タイムスリップ夫の逆襲!?〜坂口あやめの悲喜こもごも23:未来ひな祭りでお内裏様がロボ化!?〜
- 山崎行政書士事務所
- 1月26日
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1.バレンタイン騒動の次は、ひな祭りだ!
老舗出版社「米星社」の文芸編集者・坂口あやめ。 未来チョコ革命団が押しかけてきた2月の大騒動をどうにか乗り切ったものの、今度はもうすぐひな祭りがやって来る。 あやめの娘は幼稚園の年少クラス。「お雛さまのお祝い、楽しみ〜!」とウキウキだ。園でも桃の花を飾ったり、歌の練習をしたりと、ふんわり春気分。 あやめは「今度こそ平和に過ごしたい…」と切実に願いながら、先日のバレンタインがいかに大変だったかを思い返す。「もう未来人の妙な介入はゴメンだわ…」と心底思うのだが—— ああ、わかりますよね、やっぱりまたやって来るんです……。
2.カリブからの警戒連絡:「未来ひな祭り連盟」ってのが動いてます
例によって、筋肉配達員兼・時空警察のカリブから電話。「やあ、あやめさん。お元気ですか? 実はまた怪しい団体が過去に来てるんですよ。“未来ひな祭り連盟”とかいう連中で……。 何でも‘雛人形の歴史をアップデートしたい’とかほざいてて……正直、嫌な予感しかしないっすね。どうやら“超ハイテクお内裏さまとお雛さまロボ”を持ち込むとか…」
「やめてよ〜…もうお雛さまは人形飾るだけでいいじゃない!」 あやめは頭を抱えつつも、「わかった、また気をつけるね。うちの幼稚園にも来るかも…」と深いため息をつく。
3.幼稚園のひな祭り準備、子どもたちが手作り雛人形
あやめの娘が通う幼稚園では、ひな壇を飾りつけて子どもたちが折り紙で小さなお雛さまを作るなど、可愛らしい行事の準備が進行中。 年長さんは「お内裏さまとお雛さまに変身」ごっこなども企画していて、みんなわいわいガヤガヤ。 娘は「あたしは三人官女の役かな〜♪」と楽しそう。あやめも「いいね、写真いっぱい撮ろう!」とスマホを構える。 「本当にこういう素朴な催しを邪魔しないでほしい…」 そう願うばかり。
4.予感的中! 園に「未来式ひな壇ロボ」を勝手に運び込む集団
そして“ひな祭り前日”——園の玄関で、ピンクと金色を基調とした巨大な機械がワゴン車から降ろされる光景が。 白衣姿の男女が懸命に搬入しており、背中には「Future-Hina-Project」と書かれたロゴ。 「またか…やっぱり来たわね、未来ひな祭り連盟…!」 とあやめは眉間にシワを寄せる。先生たちも「え、何ですかコレ…? 園にはそんな依頼出してないですよ…!?」と戸惑い。 するとリーダー格の女性が得意満面。「我々は‘雛人形革命’を起こすためにやってきました! これが最新の**“お内裏ロボ”と“お雛ロボ”**です!」
5.フルLEDのロボお内裏&お雛! 子どもたちは「すごーい」…でも
巨大機械が電源オンすると、ピカピカのLEDで飾られたロボットが2体——身長150cmほどの「お内裏さまロボ」と「お雛さまロボ」が起き上がり、「おほほ…こんにちは」「やあ、みなさん」と優雅に手を振る。 園児たちは最初「うわ〜すごい!」と目を輝かせるが、よく見ると義務的な笑みを浮かべるロボの顔は硬く、不気味なほどリアル。近寄った子が「ちょっと怖い…」と後ずさる場面も。 リーダー女性は「これこそ未来の雛人形! LEDで眩しく、美しさを表現し、音声AIで子どもたちとコミュニケーションも可能。普通の人形なんてもう時代遅れです!」と鼻息荒い。
あやめは(これ、明らかに園の雰囲気に合わない…)と呻きながら、カリブを呼びたい衝動を抑える。
6.勝手に「雛壇オート組み立て」発動、園の飾りを破壊!?
さらに連盟メンバーは「せっかくなので、従来のひな壇を取り外してこのオート雛壇をセットアップしましょう!」と強引に行動開始。 先生が「いや、うちは子どもが作った手作り雛壇で十分ですから!」と拒否しても、メンバーは「いえいえ、子どものためには最高のものを! さあ自動展開!」とスイッチを押してしまう。 すると、巨大な台座部分がガシャンガシャンと展開し、教室にあった紙製の雛壇を押しのけるようにして占拠。「わあ、せっかく子どもたちが飾ったのに…」と悲鳴が上がる。 案の定、子ども作の雛壇が破壊されてしまい、みんな唖然。「返してよ! 僕たちの雛壇!」と子どもたちが泣きそう。
リーダー女性は「ごめんなさいね〜。でも未来ではこれが常識。手作りなんて原始的だし、すぐ壊れるでしょ?」などと失礼極まりない発言を続け、園長先生が激怒し始める。
7.ロボお雛が突然のバグ「ひなあられ食わせろ…ひなあられ…」
騒然とする園内で、突如**「ヒナアラレ、ホシイ…ヒナアラレ…」という低い音が響き渡る。見ると、お雛さまロボがぎぎぎ…と手足を震わせ、子どもたちが持っていた“ひなあられ”に向かって強引に近づいてくる! 子どもたちは「ぎゃー! お菓子取られる!」と叫びながら逃げ回る。ロボはどうやら嗅覚センサー(?)で甘い匂いを検知したらしく、「ヒナアラレ、ヨコセ…」とプログラムが暴走している様子。 さらにお内裏ロボも連動して「オヒナサマ ニ モット アラレ オ ミツゲ!」と音声を発し始め、二体のロボが子どものお菓子に突進**。ママ友も先生も呆気に取られている間に、子どもが転んで泣きそうになるハプニング続出。
あやめは慌てて駆け寄り、「やめなさい! そんなロボにあられなんかあげるわけないでしょ!」と止めようとするが、ロボはガッチリ体を揺らしながら押し返す。
8.そこへカリブ&娘の立ち向かい「人形は飾るだけなの!」
このままでは子どもたちのお菓子も行事も台無しだ。 絶妙なタイミングで筋肉警察カリブがやって来て、「またやってるんすか! いいかげんにしろ!」とロボの腕を掴む。しかし予想以上の馬力で押し返され、「うおぉっ!」とカリブもひっくり返りそうに。 そこへあやめの娘が勇気を振り絞って**「人形は飾って眺めるものだよ! あられを食べるなんておかしい!」と大声でロボに訴える。 するとお雛ロボのセンサーが娘の声を認識し、「…イカリ…アラレ…ドウシテ…」**と混乱。お内裏ロボも「アラレ…タベラレナイ…?」と動作が滞り始める。
その隙にカリブが必殺の筋肉パワーで制御スイッチを引き抜き、「これでどうだ!」と一気にオフライン化。ロボ二体は**「ギギギ…」**と音を立てて停止。 「やった…止まった!」とあやめと子どもたちが安堵の声をあげる。
9.未来ひな祭り連盟、肩を落とし撤収「結局、素朴が一番…」
こうして「未来式ひな壇ロボ」も強制シャットダウンされ、現場は落ち着きを取り戻す。 リーダーの女性は「…どうしてうまくいかないの……未来では雛人形なんて廃れて、こういうハイテク化が必要だと思ったのに……」と落胆の表情。 あやめは少し呆れながら、「そうかもしれないけど、みんなが手作りで雛飾りを作ることに意味があるのよ。子どもたちの思い出も大切にしてほしいんです。」と伝える。 研究員の一人はしみじみと「確かに子どもたちの雛壇は素朴だけど、温かみがあるなぁ…俺たち、ちょっとやりすぎたかも」とつぶやき、結局はそそくさとロボを回収して帰っていった。
エピローグ:ひな祭りはやっぱり昔のままで
こうして、未来ひな祭り連盟の無理やりハイテク化計画は大失敗に終わった。 幼稚園では再度、子どもたちが手作り雛壇を補修し、折り紙で飾りを増やしたりして楽しんでいる。あやめの娘も「お雛さまに見立てた紙人形、とっても可愛い!」と誇らしげ。 あやめは苦笑しつつ、「本当にここまでやらないと気が済まないのかしら、未来人たち…」と呆れが止まらないが、子どもたちの笑顔を見れば許せてしまう。「やっぱり、昔ながらのひな祭りが一番ね」としみじみ。 カリブは「はあ〜、でも次は卒園・入学シーズン? それもまたヤバそう……」とすでに先を憂いている。あやめも「だね…。でもまあ、そのときはまた皆で頑張ろう」と肩をすくめる。
こうして、また一つ“未来人騒動”を乗り越えたあやめ一家。 子どもが笑顔になる行事は、素朴なほうがずっと嬉しい——そんな当たり前の大切さを、新たに噛みしめる雛祭りの一日だった。
(了)
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