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「この契約、断っても大丈夫?」の考え方

(山崎行政書士事務所・生活法務サポート室/署名前チェックの現場から)

こんにちは。山崎行政書士事務所・生活法務サポート室です。契約書チェックのご相談で、かなりの確率で出てくるのがこの一言。

「これ、断っても大丈夫ですか…?」

結論から言うと、断っても大丈夫なことは普通にあります。ただし、ここが肝。

「断れるかどうか」は“気持ち”より先に、“今どの段階か”で決まることが多いです。

契約は恋愛と似ています。「まだ付き合ってない」なら断りやすい。「付き合った後」だと話が変わる。そして契約書は、基本ロマンがない(ここ重要)。

※先に業務範囲の注記です。当室(行政書士)は、契約書・合意書等の内容確認(チェック)、条文の整理、修正案の文案作成、断り文(通知文)の文案作成など、書類面のサポートを行います。相手方との交渉の代理、紛争解決の代理、裁判手続の代理は行いません。状況により弁護士等の専門家相談が適切な場合は、その旨ご案内します。(本記事は一般的な考え方です。個別事情で結論は変わります。)

まず最初に確認すること:あなた、もう「購入確定」押してません?

「断る/断らない」を考える前に、まずここを確認します。

✅ 断りやすい状態(まだ“購入確定”じゃない)

  • まだ署名・押印していない

  • メールやメッセージで「承諾します」「その条件でお願いします」と書いていない

  • 発注書を出していない/受けていない

  • 着手していない(作業開始していない)

  • 手付金・着手金などを受け取っていない/支払っていない

この状態なら、一般に「お断り」という選択は取りやすいです(もちろん関係性の配慮は必要)。

⚠️ 断りにくくなる状態(購入確定~作業開始)

  • 署名・押印済み

  • 「その内容でOKです」「進めてください」と送っている

  • 発注を受けて、すでに準備を始めた

  • 納品や作業が一部でも進んでいる

  • 料金の一部が動いている

この状態だと、「断る」というより “解約・解除・キャンセル・精算”の話になりやすく、扱いが変わります。ここが曖昧なまま突っ込むと、余計に揉めやすいです。

「断っても大丈夫?」を考える順番(ここを間違える人が多すぎる)

断るかどうかの判断は、気合いではなく順番です。おすすめはこの順です。

① 断りたい理由は「感情」か「条件」か

  • 感情:なんか不安、なんか嫌、相手が苦手

  • 条件:金額、責任、期限、範囲、支払条件、権利、解約条件などが合わない

感情が出発点でもOKです。ただ、断る理由を“条件”に翻訳できると、断り方が一気にスマートになります。

② 何が「無理」なのかを1行にする

例:

  • 「納期が現実的ではない」

  • 「業務範囲が曖昧で運用が止まりそう」

  • 「責任の範囲が当方の許容を超える」

  • 「支払条件が当方の運用と合わない」

  • 「成果物の権利条件が合わない」

ここが言語化できないまま断ると、だいたいグダります。逆にここが1行で言えれば、断っても“揉めにくい”。

③ 「断る」以外の着地点があるか(条件付きOK/保留)

断る前に、現実的な着地点を3つ並べてみます。

  • A:断る(今回は受けない)

  • B:条件が直れば受ける(修正提案が通れば)

  • C:保留(社内確認・条件整理が必要)

この3つを先に作っておくと、返信が冷静になります。(冷静な返信は、だいたい勝ちです。)

断っても大丈夫なケース(実務的に“引くのが正解”になりやすい)

ここから生々しくいきます。「断った方がむしろ安全」なやつ。

1)業務範囲が曖昧で「含まれる」が発生しそう

危険ワード:

  • 「必要な対応は含む」

  • 「当然そこまで」

  • 「いい感じに対応」

このタイプは、将来あなたの作業が増えるのに、報酬が増えない世界線が生まれがち。書面で整理できないなら、受けない判断も普通に合理的です。

2)納期が非現実的(根性で解決しない)

納期が短いのは、気合いで何とかなることもあります。でも「現実的に無理」な納期は、将来こうなります。

  • 遅延 → 信用が削れる

  • 徹夜 → 事故る

  • 事故 → 責任条項でさらに削れる

無理な納期は、あなたの体力だけじゃなく契約上のリスクも増やします。

3)責任が重すぎる(上限なし/片側だけ重い)

「不利でも合法」は普通に存在します。だからこそ、耐えられない不利なら、署名前に引くのが最も安いです。最悪の日に人生が傾く条文は、基本、避けた方が安全です。

4)支払条件が“検収”に吸い込まれている(しかも期限なし)

「検収完了後に支払い」自体は普通にあります。ただ、検収の期限や基準が薄いと、

検収が永遠に終わらない → お金が永遠に来ない

になりがち。これ、精神的にも経営的にも地味にきついです。

5)一方的に変更できる条文がある

「当社は必要に応じて変更できる」系。将来、あなたの知らないルールであなたが違反者になる可能性が出ます。契約としての安定性が低いので、慎重に。

6)秘密保持が広すぎて生活がしんどい

  • 実績が言えない

  • ポートフォリオに載せられない

  • 何が秘密かが広すぎる

  • 期間が長すぎる

合法でも、“生きづらい契約”は普通に存在します。将来の自分の活動に刺さるなら、引く判断もあり。

断らない方がいい(=断り方を間違えると危ない)ケース

ここは「断るな」ではなく「断る前に段取りが要る」ケースです。

1)すでに「承諾した証跡」がある

メールで「その条件でお願いします」と言っている、着手している等。この段階で雑に「やっぱ無理!」と送ると、相手の反発が強くなりがちです。

2)キャンセル条件や精算のルールが絡む

途中解約・キャンセル料・精算などが関係する場面は、文章の出し方で火が大きくなりやすいです。“断る文”というより“通知文”として整理が必要になりやすい。

3)すでに温度が高い(感情戦になっている)

感情で断ると、断った後も関係が燃え続けます。断るなら、温度を下げた文面が必須です。

「断っても大丈夫」な断り方(角を立てずに撤退する技術)

断り方のコツは、シンプルです。

  • 相手の人格を否定しない

  • 理由は“条件”に寄せる(スケジュール、運用、社内ルール等)

  • 早めに返す(伸ばすほど相手の期待が育つ)

  • 代替案を添える(可能なら)

断り文テンプレ(柔らかい版)

お声がけありがとうございます。社内で確認したところ、今回はスケジュール/条件面の都合によりお受けすることが難しい状況です。せっかくのご依頼にもかかわらず申し訳ありません。今後また機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

断り文テンプレ(条件が合えばやりたい版)

お声がけありがとうございます。現状の契約条件のままですと当方の運用上難しいため、以下の点が調整可能であれば検討可能です。(例:業務範囲の明確化、検収期限の設定、責任範囲の整理 等)ご確認いただけますと幸いです。

保留テンプレ(時間が必要な版)

お声がけありがとうございます。契約内容の確認が必要なため、○月○日までに回答いたします。取り急ぎ受領のご連絡まで申し上げます。

※注意:勢いで「了解です!」「進めます!」と書くと、後で「承諾したよね?」になりやすいので、言葉選びは慎重に。

生活法務サポート室としての視点:「断る」は“損切り”じゃなく“事故回避”

契約って、受けた後に揉めると、だいたいコストが跳ねます。

  • 時間(延々メッセージ)

  • お金(追加対応、回収遅れ)

  • メンタル(胃が痛い)

  • 信用(遅延・品質問題に発展)

だから、署名前に「断る」という選択肢を冷静に持つのは、普通に正しいです。

当室では行政書士として、交渉の代理ではなく「書類面の支援」として、例えば

  • 契約書のチェック(どこが合わないかの見える化)

  • 受けるなら必要な修正点の整理(優先順位づけ)

  • 条文修正案の文案作成(当事者が提示するための案)

  • 断り文・保留文・条件提示文の文案作成などをお手伝いできます。

まとめ:「断っても大丈夫?」は、段階→条件→伝え方の順で決める

  • まず もう合意してる段階か(購入確定を押してないか)

  • 次に 何が無理かを1行にする(感情→条件に翻訳)

  • 次に 断る/条件付きOK/保留の3択で整理

  • 最後に 角の立たない文面で早めに返す

最後に一言。

契約は、断る自由があるうちに断るのが一番安い。サインした後は、だいたい高くつきます。

「断りたいけど、どの理由にまとめるべき?」「受けるならどこを直したい?」そんなときは、生活法務サポート室として“文書の整理”の視点でお手伝いします。

 
 
 

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