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「静岡駅前・エレガンスストア物語」――今日も高級デパート「エレガンスストア」では、個性豊かなスタッフたちの笑いとちょっとした感動が巻き起こっている。――第2話「クレーム対応で友情深まる」

  • 山崎行政書士事務所
  • 1月20日
  • 読了時間: 5分



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シーン1:午前の店内

朝一番、店内はまだ落ち着いた雰囲気。エレガントなディスプレイが並ぶフロアで、しっかり者の杉山さんはいつものように積極的に声かけをしていた。

杉山さん:「いらっしゃいませ! 本日はどのような商品をお探しでしょうか? ちょうど新作が入荷しまして……」

少し離れたカウンターでは清水さんが在庫の確認をしながら、その光景を横目で見守っている。

清水さん:(心の声)「杉山さん、また熱くなってるわね……でも今月は売上目標が高いし、頑張ってもらわないと。」

そこへ入ってきたのは20代くらいの女性客。オシャレなワンピースにハイヒールを合わせ、どうやらおしゃれに敏感そうな雰囲気だ。

杉山さん:「いらっしゃいませ! もしよろしければ、こちらの新作バッグをご覧になりませんか? 今回は限定色も入っていて……」

女性客:「あ、かわいい。でも高そう……おいくらですか?」

杉山さん:「こちらは○○円となっております! 素材にこだわってまして、使い心地も抜群ですよ!」

女性客:「……○○円!? 思ったより高い……」

杉山さん:「(少し焦りながら)で、ですが長く使えるデザインですし、結局お得になるかと……!」

しかし女性客は眉間にシワを寄せて、そのままバッグを置いてしまう。

シーン2:クレーム勃発

しばらくして、店内をうろうろしていた女性客が再び杉山さんのもとへ戻ってくる。

女性客:「あの、先ほどのバッグなんですが……やっぱり他店の価格と全然違う気がするんですけど? 予想以上に高いですよね?」

杉山さん:「えっと……それはブランドの正規料金と品質を反映した価格でして……」

女性客:「予算オーバーだし、正直ちょっと説明不足じゃないですか? もっとしっかり教えてくれれば、こんなに迷わなかったのに……」

「予想以上に高かった」というクレームめいた言葉に、杉山さんは一気に動揺。

杉山さん:「申し訳ございません……! い、今からでも詳しくご説明いたしますので……!」

言葉が空回りしてしまいそうな杉山さんを見かねた清水さんが、すっと間に入る。

清水さん:「杉山さん、少し落ち着いて。お客様、このバッグの価格について詳しく知りたいとのことですね?」

女性客:「そうなんです。見た目は気に入ったんですけど、価格が高くて……」

清水さん:「なるほど。実はこのブランド、国内外でもトップクラスの素材を使っていまして、製造過程もすべて手作業。お値段以上の価値があると言われているんです。」

女性客:「へえ……でも、他の店とどこが違うのか、もう少しわかりやすく教えてほしいなあ……」

清水さん:「もちろんです。たとえばこちらの縫製部分、このステッチの細かさが長く使える理由なんです。ほつれにくいので、修理回数も少なく済みますよ。」

丁寧かつ冷静な説明に、女性客の表情が少し和らいでくる。杉山さんも、その横で必死にサポートの言葉を足していく。

杉山さん:「そ、そうなんです! さらに保証期間も長くて、修理サービスも充実してますし……! もし長く使いたいなら結果的にお得になるんです!」

女性客:「なるほど……それなら、もう少し検討したいですね。教えてくれてありがとうございます。」

シーン3:二人の連携プレー

女性客は一度リラックススペースに移動し、バッグを手に取ってじっくり見始める。清水さんはほっと一息つきながら、杉山さんに声をかける。

清水さん:「さっきは焦ってたけど、大丈夫? 説明不足って言われると落ち込むわよね……」

杉山さん:「本当に焦りました……。私、つい“買ってもらわなきゃ”っていう意識が先に立っちゃって。冷静さを失ってしまいました。」

清水さん:「わかる。でもこういうときは、“価格の理由”をちゃんと伝えて理解していただくのが大事なのよ。今回みたいに正しい情報を示すと、お客様も納得してくれるから。」

杉山さん:「そうですね……清水さん、ありがとうございます。助かりました!」

清水さん:「どういたしまして。私も売上を伸ばしたいから、できることは協力するよ。」

二人が笑顔を交わしたその時、女性客が戻ってくる。

女性客:「やっぱり買います! 話を聞いて納得できましたし、何よりこのデザインがとても気に入りました。」

杉山さん:「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」清水さん:「ご購入ありがとうございます。大切にお使いくださいね。」

シーン4:宮本店長の提案

レジで対応を終えた女性客は満足そうに帰って行った。そこへ宮本店長が現れ、いつもの柔らかな笑顔を浮かべている。

宮本店長:「いやあ、ちょっと見てたけど、二人とも上手く連携してたね。最初はどうなるかと思ったけど(笑)」

杉山さん:「す、すみません……。でも清水さんがフォローしてくれたおかげで、なんとか……!」

清水さん:「私たちもチームワーク良くなってきた気がします。今後もこういうケースが増えるかもしれませんし、説明方法を整理しておきたいですね。」

宮本店長:「まさにそこなんだよ。“想定より高い”って思われたとき、どう納得してもらうか――ここが売上を伸ばすポイントだ。二人とも、今回の対応をマニュアル化して次に活かそうね!」

杉山さん:「マニュアル……なるほど、他のスタッフにも共有できますね!」

清水さん:「書面化しておけば、三浦さんがポスターに話しかけたときも……いや、それはまた別の問題か(笑)」

エンディング

こうして、クレーム対応のピンチをきっかけに、杉山さんと清水さんの友情はさらに深まった。お互いの得意分野を活かしてフォローし合うことで、お客様に満足してもらえたのだ。

宮本店長は微笑みながら、“マニュアル作り”に意欲を燃やす。売上を伸ばすのは数字への執着だけではなく、スタッフ同士のチームワークも不可欠――そう実感させてくれた一日となった。

宮本店長:「二人とも、次はこれをマニュアルにしようね。売上を伸ばすポイントだ!」

(第2話 終)

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