「静岡駅前・エレガンスストア物語」――個性あふれるスタッフたちが日々奮闘する高級デパート「エレガンスストア」。今回は1月最終日の売上目標を巡って、チームが試されるエピソードが幕を開ける。――第8話「宮本店長の優しさに涙」

1月最終日、閉店まであと1時間。清水さんはレジ横で売上を集計しながら深刻そうな表情を浮かべる。

清水さん：「あと5万円……どうしても届かないわね。もう閉店間際だし、このままだと目標未達になりそう。」

杉山さん：「悔しいですね。午後から私も新作バッグを必死に紹介したんですけど、お客様の流れが今日は少なかったですし……。」

三浦さん：「私も、映画の役イメージ接客（笑）で何とか頑張ったんですけど、あまりお客様が来なくて……。」

スタッフ全員が最大限の努力をしたものの、どうしてもあと5万円が届かない。そこへ宮本店長が歩み寄る。あたりを見回しても、新しいお客様が入ってくる気配はない。

宮本店長：「うーん、これはギリギリ厳しいかな……。」

閉店を知らせるアナウンスが流れ、来客もほとんどいない店内。スタッフ達は「残念だけど、仕方ない」と空気を感じ始めていたその時、宮本店長がスッと顔を上げて宣言する。

宮本店長：「よし、私が買い物をしよう！」

三浦さん：「え……店長がですか？」

宮本店長：「そうだ。せっかくここまで頑張ってきたんだから、あと少しで目標達成ってところで諦めるのはもったいない。だったら私が自腹で買って、目標達成を後押ししよう。」

清水さんがすぐにツッコミを入れる。

清水さん：「え、でも店長、経費申請は不可ですよ。自分で買ったら赤字なんじゃ……？」

宮本店長：「わかってる。これはあくまでチームへのご褒美。君たちの頑張りに対する私の感謝の気持ちさ。」

杉山さん：「店長、そこまでしなくても……！でもありがとうございます。」

店長はにこやかに微笑むと、フロアを一巡りし、前から気になっていたらしいスーツケースを手に取る。

宮本店長：「ちょうど出張用の新しいスーツケースが欲しかったんだ。これでいいかな。あとプラスαで雑貨も買ってみるかな。」

こうして、宮本店長が自腹で購入したスーツケースと小物が売上に加算され、見事に1月の目標額に到達！スタッフ一同、達成感に満ちた笑顔でレジ画面の数字を見つめる。

清水さん：「すごい……ピッタリ、いや、少し上回ったわ。おめでとうございます、店長！」

三浦さん：「店長、まさか自腹で支援してくれるなんて……優しすぎます～！」

宮本店長：「いやいや、みんなが頑張ってくれたおかげだよ。数万円分で目標に届くくらいまで売上を積み上げてくれたわけだし。最後の一押しぐらい私がやらないとな。」

その日の閉店後、スタッフ全員が休憩スペースに集まり、達成をお祝いするささやかな打ち上げが開かれる。用意されたシャンパン（ノンアルコール）やお菓子を前に、みんなで乾杯。

三浦さん：「かんぱ～い！お疲れ様でした～。」

清水さん：「目標達成、本当に良かった。これで1月を気持ちよく締めくくれますね。」

杉山さん：「店長のおかげとはいえ、私達もギリギリまで粘ったし、一丸となれた気がします！」

宮本店長：「そうだね。みんなの奮闘があってこそ、目標ギリギリまで来られたわけだから。これからもチームワークで頑張ろう。」

スタッフ全員：「おーっ！」

こうして1月の売上目標は無事達成。いつもは厳しく数字を追う宮本店長の、スタッフを思う優しさに皆が胸を打たれた。もちろん、店長本人の財布事情はやや痛手かもしれないが（笑）、それも含めて愛情深い行動である。

スタッフの団結力はさらにアップし、2月以降も目標に向かって突き進む決意を固める。優雅なBGMが流れる店内には、目標達成の余韻と、さらなる挑戦に向けた新鮮な空気が漂っていた。

三浦さん：「店長、すごい！」清水さん：「でも、経費申請は不可ですよ。」宮本店長：「分かってる。これはチームへのご褒美だ。」

（第8話終）

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