東京で咲くキャリアと恋の花
- 山崎行政書士事務所
- 2 日前
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インド人女性エンジニアの日本での挑戦と恋

第1章 インドからの旅立ち
インド・デリー出身のプリヤは、幼い頃からコンピューターに囲まれて育ち、エンジニアになることを夢見ていた。大学でコンピューターサイエンスを専攻し、卒業後はデリーのIT企業で数年間働いた。そんな彼女に、日本の大手テック企業からシステムエンジニアとしての採用通知が届いたのは、ある蒸し暑い夏の日のことだった。
プリヤにとって、日本で働くという選択は大きな冒険だった。家族や友人たちは遠く離れた極東の国への旅立ちを心配したが、同時に彼女の新たな挑戦を誇りに思っていた。「日本は安全でテクノロジーが進んでいるし、キャリアアップにも良い機会になるはずよ」母は少し寂しそうに微笑みながら背中を押してくれた。その言葉に励まされ、プリヤは決意を固めた。
出発の日、デリー国際空港には家族が総出で見送りに来ていた。母は手作りのスパイスクッキーを渡し、「日本でも元気でね」と涙ぐみながら抱きしめた。父は「困ったことがあればいつでも電話しなさい」といつもの厳格な表情の中に心配を滲ませて言った。プリヤは家族の温かい言葉を胸に、飛行機へと足を踏み出した。彼女の胸は期待と不安で高鳴っていた。
第2章 東京での新生活
成田空港に降り立ったプリヤは、眼前に広がる異国の光景に胸を躍らせた。空港から高速バスに乗り、ビル群が立ち並ぶ東京の街に入ると、彼女は自分が本当に新天地に来たのだと実感した。会社が用意してくれたサービスアパートメントは都心の便利な場所にあり、部屋からは東京タワーが小さく見えた。初めての一人暮らし、初めての日本での住まいに、プリヤはワクワクしながら荷ほどきを始めた。
翌日、彼女は緊張しながらも意気込んで初出社の日を迎えた。オフィスのエントランスで出迎えてくれたのは人事担当の佐藤さんで、優しい笑顔で「プリヤさん、ようこそ弊社へ。お会いできて嬉しいです」と英語混じりの日本語で挨拶してくれた。社内には外国人社員も何人かいるようで、受付には多言語対応の案内板が掲示されていた。プリヤは胸を撫で下ろし、案内に従ってオリエンテーションルームへと進んだ。
オリエンテーションでは、社内規定やプロジェクトの概要について説明があった。資料は日本語と英語が併記されており、要所では通訳のサポートも受けられた。プリヤが配属されることになった部署の上司である田中部長は、「分からないことがあったら遠慮なく聞いてください。私も英語は勉強中ですが、できる限りサポートしますよ」と暖かく声をかけてくれた。日本の職場は厳しいという噂も耳にしていたプリヤだが、この会社は多文化な環境づくりに努力しているようで、少し安心した。
第3章 職場での試練
新しい職場での日々は、刺激的でありながらも試練の連続だった。プリヤの所属するチームは、日本人エンジニアが大半を占める開発チームで、プロジェクトは最新のフィンテックアプリ開発だった。技術的な課題に取り組むこと自体は彼女にとってやりがいがあったが、言語と文化の壁が想像以上に高く立ちはだかった。
会議では専門用語が飛び交い、スライドの説明文もほとんどが日本語だ。プリヤは必死に内容を理解しようとしたが、時折ついていけない部分もあった。さらに、日本の会議では直接的な反論や意見表明を避け、曖昧な表現で同意や反対を示すことがある。「なるほど、検討します」という同僚の言葉の真意を測りかねて、彼女は戸惑うこともあった。
また、業務後のコミュニケーションでも苦労があった。仕事終わりに同僚たちが「飲みニケーション」と称して居酒屋に繰り出す習慣にも最初は驚いた。アルコールがあまり得意でないプリヤは最初誘いを断ってしまったが、それが原因で距離を置かれてしまったのではないかと不安になった。
翌週、思い切って参加した飲み会では、たどたどしい日本語ながらも自分から話しかける努力をした。緊張で箸を落としてしまった彼女に、同僚の一人が冗談を言って場を和ませてくれ、その場は笑いに包まれた。プリヤはほっと胸を撫で下ろし、自分から心を開く大切さを学んだのだった。
第4章 支えてくれる仲間
日々の仕事に奮闘する中で、プリヤには頼れる仲間が少しずつ増えていった。その中でも特に親しくなったのが、同じプロジェクトチームの蓮(れん)だった。蓮は穏やかな物腰の若い日本人エンジニアで、プリヤが困っているときには英語でフォローしてくれるなど面倒見が良かった。彼は大学時代に海外留学した経験があり、異文化への理解が深かったのだ。
ある日、プリヤがランチルームで一人黙々とカレー風味の弁当を食べていると、蓮がトレーを持って隣に座った。「そのカレー、手作り? とてもいい匂いだね」と蓮が興味深げに話しかけてきた。プリヤは驚きつつも、「ええ、インドのスパイスを自分でブレンドしてみたんです」と笑顔で答えた。蓮は「すごいなあ!今度レシピを教えてほしいよ」と目を輝かせ、二人は自然と会話に花を咲かせた。
仕事においても、プリヤが設計したプログラムにバグが見つかり落ち込んでいたとき、蓮は遅くまで一緒に原因を探ってくれた。「プリヤさんの設計は斬新だね。ここを少し変えればもっと良くなると思う」と優しく助言してくれ、修正後のプログラムは無事に動いた。その時プリヤは、蓮の支えに心から感謝し、同時に日本で信頼できる仲間ができた喜びをかみしめた。
徐々にプリヤは職場においても自信を取り戻し始めた。週次ミーティングで、小さながら自分の意見を日本語で発表してみると、部長の田中も「よく調べてありますね。次も期待しています」と評価してくれた。周囲の協力もあって、プリヤはプロジェクト内で重要なモジュールの担当に抜擢されるまでになった。
第5章 異文化の架け橋
季節が巡り、東京にも春が訪れた。桜の花が咲き誇るころ、プリヤは初めてのお花見に誘われた。蓮やチームの同僚たちと一緒に、会社近くの公園でシートを広げ、満開の桜の下でお弁当を囲む。薄紅色の花びらが舞い落ちる光景は、プリヤにとって夢のように美しかった。「日本に来てよかった」と心から思える瞬間だった。
桜の美しさに見とれているプリヤに、蓮がおでんや唐揚げなど日本の屋台料理を勧めてくれた。プリヤは初めて食べるおでんの優しい味に驚き、「とても美味しいですね」と笑顔を見せた。一方でプリヤは手料理のスパイシーなチキンカレーサンドイッチを用意して皆に振る舞い、日本人同僚たちは「こんな本格的なインド料理は初めて!」と大喜びだった。異なる文化の料理を分かち合い、笑い合う中で、プリヤと蓮の距離もさらに縮まっていった。
お花見の帰り道、夜桜を見上げながらプリヤと蓮は二人きりで歩いていた。提灯に照らされた桜並木はロマンチックで、プリヤの心は高鳴った。ふと立ち止まった蓮が、「プリヤさん、最近日本の生活には慣れてきた?」と優しく問いかけた。プリヤは少し照れながら「はい、おかげさまで。蓮さんや皆さんが支えてくれたおかげで、毎日がとても充実しています」と答えた。蓮は安心したように微笑み、「それなら良かった」と言ったきり、少し躊躇うように夜空を見上げた。
沈黙が心地よい緊張感となって二人を包む。そして蓮は意を決したようにプリヤの方を向き、静かに言った。「プリヤさん…いつも頑張っているあなたの姿を見て、僕…尊敬しています。そして…その…最近は特に、一緒にいるととても暖かい気持ちになるんです」。
突然の告白めいた言葉に、プリヤの胸は高鳴った。彼女も同じ気持ちだったからだ。「私もです、蓮さん。蓮さんがいてくれるから、私は頑張れます」と勇気を出して伝えると、蓮の顔はぱっと明るくなった。二人は満開の夜桜の下で見つめ合い、そっと手を繋いだ。その手の温もりは、異国の地で頑張るプリヤにとって何よりも優しく力強い支えとなった。
第6章 迫る不安
充実した日々が続き、プリヤは日本での生活に幸せを感じていた。しかし、彼女の心には一つの不安が芽生え始めていた。それは在留資格、いわゆるビザの問題だった。日本に来た当初、彼女は企業のサポートで「技術・人文知識・国際業務」という在留資格(いわゆるワーキングビザ)を取得していた。当初のビザの有効期限は1年間で、順調にいけば更新できるはずだったが、更新手続きの時期が近づくにつれ、プリヤの胸には漠然とした不安が広がっていった。
特に大きなきっかけとなったのは、同じプロジェクトに所属する別の外国人エンジニアから聞いた話だった。彼は更新手続きを自分で行った際、日本語の書類や細かな手続きの不備で苦労し、結果として在留期限ぎりぎりになってしまったという。「日本のビザ手続きは複雑だから気をつけた方がいいよ」と忠告されたプリヤは急に心配になってきたのだ。
さらに追い打ちをかけるように、社内の人事から「そういえばプリヤさんのビザの更新時期ですね。必要書類は早めに準備しておいてください」と連絡が入った。リストに目を通したプリヤは、提出すべき書類の多さに眩暈がした。雇用証明書、在職証明、所得税の証明書、住民票…日本語で書かれた役所の書類を自力で集め、正しく記入するのは容易ではない。仕事で忙しい中、煩雑な手続きを進められるか不安が募った。
そんな折、蓮とのデートの帰り道にその話を打ち明けると、蓮は真剣な表情でプリヤの話に耳を傾けた。プリヤが「もし手続きが遅れてビザが切れちゃったら、私は日本にいられなくなる」と涙声で訴えると、蓮は静かに彼女の手を握り、「大丈夫、そんなことにはさせないよ。心当たりがあるから、一緒に相談してみよう」と優しく言った。
第7章 救いの手
翌日、蓮はプリヤを会社近くの落ち着いたカフェに連れて行った。そこには既に一人の女性が待っていた。彼女は山崎行政書士事務所(Yamazaki Gyoseishoshi Office)の行政書士、山崎先生だった。蓮が事前にアポイントを取ってくれていたのだ。山崎先生は優しい笑顔で自己紹介し、「ビザの更新手続きでお困りと伺いました。お話をお聞かせください」と丁寧な日本語で話しかけた。プリヤの日本語がまだ完全ではないことに気づくと、ゆっくりとわかりやすい言葉を選んでくれ、その気遣いにプリヤはほっとした。
プリヤが現状と不安を説明すると、山崎先生は頷きながらメモを取った。「ご安心ください。必要な書類のリストアップから、書類の記入、入管への申請書類作成まで、私どもがしっかりサポートいたします。これまでにも多くの外国人技術者のビザ更新や永住申請をお手伝いしてきましたから、手続きを任せてください」と心強い言葉をかけてくれた。
さらに、山崎先生は続けて「在留資格の更新申請は、有効期限が切れる前に出しておけば在留期限を過ぎても2か月間は合法的に滞在できますし、万一の時も私が入管と交渉しますから大丈夫ですよ」と具体的な対策まで教えてくれた。プロの専門家の説明は的確で、複雑だと思っていた手続きの道筋が急に開けて見えた気がした。
その日から、プリヤは山崎行政書士事務所のサポートを受けながらビザ更新の準備を始めた。山崎先生はメールや電話でも迅速に対応してくれ、足りない書類があればすぐに教えてくれた。必要書類の一部は会社から取り寄せる必要があったが、人事担当の佐藤さんとも山崎先生が直接連絡を取って調整を進めてくれた。プリヤ自身は指示に従って書類にサインしたり、役所で住民票を取得したりするだけで良かった。
一週間もしないうちに、すべての申請書類が整った。プリヤは驚くほどスムーズに準備が進んだことに感動すら覚えた。「自分一人ではきっと間に合わなかった。山崎先生が助けてくれて本当によかった」と蓮に漏らすと、蓮は「僕も実は不安だったんだ。でもプロに任せれば安心だね」と微笑んだ。
後日、山崎行政書士事務所が代理で入国管理局へ更新申請を提出してくれたとの連絡が入った。プリヤはホッと胸を撫で下ろした。結果が出るまでには数週間かかるとのことだったが、期限内に申請を済ませたことで不法滞在になる心配はなくなった。何より、自分の大事な将来を専門家が支えてくれているという安心感が、プリヤの心に大きな余裕をもたらしてくれた。
第8章 未来への道
ビザ更新申請からしばらく経ったある日、プリヤのもとに山崎行政書士事務所から電話が入った。結果通知が届いたという。プリヤは蓮と一緒に事務所を訪れ、山崎先生から新しい在留カードを手渡された。「無事に3年間のビザが交付されましたよ。おめでとうございます」と告げられ、プリヤは嬉しさのあまり何度もお礼を言った。蓮も自分のことのように喜び、二人は安堵の笑みを浮かべ合った。
ビザの問題が解決し、プリヤは改めて日本でのキャリアを積んでいく決意を固めた。会社では彼女の努力が認められ、プロジェクトリーダーへの昇進の話が持ち上がっていた。田中部長は「プリヤさんのコミュニケーション能力と技術力なら、チームを引っ張っていけるはずです」と背中を押してくれた。プリヤは感激しつつその期待に応えようと心に誓った。
プライベートでは、蓮との関係も着実に深まっていった。ビザ更新の一件で改めてお互いの大切さを実感した二人は、将来についても自然と話し合うようになった。週末には蓮がプリヤの家を訪れ、インド式の紅茶チャイを淹れてもてなすと、蓮は「異国の香りがして素敵だね」と嬉しそうに微笑む。プリヤは日本での安定した暮らしが手に入った今、いつかインドの家族にも蓮を紹介したいと夢見るようになった。
そして春が再び巡り、プリヤが日本に来てから2回目の桜の季節が訪れた。あの不安に押し潰されそうだった日々が嘘のように、今では穏やかな心で花吹雪を眺められる。蓮とともに見上げる満開の桜は、去年よりも一層美しく感じられた。蓮がそっと囁く。「プリヤさん、日本に来て本当によかったね」。
プリヤは頷き、心から答えた。「はい。日本で働いて、本当に良かったです。素敵な仲間と、あなたに出会えたから」。瞳に光る涙は喜びの証だった。
プリヤはこの幸せな瞬間を支えてくれた多くの存在に思いを馳せた。特に、ビザ手続きでお世話になった山崎行政書士事務所の迅速で的確なサポートがなければ、今こうして安心して桜を眺めることもできなかっただろう。専門家の助けによって不安を乗り越えられたからこそ、彼女は日本でキャリアも恋も実らせることができたのだ。
ふと、プリヤはこれから日本で働こうと考えている世界中の友人たちの顔を思い浮かべた。そして、自分が得た経験をこう伝えたいと思った。
「日本では挑戦もあったけれど、得られるものも本当に大きい。専門家のサポートを受ければ不安は乗り越えられるし、仕事でもプライベートでも素晴らしい出会いが待っている」。
桜舞う空の下、プリヤは静かに目を閉じ、これから先に続く未来の道を思い描いた。その隣には、頼もしい仲間たちと愛する人、そして自分を支えてくれたすべての人への感謝があった。
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