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タイムスリップ夫の逆襲!?〜坂口あやめの悲喜こもごも24:未来ホワイトデーのお返しは激甘大騒動!?〜

  • 山崎行政書士事務所
  • 1月26日
  • 読了時間: 7分



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1.バレンタイン騒動の次は…ホワイトデーが待っている!

 老舗出版社「米星社」の文芸編集者・坂口あやめ。 未来から次々と押し寄せる中年トレンチコート夫(未来版・楓井裕作)やスパンコールコート姑、筋肉配達員兼・時空警察カリブなどに振り回されながらも、ついに雛祭りのドタバタもどうにか収束。 「ああ、今度こそ穏やかに春を迎えたい…」と切望していた矢先、今度は夫・裕作がうろたえ顔で言う。

「ねえ、あやめ。バレンタインのお返し、どうしよう? 娘が“ママにホワイトデーのお菓子あげたい!”って盛り上がってるんだけど、僕は僕で何を準備したらいいか…」

 娘も「ホワイトデーって、バレンタインみたいにチョコ作るの? それともクッキー? よくわかんない〜!」とテンション高め。 あやめは「まあ、お返しはクッキーとかでいいんじゃない? 普通にお菓子作りすれば充分…」と微笑ましく思いつつ、**(でも、この時期にまた未来人が割り込んでくる可能性あるよね…)**と胸がチクチク。

2.カリブの不吉な連絡「未来ホワイトデー同盟? 今度は何…」

 もちろん嫌な予感は的中する。 数日後、筋肉警察・カリブから半ば呆れた声で電話が来る。 「どうも、あやめさん。まったく次から次へと…今度は‘未来ホワイトデー同盟’って団体が過去に来てるらしいですよ。“お返し文化を抜本改革する!”とか言って、やたら高価なスイーツを押し売りしてるとか…。 しかも‘過去の人はお返しがショボい!’みたいな発言してるって情報もあって…正直、またトラブルの予感しかしませんね」

 「はぁ…やっぱり来たか…」 とあやめはため息をつく。バレンタインでも散々だったのに、今度はホワイトデー版の連中が来るとは。「もう子どもたちのクッキー作りに水を差さないでほしい…」と切に願うのだが。

3.娘のクッキー作りスタート! でも“超豪華ギフト”が宅配で届く!?

 さて、あやめの娘は「ママへのお返し!」と張り切って、小麦粉や砂糖をこねてクッキーを作る準備。あやめも「ありがと〜、楽しみ!」と微笑ましくサポートしている。 そこへピンポーンと玄関チャイム。出てみると、いつもの宅配員ではなく、真っ白なスーツに身を包んだ男女が大きな箱を抱えて立っている。 箱には**「Future White Day Alliance」**のロゴがドーンと印刷されていて、嫌な予感炸裂。 「突然失礼します! こちらに‘ホワイトデーのお返しがショボい’と悩むご家庭があると聞きまして、“超豪華ギフトセット”をお届けに上がりました!」と勝手に語り始める。 あやめは「悩んでないですけど…そもそも頼んでないですよ!」と即座に突っぱねるが、彼らはニッコリ笑って「無料サンプルですのでぜひお受け取りを!」と強引だ。

4.勝手にリビングで“未来スイーツ”の実演販売が始まる

 あやめが「困ります! 帰って!」と拒否しているのをガン無視し、Future White Day Allianceのメンバーは靴を脱ぎもせずリビングへズカズカ入ってきて、箱を開封。 中にはキラキラの金色パッケージに入った謎のハート型スイーツや、LEDが光るプレゼントボックス、さらには怪しげな機械までどっさり。「わあ、派手…」と娘が思わず見とれると、メンバーたちは嬉々として説明を始める。

「これが‘超ハイパー・ハートケーキ’。一瞬でフワフワに膨らむ未来レシピで、なんとチョコ風味が12種類も変化するんです!こっちは‘思い出ボイス入りギフトボックス’。蓋を開けると、自動で愛のメッセージを読み上げるんですよ!」

 「いらないって…!」 あやめの内心絶叫がリビングにこだまする。

5.娘「私、クッキー作りたいだけなのに」…しかしスイーツが誘惑

 娘はこの奇妙なグッズに半分ワクワク、半分怖がり。「でも、わたしママへのクッキー作ってる途中だよ…」と戸惑いを口にする。 すると連盟メンバーは「クッキー? そんな地味なものじゃ、相手への愛は伝わりませんよ! 僕たちの最先端スイーツを使えば、もっとド派手に、豪華に、未来風に感謝を示せるんです! ほら、子どもなら尚更、光るケーキが楽しいですよ?」と上から目線で説得。 娘は「えっ…どうしよう…確かに光るケーキはすごそうだけど…」と一瞬グラつく。 あやめは(待って、これは絶対ロクなことにならない…)と直感。「いいのよ、普通のクッキーで充分。ママはそれが一番嬉しいから!」と娘に声をかける。

6.対立激化「過去の手作りなんて時代遅れ!」と強行

 しかし、連盟メンバーのリーダー格がヒートアップ。「子どものお返しにそんな古臭いクッキーじゃ申し訳ないですよ! さあ、このスイーツマシンを使いましょう! ちょっと蒸気が出るだけで、ふわふわケーキが量産可能!」 勝手に機械のスイッチを入れ、「ピュイーン…」 という音が立ち上がる。あやめは「やめて! 家の中でそんな装置動かさないで!」と絶叫。 すると案の定、機械がブォン…と唸り、上部からカラフルな生地の噴霧が噴き出す! それがキッチンやリビングをベタベタに染める事態に。 「ぎゃあ、なにこれ!? 色付きのケーキ生地!? 髪にも付いちゃう!」とあやめや娘が大混乱。一気に家が**“未来スイーツまみれ”**になりつつある。

7.そこにカリブ参上、しかしマシンが暴走で家が甘い霧に包まれる

 このタイミングで助け人カリブがちょうど玄関に到着。「あれ? 何だこの甘い匂いは…?」と怪しんでリビングに入った瞬間、パッ! と霧状の生地が顔に噴き付いて**「ぐあっ…」とバランスを崩す。 連盟メンバーが焦って「え、なんでこんなに出るの!? 温度管理がおかしい?」「やばい、止まらない!」とパネルを連打するも、機械は「フワモコケーキモード…暴走…」**とエラー表示を連発し、さらに色とりどりの生地を噴出し続ける。 あやめの娘は泣きそう。「もうやめてぇえ! わたしのクッキーが台無し!」 あやめは激怒しつつ「機械を止めて!」と叫ぶが、連盟リーダーは「止められない…! ボタンが効かないんだ!」とパニック。

8.娘の一言「手作りがいいんだよ!」でマシン停止?

 甘い霧が充満し、部屋中がカラフルで粘っこい生地だらけになりかけた瞬間、あやめの娘が思い切り**「わたし、ママに手作りクッキーあげたいの! 光るケーキとかいらない!」と声を張り上げた。 「ママへの気持ちは、ちゃんと自分で作るから伝わるんだもん!」 その瞬間、機械のスピーカー部がビビビ…と反応し、「コ…ドモ…ノヨウキュウ… オウ…ヨ…ウ」みたいに断続的な音を発して、「システム停止…」**のメッセージが表示。 連盟メンバーが「え、なぜ止まった?」と驚く。どうやら子どもの声がマシンの緊急停止キーワードとして登録されていたらしい(万が一のトラブル用に“子ども優先モード”が仕込んであったとか)。

 「やった…止まった!」とあやめが胸を撫で下ろすと同時に、連盟リーダーは脱力。「まさか“子どもの手作り”がこんなに強い意志を持つなんて…僕たち、分かってなかった…」とポツリ。

9.連盟が謝罪し撤収、「お返し」は気持ちが大事

 こうして未来ホワイトデー同盟の強引なハイテクスイーツ披露は失敗に終わり、彼らはシュンとしながら機械を分解して引き上げる。 「すみませんでした…お返し文化をもっと派手にしたいと思っただけで…まさかこうなるとは…」 あやめはため息をつきながら言う。「ホワイトデーは、豪華なものを贈ればいいわけじゃないの。気持ちをこめて作るとか、何か手間をかけることに意味があるんですよ。子どもが楽しみにしてたクッキーづくり、壊すなんて最悪」 連盟リーダーは神妙に頷き、「…確かに。未来ではお金と派手さばかりが重視されがちで。今回、過去の子どもに言われて気づけました」としょんぼり帰っていった。

エピローグ:やっぱり手作りクッキーが最高の「お返し」

 後始末でリビングを掃除するのは大変だったが、何とかこびり付いた生地を拭き取り終えて落ち着いた頃、娘が改めて「ママ、ごめんね、クッキー最初から作り直すね!」と笑顔で言う。 あやめは「もちろん! ママ楽しみに待ってる〜!」と優しく抱きしめる。カリブはこっそり退場しながら、「また一件落着っすね…もう毎回これですよ。次は卒園シーズンかな…はぁ」と疲れた様子で帰っていく。 その夜、娘が作った素朴で小さなクッキーを味見したあやめは、本当に胸がいっぱいになる。「ありがとう、めちゃくちゃ美味しいよ!」と全力で抱きしめると、娘も「えへへ!」と満面の笑み。 やっぱり手作りが最高。 豪華な未来スイーツなんか足元にも及ばない「親子の愛情」がそこにある——そう確信するあやめであった。

(了)

 
 
 

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