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【SE現場×米EUデジタル規制衝突】

  • 山崎行政書士事務所
  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

FTC委員長が**「欧州・英国のデジタル規制に“迎合”した結果、米国法(FTC法§5)の不当・欺瞞に当たり得る」と米テック各社に書簡。外国政府の要請で“米国人の発言を検閲”したり“暗号を弱める”行為は違法になり得る、と公式に警告しました。対象にはEUのDSAと英国のOnline Safety Act/Investigatory Powers Actが明示。技術・運用の“グローバル一律設定”が法域間コンフリクト**を招くリスクが現実化しました。


同時期、米政権は**「EUのデジタル規制は米テック差別」として追加関税や輸出規制を示唆。EU側は「規制は主権」と反発し、議会筋からはDSA/DMAの弱体化阻止や反強制措置の発動に言及が出ています。技術設計・契約・通告の各層で、“誰にどの法を適用するか”を明示的に分離**する準備が必要です。



■ 現場SEの実務判断(いま変えるべき設計)


Jurisdiction Policy Engine(法域別ポリシー中枢)

 ・US/EU/UKでコンテンツ規制・通報義務・年少者保護要件を別ポリシーとして管理(Feature Flag+条件分岐で“グローバル一律”を禁止)。

 ・DSA要件(例:違法/有害コンテンツ対処、透明性、VLOP義務等)はEU域内ユーザー/サービス対象に限定適用。米国内ユーザーに波及させない(“一括適用”はFTC書簡が指摘する違法リスク)。


E2EEとデータ保護の“二重基準化”

 ・暗号強度をグローバルで落とさない。UKの例外的アクセス要求がある場合でも、米国人向け通信はE2EEを維持し、分離アーキテクチャ(別エンドポイント/別KMS/別ビルド)で“弱体化の波及”を防止。弱体化の事実は顕著表示(ユーザー告知)を行わないと**“欺瞞”リスク**。


“検閲/弱体化”に関する告知設計(Material Change Notice)

 ・外国法に基づくモデレーションや暗号設定変更を米国内ユーザーに及ぼす場合は、理由・範囲・対象法域を顕著に表示(ToS/プライバシー通知/アプリ内バナー)。表示なしはFTC法§5の欺瞞に該当し得るためNG。


ログと証跡の“理由コード化”

 ・各削除/ダウングレード/制限措置にReason Code(例:EU-DSA要請/UK-OSA違反/US-自社ポリシー)を紐付け、米規制当局照会やEU監督当局の双方に説明可能な二方向監査線を用意。


取引・貿易リスクの“構成反映”

 ・追加関税・輸出規制の示唆に備え、代替インフラ/CDN/広告配信経路のフェイルオーバー計画をRunbook化。依存ベンダの法域もCMDBで可視化。


契約とプレ契約情報の“法域差し替え”

 ・米向けToSには**「外国法に基づく検閲・暗号弱体化を適用しない旨」(または適用時の顕著表示**)を明記。EU向けはDSA準拠の告知・通報窓口・透明性報告を完備。英国向けはOSA/IPAへの準拠条項と技術的差分を附属書で明示。


■ 技術スタック例(最小で効く構成)


Policy Engine:OPA/自社ルール+地域・年齢・役割属性


Moderation Pipeline:US/EU/UKでモデル・しきい値・フローを分離(一括閾値を禁止)


Crypto/KMS:地域別KMSキー+鍵ローテ分離、UK要件は境界内に閉じる


Notice/Labeling:措置理由の自動ラベリング+顕著表示テンプレ


Audit:不可逆ログ(WORM/SIEM)+両法域向け監査ビュー


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■ 山崎行政書士事務所の支援(PR)

1) コンフリクト・オブ・ロー設計審査(US×EU×UK)

 ・FTC法§5(不当/欺瞞)× DSA × OSA/IPAの衝突点マッピング、“一括適用の回避”と顕著表示要件の織り込み。FTC書簡の論点(検閲・暗号弱体化・表示)を設計・文言に落とし込み。


2) 法域別ToS/プライバシー/告知テンプレ(英日)

 ・米向け:適用除外/顕著表示条項、EU向け:DSA透明性/苦情/危機プロトコル、英国向け:OSA/IPA条項+技術附属書。

3) 監査対応セット

 ・Reason Code体系/措置台帳/ログ設計、“外国法由来の措置”の可視化テンプレ。

4) インシデント&当局窓口Runbook

 ・米FTC/EU委員会/英国Ofcomそれぞれへの説明パッケージ。

5) 組織訓練(法務×SRE/Trust & Safety)

 ・模擬要請(EU通報・米照会・UK要請)のロールプレイで一括適用ミスを撲滅。


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■ 一言まとめ(SEの腹落ち)


グローバル一律は負け筋。**法域別に“分ける設計”**が唯一の現実解。


暗号は下げない・適用は分ける・理由は示す。


契約とUIで“どの法で動いているか”をユーザーに明示。

衝突が激化しても設計で衝突を無害化できます。まずは**“法域別ポリシー/顕著表示/監査線”の3点セット**から、当職が伴走します。DM歓迎。



出典:FTC公式リリースと書簡(2025/8/21)、EU側の「規制は主権」声明、米大統領の追加関税示唆報道。



※本投稿は一般情報であり、個別の法的助言ではありません。各社の製品・利用者分布・技術スタックに応じた個別設計が必要です

 
 
 

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