水の格子模様をたたむ—イビサ島・カラ・タリダの一日
- 山崎行政書士事務所
- 2025年9月15日
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午前のバスが丘を下りきると、目の前にガラスを砕いたみたいな水面がひらけた。カラ・タリダ。波はほとんど息をしていないのに、陽の筋だけが底の砂に網目模様を描きつづけている。遠くに白いヨットが点々、浜にはチリンと鳴る氷の音。私はビーチタオルを広げ、「hola」と小さく言って腰を下ろした。
最初の“やらかし”は、日焼け止めのチューブを逆向きに開けたことだった。勢いよく飛び出した白い線が、サングラスを真っ白に。慌てて手を伸ばすと、隣の家族の娘がマイクロファイバーの布を差し出してくれた。彼女の名前はルシア。「tranquilo(だいじょうぶ)」と笑って、レンズをさっと拭いてくれる。布の端には、小さなイルカの刺繍。視界が澄むと、水の格子模様がさっきより青くなった。
海に入ろうとしたら、今度はパラソルが風にあおられてすぐ倒れる。四苦八苦していると、背の高いお父さんがロープと小石で即席のアンカーを作ってくれた。ロープを石に八の字で一回、そして砂にぐっと埋める。「ya está(できた)」——イビサ式の簡単さ。影がやっと落ち着く。礼に冷たいagua con gasを一本渡すと、彼は「salud」と指で輪をつくった。
水に膝まで浸かる。驚くのはその透明さだ。足首の横を小さな魚が銀色に抜け、遠くにはポシドニア(海草)の群落が濃い緑で揺れている。地元の少年が胸まで入って指差す。「mira, posidonia!」——これがあるから海がきれいなんだ、と得意げ。私は頷き、マスクをつけようとした瞬間にストラップが切れた。困っていると、さっきのルシアが自分の髪ゴムを外して差し出し、器用に八の字で留めてくれる。「provisional(応急だ





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