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法務ロワイヤル外伝2 ~宇宙と草薙の坂の下で~―山崎行政書士事務所、新たなるトラブルと謎の依頼編―

  • 山崎行政書士事務所
  • 1月19日
  • 読了時間: 10分



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プロローグ:嵐の前の静けさ?

 静岡市清水区、草薙の坂の下にある山崎行政書士事務所。前回のグルメフェスや坂の上の“無断占拠”事件も無事に収束し、ようやく落ち着きを取り戻したかに見える。 朝の事務所では、所長の山崎哲央がいつものようにのんびりとコーヒーを啜り、スタッフたちがそれぞれの業務をこなしていた。 しかし、その平穏を打ち砕くかのように、先日ちらりと顔を出した“宇宙からの侵略”を心配する依頼人(?)が、再び訪れようとしているとは、誰も想像していなかった――。

第一章:奇妙な相談、再び

■ また来た! 宇宙侵略の男

 カランコロン…。ガラス戸の向こうに、見覚えのある顔が映る。「や、山崎先生! どうもこんにちは!」 “宇宙侵略”男――仮に浅井と名乗るその男性は、前回フェス直後に「宇宙人が来るかもしれない」と言い出してスタッフ全員をポカンとさせた、謎の依頼人である。「ええと、浅井さんでしたよね? 今日はどのようなご用件で……」 山崎は表情を崩さず、あくまで行政書士らしく丁寧に尋ねる。すると浅井はソワソワしながら、声をひそめて言う。「実は、私の家の庭にある物置に…どうも宇宙人が住み着いた気配があるんです!」 …一瞬、事務所内の空気が凍った。隣で書類をまとめていた新人スタッフの森下舞は「え、え? 物置に…宇宙人?」と、目が点になる。 そこへちょうど出勤してきた斎藤夏海が、「おはよ…って、なにこの空気?!」とギョッとする。

■ 法的手段で宇宙人を追い払う?

 浅井の話によると、「夜になると物置から怪しい光が漏れている」「小さな足音が聞こえる」など、まるでドラマのような現象が続いているらしい。「ですから、宇宙人による不法侵入を阻止したいんです。山崎先生なら、きっと何か法的手段をご存知かと!」 浅井は真剣なまなざしでそう言うが、山崎はさすがに戸惑う。「うーん、不法侵入っていっても…宇宙人の場合、そもそも日本の法律が適用できるのかどうか…」 シュールすぎる相談内容に斎藤は失笑を堪え切れず、背を向けて肩を震わせる。丸山修(元銀行員)はパソコンから顔を上げ、「宇宙人…って、融資審査じゃ聞いたことないなぁ」とのんきなコメントを呟く。 だが、山崎は真摯に話を聞きつつ、「まずは事実確認からですね。具体的にどういう状況で、何が起きているのか…。下手に刺激してはいけないので、慎重に行きましょう」と返答する。 浅井は感激した顔で、「やっぱり山崎先生に頼んでよかった!」と両手を握りしめる。

第二章:さらに怪しげな依頼たち

■ 社会貢献NPOのはずが…?

 そんな騒ぎの後、事務所には次々と新しい案件が飛び込んでくる。そのうちの一つは、「高齢者を支援するNPO法人を立ち上げたい」という相談。 相談に来たのは、ハイテンションな若い女性、遠藤柚香。ただ、話を聞けば聞くほど妙な点がある。「高齢者の皆さんにスマホゲームを楽しんでもらって、課金してもらう事業をやりたいんです。もちろん、楽しんだ分だけ払ってもらうからWin-Winですよね!」 斎藤が「え、ええと…」と困惑している横で、丸山は思わずツッコミを入れる。「それ、課金ビジネスじゃないですか!? そもそも高齢者支援というより、むしろ搾取になりかねない気が…」「いやいや、違うんですよ! ご高齢の方の孤独をゲームで解消したいんです!」 遠藤は理想に燃えているようだが、事業内容はどうにもグレーゾーン。森下は「NPOとして認められるには、公益性が重要かと…」とアドバイスをするものの、遠藤は「大丈夫です! やる気だけはあります!」と全く聞く耳を持たない。 山崎は苦笑しながら、「まずは基本的な要件を確認して、NPO法人の認証申請が通るかどうか検討してみましょう」と、例によって落ち着いた調子でまとめるのだった。

■ 怪しい顧問契約の相談

 さらに別の日、中年サラリーマン風の男性がやってきて、「副業で不動産投資を始めたら、いきなり怪しげなコンサル会社から顧問契約を迫られた」という相談を持ち込む。「顧問契約なんて初めてで、よく分からないんですよ。年会費がやたら高いんですけど、サポート内容は曖昧で…」 契約書を見た山崎は、「これは…やはり問題が多いですね。契約解除も視野にいれたほうがいいかもしれません」と冷静に指摘。 すると、契約書の末尾にあった一文を見た丸山が吹き出す。「何これ、『宇宙意識の覚醒プログラム』付き? 絶対変ですよ!」 “宇宙”というキーワードが再び登場し、斎藤はビクッとする。もしかして浅井の“宇宙人騒動”とも関係があるのか…? しかし真相は闇の中だ。

第三章:坂の上で発生する奇妙な光

■ 現地調査、そして謎の目撃情報

 「宇宙人が物置に住み着いた」と主張する浅井のため、山崎とスタッフは週末に現地を訪問することにした。昼間は特に異常は見当たらないが、斎藤と森下は物置の隙間から懐中電灯を入れ、覗き込んでみる。「…何もいませんね。ただのガラクタとホコリだけです」「夜になると光るって言ってましたよね。どうやって確認すれば…」 とりあえず山崎が「夜中にもう一度来てみましょうか」と提案すると、丸山が「絶対怖いし危なそうですよ」とビビった顔をする。

 しかし、夜の調査には浅井本人も同行するというので、22時頃、再び集まることになった。懐中電灯を片手に静まりかえった坂道を上っていくと、確かに物置の隙間からチラチラと怪しい光が漏れているではないか。「うわ、本当に光ってる!」と森下が小声で驚く。斎藤も「マジですか…これって誰かが中で懐中電灯でも…?」と戦々恐々。

■ ドアを開けると…?

 意を決した山崎が物置のドアに手をかける。ギィィと不気味な音を立てて扉が開くと―― そこには謎の装置がピカピカ光りながら置かれていた。形は地球儀にアンテナが刺さったような、何とも奇妙なもの。「こ、これが宇宙人の機械…?」 斎藤が青ざめた顔でつぶやくと、いきなり奥から声が聞こえた。「うわ、誰だ!?」 見ると、コンサル会社の名刺を持っていた怪しげな男が隠れている! 昼間の契約書にあった「宇宙意識の覚醒プログラム」云々はこいつの仕業か?

第四章:真相、判明す

■ コンサル会社の“宇宙”ビジネス

 男を問い詰めると、どうやらこの物置で“宇宙パワー”を受信すると称して、怪しげな投資サロンを開こうとしていたらしい。「田舎のほうが電波が入りやすいって聞いたんだよ。そしたら宇宙意識がダウンロードできるとか言われてさ…」 斎藤が唖然として聞き返す。「誰がそんなこと言ったんですか…?」「よく分かんないけど、うちの会社のスピリチュアル上司が…。でも証拠がないと説得できないから、無断でここを借りた、というか…」 なんと不法侵入どころの話ではなく、他人の物置を勝手に使い、インチキ商法に利用しようとしていたのだ。つまり“宇宙侵略”ならぬ、“物置侵略”だったというわけだ。

■ 宇宙人は存在しなかったけど…

 浅井はほっとしたような、がっかりしたような複雑な表情でつぶやく。「なぁんだ、じゃあ宇宙人はいなかったんですね…。正直、ちょっとワクワクしてたのに」 山崎は呆れ半分、安堵半分の顔で「まあ、騙されなくて済んでよかったですよ」と声をかける。 そのまま男を警察と大家さん(浅井の親族)に引き渡し、無事に“謎の物置問題”は解決へ。

第五章:NPO法人とその行方

■ 遠藤柚香の熱血企画

 一方、NPO法人を立ち上げたいと騒いでいた遠藤柚香は、山崎のアドバイスを受けて、ようやく現実的なプランをまとめ始めていた。 今まで「課金ビジネス」ばかりに目が行っていた彼女だったが、山崎事務所で説明を受けるうちに、「高齢者が気軽に集まれるサロンを作り、その中でデジタル機器を体験してもらう」という方向に路線変更。 丸山が書類チェックをしながら、「これなら確かに公益性も認められそうですね」と感心する。森下も「寄付金の募集とか、資金繰りのプランが少しずつ整ってきましたね!」と笑顔を見せる。 遠藤は「はい! これも先生方のおかげです!」と大興奮。前の怪しさが嘘のように、ちょっとまともな道を歩み始めたようだ。

■ 思わぬ協力者

 さらに、かつてのクライアントであるペットビジネスの大林老人も協力を申し出た。「高齢者同士で犬猫を触れ合いながら、ゲームもできるなら最高だろう!」と。「その名も『わんにゃんデジタルパーク』! どうだ、いい響きだろ?」 当初は課金システムがどうこう言っていた遠藤だが、今は「楽しそう! ぜひやりましょう!」と乗り気。法務的にも問題なく、無事NPO法人の設立申請を出せそうなところまでこぎつけた。

第六章:笑いと泪の事務所ライフ

■ スタッフたちの小競り合い

 こうして事務所にはまた新たなクライアントが増え、書類も山積み。斎藤と森下は「もう限界!」と嘆きながらも、せっせとフォーマットを作り直したり、必要書類をチェックしたりと奔走する。「斎藤先輩、こっちの紙どこにファイリングします?」「あ、その棚の左上。あ! そこじゃない! それは去年の棚!」 「あーもう、分かりづらいですよ!」 森下に指示を出しながら、斎藤は内心「いつまでも新人扱いされてられないんだ」と意地になる。丸山は相変わらずエクセルの関数を駆使して集計表をサクサク作り、横文字まみれのコンサル資料にニヤリ。「僕に任せてよ、昔はこれでメシ食ってたんだから」「その割に印刷の設定はよく間違えますよね?」「うっ、それを言われると弱い…」

■ 所長のマイペースっぷり

 皆が騒ぎ合うなか、山崎はマイペースにお茶をすすりつつ、電話対応や契約書の確認を淡々とこなしていく。「こないだの外資系コンサル会社、警察に事情聴取を受けてますね。でも一部のクライアントは納得していないみたいで、また連絡してくるかもしれません」「了解です。まあ、来たら来たで、また一緒に考えましょう」 静かな口調に、スタッフたちは肩の力が抜けるのを感じる。どんなに奇妙な依頼が転がり込もうと、結局山崎がどっしり構えてくれるから大丈夫――そんな安心感がこの事務所にはあるのだ。

第七章:小さな新事件、しかし大団円

■ 宇宙カフェ計画?

 ある日、事務所に一本の電話が入る。なんと、以前「幽霊が出る物件」で大繁盛した元銀行員の吉本からだ。「いやあ、うちの幽霊店もひと段落ついて、新しい企画やろうと思ってね。今度は『宇宙カフェ』を作りたいんだよ! 宇宙をテーマにしたメニューとか、暗闇の中で星空を体験できるブースとか…」 宇宙騒動の渦中だった斎藤と森下は、思わず顔を見合わせて苦笑する。「幽霊の次は宇宙ですか…。まあ、いいんじゃないですか?」 ところが吉本は、「ただ、悪徳コンサル会社のせいで“宇宙”のイメージが悪くなってるらしくてさ。法律や許認可的には大丈夫なんだけど、世間の目が怖いんだよね…」とぼやく。 そこで山崎事務所が“イメージ回復”のための広報戦略(?)をアドバイスすることに。「私たち行政書士はPRの専門家じゃないんですけど…まあ、地元との関係づくりはお手伝いしますよ!」 こうして、また新たな案件が舞い込み、大団円(?)のあとも山崎事務所の騒動は終わらない。

■ 今日も笑顔で、坂の下から

 夕方になり、仕事をひと段落させた斎藤と森下が事務所の外に出ると、草薙の坂の上からゆっくりと夕日が射していた。「結局、宇宙人はいなかったけど…私たち、なんだかんだで色んな星人よりも宇宙っぽい人々と出会ってる気がしますね」 森下がクスッと笑う。斎藤もうなずく。「ほんとですよ。幽霊に宇宙に、次は何が来るんだか…」 そんな二人を見つめながら、丸山がぼそりとつぶやく。「次は海底人とか来ても驚かないよね、もう」 みんな、想像して吹き出す。そこへ山崎が遅れて出てきて、のんびりとした声で言う。「さあ、今日もお疲れさま。みんなで夕ご飯でも食べに行こうか。最近、草薙駅前に美味しいおでん屋さんができたって噂だよ」

 こうして、静岡の小さな行政書士事務所はまたもや無事に(?)一つの騒動を解決した。奇妙でユーモアたっぷりの依頼に振り回されながらも、人々の悩みに寄り添い続ける――それが、山崎行政書士事務所の日常なのだ。 きっと明日も、宇宙より奇妙(?)な依頼が舞い込むに違いない。だが、笑いと温かな人情があれば、どんな問題でも何とかなる――そう信じて、草薙の坂の下で今日も事務所の灯りは消えないのであった。

(続く…かもしれない)

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