タイムスリップ夫の逆襲!?〜坂口あやめの悲喜こもごも16:未来のおゆうぎ会がVR化の危機!?〜
- 山崎行政書士事務所
- 2025年1月26日
- 読了時間: 8分

1.幼稚園の「おゆうぎ会」準備スタート!
老舗出版社「米星社」の文芸編集者・坂口あやめ。 未来から来る中年トレンチコート夫やスパンコール姑、筋肉配達員兼・時空警察のカリブなどに散々振り回され、ようやく落ち着いた(はずだった)幼稚園生活を送っている。 この秋は、芋掘り遠足もバタバタの末、なんとかハッピーに終えることができた。娘も「自分で土を掘るって楽しいんだね!」と成長を感じられたのが嬉しい。
そんな中、幼稚園では年末に向けて**「おゆうぎ会」**の準備がスタート。各クラスでダンスや劇などを披露するイベントで、親も楽しみにしている行事だ。 あやめの娘も張り切って練習しており、「ママ、おうちでも踊る練習するから見ててね!」と元気いっぱい。 あやめは(ああ、平和で微笑ましい…こんな気楽なイベント、未来人が絡まなければ最高なのに…)と願いながら、娘の練習を眺めていた。
2.怪しい影ふたたび…カリブからの警戒連絡
ところが、またしても筋肉配達員・カリブから電話が入る。 「やあ、あやめさん。最近、未来のエンタメ企業が“過去の子ども舞台公演”を調査するとかでタイムスリップしてきてるって情報がありまして……。気をつけてくださいね。 どうやら『VR技術でおゆうぎ会をアップデートしたい』とか言ってる連中らしいんですが、詳細はまだ不明です」
「VRでおゆうぎ会…? まさか幼稚園にまでハイテクを持ち込むつもり?」 あやめは嫌な予感が胸をよぎる。先日の芋掘り遠足に来た未来農業集団のように、こっそり潜入される可能性は大いにあり得る。 「ありがとう、カリブさん。警戒しておくわ。娘たちの舞台を邪魔されたら困るもの」
3.おゆうぎ会リハーサル、子どもたち大はりきり
それから数日後、幼稚園では本番直前のリハーサルが行われることに。 娘が出る劇は「ももたろうのダンスバージョン」。園児たちが鬼役と桃太郎役に分かれて音楽に合わせてステップを踏む、可愛らしい寸劇だ。 園のホールでは先生が「よーい、音楽スタート!」と指揮棒を振り、子どもたちは「わー!」と駆け出す。あやめも客席でこっそり見学しながら、ほほえましく写真を撮る。
ところが、ステージの後ろの暗幕の影に、何やら光る機械のようなものが……! よく見ると、球体カメラなのか、ドローンなのか、何かがほんのり浮かんでいる。あやめは(ま、まさか…)と背筋が凍る。
4.ステージ裏から登場! VRエンタメ研究者の野望
練習が終わり、子どもたちが教室へ戻ったタイミングで、あやめがこっそりステージ裏に回ると、そこには案の定、白っぽいスーツ姿の男性と女性がバタバタ機械を操作していた。 「急げ急げ、過去の子ども演劇データをVR化するんだ! 3Dスキャン完了まであと10分!」 「え、でも誰かに見つかったらどうするの? 時空警察とかいるかもよ?」 「平気平気、ここまで来ればもう……あっ!」
バッチリ目が合ってしまったあやめ。 「ちょっと! あなたたち、何勝手に園に入ってるの!?」 未来人らしき男女はギクッと固まり、仕方なく観念して名乗る。「え、えっと……我々はVRキッズ・プロジェクトのスタッフでして、未来のエンタメ企業から来ました。子どものおゆうぎ会を3D化し、SNS配信で世界中に見せたいんです!」
5.「おゆうぎ会は生の舞台が大事!」あやめが猛反対
「何言ってるのよ! こんなところで無断撮影なんて、絶対に許されないわ!」 あやめは声を荒らげる。 研究者たちは弁解を始める。「だって、未来では子どもたちが集まって舞台をやるなんてほぼなくなってるんです。全部VR上でアバターが踊るのが当たり前。こんな‘アナログな大勢での発表会’なんて超レアなんですよ!」 「で、だからって勝手に撮影していい理由にはならないでしょう!? みんな必死で練習してるのに、あなたたちの都合で‘データ収集’されるなんて迷惑!」
研究者はなおも食い下がる。「でも、この魅力を未来で伝えれば、子ども達がまたリアル舞台に興味を持つかもしれないんです! これは必要な研究なんですよ!」 あやめは溜息まじりに呟く。「そういう話は、ちゃんと園に相談して許可を取ってやるべきでしょ…。子どもたちはモルモットじゃないんだから!」
6.ホールに響く謎の音、VR試作機が勝手に起動!?
そのとき、ひときわ大きなブィィィン…というモーター音がステージ裏から聞こえてきた。 研究者たちが慌てて「あ、まずい、試作のVR投影機が勝手に起動しちゃったかも!」と駆け寄る。 見ると、球状の機械がプルプル震えながらステージ中央に浮かび上がり、そこからホログラム映像のようなものが投影され始める。 なんと、さっきのリハーサルをしていた園児たちの姿を勝手に3D合成したような映像が、音楽付きで踊り始めたではないか!?
「あれ、なに!?」「え、子どもたちが…宙で踊ってる!?」 おゆうぎ会練習を終えて戻ってきた先生やママ友たちが驚いてホールに入り、「なんだこの映像!」と騒然。 あやめは頭を抱え、「もう…勝手なことばっかりやって!」と激怒モード。
7.園児たちの困惑「私たち、こんな踊りしてないよ!?」
さらに問題は、ホログラム映像の内容。 機械が勝手に**「子どもたちが上手に踊っている」**と認識できなかった箇所を補完し、めちゃくちゃ華麗なステップや空中ダンス、回転ジャンプなんかを合成しているのだ。 戻ってきた園児たちはそれを見てポカンとし、「私、そんなダンスできないよ?」「ぼくこんな大ジャンプしてないもん!」と逆にショックを受けてしまう。 あやめの娘も「あれ私の顔だけど、体が変! こんなのやってない!」と泣きそう。
先生も慌てふためき、「子どもたちが落ち着いて踊る練習をしているのに、こんな非現実的な合成を見せられたら混乱します!」と研究者を責める。 研究者側は「す、すみません! 試作機が自動最適化をしちゃってて…リアルを忠実に再現するはずが、こんな‘スーパーパフォーマンス’になってしまったんです…」と青ざめる。
8.そこへ助け船、カリブの再登場
このタイミングで、ちょうどカリブ(筋肉警察)がホールに到着。 「やっぱり来てますね、VRキッズ・プロジェクトとかいう連中! 無許可撮影は時空法違反の可能性大です!」 研究者たちはガクッと肩を落とし、「うう、また警察に…」と観念の表情。
「まったく……子どもたちの大事な舞台をめちゃくちゃにしてどう責任取るつもりなの?」 あやめが厳しい口調で問うと、研究者リーダーの女性は唇を噛み、「申し訳ありません。私たちも‘過去の子ども舞台文化を取り戻すきっかけにしたい’と思ってやったんですが…」と力なく返す。 カリブは腕を組みつつ「取り戻したい気持ちはわかるが、やり方がズレすぎなんすよ。とにかく装置を停止して撤収だ!」と命じる。
9.ホログラムに怯える子どもたちを救う“生”のステージ
研究者たちが球状のVR投影機をオフにしようとするが、システムが暴走しているのか、**「バージョンアップモードに入ります」**などと機械音声が流れ、停止を拒否。 するとステージ上のホログラムがさらに増殖し、何台もの子どもの分身がクルクルと空中を舞い、カラフルな幻影を作り出す。「わー、何これ!? こわいよ!」と子どもたちが逃げ惑う事態に……。 あやめは思わず声を張り上げる。「ちょっと、落ち着いて! 皆で本物のおゆうぎを見せるわよ! そうすれば子どもたちも‘本当の自分たちの踊り’を思い出すはず!」
先生たちも「そうだ! じゃあもう、このまま本番さながらに踊っちゃいましょう!」と即決。 子どもたちに「怖がらないで、みんなで音楽をかけたら一緒に踊りましょう」と声をかけると、最初は泣きそうだった園児たちも「う、うん…!」と立ち上がる。 音楽が流れ始め、先生の「せーの!」の合図で、子どもたちがリアルな身体で一斉に踊り出す。
10.「これが本物…!」研究者たちの心に変化
ステージ上で楽しげに踊る子どもたち。まだ完璧じゃなくても、リズムがずれてても、それが可愛く尊い。 VRの合成ホログラムが背後でチラチラ揺れているが、本物の子どもたちの笑顔には到底かなわない。次第にホログラムの存在感が霞んでいくように感じる。 研究者リーダーの女性はその光景を見つめながら、ポロリと涙をこぼす。「……すごい。データじゃない、リアルな子どもたちが生き生きしてる……これが本当に‘舞台’ってものなんだね…」 カリブも「ちょっと感動しちゃいますね…」と若干涙ぐみ。あやめも拍手しながら「そうでしょ? これが私たちの‘おゆうぎ会’の良さなのよ…」と微笑む。
やがてVR装置のバージョンアップモードが終わり、ホログラムがふわりと消失。 舞台には子どもたちの「やったー!」という声と、充実した笑顔が広がっていた。
エピローグ:未来への記録より、今ここでの思い出を
こうして、おゆうぎ会リハーサルはドタバタの末になんとか収束。VR研究者たちは時空警察にしっかり注意され、「今後は正規の許可を取るか、子どもたちの意思を尊重する形で研究してほしい」ときつく言い渡される。 「本当にすみませんでした。勉強になりました…VRじゃなく‘本物の舞台の力’を改めて痛感しました」 そう言って研究者たちはペコペコ頭を下げ、ホログラム装置を抱えて退散していく。
あやめの娘を含む園児たちは、もう一度リハーサルをやり直し、「ちゃんと踊れてよかった!」と大満足。あやめもホッと胸をなでおろす。 あと数日で迎えるおゆうぎ会本番では、きっと子どもたちが今日よりさらに楽しそうに踊るはず。それをカメラにおさめて、家族や友だちとワイワイ見る…それだけで十分幸せ。
未来にデータを残すのもいいけれど、子どもたちの“今”を全力で応援する——そんな当たり前の尊さを、あやめはまたひとつ実感するのだった。
(了)





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