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感情を書いてはいけない文章、書いていい文章

(山崎行政書士事務所 生活法務サポート室/文書作成の現場から)

こんにちは。山崎行政書士事務所・生活法務サポート室です。今日は「文章に感情って、どこまで書いていいんですか?」問題。

これ、相談の現場でめちゃくちゃ多いです。

  • 書きたいことは山ほどある(血管も浮き出る)

  • でも下手に書くと火に油(相手が逆ギレ、話がズレる、最悪“別の問題”が生まれる)

  • かといって無機質すぎても「冷たっ」ってなる

結論から言うと、こうです。

感情は“悪”ではない。ただし、置き場所を間違えると事故る。料理で言うなら、感情はスパイス。契約書にスパイスをぶち込むと、胃が荒れます(文書が)。

※先に業務範囲の大事な注記です。当室(行政書士)は、事実関係の整理と文書(契約書、合意書、通知文、内容証明など)の作成支援を行います。相手方との交渉の代理、紛争を代理して解決する行為、裁判手続の代理等は行いません。状況により弁護士等の専門家相談が適切な場合は、その旨をご案内します。

まず大前提:文章には「目的」がある

感情を書いていいかどうかは、センスではなく 目的 で決まります。

文章の目的はだいたいこの2種類。

① 事実を固定して、相手に“対応”を促す文章

(例:通知文、請求の案内、内容証明の文案、契約書、合意書、覚書 など)

このタイプは、感情を乗せると目的がブレやすい。感情が主役になると、文章がこう変質します。

  • “用件”が薄くなる

  • 相手が反発・防御に入る

  • こちらの言葉尻を取られて論点がズレる

つまり、解決に近づくより、揉めに近づく

② 気持ちを伝えて、理解・共感・関係を作る文章

(例:お詫び状、お礼状、お願い文、遺言の付言事項 など)

このタイプは、感情が入ってナンボ。ただし、入れ方にルールがあります(後述)。

感情を書いてはいけない文章

ここから「やらかしがちな文章」を、生々しくいきます。

1)通知・請求系の文面(“払ってください”“返してください”の類)

よくあるNG(※気持ちは分かる)

  • 「あなたは本当に非常識だ」

  • 「いい加減にしろ」

  • 「逃げられると思うなよ」

これ、読み手(相手)の脳内で何が起きるかというと、“内容”ではなく“態度”に注目します。

相手の頭の中:「え、怖…」「言い方…」「うるさい」「ムカつく」→ 用件どころじゃなくなる。

✅ 書くべきはこれだけです。

  • 事実(いつ、何が、どうなっている)

  • 依頼・要求(何をしてほしい)

  • 期限(いつまでに)

  • 方法(振込先、返却方法、連絡方法など)

感情は、胸にしまえ……とは言いません。感情は 別紙(心のメモ) に避難させて、本文は業務モードにします。

2)内容証明の文案

内容証明は“怒りの特急便”ではありません。ここに感情を盛ると、文章が「証拠性」より「ケンカ」方向に寄りがち。

特に危ないのは、人格攻撃・決めつけ・拡散予告みたいな要素が混ざること。(言い回し次第で、別のトラブルの火種になることがあります)

内容証明で強いのは、怒気ではなく 整った構造。静かな文章ほど、相手に「対応しなきゃ」が刺さります。

3)契約書・合意書・覚書

ここに感情を入れると、文書が突然ポエムになります。

NG例:

  • 「甲は乙を信頼し、誠意をもって…」が延々続く

  • 「二度と裏切らないこと」みたいな“気持ち条項”が増える

  • 「常識的に」「いい感じに」など曖昧ワードが入る

契約書・合意書は、将来のトラブルを減らすための設計図。設計図に「なんかイイ感じでお願いします」と書かれていたら、家が傾きます。

ここは感情ゼロでOK。むしろゼロが正解です。

4)相手の“性格評価”が混ざる文章全般

たとえば、「だらしない」「卑怯」「最低」「詐欺師」などのラベリング。

これ、スカッとするのは送る側の一瞬だけ。受け取る側は 防御態勢MAX。そして話が「事実」から「悪口」へスライドします。

文書は、相手を論破するためじゃなく、相手に動いてもらうために作ります。動かしたいなら、相手のプライドを正面から殴らない方が早い。現実的に。

じゃあ、感情を書いていい文章は?

ここからが大事。「感情=全部ダメ」ではありません。

1)お詫び状・謝罪文

このジャンルは、感情がないと逆に怖い。

ただしポイントはこれ。

  • 感情は “反省・遺憾”の表現として短く

  • 長文の言い訳大会にしない

  • 事実と再発防止の姿勢を添える

NG:「だって相手も悪いし、私も忙しくて、社会が悪くて…(以下2,000字)」→ 謝罪の皮をかぶった主張書面になります。

OK:「ご迷惑をおかけし申し訳ありません。今後は〇〇の手順を徹底します。」→ 感情+行動がセットだと伝わります。

※当室では、こうした文書の“表現整理”や“文章化”の支援は行えます(交渉の代理ではなく文書作成として)。

2)お願い文・依頼文(関係を壊したくない時の文面)

「強く言いたいけど、関係は壊したくない」このときは、感情を“潤滑油”として少し入れると効果的です。

例:「突然のお願いで恐縮ですが」「ご負担をおかけしますが」「大変困っております」

これらは、感情というより 配慮の言語化。相手に「協力してもいいかな」の余白を残します。

3)行政手続の“理由”を書く文書(理由書・申立理由の説明など)

行政関連の文書では、「なぜ必要か」「生活上どう困っているか」を説明する局面があります。

このときの感情は、“お気持ち表明”ではなく“事情説明”としての感情です。

OKの例(事情としての感情):

  • 「不安が強く、日常生活に支障が出ている」

  • 「介護負担が増え、支援が必要な状況である」

  • 「現状のままでは生活の継続が困難である」

NGの例(攻撃としての感情):

  • 「担当が冷たい、ムカつく、許せない」

  • 「役所は無能」

感情を入れるなら、相手を殴るためではなく、事情を伝えるために。

4)遺言の「付言事項」など(気持ちを残す場所)

遺言(特に付言事項)は、法的効力そのものというより、家族へのメッセージとして機能することがあります。

ここは、感情が“適切に”書ける場所。ただし、家族の火種になるような罵倒や断罪は、将来の争いを増やしがちです。

おすすめは、

  • 感謝

  • 理由の簡潔な説明

  • 願い(押し付けない)

“愛の遺産”のはずが、“恨みのカセットテープ”にならないように。

感情を「書いていい場合」の共通ルール

感情を入れていい文章にも、入れ方のコツがあります。

ルールA:感情は1〜2行で止める

長くなると、用件が溺れます。感情は添え物。主菜にしない。

ルールB:感情の矢印を“自分側”に向ける

OK:「困っています」「不安があります」「残念に思います」NG:「お前が悪い」「お前は最低」

相手を刺すと、相手は刺し返します(だいたい)。文書は戦場にしない方が得です。

ルールC:感情の後に「具体」を置く

感情 → 要望/行動の順にすると、文章が現実に戻ります。

例:「大変困っております。つきましては、〇月〇日までに〇〇をお願いします。」

生活法務サポート室の“現場あるある”:感情は「下書き」には全部書いていい

ここ、今日いちばん言いたい。

感情は、下書きに全部書いてOKです。むしろ書いた方がいい。出し切った方が整います。

おすすめ手順:

  1. まず“憤怒の下書き”を作る(スタンプも罵倒も全部盛り)

  2. それを保存して寝かせる(冷蔵庫は不要、比喩です)

  3. 翌日、必要な事実だけ抜き出す

  4. 本文は「事実・依頼・期限・方法」に整える

  5. 感情は入れるなら1〜2行、矢印は自分へ、最後に具体

これで、文章が“攻撃”から“伝達”に変わります。

まとめ:感情の置き場所を間違えない

  • 書いてはいけない(入れない方が強い)

    • 通知・請求・催促系

    • 内容証明の文案

    • 契約書・合意書・覚書

    • 相手評価(人格攻撃)が混ざる文面

  • 書いていい(ただしルール付きで効く)

    • お詫び状・謝罪文

    • お願い文・依頼文

    • 理由書など事情説明が必要な文書

    • 遺言の付言事項など“気持ちの居場所”がある文書

感情は敵じゃない。でも、文章の目的によっては「感情=ノイズ」になる。だからこそ、感情の置き場所を分けるのがコツです。

※本記事は一般的な情報です。状況や文書の目的により適切な表現は変わります。当室では、行政書士として、事実の整理と**文書の表現・構成の整備(書類作成)**をお手伝いします(交渉代理ではありません)。「この文面、感情が出すぎてない?」「どこまで書いていい?」など、文章の“安全運転”が必要なときはご相談ください。

 
 
 

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