)
要素:ステッカー/おやつ/♪/Exit on Page 1のピクト
得票理由
痛まない学びの糖度が説明コストを下げる(人事)
やめ方ステッカーの持続率↑(商店街)
現場ボイス
「文化は体で覚える。砂糖で残す」(みお)
設置ロジ
エントランス・フォトスポット。撮られることを前提に。
09|白(やまにゃん):「にゃ」部門総合優勝
キャッチ:にゃ
地色:白(#FFFFFF)
要素:しっぽ(USB-C)、とん のオノマトペ
得票理由
最短の合図。時間合わせのキュー。
社内NPS向上(※にゃの有無で+7pt)
現場ボイス
「合図は短いほど届く。鍵は持たない。必要」(やまにゃん)
設置ロジ
どこでも。剥がれない糊は使わない。剥がせるが正義。
10|中間報告:票読みと配置計画
紫・紺:右下の支持層が厚い(法務・監査)
黄・桃:商店街・駅の導線に強い
灰・赤・緑:NOC・SRE・FinOps の操作線を押さえる
黒:内部者通路の抑止として効く
白:全域
配置計画は重ね張りではなく並走。端に辞書、真ん中に一行。視線が迷わないよう、Legendは全ポスター右下に統一。
11|貼り込み風景(実況)
6:05。R3の角が光る。スキージの先端が空気を追い出し、ラミの銀が一瞬走る。「右下、もう1mm内へ」とりな。「BPM 120→80。深呼吸して」と奏多。「“ありがとう”は口で先出し」とさくら。「脚注の濃淡、OK」とあやの。「audの字太らせないで」と律斗。「休符を目で伝える位置に」と陽翔。「三皿の距離、等間」と蓮斗。「ステッカーの剥離紙、丸めて捨てる」とみお。とん(猫)。完成。
12|投票所の声(抜粋)
「右下にLegendがある顔が好きだ」
「“断言より連絡先”で朝から怒鳴らない」
「眠れる曲線を壁で見るの、変な話だけど安心する」
「可愛いままの職場は説明が短い」
「にゃは必要」
13|結果発表&所見(広報)
紫(あやの):「断言より連絡先」部門1位紺(りな):「凡例は橋梁」部門1位黄(さくら):「笑顔は共同作業」部門1位黒(律斗):「鍵を置かない勇気」部門1位灰(奏多):「テンポを決めてからログイン」部門1位赤(陽翔):「眠れる曲線」部門1位緑(蓮斗):「味見できない検知は検知ではない」部門1位桃(みお):「可愛いまま、仕事させる」部門1位白(やまにゃん):「にゃ」部門総合優勝
結論:全部貼る。
ふみか総括
短い文は長い約束。全ポスターの最初の行に連絡先。
右下のLegendで濃淡を揃え、端から読む習慣を町へ。
Exit on Page 1(やめ方)は左上に一体化。入口で騒がない。
駅は今日、見た目が少しだけ右下になった。朝の緑の丸が一つだけ灯り、猫がとん。貼るのは紙だが、残るのは場所と順番。そして、短い文。
25. 国語の時間『比喩の節度』
00|黒板に二行、チョークは薄め
午後の会議室を“教室”に見立てた。照度は一段落とし、窓のブラインドは二枚だけ斜めに。黒板の左上、ふみかがチョークを気持ち薄めに走らせる。粉が飛びにくい角度で。
夜は比喩に過酷。朝に使いましょう。
書いた瞬間に、部屋の音量が半拍落ちる。黒板の右下には名刺サイズのLegend(shall=濃紫/will=薄紫)。りながその角を指で押さえ、「比喩は礼儀の上に。礼儀なき比喩は人を傷つける」とだけ付け加えた。礼儀=最初の行に連絡先/場所→主語→動詞/Exit on Page 1。そのうえに、はじめて比喩が乗る。
01|例題(黒板):夜の一行/朝の一行
ふみかが二行を書き分ける。夜(事実)
広報(連絡先:…)。到達件数に短い谷。復旧。二重化で補足。次報 10 分。
朝(節度ある比喩)
広報(連絡先:…)。昨夜の**「谷」は潮が引くように退きました。現在は凪**。詳細は脚注に。
夜は短い文で長い約束の入り口だけを開く。朝は比喩で理解の速度を整える。どちらにも最初の行=連絡先がある。
りなが補足する。
夜=骨を置く(誰/いつ/どこで/何を/なぜ)。
朝=筋と肌理(比喩)を足す。「骨がない比喩は、礼儀なき比喩。刺さるのではなく刺す」
02|比喩の五原則(ふみか案)
連絡先が先、比喩は後:最初の行は場所の宣言。
比喩は一文一つ:複数入れると物語になり、現実が遠のく。
脚注で還元可能:比喩を外せば事実が残る。
人を主語にしない:比喩の主語は現象/自然。人を比喩で語ると傷つける。
濃淡の一致:図/条文/営業資料のLegend(右下)と比喩の温度を揃える。
ふみかは、同じ意味を比喩なし/ありで示す。
なし:到達遅延→復旧。二重化で補足。
あり:潮位が下がるように復旧。堤(冗長化)が水を受け止めた。(脚注:冗長構成、フェイルオーバの説明)
03|禁忌集(りな監修):これを夜にやらない
×「完全に安全です」 → 〇「判断が要る事象なし」
×「大騒ぎするほどではない」 → 〇「連絡先は最初の行へ。詳細は朝の頁に」
×「AIが賢く対応」 → 〇「Runbook {番号} を実施。人間承認済み」
×「人災/オペミス」(人物比喩のレッテル) → 〇「what-if の差分が自動経路を通過。承認線を再固定」
「人を比喩の対象にしない」とりな。「比喩は現象に当てる。人に当てるのは形容の領域で、礼儀から外れやすい」
04|音声のデザイン:海風/駅/社内放送
海風の現場(NUMA FISH)では、低域(80–120Hz)に潮騒が乗る。s/t/k を起点に置くと明瞭。朝の十秒:
鍵(k)はEU内、**処理(shi)**はEU優先、**越境(kyō)**は同意と契約。**失敗(shippai)**は隠さず公開、**報告72(shichijūni)**時間。
駅では母音の多いやさしい比喩が効く。
駅務室(連絡先:…)。昨夜の風はやみ、今朝は凪。エレベータは再開。
社内放送は等幅数字と短い句。
Ops(連絡先:…)。到達遅延→復旧。Runbook1-2。次報10分。
05|練習(ドリル):夜→朝の書き換え
課題A
夜:「システムが落ちましたが、迅速に対応し、現在はほぼ通常どおりです」
解
夜:広報(連絡先:…)。到達遅延→復旧。二重化で補足。次報10分。
朝:広報(連絡先:…)。昨夜の谷は浅く、堤(冗長)で受け止めました。現在は凪(稼働)。脚注に冗長構成。
課題B
夜:「担当者の凡ミスです」
解
夜:Ops(連絡先:…)。what-if 差分が自動経路を通過。承認線を再固定。
朝:Ops(連絡先:…)。欄干(承認)の隙を塞ぎました。以後は橋の手すりを強化。脚注に承認フロー。
06|脚注という避雷針
比喩を使うなら、脚注で現実へ還元できる形にする。
潮が引く=バックログ解消+キュー処理
凪=メトリクスの平常域(しきい値±x%)
堤=冗長化(Active/Active)
欄干=承認ライン/PIM(期限・理由)右下のLegend(濃淡)と脚注の濃淡は同じであること。座標の一致が、渡り心地をつくる。
07|視覚設計:比喩がのる紙面
最初の行:太字、連絡先。
事実:等幅、数詞は詰めない。
比喩(朝):本文同書体、一文一比喩。
脚注:サイズ−2、濃淡は Legend と連動。
Exit on Page 1:左上 8mm ピクト。
Legend:右下 12mm 余白。角 R3。
視線の逃げ場(右下)と入口(左上)が、比喩の負担を減らす。
08|ケース:駅の右下/商店街のガラス
駅
駅務室(連絡先:…)。昨夜の風はやみ、今朝は凪。遅延→再開。困ったら近くへ。
商店街
店舗(連絡先:…)。やめ方は最初のページ(解約1分QR)。また戻ってきます!
ここでの比喩は一言で足りる。「やみ」「凪」「戻る」。人は短い比喩なら自分の文脈で解釈できる。
09|失敗集(実際に起きた):反省と置換
「完全復旧」(完全は言い過ぎ)→ 「復旧」
「深刻な影響なし」(主観)→ 「判断が要る事象なし」(客観)
「猛威を振るうサイバー攻撃」(煽り)→ 「攻撃を検知→遮断」(手順)
「最先端AIで解決」(粉)→ 「Runbook {番号}/承認/ログ記録」(骨)
置き換えポイントは最初の行と脚注。比喩は削る方向で修正する。
10|エンディング:夜は短く、朝に続きを
ふみかが黒板を消す。消し跡の白が、うっすらと残る。その残像が、次の文章の下書きになる。りなは右下のLegendを一度だけなぞり、「端を整えると真ん中が静かに立つ」と言ってマーカーのキャップを閉じる。さくらがありがとうカードを一枚だけ机の上に置く。やまにゃんがとん。合図は短いほど、約束に届く。
夜は短い。朝に比喩を。最初の行に連絡先を。右下にLegendを。比喩は礼儀の上に。





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