タイムスリップ夫の逆襲!?〜坂口あやめの悲喜こもごも18:未来のサンタが大暴走!? クリスマス会でトナカイ絶滅の危機?〜
- 山崎行政書士事務所
- 1月26日
- 読了時間: 8分

1.幼稚園のクリスマス会、平和に終わるはずだった…
老舗出版社「米星社」の文芸編集者・坂口あやめ。 未来から押し寄せる中年トレンチコート夫(未来版)やスパンコール姑、そして筋肉配達員兼・時空警察のカリブなど、数々の“時空トラブル”をくぐり抜けてきた。 最近は娘の幼稚園行事「おゆうぎ会」も無事に終わり、やれやれと思っていたら、今度はクリスマス会の季節が到来。 クリスマスに合わせて子どもたちがサンタさんへのお手紙を書いたり、園でツリーを飾ったり、大はしゃぎしている。あやめの娘も「サンタさん来るかなあ!」と毎晩ウキウキが止まらない。
「クリスマスぐらいは、静かに楽しめたらいいな……」 あやめはそう願いつつ、娘と一緒にクッキーを焼いたり、ツリーの飾りを作ったりと、微笑ましい時間を送っていた。 ところが、恒例のごとく——この「一大イベント」にも未来の怪しげな連中が目を付けているらしく、また波乱の予感が…。
2.時空警察カリブ情報:「未来サンタ」が過去出張中!?
やっぱりやって来た。ある日の夕方、家のチャイムが鳴り、ドアを開けると、いつもの筋肉警官・カリブが立っている。 「ども、あやめさん。まーた嫌な予感の話っす。どうも**“未来サンタプロジェクト”**って団体が過去に来てるらしいんですよ。目的は“本物のサンタ文化”を調査して再現したいとか……。 名乗ってるのは『サンタイムズ社』とか言う企業で、未来で絶滅寸前のトナカイを救うために、過去のクリスマスの実態を検証したいんだって」
あやめは表情を曇らせる。「トナカイを救う…? なんでうちの幼稚園が狙われるのよ」 カリブは苦笑い。「わかりませんが、“子どもたちがいる場所にこそ本来のサンタの姿がある”って勝手に思い込んでるらしく…。警戒してもらえます?」
あやめは「またか…」とうんざりしつつも、心の片隅で(でも、サンタさんならちょっと見てみたいかも……?)と複雑な気持ち。とはいえ、娘たちが振り回されるのは困る。「気を付けるわね、ありがとう」と返事するのだった。
3.園でイベント直前、謎の「新サンタ派遣」チラシが配られる
翌日、娘を幼稚園に送りに行くと、先生が困惑顔であやめに声をかけてきた。 「坂口さん、これ…朝、門のところで配られてたんですけど…」 見ると、**「新サンタ派遣サービス:サンタイムズ社」というフライヤーで、「未来式トナカイソリでお子様のもとへ急行!」「煙突不要! 3Dプリンターで即プレゼント!」**などと怪しげな宣伝文句が並んでいる。 「え……ほんとに来ちゃったのね、あの未来企業…」とあやめは唖然。先生も「園の行事とは無関係ですし、どなたが配ったのかわからないんですよ」と困り顔。
ママ友たちの中には「面白そう! 未来サンタって何?」と興味津々な人もいるが、あやめは(やめてー! 絶対ろくなことにならない…)と警戒が高まるばかり。
4.クリスマス会前日、園庭に「トナカイが歩いてる!?」
いよいよクリスマス会を明日に控えたある夕方。先生たちが園庭の最終装飾をしていると、門の外に毛むくじゃらの動物が見える。よく見れば…角の生えたトナカイ!? 「ええっ!? なんでこんな町中にトナカイが…!?」と大騒ぎに。園児も数名残っていたので「わあ、トナカイさんだ!」と目を輝かせる。 しかし、そのトナカイは何やら首にハイテク首輪を装着しており、ピコピコ光が点滅している。さらに背中には小さなソーラーパネルまで——完全に普通のトナカイではない。 「ま、まさか未来サンタって、本物のトナカイ連れてくるの…?」 園長先生がうろたえているところへ、やっぱり現れた未来サンタらしき人物。
5.登場! 未来サンタ&エルフ…いや、白衣の研究者?
見ると、赤いサンタクロース風コートを着た女性がトナカイのリードを引いて園内に入ろうとしている。傍らには緑色のエルフ風衣装を着た男性がタブレットを片手にニヤニヤ。 しかし、よく見るとそのコートの裏地はハイテクパネル、エルフの帽子の先端にはアンテナが仕込まれていて、どう考えても未来の研究者然としている。 園長先生が「ちょ、ちょっと、勝手に敷地に入らないで!」と止めると、サンタ風の女性はにこやかに言う。 「こんにちは! 私たち**“サンタイムズ社”**から来ました。未来で絶滅しかかっているトナカイを‘本来のサンタと子どものふれあい’で救おうと、過去へプロモーションに来たんです〜。 明日のクリスマス会に、私たちの‘未来サンタショー’をぜひ取り入れてみませんか?」
園長先生は青ざめ、「いえいえ、そんな余裕ありませんし、プログラムはもう決まってますので…!」と断る。が、女性サンタは「そこをなんとか〜!」と強引だ。 子どもたちは「サンタさんだ! トナカイさんだ!」と大興奮で群がっている。
6.あやめ、緊急参戦「未来サンタなんて怪しすぎます!」
たまたま娘を迎えに来ていたあやめは、この光景を目撃して「出た、やっぱり…」と頭を抱える。すぐさま割って入り、サンタイムズ社の2人(女性サンタ&エルフ風男性)に問いただす。 「あの、あなた方、園に許可取ってないでしょう。子どもたちに勝手に近づかないでください!」 エルフ風男性は苦笑し、「いやいや、でもトナカイって本来サンタに不可欠ですよね? 過去の子どもたちが本物のトナカイに触れて喜ぶ姿をSNS拡散すれば、未来でトナカイ保護の意識が高まるんですよ!」
あやめは唇を噛み、「確かにトナカイ保護は素晴らしいと思うけど、子どもを利用するのはやめて! しかもこのトナカイ、明らかに変な首輪してるじゃない。大丈夫なの?」 女性サンタは得意顔。「これは未来技術で‘筋力サポート’する首輪です。あまりに重い荷物を引かせないよう、トナカイ自身を補助する仕組みなんです! トナカイが弱っても、首輪が自動的に身体機能をサポートしてくれますから!」
「身体機能サポート…? 逆に危険じゃないの…?」 と嫌な予感しかないあやめ。
7.トナカイ暴走…! 首輪誤作動で園庭を疾走しまくり
まさにその時、トナカイの首輪からビリビリという電気音がし、「エラー……エラー……」という合成音声が発せられる。そして突如、トナカイが目をむいて**「ブルルルッ!」**と大暴れ。 女性サンタが「え、ちょっと、落ち着いて!」とリードを引っ張るが、首輪が誤作動したのかトナカイの脚力が過剰に強化され、園庭をものすごい勢いで疾走し始めた。 「ひぃいいいっ!! トナカイが暴れてる!」 子どもたちは悲鳴を上げて散り散りに逃げ、先生たちもパニック。あやめは娘を抱きかかえて、「怖い思いさせないでよ!」と激怒。
一方、エルフ風男性はタブレットを操作し、「停止コードを送るから待って!」と言うが、エラーメッセージ連発で首輪とリンクできない様子。 「なんでだよ! せっかく絶滅防止のために過去のトナカイをモデルに改造したのに…!」と絶叫。
8.カリブと園長先生が大奮闘
その騒ぎを聞きつけて、ちょうど園の外で待機していた筋肉警官カリブが飛び込んでくる。 「うおおーい、またですかぁ! なんか未来的トナカイが暴走してるじゃないっすか!」 カリブは逃げ惑う子どもたちを安全な場所へ誘導し、園長先生は必死に園舎の方へ呼びかけて「校舎に避難して!」と拡声器で指示。 しかしトナカイは首輪の力で異常なスピードを出しており、ヘタに追いかけると跳ね飛ばされる危険がある。 あやめは気を揉みながら(なんとか止めないと子どもたちが怖がる…)とオロオロ。
一方、女性サンタは無力化できず呆然。「どうしよう、こんなことになるなんて…」と半泣きだ。
9.あやめの娘「トナカイさん、怖くないよ!」の一言
まさに大混乱の中、あやめの娘がスッとカリブの脇をすり抜けて前に出るではないか。 「危ないからやめなさい!」と大人が止めるのも聞かず、トナカイが突進してくるコースに立ちふさがりながら、娘が思いきり両手を広げて叫んだ。 「トナカイさん、もう走らなくてもいいよ! 怖くないよー!」
その瞬間、トナカイの目が娘を見つめて、一瞬動きが鈍る。 娘はさらに優しい声で「ほら、ここにおいで…」と言いながら、ポケットから持ち歩いていたクッキーのかけらを差し出した。 すると、首輪がどうであれ、トナカイ自体は動物本来の本能が働いたのか、ピタリと足を止めて娘の差し出すクッキーをペロリと舐めてみる。そして、ごく自然に頬をスリスリ……。
「……や、やんだ!?」「首輪の誤作動はどうなったんだ?」 エルフ風男性がタブレットを見ると、なぜか首輪は**「緊急停止モード」**に切り替わっていた。どうやらトナカイの心拍や行動パターンが安定した結果、システムが落ち着いたらしい。
10.子どもたちの優しさが「本物のクリスマス」を救う
こうしてトナカイは娘の手からクッキーを食べ、ゆっくりと頭を下げるように呼吸を整えている。女性サンタも「ありがとう…本当に助かったわ」と涙ぐみながら娘の肩を撫でる。 あやめや先生たちも、娘の勇気に感動しつつ、「でも危ないことしちゃダメだよ!」とハラハラ。娘は「だって、トナカイさん痛そうだったんだもん…」と素朴な言葉。 エルフ風男性は苦々しくタブレットをしまい、「まさか子どもの純粋な気持ちが、AI首輪の暴走を止めるなんてね…。俺たち、便利な技術でトナカイを守れると思ってたけど、大事なのはもっと別のところにあったのかも…」とつぶやく。
カリブは腕を組みながらうなずく。「ええ。子どもたちの夢を守りたいとか言うなら、まずは安全とコミュニケーションを最優先にしてくださいな。時空法云々以前の問題っすよ…」
エピローグ:クリスマス会、本当のサンタは心の中に
結局、サンタイムズ社の未来サンタ計画は園では不採用になり、トナカイも首輪を外していったんい落ち着く形に(カリブからの指示で、時空警察が保護しつつ未来へ帰す手配をするらしい)。 クリスマス会当日、園では普通に先生がサンタのコスプレをして子どもたちにプレゼントを配り、子どもたちは大喜び。娘も「サンタさんありがとう!」と満面の笑みを浮かべている。 あやめはこっそり苦笑。「まあ、未来サンタより、こっちのほうがずっといいよね…」と思いつつ、子どもたちの笑顔を見守る。 もし本当のサンタがいるなら、ハイテク技術じゃなくて、子どもを思う優しい気持ちを運んでくれるはず。過去だろうが未来だろうが、その本質は変わらないと思うから。
こうして、またひとつクリスマスの夜が、更に温かい思い出になった。 子どもたちは光るツリーの下で笑いあい、あやめは娘と一緒にそっと“トナカイさん、また元気でね”と願いを込めてクッキーをかじる。 未来がどう変わろうとも、大切なのは今ここでの笑顔。おいしいクッキーと、小さな勇気——それが真のクリスマス魔法なのかもしれない。
(了)





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