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契約書を読む順番を間違える人が多すぎる

(山崎行政書士事務所・生活法務サポート室/署名前チェックの現場から)

こんにちは。山崎行政書士事務所・生活法務サポート室です。今日は、契約書トラブルの入口になりがちな“あるある”を言います。

契約書、読む順番を間違える人が多すぎます。

契約書って、ちゃんと読む人ほど真面目に「上から順に」読みます。そして、真面目な人ほどこうなります。

  • 1ページ目:頑張って読む

  • 2ページ目:薄目になる

  • 3ページ目:魂が抜ける

  • 最終ページ:署名欄だけ元気

結果、いちばん大事なところ(将来の地雷)が未読のままハンコが押される。これはもう、契約書あるあるというより 日本の風物詩 です。

※先に業務範囲の注記です。当室(行政書士)は、契約書・合意書等の文書作成、内容確認(チェック)、条文の整理、リスクの見える化など、書類面のサポートを行います。紛争化した案件での代理交渉や裁判手続の代理は行いません。状況により弁護士等の専門家相談が適切な場合は、その旨ご案内します。

そもそも「上から読む」が危ない理由

契約書って、物語じゃないんです。登場人物の成長もないし、伏線回収も親切じゃない。

契約書は“未来のトラブル”の取扱説明書です。だから読む順番は 「今」ではなく「将来」起きるイベント順が正解。

上から読むと何が起きるかというと、だいたいこうです。

  • 用語定義で疲れる

  • 目的条項で「うんうん」ってなる

  • 総則で眠くなる

  • 大事な「解除」「責任」「損害賠償」「知財」まで辿り着く前にHPが尽きる

そして最後、署名欄だけ読んで押す。契約書が一番喜ぶ読み方です(あなたの味方ではない)。

よくある「間違った読み順」ランキング

(耳が痛い人ほど当てはまります)

第1位:金額だけ読む

「いくら?いつ入金?」だけ見て安心するタイプ。

でも将来こうなります。

「支払は検収後」「検収の期限は書いてない」「検収が終わらない」「お金が来ない」

金額だけ読むのは、映画を「エンドロール」だけ見て内容を理解した気になるのと同じです。

第2位:最初の2ページだけ読む(そして“読んだ気”になる)

序盤で「ちゃんとしてそう」と思った瞬間に心が閉じます。

契約書は、後ろに行くほど牙をむくことがあります。(特に「解除」「責任」「知財」「秘密保持」あたり)

第3位:署名欄から読む

これは最短ルートで契約できるので、相手は助かります。あなたの未来は助かりません。

第4位:相手の「いつもの雛形だから」で読むのをやめる

危険ワード:

「みんなサインしてます」

はい、出ました。“みんな”って誰ですか。世界人口ですか。契約書の普通は、立場で変わります。

正しい読み順:契約書は「事故対応マニュアル」として読む

では、どう読むといいか。おすすめはこの順番です。

0)まず「全体構造」を一瞬で掴む(目次チェック)

いきなり本文に飛び込む前に、目次や見出しをざっと見ます。目的:地雷がどこに埋まってるか地図を作る。

1)当事者と対象を確認する(まず“誰と何の話か”)

ここを間違えると、全部ズレます。

  • 当事者名(会社名・住所・代表者・屋号)

  • 契約の対象(商品/業務/サービスの範囲)

たまにあります。「A社と結ぶはずが、B社名義」みたいなやつ。契約書界の“名前違い”は、地味に怖い。

2)次に「お金」より先に“範囲”を見る(何をやる契約?)

先に金額を見たくなる気持ちは分かります。でも金額の前に、ここ。

  • 何が含まれる?

  • 何が含まれない?

  • 成果物・業務範囲・仕様はどこで確定する?

  • 変更が起きたらどうする?

ここが曖昧だと、将来こうなります。

相手「それも込みでしょ?」あなた「え、別料金…」相手「書いてないよね?」

はい、書いてない地獄です。

3)その次に「お金」(ただし“支払条件の罠”まで見る)

見るべきは金額だけじゃありません。

  • 支払時期・支払期限

  • 請求タイミング

  • 検収(確認)と支払いの関係

  • 追加費用が発生する条件

  • 返金や減額の条件(必要なら)

金額は派手。条件は地味。でも揉めるのはだいたい条件です。

4)期間と「出口」を見る(いつまで続く?どうやって終わる?)

契約は、始めるより やめる方が難しい

  • 契約期間

  • 自動更新の有無

  • 解約・解除の条件

  • 何日前までに、どの方法で通知するか

  • 途中解約の精算(どこまで有償?)

出口が書いてない契約は、将来“別れ話が泥沼”になります。恋愛と同じです(契約書はロマンなし)。

5)納期・検収・変更手順(現場を止めない三点セット)

ここが薄い契約は、現場で止まります。

  • 納期(いつまでに何を)

  • 検収基準(何をもって完了?)

  • 検収期限(いつまでに確認?)

  • 変更が出たときの手順(見積・承認・期限再設定)

この辺が整ってる契約は、揉めにくい。整ってない契約は、将来のあなたが胃薬と仲良くなります。

6)リスク:責任・損害賠償・免責(ここが一番“将来”)

契約書で一番怖いのは、ここを読まずにサインすること。

  • どんな場合に責任を負う?

  • 損害賠償の範囲は?(間接損害とか)

  • 上限はある?ない?

  • 免責は片側だけ厚くない?

  • 違約金が重すぎない?

不利でも合法、は普通に存在します。だから「違法だから大丈夫でしょ」は危ない。あなたが耐えられる内容か、が重要です。

7)成果物・知的財産(将来の“使えない”事故を防ぐ)

ここも後ろの方に置かれがちで、未読になりやすい。

  • 成果物の権利は誰に帰属?

  • 再利用できる?できない?

  • 既存ノウハウや素材の扱いは?

「作ったのに使えない」は、地味にメンタルに来ます。

8)秘密保持・個人情報・再委託(地味だけど生活に刺さる)

  • 秘密情報の範囲が広すぎない?

  • 期間が長すぎない?

  • 例外がない?(公知情報など)

  • 再委託の可否

  • データの返却・削除

広すぎる秘密保持は、未来のあなたを黙らせます。「実績言えない」「ポートフォリオ載せられない」問題、普通に起きます。

9)通知方法・管轄・準拠法(揉めた時に効く“最後の栓”)

揉める前はどうでもよく見えるけど、揉めたら急に重要。

  • 連絡はメールでOK?書面のみ?

  • 住所変更の通知義務

  • どこの裁判所が、みたいな条項(ある場合)

ここは「揉めない前提」だと読み飛ばしがち。でも契約書は揉めた日に開くものです。

3分でできる「読み順ミス防止」ミニチェック

署名前に、最低これだけ。

  • □ 何をする契約か(範囲)が書いてある

  • □ お金:金額だけでなく、支払条件・検収が整っている

  • □ 期間・自動更新・解約方法が明確

  • □ 変更が出たときの手順がある

  • □ 責任の範囲・上限が把握できる

  • □ 成果物の権利がどうなるか分かる

  • □ 秘密保持が生活を縛りすぎない

生活法務サポート室としての結論

契約書は、読む順番で結果が変わります。

上から読むと疲れて重要条文まで辿り着けない。だから、未来に揉める順で読む。

  • 範囲 → お金 → 出口 → 現場手順 → リスク → 権利 → 秘密 → 最後の栓

この順で読めば、短時間でも危険箇所が見えやすくなります。

当室では行政書士として、署名前の段階で

  • 契約書の内容確認(チェック)

  • 足りない点・曖昧な点の洗い出し

  • 条文の整理、修正案の文案作成(当事者が使用するため)など、書類面の安全点検を行えます。※交渉の代理は行いません。

まとめ:契約書は“読解力”より“読む順番”

契約書でコケる人の多くは、頭が悪いんじゃなくて、順番が悪いだけです。

読む順番を変えるだけで、「読んだのに見落とした」が減ります。

そして最後に、いちばん大事な一言。

契約書は、困った日にあなたを助けるために読む。困ってない日に読むのが、いちばん安い保険です。

「この契約書、どこから読むべき?」「急いでるけど、地雷だけ拾いたい」そんなときは、署名前の段階でご相談ください。

 
 
 

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