法務ロワイヤル外伝 ~草薙の坂の上で!?~―山崎行政書士事務所、波乱の新日常編―
- 山崎行政書士事務所
- 1月19日
- 読了時間: 10分

プロローグ:振り返りは一瞬
静岡市清水区、草薙の坂の下にある山崎行政書士事務所は、前回の大騒動から数ヶ月を経て、ますますにぎやかな日々を送っている。 事務所を率いるのは山崎哲央。都会の大企業からUターンして地元で開業した、元エリートだが人情味あふれる行政書士。 ふわりとした雰囲気の新人スタッフ斎藤夏海は、最近ようやく電子定款作成のミスも減ってきた。元銀行員の丸山修は相変わらずの知識自慢でしょっちゅう斎藤をイラッとさせているが、なんだかんだでいいコンビになりつつある。
前回は、地元商店街を巻き込む再開発騒動や老舗・佐伯酒造の存続問題など、まさに一大スペクタクル(?)が繰り広げられたが、なんとか大団円。事務所は「地域のヒーロー」として更なる信頼を得ることとなった。 しかし、山崎事務所には新たな試練が待ち受けている。そう、相変わらず奇妙な依頼が相次いで舞い込み、さらには事務所スタッフに「ある変化」が起こるのだ。
第一章:新入り参上!? そして波乱
「所長、失礼します!」 朝一番、少し鼻にかかった声が聞こえた。斎藤と丸山が顔を上げると、見慣れない若い女性が事務所に入ってくる。「本日からお世話になります、森下舞と申します。よろしくお願いいたします!」 新しく補助者として採用されたばかりの森下は、まるでスプリングコートのようにフレッシュなオーラをまとっている。それを見た丸山がさっそく言う。「うわあ、新人がもう一人増えたんですね。斎藤先輩、ライバル出現ですよ?」「ライバルって何ですか! そもそも私はまだ新人扱いなんですけど! ていうか森下さん、よろしくお願いします」 斎藤はあわてて森下に頭を下げる。丸山はその様子にニヤリ。いつものように事務所は朝から微妙なテンションに包まれている。
そこへ所長の山崎が、のんびりした口調で声をかける。「まあまあ、皆さん落ち着いて。森下さんは以前、司法書士事務所でアルバイト経験もあるそうだから、即戦力になってくれるかもよ」 森下がニコッと笑うと、斎藤は一気にプレッシャーを感じる。「私だっていつまでも新人じゃいられないんだ…!」心の中で気合いを入れ直した。
第二章:次々と転がり込む奇妙な依頼
■ 幽霊物件、まさかの大繁盛?
事務所をにぎわす依頼第一弾は、あの「幽霊が出る物件」で開業した元銀行員・吉本からの連絡だった。「いやあ、実はおかげさまで大当たりしちゃってさ。めちゃくちゃメディアから取材が来るんだよ」 電話越しの声はすこぶる明るい。「でも大当たりしたのに、どうしてまたうちに?」と斎藤が不思議そうに訊ねると、「うん、売上が伸びすぎて法人化しようと思ってるんだ。でも、いつの間にか“ほんとに幽霊が出る証明書”まで欲しいっていうお客さんが出てきてさ。これって法律的にどうなるわけ?」 山崎は「お客さんが納得しているなら法的には問題ないんじゃないかなぁ…」と苦笑しながらも、念のため書面化すべくアドバイスをすることに。 ひょんなことから「幽霊鑑定士」なるよく分からない肩書の人物まで登場し、行政書士なのに“お化け契約”の書式を考案する羽目になった。斎藤は「もう、ほんとに“幽霊”が出てきた方が楽かも…」と頭を抱える。
■ ペットビジネス、IT導入で再燃
さらに、かつてペットビジネスを立ち上げた大林老人も再登場。「いやあ、孫が新しいアプリを作ったって言うんだが、どうも個人情報保護があやしい気がしてねえ…」 森下はさっそく「個人情報保護法に基づくプライバシーポリシー」のひな形を探し出して対応する。「うわっ、仕事早っ!」と驚く斎藤。「すみません、私、まだデスクトップがアイコンだらけで混乱してて…」 森下は「あはは」と笑う。「私、昔はIT系の部署にいた父に仕込まれたんです。慣れですよ、慣れ!」 そのフレッシュな笑顔に斎藤はさらにプレッシャーを感じるも、同時に「頼もしいな」とちょっと尊敬の眼差しを向け始めるのだった。
第三章:思わぬダブルブッキング
そんな中、山崎事務所に大きな依頼が飛び込む。市内で行われる大型イベント「静岡グルメフェス」に、出店希望者が殺到しているという。会場の使用許可や保健所への各種申請が混乱状態に陥り、実行委員会から急きょ「書類整備や相談窓口をお願いしたい」と要請が来たのだ。 山崎は快諾するが、運営がぐちゃぐちゃだと聞いて思わず頭を抱える。「これは相当の覚悟が必要だぞ…スタッフ全員で取りかからないと」 ところが、同じタイミングでさらに大きな案件が。なんと、県外から新規参入する大手企業が開発した「地域活性化プロジェクト」のコンサルティングを山崎事務所に依頼したいとのこと。こちらも期限が迫っているらしい。「ええー、こんなの2つ同時なんて無理ですよ!」斎藤が絶叫する。「大丈夫、斎藤さんがいれば百人力だから」と丸山は軽口を叩く。「ちょっとやめてくださいよ! そっちこそ銀行員のときの数字の魔術を見せてください!」「いや、僕はもうエクセルに飽きたんで…」「飽きたって何ですか!」
森下は苦笑いしながら「まあ、みんなで分担すれば大丈夫ですよ!」とポジティブ発言。 山崎は「うん、今こそ力を合わせよう!」と微妙に熱い言葉を放つが、やはりどこかのんびりしている。こうして事務所に新たなドタバタが始まるのだった。
第四章:地元アイドル騒動と“闇”の罠
さらに混乱に拍車をかけるように、グルメフェスの関連イベントとして地元出身のアイドルグループが出演するという話が持ち上がった。「ステージをやる場所の使用許可が急遽出ないかもしれない、ってどういうこと!」 スタッフ全員が集めた情報によると、関係者が許可申請を忘れていた上、警察からも道路使用に関する届け出が必要とされたらしい。「こんなの今から間に合うの?」と斎藤が気が遠くなる思いで言うと、丸山は苦い顔をする。「うーん、一筋縄じゃいかなそうだね。アイドルファンが殺到して交通規制必須だし」 しかし森下が「大丈夫ですよ。私、アイドルファンクラブの会員なんで、その辺の段取りは少し分かります!」と謎のノウハウを披露してくれる。「おお、頼もしい!」 一方で、県外からの地域活性化プロジェクトの案件では、やたらと横文字を連発するコンサル担当が現れ、マウントを取ろうとしてくる。「ホスピタリティ&コストシナジーを最大化してですね、ローカルベンチャーをブーストしていきたいんですよ」 …とにかく書類を整理しようとしても、何を言っているのかよく分からない。斎藤は「もう横文字禁止令出してください!」と泣きそうになる。 そんなにぎやかなやり取りに、山崎は「ふむ、まあ、一歩一歩やっていこう」とのんびり構える。しかし、その裏で何やらキナ臭い噂が。どうやらこのプロジェクト、外資系企業とグルになって地元の土地を大規模に買い占めようという動きがあるらしいというのだ。
第五章:坂の上の立てこもり事件(!?)
グルメフェスの準備が進むある日、山崎事務所に一本の電話が入る。「山崎先生! 草薙の坂の上の空き家に、謎の人物が勝手に住み着いたって噂があるんですよ。大家さんが困ってるみたいで…!」 まさかの**“無断占拠”**の相談が飛び込んできた。しかも、その物件は前に“幽霊”騒動で注目を浴びた隣の家だという。「うーん、法的手続きが必要になるかもしれないな」と山崎は冷静に言うが、丸山が顔をしかめる。「でもこれ、放っておくとフェスの客足にも影響が出そうですよね。心霊スポット扱いされて人が集まっちゃうかも…」「むしろ集まったら集まったで儲かるんじゃ?」と冗談を言った瞬間、斎藤にグリッと足を踏まれる。「バカ言わないでください! こんなトラブル、早く解決しないと!」
森下がさっそく情報を集めると、その“侵入者”はどうやら外資系企業の下請けらしい、という怪しげな話が見えてきた。地元の地価を下げるためにわざと噂を流そうとしている……なんて陰謀論まで囁かれている。「まさか、地域活性化プロジェクトとつながっているのか? これはやばい!」 この坂の上の立てこもり(?)事件が、思わぬ大問題に発展する予感が漂う。
第六章:走れ! 山崎事務所
グルメフェスまであと一週間。イベント出店の書類整理はまだ山ほどあるし、アイドルライブの許可申請はギリギリだし、無断占拠物件の問題も放置できない。「丸山さん、アイドルステージの警察提出用書類は?」「いや、今警察署にFAX送ったんだけど紙詰まりしてて…」「また紙詰まり!? プリンターを買い替えた方がいいんじゃないですか!」 斎藤は悲鳴を上げながらも、同時に「個人情報保護の誓約書」「イベント協賛企業との契約書」など、次々とファイリングしていく。森下が手助けしながらも「あれ、これ誓約書に押印が必要なんでしたっけ?」と戸惑いを見せる。「印鑑文化も侮れないんだよねぇ…」と山崎が苦笑いしていると、突然電話が鳴る。「もしもし、幽霊物件の吉本ですけど、なんかウチに外資系企業の人が来て“譲ってほしい”って言うんですよ。え、これ大丈夫ですかね?」 みんなの視線が一気に交差する。「外資系企業」――これが坂の上の無断占拠とリンクしているのかもしれない。
第七章:クライマックスはフェスの舞台で
迎えたグルメフェス当日。青空の下、たくさんの屋台が並び、にぎやかな声が町中に溢れている。アイドルライブも無事に始まり、地元商店街や観光客が大盛り上がり。 だが、その裏側では山崎事務所が大忙し。スタッフ総出で駆け回り、出店者からの「電源が落ちた!」「屋台が足りない!」などのトラブルに対応する。さらに、坂の上では未だに“怪しい人物”がウロウロしているとの情報。「すみません、ちょっと私、坂の上に行ってきます!」 丸山がそう言うと、斎藤と森下が「私たちも行きます!」と続く。山崎はイベント本部で書類の最終チェックをしながら「みんな、気をつけて!」と送り出す。
坂を駆け上がった三人は、怪しい男を発見。男は笑みを浮かべながらスマホで建物を撮影している。話を聞くと、「この辺の土地を購入し、再開発してバリバリ稼ぐぜ」という魂胆が見え見え。しかも、正当な手続きを踏まずに“住み着いた”というのだから悪質だ。「そ、そんなの法律違反ですよ!」森下が怒ると、男は涼しい顔。「いやあ、お宅ら田舎の人間は法律をよく分かってないだろ。俺たちのやり方で進めるから」 斎藤はプルプル震えるが、ここで丸山が昔取った杵柄、銀行員時代のデータ分析と法律知識をフル活用。「あなた方がやった行為は不法侵入、さらに営業妨害が問われる可能性がありますよ。弁護士や警察も動き出すでしょうし、相当まずいですよ」 男が「あ、いや、それは…」と動揺しているときに、坂の下から応援を呼びに走ったスタッフたちが到着。結局、その男は抵抗できず、あえなく撤退していった。
第八章:フィナーレ、そして笑い
坂の下に戻ると、ちょうどグルメフェスはフィナーレを迎えていた。地元アイドルが最後の曲を歌い終え、拍手と歓声が渦を巻く。「うわあ、いい雰囲気じゃないですか」斎藤は息を切らしながらも感動に浸る。「いやあ、なんとか大きなトラブルにならずに済んでよかった。あの男たちも今後は法的にしかるべき手続き踏むしかないだろうしね」丸山が胸をなでおろす。 そこへ山崎が走ってやってきた。「お疲れさま! みんなのおかげでイベントは大成功! 出店者から感謝の言葉がたくさん届いてるよ」 そう言いながら、山崎はアイドルグループからもらったサイン入りグッズを見せびらかす。「なにそれ、うらやましい!」と全員がつっこみを入れたのは言うまでもない。
結局、外資系企業の“買い占め作戦”は失敗に終わり、地域活性化プロジェクトも、もっと健全な方針で進められることになった。なんだかんだで山崎事務所は、またしても“地域のヒーロー”ぶりを発揮する結果となったのだ。
エピローグ:明日も笑顔で
翌日、事務所の電話が鳴り続ける。「グルメフェス関連でお世話になりました」「また新たに相談を…」と、感謝や新規依頼が殺到している。斎藤と森下は電話応対に追われ、丸山はパソコンと格闘しながらなんとかデータを整理している。 そこに現れる山崎哲央。いつものようにほわっとした笑顔で言う。「みんな、本当にお疲れさま。ご褒美に、今日は事務所で打ち上げしよう! 近所の酒蔵から新作を仕入れてきたんだよ」「やったー!」とスタッフたちが歓声を上げる。
草薙の坂の下、山崎行政書士事務所では、今日も書類の山と格闘しながら笑い声が絶えない。地元の人々のあらゆる悩みを法務の面から支えつつ、時には町を守るヒーローのような活躍も見せる。 しかし、そこに深刻そうな顔をした男性が入ってくる。「すみません、僕、宇宙から侵略者が来るかもしれないって聞いて…」 その瞬間、またしても山崎とスタッフたちの目が点になる。果たして今度はどんな“法務ロワイヤル”が待ち受けているのか? まあ、きっと笑いと涙を交えて、また無事(?)に解決してしまうのだろう――そんな予感しかしない。
(続く…かもしれない)





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