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『法務ロワイヤル外伝7 ~妖精王国と草薙の坂の下で~』―山崎行政書士事務所、新たなる“幻想次元”騒動編―

  • 山崎行政書士事務所
  • 1月19日
  • 読了時間: 9分



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プロローグ:いつもの朝に忍び寄る、ふしぎな気配

 静岡市清水区、草薙の坂の下にある山崎行政書士事務所。 ここ最近、“幽霊”“宇宙”“深海”“江戸時代”“未来”に加え、“パラレルワールド”まで取り扱ってきたこの事務所は、もはや普通の行政書士の範疇を超えているのでは…とスタッフも半ば諦めモードだ。

 山崎哲央所長はいつもの柔和な微笑みを浮かべ、朝のコーヒーを啜る。 斎藤夏海は大量の電子定款データを見ながら「はあ、今日もパラレル法人の更新手続きで山盛り…」とため息。 丸山修は相変わらずプリンターとの戦い。「お願いだから詰まらないでくれ…」と祈るようにトレイをチェック。 森下舞はメールの受信箱を開いて、「また山のように相談が…あ、でも今度は普通の許認可申請みたい?」と期待を寄せる。

 しかし、その“普通そうな”相談メールの末尾には、こんな一文があった。「追伸:神社の境内に妙な光が舞っており、“妖精”が飛び回っているという話も…。何か法的に対応できませんか?」

 斎藤と森下は顔を見合わせ、「…妖精?」と口を揃えてつぶやく。もう驚きはしないが、これはまた新しい扉が開きそうな気配だ。

第一章:神社の境内で囁かれる“妖精伝説”

■ 地元からの依頼

 依頼人は、草薙駅近くの神社に住む宮司の孫・藤村歩。「境内の杉の木のあたりに、夜になると小さな光がひらひら舞ってるんです。近所の人が『妖精を見た!』って騒ぎ出しちゃって…」 藤村が言うには、子供たちが楽しがるだけならまだしも、境内を無断で立ち入りしてライトを照らしたり、勝手にカメラで撮影したりと、迷惑行為も増えてきたという。「神社としては、安全と秩序を守りたいんです。だけど、“妖精”なんてあり得ないと笑う人もいて、相談する先が分からず…」

 山崎は「なるほど。無断侵入や不法撮影については、神社の管理権限で対処できますが、もし本当に妖精がいるなら…」と深刻そうに考える。 丸山が苦笑いしながら「またまた、そんな…でも、実際に深海人やパラレルワールドがあったくらいだし、何が起こってもおかしくないですね…」とこぼす。 斎藤と森下は「はい、もう何でも来いって感じです!」と気を取り直して張り切るのだった。

第二章:夜の神社、そして舞い散る光

■ 現地調査へ

 さっそく夜、山崎事務所のメンバーは藤村の案内で神社へ向かった。杉の木が立ち並ぶ薄暗い境内。かすかな風音と虫の声に混じり、チラチラと怪しい光が見え隠れしている。 森下がスマホで撮影しようとすると、画面には確かに小さな光の点が映り、動き回っているのがわかる。「うわ、ほんとに何か飛んでますよ…ホタル? でもこんな時期にホタルっているんでしたっけ?」 斎藤が不思議そうに首をかしげる。丸山は「いや、ちょっと動きがホタルとは違うなあ…」とぼやく。

■ 突然、言葉が聞こえた

 すると、闇の中からか細い声が響いた。「…たすけて…」 「え?」と全員が固まる。音のする方に目を凝らすと、光の中心に小さな人影のようなものが浮かんでいるではないか。まるで掌サイズの人形が、ぼんやりと羽を羽ばたかせているかのようだ。 その姿を目にした瞬間、一同は思わず息を呑む。「これ…マジで妖精じゃ…?」

第三章:名乗りは“ティタニア”(仮称)?

■ 小さき来訪者との対話

 恐る恐る近づくと、妖精らしき存在は羽を震わせながら弱々しい声で訴える。「…私…迷い込んだ…森から…帰れない…」 どうやらこの神社の森と妖精の故郷は繋がってしまったらしく、彼女は帰り道を見失ったという。 斎藤がスマホの翻訳アプリを試すも、当然ながら妖精語は未対応。丸山も困っていたが、そこへ山崎がそっと声をかける。「言葉が少し聞き取れるようですね。あなたのお名前は?」 すると妖精は、おそらく「ティタニア」と名乗ったのだろうが、声の響きが微妙に歪んでいて正確には分からない。「タタ…ニャ…」と聞こえるだけ。 森下は「とりあえず“ティタニアさん”と呼ぶことにしましょう」と提案し、皆で頷く。

■ 妖精王国からの迷子?

 ティタニア曰く、彼女の故郷は「森の奥深くにある“妖精王国”」。そこでは仲間が楽しく歌い踊っていたが、光の穴を通り抜けたら急に人間世界に出てしまったらしい。 山崎は真剣な表情で聞き入る。「なるほど、パラレルワールドや異空間ともまた違う、妖精たちの住む王国…これも何かの因果で繋がっちゃったんですね」 丸山はもう慣れた様子で「はいはい、また一つ未知の領域ですね…」と呆れ顔。

第四章:神社を訪れる騒動、迷惑行為の続出

■ “妖精ブーム”勃発?

 ティタニアを目撃した人がSNSに投稿したため、「本当に妖精がいる」と噂が一気に拡散。面白半分の見物客が押し寄せ、神社の境内は連日大混雑に。 無断でライトを照らして撮影する人、深夜にこっそり侵入して“妖精捕獲”を試みる人まで現れ、宮司の孫・藤村は悲鳴を上げる。「お参りもままならないし、下手したら怪我人が出そうです…。どうにか対策を打てませんか?」

■ 法的対策&保護の必要性

 斎藤や森下が調べると、神社が私有地(もしくは宗教法人名義)として管理しているエリアに無断で侵入するのは不法行為となる可能性大。ただ、“妖精”という存在自体は法律上の保護対象に含まれない。 森下は「動物保護法とか外来生物法とか、そういう枠にも当てはまらないですよね…」と困惑。 山崎は「これは新しいカテゴリーの誕生かもしれませんが、少なくともティタニアさんを守るために、神社側と協力して一定のルール作りをする必要がありますね」と冷静に方向性を示す。

第五章:捜し求める“帰り道”と、現れた謎の学者

■ 妖精王国へのゲートはどこ?

 ティタニアの話によると、かつて森の奥にあった“光の穴”が閉じてしまい、帰れなくなったという。しかし、神社の敷地をいくら探してもそんな穴は見当たらない。「やはり山奥とか、どこか別の場所にあるのかも…」と斎藤たちは根気よく調査するが手掛かりはゼロ。

■ 自称“妖精学者”の登場

 そんなタイミングで事務所を訪ねてきたのが、自称“妖精研究家”の桐原一俊。「私、かねてから日本にも妖精は存在すると主張してましてね。今回こそ実在の証拠をつかみたい!」 熱弁を振るう桐原だが、怪しさ満点。どうやら論文を出したいがためにティタニアを調査したいらしい。 丸山は「ああ、これはまた“深海人”のときと同じパターンですね…。研究対象扱いしたいだけじゃないですか?」と警戒。 桐原は「いやいや、私は妖精の自由と尊厳を尊重しますよ!」と言いつつ、「写真と採寸、DNAサンプルも取れれば…」などと物騒なことを口走る。 斎藤が「ティタニアさんはそんなの望んでませんよ!」とストップをかけ、桐原はシュンとするが、諦める気配はない。

第六章:神社での大騒動、そして法務ロワイヤル勃発

■ 妖精お披露目イベントを提案?

 宮司の孫・藤村は困り果てつつも「逆に公的なイベントをやって“安全に見学”してもらうのはどうでしょう…」と提案する。無秩序に人が押し寄せるよりも、ルールを設けたツアー形式のほうがマシかもしれない、と。 山崎は「そうですね。少なくとも管理責任や安全対策が整いますし、収益が出れば神社の修繕費にも回せます」と賛成する。 ただ、ティタニア本人の意思を尊重しないといけない。森下が通訳(?)で確認すると、「みんなが優シク見守ルなら、ワタシOK…」という返答。撮影や接触はNGという条件を出すが、そこはイベント規約でカバーできそうだ。

■ しかし、過激な“妖精捕獲”集団が…

 イベント準備が進む中、何者かが夜の神社に忍び込んでティタニアを捕まえようとした形跡が見つかる。丸山が防犯カメラの映像を確認すると、複数人の影が怪しげに動き、ネットで売るつもりなのか「これで一攫千金だ!」なんて声が入っていた。「なんてことだ…。妖精を売買するなんて考えてる連中がいるなんて!」 斎藤は怒りを露わにし、森下は「ここまで非常識だと、法に訴えるにしても種別が…」と混乱。 山崎はすかさず警察に連絡。神社が私有地であること、妖精が“保護対象”であることを主張し、正当に排除できるよう協力を仰ぐのだった。

第七章:クライマックス、そして“妖精王国”への道

■ イベント当日、まさかの光の扉が

 広報の効果で、神社内の公式イベントは大盛況。まるで夏祭りのように出店が並び、妖精(ティタニア)を優しく見守るステージが作られた。撮影禁止、フラッシュ禁止、むやみに接触しないなど、ルールは厳格に設定されている。 ところが、ステージの時間が近づくにつれ、神社の奥に再び怪しい光がゆらめき始めるではないか。「も、もしかして妖精王国へのゲートが再び開いてる…?」 ティタニアが歓喜の声を上げ、ふわりと飛び立つ。舞台裏で待機していた山崎たちも慌てて追いかける。

■ ティタニアの決断

 光に誘われるように、境内の奥へ進むティタニア。斎藤が「もしかして帰るの?」と尋ねると、ティタニアは小さく頷く。「アリガトウ…タスケテクレテ…」 何度もお礼の言葉を口にし、ぷるぷると感謝の涙を浮かべる。 丸山や森下は名残惜しそうな顔で「また何かあったら来てくださいね!」と声をかけるが、ティタニアは微笑んでうなずき、光の奥へ消えていった。 ちょうどその頃、境内のステージ上では「妖精観察タイム」が始まるはずだったが、ティタニア本人はもういない。かわりに会場を囲む人々の目には、まばゆい閃光が一瞬走り、全員が「何だ今の光!」とざわつく。

エピローグ:去りゆく妖精、そして新たなる日常

 翌日。神社に妖精がいなくなったと聞き、落胆する人もいれば、「やっぱり幻だったんじゃないか」と言う人もいた。 だが、藤村は神社の収益が増えたことで境内の整備が進み、参拝客へのサービスも向上して喜んでいる。そして何より、ティタニアを保護できたことにほっと胸を撫で下ろしていた。 山崎事務所は、神社周辺の迷惑行為や深夜の無断立ち入りを防ぐためのルールを整備し、条例や警察との連携をサポート。今後も“妖精再来”に備えて、協定書を作っておくという念の入れようだ。

 「いやあ、またすごい体験しちゃいましたね」と斎藤。 「もはや、どこに出しても恥ずかしくない“何でも屋”感が漂ってきましたよ」と丸山。 「ティタニアさん、ちゃんと帰れたかな…。もし次に来るときは、もう少し言葉の壁をクリアしたいですね」と森下。

 そんなやりとりを見守りながら、山崎はいつもの笑顔で言う。「きっと大丈夫。この世界にも、妖精の世界にも優しい気持ちがある限り、いつかまた会えるでしょう。さあ、今日も新しい相談が来てるよ。誰か“ドラゴンを見た”って言ってる…?」

 夕日が染まる草薙の坂の下。妖精騒動が去っても、山崎行政書士事務所の日々が平穏になることはない。次はどんな奇妙な案件が待ち受けているのか――。 しかし、どんなファンタジーが相手でも、笑いと優しさと法務の力で乗り切るのが彼らのモットー。明日もまた、きっと新たなドラマが生まれるのだろう。

(さらに続く…かもしれない)

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