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柚色(ゆずいろ)のリスタート


朝の静鉄・柚木駅は、名前のとおりほんのり柚子色に明るい。改札わきの掲示板に、ピンクのブラウスでウインクをきめたさくらのポスターが貼られている。

「ITもクラウドも笑顔で明るくサポートします!」

さくらは角をそっと指で押さえ、息を弾ませた。「よし、今日も“明るさ担当”いきます!」胸のポケットには、黄色い付箋と極細ペン。彼女の“元気ツール”だ。

1. 駅ベンチのフローチャート

ホームのベンチで、地元の学生二人がスマホを覗き込み、困った顔をしている。「“柚木フェス”のボランティア登録、なぜかエラーで…」「戻るボタン押したら二重登録って出た」

「こんにちは。図にしてみましょう」さくらは付箋を三枚並べ、にっこりする。「①入力 → ②確認 → ③完了。戻るは“①”へ。間で更新すると、二回押した扱いになることがあるの。だから“②”ではブラウザの戻るじゃなくて、ページの“戻る”ボタンを使ってね」

学生はほっと笑った。「言われてみれば簡単だ」「“わかる”って、だいたい“見える”から始まるんです」さくらはウインク。「今日から“見える化係”に任命します!」

2. 「影を作る」もサポートです

目の前で、ポスターのQRを読み取ろうとしている年配の男性がいた。でも朝の光が強くて、なかなか反応しない。

「影、作りますね」さくらは手帳を軽くかざし、画面の反射を抑える。「スマホは少し斜め、画面は明るめに。……はい、読み込み成功です!」「おお、こんな簡単なことだったのか」「簡単は、目に見えるときに生まれるんです」

通りがかった駅員が苦笑する。「最近は掲示も全部QRでね。助かります」「うちの広報のふみかが“駅で読みやすいコントラスト”って、仕様をまとめてくれてます。今度お渡ししますね」

3. 柚木フェスの“明るさSLA”

そのとき、チームチャットが鳴った。

ふみか:柚木フェス公式の申込フォーム、昼の拡散前に“迷子対策”入れたい。りな:UI上の“戻る”を明示、二重送信防止のトークンも有効化する。あやの:同意文、法的表現は私が整えます。ゆい:深呼吸~(ぽふ)。“ゆっくりボタン”、駅バージョン配備しました~。みお:会場マップのQR、読み取りテスト済み。**困っちゃいました?**は私が拾います♡

さくらは返信した。

さくら:駅前で利用者の“詰まり”観察中。明るさSLA(笑顔で3秒以内に声かけ)でやります!

「明るさSLA?」と、ベンチの学生が首をかしげる。「Smile Level Agreement。にっこり基準ですね」さくらは胸を張る。「難しい顔の人を見かけたら、三秒以内に“こんにちは、困ってませんか?”。ルールにしちゃうと、案外続くんです」

4. ゆず色の“言い換えカード”

昼前、柚木小PTAの代表・内田さんが小走りでやってきた。「学校の端末でフォームが開かなくて……“このサイトは安全ではない可能性”って出るんです」さくらは姿勢を正し、笑顔を崩さない。「こわい文言ですよね。**“安全ではない可能性”=“誰かが悪い”ではなく、“学校のフィルタ設定が厳しめ”**の合図です。“別の回線で試す”か“管理者にホワイトリスト登録を依頼”――この“言い換えカード”お渡しします」

黄色いカードには、太字のやさしい言葉が並ぶ。

  • こわい表示:「安全ではない可能性」→ やさしい言い換え:「学校の見張りが強め。大人に合図を」

  • こまった表示:「アクセスが拒否されました」→ やさしい言い換え:「既定の否認。開ける場所を決めて開けよう」

「“既定の否認”って、なんだかお菓子の名前みたい」内田さんが笑う。「そう、開けていい箱だけ開ける。クッキーの権限は最小限に、です」

5. まさかの“電池ゼロ”

午後。駅前の案内ブースで、フェスのテスト受付を始めると、最初の来訪者はおじいちゃん。「わしのスマホ、通知が鳴らんのだが」画面を見ると、バッテリー残量が**1%**で赤い。

「これは“焦らない案件”です」さくらはモバイルバッテリーを差し出し、ゆい直伝の“ゆっくりボタン”をぽふ。「深呼吸の間にケーブル接続、はい復活しますよ」「おお、若いのに頼もしい」「若さは充電式なんです」ウインクに、おじいちゃんもウインクを返してくれた。

6. 雨雲と、陽だまりの掲示

夕立の気配。ホームが少し暗くなる。さくらはポスターの前に透明のシートをかけ、端をマスキングテープで補強した。「雨の日ほど、明るさが必要ですから」

そこへりなから連絡。

“二重送信防止”を有効化、確認画面に大きな「戻る」ボタンも追加。ついでに命名規則、yzkfes-yyyymmdd-<受付番号>で固定したよ。

「さすが」さくらは指で空にチェックマークを描く。ふみかが追って画像を送ってくる。

「“迷子ゼロ宣言”のバナー作った。駅の掲示にも貼れるサイズ」

「掲示は右肩上がりで貼るのがコツですよ~」と、いつの間にか現れたみおがウインク。「目線が自然に上がって、元気が出るの」「じゃ、二人で“元気角度”にしましょう」

7. ちいさな失敗も、笑って春に

夕立が去り、湿った風。さくらが掲示を整えていると、足元で“ぴとっ”。――靴のかかとに、付箋が一枚くっついていた。表には、さくら自身の字で「笑顔の予備」。裏には、のりがべったり。

「あらら……わたし、予備を連れて歩いてた」みおがすかさず写真を撮る。「“笑顔の予備が落ちてました”ってポストしよ。かわいいし、役に立つ~」「恥ずかしいけど、いいか。笑って使えば、なんでも道具ですもんね」

そこへ、朝の学生二人が駆け寄ってきた。「登録、うまくいきました!」「“戻る”のボタン、でっかくなってた!」さくらは親指を立てる。「今日の明るさSLA、達成です!」

8. 柚木駅の夕焼け

日が傾く。ポスターのさくらが、夕焼けに照らされて少しオレンジ色になる。さくらは胸の前で手を合わせ、駅に向かって小さく一礼した。「今日も“明るくする仕事”ができました。明日も、ここで」

そのとき、チャットにフェス実行委からメッセージ。

申込、想定の1.5倍。二重登録ゼロ。「駅のポスターの前で助けてもらいました」との声、多数。

さくらはポスターの自分に向かってウインクを返す。「ITもクラウドも、笑顔で明るく。――それ、合図としてちゃんと届いてるね」

電車が入ってくる。ドアが開く。乗り込む人たちの表情が、少しだけ軽く見えた。柚木駅の黄色い一角で、さくらの“明るさSLA”は今日も静かに働き続ける。誰かの“難しい”が、柚色のリスタートに変わるまで。

 
 
 

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