ドラマ+法令解説:カスハラ対策『カウンターの向こう側』
- 山崎行政書士事務所
- 9月19日
- 読了時間: 3分
登場人物
佐藤店長:冷静で責任感が強い。
高橋(新人スタッフ):不安げだが誠実。
山田(お客様):要求がエスカレートしがちな「カスハラ役」。
中村(本部担当者):法務や人事と連携し、現場を守る立場。
シーン1:クレームの始まり
(店舗カウンター。お客様が声を荒げる)
山田「なんでこんな簡単なこともできないんだ!責任者を呼べ!」高橋(動揺しながらも)「お客様、不便をおかけして申し訳ございません。店長をお呼びしますね」
🔎 法令・ガイドライン解説
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)第30条の2 → 事業主には「労働者へのハラスメント防止措置義務」が課せられており、カスハラも対象。
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(2022)」 → 事業者は従業員を保護する仕組みを整備する義務がある。
シーン2:エスカレートする要求
佐藤店長「失礼いたしました。ご事情をお伺いします」山田「ただ謝ればいいってもんじゃない!今すぐ全額返金しろ!」
(ナレーション)👉 ここで重要なのは「正当要求」と「過剰要求」の線引き。
🔎 法令・ガイドライン解説
消費者契約法第10条 → 「消費者の利益を一方的に害する条項」は無効。つまり、過剰な要求に応じる義務はない。
消費者庁「カスタマーハラスメント対応企業向け指針」 → 暴言・威嚇・社会的相当性を逸脱した要求は「不当要求」として対応不要。
シーン3:組織で守る
佐藤店長「ご要望は確認いたしますが、規定以上の対応はできません。本部にも確認しますので、少々お待ちください」(インカムで中村に連絡)中村「その内容は規定外です。毅然と対応してください。記録も開始しましょう」
🔎 法令・ガイドライン解説
個人情報保護法(APPI)第16条・第22条 → 対応の記録を残すことは従業員保護と同時に、監査・訴訟リスク対策にも有効。
労働安全衛生法第66条の10 → メンタルヘルス対策の観点からも、従業員が心理的負荷を抱えないよう組織的な支援が必要。
シーン4:毅然とした対応
佐藤店長(落ち着いた声で)「お客様のご要望のうち、返金は規定の範囲で対応可能です。ただし脅迫的な言動はご遠慮いただきます」山田(少しトーンを下げる)「……そうか」
🔎 法令・ガイドライン解説
刑法第223条(強要罪)、第249条(恐喝罪) → 暴言や威嚇が続けば「犯罪」として警察対応も可能。
警察庁「悪質クレーマー対応要領」 → 明確に「不退去・威迫行為」への通報フローを定めている。
シーン5:スタッフの安心
高橋「店長がすぐ対応してくれて助かりました。記録も残せるんですね」佐藤店長「そう。私たちが個人で背負う必要はない。組織で守ることが大事なんだ」
エンディング・ナレーション
「カスタマーハラスメントは、個人ではなく組織で対応する問題。記録・規定・法令遵守で、働く人を守りながらお客様に誠実に向き合う。これが、私たちのルールです。」


コメント