『法務ロワイヤル外伝8 ~ドラゴンと草薙の坂の下で~』―山崎行政書士事務所、“幻獣”相手の新たな法務トラブル編―
- 山崎行政書士事務所
- 1月19日
- 読了時間: 9分

プロローグ:ドラゴンの足音?
静岡市清水区、草薙の坂の下にある山崎行政書士事務所。 今日も所長の山崎哲央は、スタッフの動向をゆるやかに見守りながら、ほのぼのとコーヒーを啜る。 新人スタッフの斎藤夏海は、大量の電子定款データとにらめっこ中。元銀行員の丸山修は「お祈りしながら」プリンターの電源を入れ、“今度こそ紙詰まりしませんように”と内心つぶやいている。 若手の森下舞は妖精事件の後処理のメールを見ながら、「妖精が去って以来、神社も落ち着いたみたいですね。やっと普通の日常が戻る…?」と顔をほころばせた。
だが、その“普通”は長くは続かない。 前回の妖精騒動のエピローグでチラリと耳にした「ドラゴンを見た」という噂。どうやら一部の地元民が本気で「巨大な生物が空を飛んでいた」と騒ぎはじめ、ネット上でもプチ炎上している。 斎藤は半笑いで「ドラゴンって…さすがに、それはないですよね~」と言うが、森下がパソコン画面を見て顔色を変えた。「…えっ、でも、この画像…合成にしてはリアルすぎますよ!」
第一章:ドラゴン目撃情報が殺到
■ 新たな相談:空飛ぶ怪物?
さっそく事務所に飛び込んできたのは、地域振興課の職員を名乗る堀江。「すみません、突然ですが、“ドラゴン騒ぎ”で困っているんです。町おこしイベントを企画していた矢先、山中で夜間に“巨大生物の火炎”が観測されたとかで、問い合わせが殺到してるんです!」 丸山が怪訝な表情で「火炎って…まさか、ホタルの集団とかUFOとかじゃないですよね?」と尋ねるが、堀江は本気の顔。「それが、地元の消防団が“山火事か?”と出動したら、妙な痕跡だけが残っていて。倒木が焼け焦げていたらしいんです。よく見ると爪あとらしきものまで…」
■ ドラゴン出現? 法的にはどうなる?
森下が頭を抱える。「もし本当にドラゴンがいるとして…動物保護法とか特定外来生物とか、いやそもそも分類が“幻獣”だから法律がない…?」 斎藤は「いやいや、実在するなんて思えないけど…皆さん、どう受け止めてるんでしょう?」と混乱。 山崎は苦笑しつつ、「まあ、存在するならまず安全確保が優先ですよね。火炎で山が燃えたら大事故になりますし…」と冷静に対処法を考え始める。
第二章:現地調査へ、そして残された巨大な“爪あと”
■ 深夜の山道を進む
いつものように、山崎事務所の面々は堀江とともに“目撃多発スポット”とされる山林へ赴くことにした。 懐中電灯を手に、暗い山道を分け入る。森下が「なんか、前の“妖精探し”を思い出しますね…」とつぶやくと、斎藤は「でも今回は可愛い話じゃないかも。もし本当に火を吐く怪物なら、冗談じゃすまない…」と身震いする。 丸山はビビりながらもカメラを回し、「証拠映像が撮れたら世界的ニュースですよ…」と妙にテンションが上がっている。
■ 焦げた木と巨大な足跡
登山道の外れに差しかかると、確かに一帯が焼けこげている部分があり、地面には見たこともない大きな爪あとが。明らかにイノシシや熊とは違う形状だ。 堀江が言う。「これを発見した消防団も『聞いたことない動物だ』と…。燃えた痕跡は火事の原因調査報告に入っていますが、何も断定できていません」 斎藤は「こんなのが本当にいるなら、早く対策を考えないとまずいですよね」と不安げ。 山崎はしばし考え込み、「実在が確定しなくても、行政的には“危険生物”対策の準備が必要でしょうね。人命や環境保護の観点から、何らかの捕獲や駆除の話も出るかもしれませんが…」と、あえて冷静に告げる。
第三章:ドラゴン愛好家の“保護運動”勃発
■ “ドラゴンは天使”と主張する人々
一方、この“ドラゴン騒動”がSNSで拡散すると、ファンタジー好きや動物保護団体の一部が「ドラゴンは貴重な存在!」「保護すべき」と主張し始めた。 ある日、山崎事務所に数名の若者がやってきて、熱っぽく語る。「私たち、ドラゴン研究サークルのメンバーでして! こんな奇跡は二度とないチャンスです。もし捕獲や駆除なんてされるなら、命がけで阻止します!」 斎藤は「いやいや、まだ実在するか分からない段階ですし、危険もあるんですよ?」と説得しようとするが、相手はファンタジー愛に燃えているらしく譲らない。 丸山は疲れた顔で「これ、深海人のときの“保護する派vs研究する派”みたいな構図に似てきましたね…」とため息をつく。
■ フェイクニュース説も
さらに、別の方面からは「こんなのフェイクニュースに決まってる。地域振興のためのデマじゃないか?」と疑う声も多い。町外のメディアが面白おかしく報じ始め、誤報と煽り記事が入り混じり、事態はカオスに。 森下は「ほんと収拾がつかないですよ…行政書士の仕事範疇を超えてる気が…」と気が遠くなるが、山崎は相変わらず「できる限りベストを尽くしましょう」と言うだけ。
第四章:ドラゴンの正体? 思わぬ“通報”がもたらす情報
■ 地元農家の奇妙な証言
そんな中、地元の農家である浜崎重雄が「うちの畑から野菜が大量に消えてる」と通報してきた。しかも地面に大きな引きずった跡があり、何やら鉤爪(かぎづめ)のような痕が残っているという。「夜明け前に謎の影が野菜をくわえて飛び去ったって、うちの息子が言うもんだから…」 丸山が「野菜を食べるドラゴン?」と首をかしげると、森下は「肉食じゃないんですかね? ちょっと可愛い…」と妙な感想を漏らす。
■ 隠された洞窟?
さらに浜崎は、「うちの裏山に昔から古い洞窟があるけど、最近そこから“ゴウゴウ”という音が聞こえる」と話す。 斎藤は「洞窟…もしかしてそこが巣?」と興味津々。山崎たちは調査をするべく、浜崎宅を訪問することにした。
第五章:洞窟に響くドラゴンのうなり声
■ 緊急調査
またまた夜。山崎事務所のメンバーと堀江、そして浜崎親子が洞窟に向かう。入口にはバリケード状の柵があったが、どうやら最近破られたらしく、何者かが入った形跡がある。「怖いなあ…。火吐かれたらひとたまりもないですよ…」と丸山はマジで震えている。斎藤も「これ、私たちが行って大丈夫なんでしょうか…?」と不安げだ。 しかし山崎は不思議な落ち着きを保ち、「まずは実態を確かめましょう。声がするだけで、まだ実在を確証できたわけじゃありませんからね」と懐中電灯をかざす。
■ いた…! しかし予想外の姿?
洞窟の奥へ進むと、確かに“ゴウゴウ”という低い唸り声が聞こえる。火の気配も感じられ、空気が微妙に熱い。 一行が息を殺して覗き込むと、そこに横たわっていたのは――まさに“ドラゴン”と呼ぶにふさわしい巨大生物。その体表は鱗で覆われ、長い尻尾をゆっくりと動かしている。 ところが、よく見るとどこか弱々しく、胸部あたりに大きな傷を負っているようだ。呼吸も苦しそうで、唸り声は痛みに耐える声に近い。「これ…怪我してるんだ…」と森下が唇を噛む。斎藤も「思ったより凶暴じゃなさそう…」と同情的な目を向ける。
第六章:ドラゴン救出作戦? 山崎事務所の決断
■ 捕獲か保護か、ゆれる判断
このまま放っておけば、ドラゴンは衰弱し、あるいは暴れるかもしれない。消防や警察に連絡して“大捕り物”にする案もあるが、下手をすると命を落としかねない。 斎藤は「怪我を治してあげたいけど、病院なんか連れて行けるの?」と頭を抱える。 丸山は「どんな獣医さんに頼めばいいんですかね…。そもそも“診る”ってどうやるんだ…」と現実問題を直視する。
■ 山崎が提示する“法務ロワイヤル”的アプローチ
すると、山崎がいつもの冷静沈着なトーンで言う。「一度、“保護”の形をとるしかないでしょう。生きものを保護する場合、野生生物なら自治体の許可や自然保護法の問題がありますが、ドラゴンは未分類。いっそ“仮に希少動物扱い”として、自治体の救護施設へ搬送できないか協議するのが筋だと思います」 堀江が目を丸くする。「未分類のドラゴンを…希少動物扱い? そんな前例があるんでしょうか?」 山崎は苦笑混じりに言葉を続ける。「ないですが、前例がないなら作るしかありません。僕たち行政書士は前例がない案件ほど燃えるんですよ」
第七章:クライマックス、ドラゴンとの“共同生活”開始?
■ まさかの一時収容先
とはいえ、傷を負ったドラゴンをいきなり自治体の施設へ運ぶのは難しい。設備が整っていないうえ、住民への説明も大混乱必至。 そこへ手を挙げたのが、かつて“深海ダイナー”を開業した漁師の網代功や、“幽霊物件”のオーナー吉本、さらにはNPOの遠藤柚香たち。「前にも妙な案件で世話になったからな。今度は俺たちが協力する番だ!」「大きめの倉庫が空いてるんで、一時的にそこをドラゴンの寝床にしませんか?」 人脈の広い山崎事務所の“盟友”たちがまたしても立ち上がり、ドラゴンの保護をサポートすることに。
■ 運搬とケア
警察や消防、自治体の立ち合いのもと、ドラゴンはなんとか大型トラックに載せられ、倉庫へ移送される。実際に見ると、体長はトラックの荷台をギリギリ埋めるほど。一歩間違えば火炎を噴くかもしれないが、怪我の痛みで大人しい。 森下はドラゴンの目を見つめながら、「怖いけど…この子、きっと優しい目をしてる気がするんです」とぽつり。斎藤もうなずき、「私もそんな気が…。早く元気になってほしいですね」と祈るように言う。
第八章:その後――ドラゴンの行方、そして“ライセンス”問題
■ 保護後の法整備
こうして一時保護がなされたドラゴン。幸いにも地元大学の獣医や研究者が協力を申し出て、応急治療と鱗の検査を行うことになった。 だが問題は山積み。“飼育許可”をどう扱うのか、燃料費(?)なのか食費なのか、ドラゴンを維持するコストは誰が負担するのか――議論は連日紛糾する。 丸山が「ここまで来ると“ドラゴンライセンス法”でも作らないとダメですね…」と冗談半分にこぼすと、山崎は真顔で「大真面目に検討すべきかもしれませんね」と答える。
■ 町おこしに一役買う?
一方、地域振興課の堀江は「ドラゴン騒動で観光客が増えています。安全面が確保できれば、いっそ“ドラゴンをシンボル”にしちゃったらどうです?」と持ちかける。 もちろんリスクとのバランスは要検討だが、ドラゴンが暴れないように治療して元気になったら、意外にも地元のマスコット的存在になるかもしれない。
■ 安息の日々は来るのか
倉庫で療養を続けるドラゴンは、怪我が少しずつ回復し、時々小さな火を吹く程度には元気を取り戻している様子。 スタッフたちがこっそり近づくと、ドラゴンは静かにまぶたを開き、優しげに瞬きをする。その姿に、森下も斎藤も思わず微笑む。 丸山は「まあ、当面は“法的グレーゾーン”だけど、何とか穏便に共存できる方法を探しましょう」と苦笑い。 山崎は「前例がないことに挑むのが、うちの事務所の流儀ですからね。ドラゴンとの暮らし方を、丁寧に一つずつ模索していきましょう」といつもの柔らかな口調で締めくくる。
エピローグ:次なる奇跡へ――
こうして、“ドラゴンが実在する”という衝撃の事実は、草薙の坂の下を起点に少しずつ世間に広まろうとしている。まだまだ混乱は続くだろうし、法制度の整備もままならない。 だが、山崎行政書士事務所には今までの“超常”案件を乗り越えてきた実績と、仲間たちの応援がある。きっと新たな“法務ロワイヤル”が始まるに違いない。 深夜、事務所の灯りが消える頃、遠く倉庫の方からかすかにドラゴンの“ゴウゴウ”という寝息が聞こえてくるような気がした――。
(さらに続く…かもしれない)





コメント