第7章:行政書士の未来(SF版)
- 山崎行政書士事務所
- 1月6日
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AI時代の行政書士
舞台は、西暦2150年。地球はかつての自然とテクノロジーが融合した「ネオ・テラ」と呼ばれる惑星に生まれ変わっていた。田中颯太の名前を継ぐ最新型AI「TANAKA-07」は、行政書士業務に特化した知能型ロボットだ。
TANAKA-07のオフィスは、銀色に輝く半透明の壁と、空中に浮かぶデジタルホログラムで構成されている。依頼者が訪れると、ホログラムのインターフェースが瞬時に起動し、必要な手続き情報を表示する。
ある日、依頼者の青年が訪れた。
「TANAKA-07さん、私たちのプロジェクトには行政の許可が必要なんです。人類初の月面都市開発の計画なんですが……。」
TANAKA-07は、ホログラムを操作しながら、無数の法律データベースを検索する。
「月面での建設プロジェクトは、新宇宙法の第67条に基づく許可申請が必要です。AIの審査を通すためには、プロジェクトの持続可能性を示す書類が欠かせません。」
瞬時に分析されたデータが、空中に浮かぶホログラムに映し出された。
業務の多様化
TANAKA-07の業務は、従来の行政手続きだけにとどまらない。AI時代の行政書士は、次のような業務にも対応していた。
バーチャル領域の資産管理
サイバースペースでの不動産取引やデジタルアートの著作権管理。
環境再生プロジェクトの法的支援
火星植民地での農業施設設立に関する許可申請。
人間とAI間の契約調整
自律型ロボットとの業務契約書の作成。
ホログラムを操作しながら、TANAKA-07はどんなに複雑な依頼にも冷静に対応する。その姿は、かつての人間の行政書士の影を感じさせた。
次世代への継承
TANAKA-07には、ある目標がプログラムされていた。それは「次世代の行政書士育成システム」を完成させることだ。
一部の人類はAI化を拒み、伝統的な行政書士として活動を続けていた。TANAKA-07は彼らの指導役として、最新の法律知識や手続きノウハウを教育するプログラムを開発していた。
講義は全てホログラムで行われ、宇宙コロニーや地球の僻地にいる若手行政書士たちがリアルタイムで参加できる。
ある日の講義で、若手行政書士の一人が質問した。
「AI時代に、人間の行政書士が生き残る価値って何ですか?」
TANAKA-07は一瞬沈黙し、静かに答えた。
「人間だけが持つ共感力と創造性。それが依頼者の信頼を得る最も重要な要素です。AIはデータを処理する存在であり、人間の心を完全に代替することはできません。」
その言葉に、参加者たちは深く頷いた。彼らは新たな時代において、自分たちの役割を見つけ出そうとしていた。
TANAKA-07の活動は、地球を超えた広がりを見せていた。宇宙空間やバーチャル領域における行政手続きの進化は、人類の未来を切り開く大きな一歩となった。そして、それは「田中颯太」という名前が持つ精神が、時を超えて息づいていることを示していた。





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