『法務ロワイヤル外伝９ ～ドラゴンの巣と草薙の坂の下で～』―山崎行政書士事務所、“ドラゴンファミリー”誕生の危機！？ 新たなる法務ドラマ編―

プロローグ：穏やかに見えた日常、しかし…

　静岡市清水区、草薙の坂の下にある山崎行政書士事務所。　ここでは先日、「ドラゴンが実在する」という衝撃の出来事が起こり、その傷ついたドラゴンを一時保護するという前代未聞の騒動が繰り広げられた。　幸いにも、地元有志や研究者の協力でドラゴンは徐々に回復し、倉庫に“仮住まい”するかたちで落ち着いている。

　所長の山崎哲央は、いつものほわっとした笑顔でスタッフを見渡しながら、「ドラゴン関係の書類も、だいぶ整理できたね」と声をかける。　斎藤夏海は「ええ、もう二度とこんな“飼育管理計画”は作りたくないですけど…とりあえず形にはなりました」と苦笑。　丸山修はプリンターを眺めつつ、「まあ、紙詰まりよりは火炎放射で書類が燃やされる方が怖いな…」と冗談めかす。　森下舞は「ドラゴンさん、すっかり落ち着きましたよね。暴れないし、おとなしいし。意外と優しい生き物なのかな」とほっとした表情。

　そんな平和が訪れたと思いきや――またもや、とんでもない事態が発覚しようとしていた。

第一章：衝撃の一報「ドラゴンが卵を産んだ！？」

■ 倉庫管理スタッフからの通報

　ある朝、事務所に一本の電話が入る。保護ドラゴンを預かっている倉庫を管理する吉本（幽霊物件オーナーで何かと世話好きな男）が、興奮気味に言うのだ。「や、山崎先生！　大変です！　ドラゴンが卵を産んだみたいなんですけど…これ、どうしたら…！？」　電話を受けた斎藤は思わず声を荒げる。「えっ、卵！？　ていうか、ドラゴンってメスだったんですか？」　吉本いわく、倉庫の片隅に大きな卵らしき物体が転がっており、ドラゴンがそれを守るように寄り添っているという。しかも、ドラゴンはそこそこ元気になったのか、時々小さく火を吹いて威嚇しているとか。「これ以上近づくとヤバいですよ！　どうにか対策を…」

■ 新たな法務問題の予感

　山崎は電話を受け終えた斎藤の話を聞き、「なるほど…卵が孵化すれば、ドラゴンがもう一体増える可能性があるわけですね」とさらり。　森下は「ええーっ！　倉庫、パンクしちゃいますよ！　それ以前に、ドラゴンの“繁殖”って法律的にどう扱うんですか？」と慌てる。　丸山はこめかみを押さえつつ、「深海人とか妖精とかよりスケールが大きい…。“ドラゴン家族”は予想外すぎる…」と呟く。

第二章：ドラゴンの卵をめぐる騒動

■ “ドラゴン飼育ライセンス”の空白

　もともと、負傷したドラゴンの救護は“特定希少動物の仮保護”という枠で急ごしらえの許認可を取得していた。　だが、繁殖となると話は別。自治体の担当・堀江も頭を抱える。「ドラゴンが卵を産むなんて、こっちは想定外ですよ…。そもそもオスがいないのに、単為生殖とかするんですかね？」　山崎はメモを取りながら苦笑。「生態を解明しない限り、何が起きても不思議じゃないですね…。とりあえず法的なガイドラインを作らなきゃ。赤ちゃんドラゴンが生まれたら、飼育スペースはどうするのか、火炎の安全管理は…」

■ メディアと観光客の殺到

　「ドラゴンが卵を産んだ！？」というニュースがSNSに駆け巡り、マスコミや観光客が倉庫周辺に大挙押し寄せる事態に。ドラゴンファンクラブと称する連中もやってきて、「孵化の瞬間を絶対見たい！」と盛り上がる。　一方、「危険だから廃棄すべき」という強硬な意見もネット上に出始め、対立が激化。倉庫周りは警察が警戒に当たる騒ぎになってしまう。

第三章：保護か排除か？ 苦悩する地元住民

■ 農家や商店街への影響

　すでに親ドラゴンが野菜を食い荒らした被害などもあったため、周辺農家は「もう１匹増えたらどうなるんだ！」と心配。商店街は「ドラゴン観光で町を活性化させたい！」と期待しつつも、危険とのバランスを測りかねている。　丸山は「要するに、みんなが求める方向がバラバラなんですね。保護派、排除派、商売活用派…」と匙を投げる。　森下は「なんとか、落とし所を見つけないと…。法務どころか“政治力”が必要かも」と頭を抱える。

■ ドラゴンママの“母性”

　一方、卵の側にいるドラゴンの姿は明らかに母性に溢れているように見える。牙をむいたり火を吹いたりするのは、すべて卵を守るための行動。斎藤は「こんなに大きくて怖い生き物だけど、母親なんだなあ…」と感慨を漏らす。　山崎は静かにドラゴンを見つめ、「人間の都合で命の誕生を邪魔するわけにはいきませんよね…。何とか安全と両立できる方法を探しましょう」と決意を固める。

第四章：山崎事務所が描く“ドラゴンの子育て計画”

■ 法的枠組みの模索

　まずは自治体と協議し、**「ドラゴン飼育・繁殖管理計画（仮称）」**を策定することに。　- 倉庫を拡張し、卵の保護区画を作る　- 卵が孵化した場合の専用飼育スペースを確保　- 火炎放射などの危険行為への対策　- 一般公開は当面控える（過剰な観光客を避ける）　- 食糧や医療ケアの手段を確保する　- 予算の出どころは？（市や県、寄付など）

　丸山がエクセルで費用試算をして、「結構な金額になりますよ…」と嘆くが、森下は「クラウドファンディングを活用できませんか？　ドラゴンファンから支援を募るとか」とアイデアを出す。　斎藤は「新規事業みたいですね…。こんな行政書士業務、全国探しても私たちだけかも」と半ば呆れながら書類作りに取りかかる。

■ 地元有志との連携

　以前からの“妖精事件”や“深海人騒動”で世話になったメンバー（漁師の網代やNPO代表の遠藤、幽霊物件オーナーの吉本など）も総出で協力を表明。「面白そうじゃないか、ドラゴンの子育てなんて！　応援するよ！」「深海ダイナーの端っこにドラゴン用コーナー作れないかな？」　…など、妙にワクワクしている人も多い。山崎事務所は「騒ぎを起こさないでくださいね…」と苦笑するしかない。

第五章：緊迫する現場、卵の孵化が始まる？

■ 卵が動いた…！

　計画立案が進む中、倉庫の管理人・吉本から再び電話が入る。「やばいですよ、卵がピクピク動き始めてます！　ヒビも入ってきてるんです！」　斎藤たちが急いで駆けつけると、ドラゴンママは卵を囲んで神経質に唸り声を上げ、時々火の粉を散らしている。　森下は「もう孵化しちゃうの…？　まだ準備できてないのに！」とあたふた。丸山は「落ち着いて！　とりあえず産声が上がっても大丈夫なように、何か布かクッション的なものを…？」　「いや、そんな人間の赤ちゃんじゃないんだから！」と斎藤にツッコまれながらも、とにかく皆で卵の周囲を整理し、安全を確保しようと奔走する。

■ 急増するマスコミと野次馬

　外では「孵化の瞬間を見たい！」というメディアやファンが倉庫の外に殺到。警備に当たる自治体職員やボランティアが必死に制止している。　倉庫の中は緊張感MAX。「ここで赤ちゃんドラゴンが暴れたらどうなる…？」という不安もよぎり、全員が息を呑んで見守る。

第六章：誕生の瞬間、そして意外な姿

■ パキ…ピシ…と割れる殻

　ついに卵の殻が大きくひび割れ、“キィィン…”という鋭い音とともに小さな頭部がのぞく。薄い鱗に覆われた子ドラゴンは、親の姿を探すようにキョロキョロ。　ドラゴンママは大きく火炎を噴くかと思いきや、小さく温かな息を吐きかけるだけ。むしろ保温しているようにも見える。　斎藤は思わず「うわぁ…可愛い」と声を漏らし、森下も「思ったより小さいし、目がくりっとしてる…」と瞳を輝かせる。　丸山は「親ドラゴンと比べると、こんなにもサイズが違うんだ…」と驚嘆。

■ 穏やかな誕生、しかし問題は山積み

　こうして“ドラゴンベビー”が誕生した瞬間、倉庫内に居合わせた誰もが涙ぐむか、呆然とするか。　一方で、山崎は静かにノートを開き、「まずはこの子に対しても、保護動物としての登録が必要だな。それから出生届…いや“孵化届”か？　いずれにせよ自治体との協議が急務だ」と冷静に事務的課題を整理する。　斎藤は「所長、こんな感動的な場面なのに、すぐ書類の話ですか…」と半笑いになりつつ、「でもまぁ、それが私たちの仕事ですよね」と納得。

第七章：新たな一歩、ドラゴンファミリーと共存へ

■ “ドラゴン親子”のための特別許可

　孵化直後から地元役所と連携し、山崎事務所は“ドラゴン親子”を守るための法的地位を確立するべく奔走する。　- 倉庫の安全管理を強化する- 飼育・保護体制を専門家と整備する- 観光目的の過剰アプローチを防ぐ条例を策定する　さらには、クラウドファンディングも好調で、資金面は徐々に解決へ向かう。

■ 町を巻き込んだドラゴン祭り（？）

　子ドラゴンが安定して育った暁には、地元の新たなシンボルとして“ドラゴンフェス”を企画する構想も浮上。動物園やテーマパーク的な利用も検討されるが、山崎はあくまで「ドラゴンの意思を尊重する」姿勢を崩さない。　「この子たちは、ただ人間に見世物にされるためだけにいるわけじゃない。まずは共存できる仕組みを作ることが先決です」と柔らかく微笑む。

エピローグ：終わらない冒険、そして希望

　こうして草薙の坂の下では、“ドラゴンの卵”から生まれた新たな命が、地域を再びざわめかせている。　大騒ぎの中でも、山崎行政書士事務所は変わらず淡々と書類を整理し、人々の想いに寄り添いながら法務の力でサポートを続ける。　ドラゴン親子がこれからどう成長し、町とどんな形で関わっていくのか――その未来は未知数だ。　だが、幽霊、宇宙人、深海人、江戸時代からの来訪者、妖精、そしてドラゴン…いかなる存在であっても、“笑いと優しさ、そして法による秩序”で支えてきた事務所ならば、きっと最良の道を見つけてくれるに違いない。

（まだまだ続く…かもしれない）